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Refugeecamp / RAISE THE FLAG
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T-Pablow / Super Saiyan 1
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NORIKIYO / Bouquet
今週の拾い物:Hiroki Yamamura, RAP BRAINS feat.SABO, Elhae 等
先週、先々週と更新できなかったので、今回は少し多めな拾い物(紹介できてない盤まだ沢山あるけど)。ちなみにタイトルが紛らわしいんですが、今週落とした音源ではなく、落とした音源の中で聴いたものの感想を書いているので悪しからず。落としたものに関しては Tumblr 見ていただければそれなりに分かります。

神戸のトラックメイカーが今年2月に出した EP 。ディスコの滑らかなグルーヴがうまい形でジュークに転化されていて非常に良い。猥雑さをあまり出さず、ポップに纏めたのも良かったのではないかと。

日本のラップ・グループ、RAP BRAINS のリミックス盤。ゴルジェってそこそこ数は聴いているものの、未だにどんなスタイルを指すのかよく分かってないんだけど、今作はゴルジェのみとしながらも、色々なタイプのリミックスがあって面白い。あと一番ヒップホップっぽい “YAMABUSHI (uccelli Remix)” を聴くと分かりやすいけどラップもカッコいい。

カンサスのプロデューサーの4曲入り EP 。タイトル通りのディスコ作品なんだけど、どの曲もヴォーカル・サンプルが多く使われているので聴きやすいし、音数多いながらも曲が短いのも小気味良い。

イギリスのトラックメイカーのミックステープ。こういうのをトラップって云うんですかね(実はよく知らない)。とりあえず今どきの重たいベースのヒップホップ。1曲1曲はカッコいいんだけど、さすがに22曲は多い。

アイスランド出身のブラック・メタル・バンドの、多分初のアルバム。野太い声と速いテンポで押しまくる感じとかデス・メタルに近く、非常に攻撃的でカッコいい。ただアルバム1枚聴かせる工夫に乏しいので、ちょっと中だるみする。泣きのギターが印象的な “Söngur uppljómunar” と、ダークアンビエントな “Frostauðn” が良い。

フロリダのラッパー J $tash と日本のラッパー Kohh の競演曲。両者のラップ、トラック共にカッコいいんだけど、逆に収まりがよすぎて、”잊지마 (It G Ma)” ほどのインパクトはないかな。

Justin Timberlake の曲をオランダのプロデューサーがリミックスしたもの。キック、ベース共に重いビートはカッコいいんだけど、この曲にはあまりあっていない気がする。

Moby が1993年にリリースした曲を Perc がリミックスしたもの。原曲と聞き比べてみるとそれほど変わった印象はなく、キックが若干強くなった位でしょうか。だから「remix」じゃなくて「edit」なのかなぁという気もするけど、原曲に特に思い入れのない人間としてはあまり面白くなく。

ノルウェーのプロデューサーが2015年2月に出したアルバム。1曲目の哀愁漂う感じとか悪くないんだけど、2曲目以降はチップチューンを土台に、シンセの音を声の代替品にしたようなロック/ポップスが並んであんまり面白くない。まぁ逆にいえば、普段エレクトリック・ミュージックを聴かない人には聴きやすいかと。
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Production Unit / ICU Tracks (Broken20) mp3
イギリスのプロデューサー Production Unit こと Dave Donnelly さんが2012年に出したミニ・アルバム。
発売レーベル名である「Broken20」の後に連番をふっただけの曲名が、いかにも無機質な印象を与えるが、実際曲の方もテクノを基調とはしているものの、展開を伴わない淡々としたものが多い。
しかしポツポツと鳴るキックの上で鋭角的な電子音がどんどん変調していく “Broken20.1” はアシッド・テクノの変種のようだし(っていうかずっと鳴ってるスネア含めて Plastikman を思わせる)、ゆったりとしたビートの上で鉄琴を思わせる電子音とストリングスが美しくなる “Broken20.4” 、偏執狂的に鳴るパーカッションとベースが奇妙なグルーヴを作り出す “Broken20.5” など面白い曲が多い。
また彼らしい歪んだ音像の荒々しいテクノにした Perc や、原曲の面影が見当たらない重々しいドローンに作り変えた Paul Purgas (Emptyset の人なんだね)などリミックスも良く、充実した内容の作品だ。
Perc / Wicker & Steel: The Complete Remixes (perc trax) mp3
Perc こと Alistair Wells さんのリミックス・シングルを纏めたアルバム。最近12インチを細かく追えてないので、こういうのはありがたい。
2011年のアルバム『Wicker & Steel』は実験的な側面も強かった作品だったので、そのリミックスとなると原曲をクラブ・トラックにしたようなものが多いのかというとそんな事もなく、なかなかに個性的なリミックスが揃っている。
共に現在のインダストリアル・テクノの代表アーティストである Ancient Methods と Tommy Four Seven は、ほとんど自分の曲といった感じの重量感のあるインダストリアル・テクノながら、リズムは変則的で踊りやすいとは言い難いし(音の強弱とタメでうねりを作っている Ancient Methods のリミックスがすごい)、ベース系の作品の多い ASC は原曲のテンポを極端に遅くしたようなリミックスで、これまた意表をつく。
また原曲を活かしつつも浮遊感のあるディスコティックなテクノにした Walls の “Choice” のリミックスや、 “Pre-Steel” をさらに電子ノイズ的にした tengui も面白い。
それらに比べると素直にダンス的解釈を聴かせる The Black Dog と Chris Carter のリミックスは面白みに欠けるものの完成度は高いし、同じエレクトロ的なテクノながら、軽妙さと重厚さという違う方向性のリミックスを2曲提供している TVO もいいアクセントになっている。
唯一残念なのが Sigha & Truss によるふぬけたエレクトロの “You Saw Me” で、 Sigha ってオリジナルは好きなんだけど、リミックスだと毎回イマイチに思えるのは気のせいか。
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PERC / WICKER & STEEL (Perc Trax) CD
ついでなんで Perc Trax を主催する Perc こと Alistair Wells さんが2011年に出したファースト・アルバム。
Perc って Berghain 以降のハード・ミニマル再燃の動きの中で浮上してきた人、という印象だったんですが、 Discogs 見ると活動歴10年になるベテランさんみたいですね。
ざらついた音質の女性の語りと不穏なアンビエンスで始まる “Choice” 、そしてその流れを一気に断ち切るかのような金属的なリズムが鳴る “My Head Is Slowly Exploding” という冒頭の構成は、いかにもインダストリアル・テクノといった赴きながら、比較的空間を塗りつぶすような太い音が多かった過去のそれに比べると、この作品はより隙間のある鋭角的な音作りがなされていて、それゆえノイズ的側面の目立つ実験的な印象を受ける。
それは揺らめくようなノイズが曲を導くドローンの “Pre-Steel” 、ミニマル・ダブとドローンを掛け合わせたような “Snow Chain” に顕著なのだけれど、かといってダンス的側面が置き去りにされている訳ではもちろんない。例えばくぐもったキックと歪んだドラムが曲を加速させる “Start Chopping” のようなフロアでの盛り上がりを容易に想像できるような曲もあれば、淡々としたキックの上で鳴る鐘を思わせる音が緊張感を高めていく “Gonkle” のように、地味ながらも機能性の高い曲もあり、つまりは両方の側面を備えながらも構成の考えられた、アルバムとして完成度の高いものになっている。
そして中でも圧巻なのが最終曲の “Jmurph” で、左右に振れる金属的なノイズがオーケストラのような躍動感を生み出していて、きんとアルバムの要素を汲みながらも、最後にちゃぶ台返しされたような痛快さがある見事な曲。
ただの過去の焼き直しにとどまらない、インダストリアル・テクノの進化を感じさせる傑作。
ちなみに今作は Fabric みたいなブリキ缶入り。
The Black Dog / Liber Chaos (Book Ov Aiwass) (Dust Science) mp3
相変わらずタイミングずれまくりなんですが、イギリスの3人組 The Black Dog が昨年末に出したリミックスEP。
The Black Dog って以前は端正なエレクトリック・ミュージック作ることが多かったのが、最近ダークなテクノを出す事が増えてきた、というのはなんとなく知っていたんですが(実はこの人たちよく聴いたことがない・・・)、今作での Sandwell District や Perc といった人選は、それを物語るものになっている。
まず1曲目の Sandwell District は、アルバム(過去記事)の延長線上にあるような、モノトーンのビートに、徐々にノイズエフェクトがかぶさってくるというシンプルなモノながら、ビートの強度と空間処理の妙で聴かせる素晴らしいもの。
逆に他のリミックスに関しては可もなく不可もなく、といった感じのものが多かったんだけど、軽くミニマル・ダブっぽく仕上げた Shifted が良かったかしら。変に軽い音に仕上げた Sigha は期待はずれ。
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