PORTABLE / POWERS OF TEN (sud)2LP

POWERS OF TEN
http://www.sudelectronic.com/

Alan Abrahams といえば、ミニマルなエレクトロニクスに、自身のルーツであるアフリカン・パーカッションを融合させた作風で知られていますが、もう一方で、南アフリカのケープタウン出身である彼は、タウンシップと呼ばれる音楽で(少し調べたけど、どんな音楽か分かりません)、政治色の濃いアルバムなども作った事があるらしいのだけれど、彼が Portable 名義で発表したものに、政治色が感じられる事はほとんどありませんでした。

しかし、フロアに特化した Bodycode 名義での作品を経て、 Portable 名義では4枚目になるこの『POWER OF TEN』では、明確な変化が感じられる。

彼の今までの作品は、彼自身によるパーカッションを除けば、無機質な印象のものが多かったけど、今作ではいつになくギター等の生楽器を導入して、悲しみを湛えた曲が非常に多い。さらに、彼独特のパーカッションの効果で、浮遊感と呼びたくなるような揺らめく感じが強かったリズムは、沈み込むようなベースが印象的で、いつになく重いものになっている。それは、キックを前面に出して高揚感を煽っていたBodycode とも違い、また、単に暗いだけの抽象的な音楽になったわけでもなく、悲しみの中でも踊る事、つまり行動する事を強く希求する力強いものになっている。

それは、直接的な政治的メッセージが感じられるものではないけれど、闘争の音楽と呼びたくなるような強さを持っていて、私が以前『FLICKER EP』の記事で書いた、「彼の楽曲でこんなに感情に訴えかけてくるのは初めてじゃないでしょうか。これが安易な分かりやすさに流れなければ、次のアルバムは楽しみですね。」、という言葉が現実となった素晴らしいアルバム。間違いなく最高傑作です。

Portable - Powers of Ten

background

bg000
V.A.
futuristic experiments chapter one
bg001
TERRENCE DIXON
BIONIC MAN EP
bg003
STEWART WALKER
NORTH EP
bg004
SUBMANIA EKMOAH
ZYLACANTH EP
bg005
SUBMANIA EKMOAH
LOW VOLTAGE
bg007
SUBMANIA
Proceed EP
bg008
V.A.
futuristic experiments chapter Ⅱ
bg011
TERRENCE DIXON
MINIMALISM Ⅱ
bg012
SUBMANIA
CUT EP
bg013
V.A.
futuristic experiments chapter Ⅲ
bg014
RHYTHM MAKER
METAL PATIENCE EP
bg016
DEADBEAT
TINKERTRONIX EP
bg017
AKUFEN
DADA
bg018
SUBMANIA EKMOAH
TENDRA EP
bg019
SMYGLYSSNA
SIGHT IS SOMETHING MORE THAN ALL THINGS SEEN EP
bg020
RHYTHM_MAKER
ALLES MAINSTREAM EP
bg021
rhythm_maker
landing
bg023
SUBMANIA / EKMOAH
WERKBUND EP
bg024
V.A.
FUTURISTIC EXPERIMENTS #004
bg025
OLIVER HACKE
LICHTUNG EP
bg026
PORTABLE
FUTURISTIC EXPERIMENTS #005
bg027
DAVE MILLER
GREY SUMMER EP
bg028
FRIVOLOUS
CRANKKONGESTION EP
bg029
DAVE MILLER
JIGSAW MUSIC EP
bg31
FRIVOLOUS
40 INCH EP
bg032
PORTABLE
ONE SECOND AGO OR LESS EP
bg034
microbox
playback EP
bg035
V.A.
FUTURISTIC EXPERIMENTS #006
bg036
jeff milligan
bg037
PORTABLE
CYCLING
bg038
OLIVER HACKE
COUNTRY GRAMMAR
bg039
dB
ASPERN
bg040
dB
PERON
bg041
PORTABLE
FLICKER EP
bg042
JAMES DIN A4
KOMMUNE 1
bg043
ANTIGUO AUTOMATA MEXICANO
MICROHATE
bg044
dB
TROON EP
bg045
Dave Miller
Mitchells Raccolta
bg046
rhythm_maker
every new and then, anger ep
bg047
FRIVOLOUS
KEVORK MOTION EP
bg048
TERRENCE DIXON
MINIMALISM Ⅲ
bg049
GEOFF WHITE
NEVERTHLESS
bg050
V.A.
BACKGROUND RECORDS 50

Bodycode / A document of an american past (yore)12″

A document of an African Past
http://www.yore-records.com/

portable といえば、一時期の background を支える存在だったわけですが、急に違うレーベルからリリースするようになったので、てっきり Andy Vaz と仲違いでもしたのかと思ってたんだけど、別にそんな事はなかったようで、 Andy Vaz と Alessandro Vaccaro によるレーベル yore の新作は、 portable の別名義 Bodycode の、何気に単独としては初となるシングル。
そもそも Bodycode という名義は、 Alan Abrahams の中でもフロア寄りの名義のわけですが、この作品でもいつになくしっかりとしたキックが鳴っていて、彼らしい柔らかいパーカッションとの絡みは、正にトライバル。
そしてこの yore というレーベルは、クラシックなテクノ/ハウスを掘り下げるレーベルらしく、だからなのか、正統的なハウスに近い王道感も兼ね備えていて、自身の名義とレーベル、両方の「らしさ」を上手く融合させた、言うは易し、行うは難しな事を見事ものにした、なかなか良く出来た作品ではないかと。
それに以前 Bodycode 名義で出したアルバムだと、どうも portable 名義との差別化が出来てなかったように思ったんだけど、このシングルに関してはそこら辺もしっかり為されていて、そこも好感もてます。

試聴

BODYCODE/THE CONSERVATION OF ELECTRICAL CHARGE(SPECTRAL)2LP

BODYCODE/THE CONSERVATION OF ELECTRICAL CHARGE
http://www.ghostly.com/1.0/spectral/

Portable こと Alan Abraham の別名義。
この人は作品の数を重ねるごとにエレクトロニカよりになってる印象があるけど、この新しい名義ではよりフロア向けの作風になっています。
そういった意味では初期に立ち返ったような印象もあるんだけど、今までにないくらいストレートな四つ打ちのキックが前面に出ていて、まぁそれ自体はいいんだけど、それに引っ張られるようにパーカッションも単調になってる気がして、いつもの彼の作品のような音楽的なふくらみが感じられないんですよね。
トラックモノとしては全然問題ない完成度だけど、やはりこの人にはもっと上のところを期待したい。

視聴→Bodycode - The Conservation of Electric Charge

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PORTABLE/Live:You Were There(REALJO{K}E)CDR

rjrcdltd05.jpg

なんだかんだでもう4枚目になる Portable のライヴ・アルバム。正直こんなにライブ盤ばかり出すのもどうかと思うんですが、結局全部買っているので何もいえません。

これは『Version』(過去記事)のツアーのものという事で、今までのものより彼のパーカッションが前面に出ていて、あまり踊るという感じのものではなく、不思議な浮遊感を湛えたものになっています。だからわりと流し聞きしちゃうタイプの盤ではあるんだけれど、淡々と鳴るエレクトロニクスと彼の有機的なパーカッションの絡みというのは未だ独特で、やはりこの魅力には逆らえないのです。

portable/version(scape)CD

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http://www.scape-music.com/

以前リリースをお伝えしたportableの3枚目。なんか気がつけば私、この人の作品ほとんど持っている気がするんだけどライヴ音源以外だとそれほど聴き込んだ記憶というのがないんですよね。でもこのアルバムは彼の作品の中でも上位に入る作品ではないでしょうか。
とは言っても毎度の事ながら大胆な路線変更がされているわけではなく、繊細なエレクトロニクスとパーカッションの絡みによるクリック/エレクトロニカ。でも今作はギターやメロディなどを取り入れる事で、今までよりもはるかに音にふくらみがあるんですよね。まぁ、相変わらず物悲しい雰囲気を湛えた相当に地味な作品なんだけど、やっぱり私はこの人のたゆたう様な独特なグルーヴは好きですね。

B0009G01MM Version
Portable


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

PORTABLE/LIVE CDR

more things change.jpg speak of it,think of it.jpg live at yellow.jpg

ちょっと前にビビンバさんがポータブルのライヴCDRを紹介していたので、ポータブル好きの私としては負けられないと彼が今まで出したライブCDRをまとめてご紹介。
なぁんて書き始めたのはいいんだけど書くことあんまりないんだよね。今まで何度か書いてるけど、作品ごとに劇的な変化を遂げる人ではないので違いを指摘しづらいのよ。まぁ、こちらでも書いてあるようにルチアーノなんて何年もライヴ・セット同じだけどね。

上の2枚はポータブルのレーベル、SUDから出されたもの。左の『more things change』は多分アンディ・ヴァズの『LIVEINTOKYO』と同日のライヴを収録したもの。とにかくこの作品で印象的なのは耳に纏わりつくような土着的なパーカッション。しかし祝祭的な雰囲気など微塵もなくひたすら平熱のままダンス・ビートが刻まれます。
そして右のが以前紹介した『speak of it,think of it』。これを出した頃にはもう自身のアルバムを2枚もリリースしている頃なので多少起伏がありますね。しかしここでも印象に残るのは彼のパーカッション使いです。彼の場合パーカッションが非常に重層的で、まるでオーケストラのように聴こえる瞬間もしばしば。彼は南アフリカの出身なんだけど、やっぱりアフリカ音楽の影響なんでしょうか。私はアフリカ音楽ほとんど聴かないんで分かりませんが。
最後に下のが昨年末に紹介したアンディ・ヴァズのと同時にでたブツ。2004年の7月の音源なんだけど、その日のフライヤーをまんまジャケに使っているという手作り感覚溢れるものです。こちらは以前に比べウワもののメロディが多彩になったことで、より感情に訴えかけてくる感じです。中でも傑作『FLICKER EP』の曲が出色で、特に”30hz”をアレンジした3曲目なんてちょっと泣きそう。前2作の淡々とした感じも好きなんだけど私はこれが一番好きかな。

一応3枚ともCDRなんで価格も千円半ばと安いんだけど、最初の2枚は今では入手困難かと。『LIVE AT YELLOW』の方はこちらのほうでまだ買えます。

PORTABLE / FLICKER EP (background)12″

HJ3033.jpg
http://www.background-records.de/

この人ってリリース毎に変化は見せているんだけど、かといって大胆な変化を見せる人でもないので指摘がちょっと難しい。
とりあえずA面の”Liquid Crystal Display”はめずらしく12分を越す長尺曲。いつもより幾分リズミックな感じがしなくもないけど、これはいつものポータブル。
なんでそれよりはやっぱりB面の2曲でしょうか。さざ波のように押し寄せるパーカッションが心地よい”60hz”,生ギターをフィーチャーした”30hz”共にポータブルにしては珍しくメロディーがあるんですよね。特に悲しみ彩られた”30hz”の方は、彼の楽曲でこんなに感情に訴えかけてくるのは初めてじゃないでしょうか。
これが安易な分かりやすさに流れなければ、次のアルバムは楽しみですね。

V.A/newdays(sud)12′

newdays
http://www.sudelectronic.com/

カラットからの12インチに続くポータブルことアラン・エイブラハムの新作は、自身のレーベルからのシングル・コンピ。
面子はポータブルに新鋭アキコ・キヤマ、そして!”@.*!%(レーベル名です)から12インチを出してるミロス、そしてsudからのコンピ『what was it like before i got into electricity?』にも参加していたランプ。ミロスとキヤマさんに関してはあまり音源を聴いた事がないのだけれどポータブルに近いドープな感じ。特にミロスのは蚊の飛んでる音を淡々と聴かされているようで、気持ち悪いような気持ちいいような・・・。ランプは相変わらず一人ひょうひょうとしております。

portable/speak of it,think of it(SUD)CDR

portable/speak of it,think of it
http://www.sudelectronic.com/

昨年の『more things change』に続く2枚目のライブCDR。そこら辺のテクノ/ハウスにありがちな安易な盛り上がりはほとんどなく、ずっと低空飛行してるような感じ。基本的に4つ打ちのビートとパーカッションの絡みなのだけれど、ありきたりなズンドコした感じではなく控え目ながらも独自のグルーヴを形作っている。そして時折入るヴォイス・サンプルもパーカッションのように聴こえる。それに音があまり良くないせいかベースがあまり目立って聴こえてこない。それがハウスというよりはテクノっぽい感じを出していてイイです。
 
ところで前作に続いて今回も日本でのライブ音源なのだけれど、日本でしかライブができないような状況なのでしょうか。だとしたらもったいないなぁ。それとも単に親日家なだけ?