LOOZ / JOINTED TIMES (KSR) CD

LOOZ / JOINTED TIMES (KSR)
http://www.ksr-corp.com/artist/show/114

福島県出身の元郵便局員にして現役ローライダーだという LOOZ によるファースト・アルバム。

ローライダーというのを聞くと、いかついウェッサイ系の音を想像するかと思うんだけど、実際には非常にメロウかつポップでかなり聴きやすい。
つまり今チャートに入ってくるようなヒップ・ホップと同系統かと思うんだけど、それよりもこのありきたりな日常に恋や希望を絡めた曲群を聴いていて思うのは、それこそ2000年前後に当時の若者がアコギを持ってフォークにはしったのと同じノリで、今の若い子はラップをするんだろうなと。
つまりはヒップ・ホップを必然的に選んだというよりは、たまたま近くにあったのがアコギではなくマイクだったのかな、と思えるほどこの音楽からは、良くも悪くも背景や背負ったものの重さが聴こえてこないし、また同時に熱というものが感じられない。

しかしそれは反面今作の聴きやすさにもつながっていて、また彼の人柄の良さが感じられる柔らかな歌声のせいか、よくある応援歌じみた歌詞もわりと素直に聞ける。

まぁとはいっても性格はすごく良いけどつまらない奴の典型みたいな作品であるのも事実なんだけど、思えばパンクがメロコア以降一般化したように、またフォークがゆず以降雨後の筍に出てきたフォーク・グループによって一般化したように、 J-POP というフィールドでヒップ・ホップが一般化するのはドラゴン・アッシュが(チャート上に)登場した1999年ではなく、ほとんど歌モノの応援歌やラブ・ソングが支持される今なのかなぁ、ということは強烈に感じさせる。

あと作品とは関係ないんだけど、ヒップ・ホップの世界ってシーンが狭いせいか意外な人が繋がってたりするじゃないですか(例えば湘南の風のアルバムに MSC が参加してたりとか)。そして今作も参加はしていないものの、スペシャル・サンクスに鬼一家の名前があるんだよね。まぁ同じ福島ということを考えればそれほど不自然ではないのかもしれないけれど、音だけ聴くと全く想像つかないのでこれは驚き。やっぱりスタイルが違っても、ラップをやっているというだけで顔馴染みになってしまう狭い世界なんだろうか。

LOOZ - Jointed Times

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鬼一家 / 赤落 (赤落PRODUCTION) CD

鬼一家 / 赤落 (赤落PRODUCTION)

現在服役中の鬼を中心とする鬼一家のファースト・アルバム。

このアルバムに先立って鬼が発表した “小名浜” は、まるで70年代フォークのような世界観で故郷についてラップするという、現在の日本のヒップ・ホップの中でもかなり異彩を放つ曲で、このアルバムでも明快な言葉で小泉、安倍元首相を批判する “スタア募集” 、社会の不条理を語る “見えない子供見てない大人” など、深い悲しみを内包する鬼の声で発せられる言葉は、どれも強い説得力を持ってこちらに響いてくる。

ならばこのアルバムは傑作なのかというと、申し訳ないがそんな事もなく、これはあくまで鬼を中心としたクルーである鬼一家のアルバムであって、鬼の単独、もしくは誰かをフィーチャーした曲がかためられた前半は聴き応えがあるものの、後半のクルーのメンバーの曲になると、どれも悪くはないんだけど、イマイチとっ散らかった内容になっていて、ものすごく取って付けた感が強いんだよね。
このせいでアルバムの完成度が一段も二段も低いものになっていて、これだったら鬼の曲だけでミニ・アルバムとかにしてくれたほうが良かったかな。

まぁ今年の春には出所なんだそうで、今度の作品はもっと鬼が関わったアルバムになるだろうから、そちらの方に期待しておきましょう。

試聴

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