Dragon Ash / MIXTURE (Victor) CD

Dragon Ash / MIXTURE (Victor)
http://www.dragonash.co.jp/

すっかり忘れていたのですが、このブログもいつの間にか8年目に入っております。まぁこれからもぼちぼちいきます。

ということで Dragon Ash が昨年末に発表した9枚目のアルバム。

ここ何作かラテン要素の強い作品の続いていた Dragon Ash なんですが、今作は原点回帰という事でミクスチャー路線の作品になっています。

とはいっても以前のような激しさを持った作品なのかというとそんなこともなく、またラテン要素も依然としてかなり強いので特に方向性の変化に違和感はない。
そしてヘヴィロック的な部分に関しても、以前ようにむやみに音を歪ませたり勢いに任せたりしなくても、引き締まった演奏により見事に太いグルーヴが鳴っていて、ただの原点回帰ではないバンドの成長を感じ取る事ができるものになっている。

しかしそれでも私には今作が傑作だとはとても思えなくて、それは今作にはこの手のロックに必要な熱量があまりにも足りないんですよね。つまり端的に書くと聴いていて燃えない。

一方でますます柔らかさをました降谷くんの歌声を生かした曲は魅力的で、中でも愁いを帯びたメロディと演奏が印象的な “FIRE SONG” は今作の中でも一番好きだ。

まぁ今作の原点回帰というのは彼らが変化を求めての事だろうから、この次にどんな音を鳴らしてくれるのか楽しみにしたい。

MIXTURE - Dragon Ash

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DJ KAORI / DJ KAORI’S JMIX IV (UNIVERSAL) CD

DJ KAORI / DJ KAORI'S JMIX IV (UNIVERSAL)
http://www.universal-music.co.jp/um3/djkaori/

DJ ケオリ姉さんが J-POP だけ使ったミックスの第4弾。

以前はミックスCDというとコアな音楽ファンだけが聴いているような印象でしたが、彼女がミックスCDというものの認知度を上げたおかげで、今では名前もよく知らないギャルみたいな女の子でもけっこうミックスCD出したりしてるし、以前不満を書いた(過去記事)「ディ~ジェ~ケオ~リィ~」のシャウトもお家芸として定着した感があり、まことにもってケオリ姉さんは偉大であります。

んで今作ではそんなケオリ姉さんが J-POP を滑らかにミックスしているわけですが、どうも選ばれた曲のほとんどが洗練を単なる灰汁抜きと勘違いしたようなものばかりで、聞き流しているぶんには悪くはないけど、1曲1曲が印象に残らないものが多い。

そんな中にあって今人気の、所謂 K-POP と呼ばれている人たちの曲(最初なんで J-POP のミックスに K-POP が?、って思ったんだけど、日本語のポップスのミックス、っていう括りなんですかね)はさすがに楽曲の力が違うな、と思わせられるんだけど、こちらはこちらで雑味のあるヴァースからサビにきたら思いっきり甘いメロディをぶつける、みたいなパターンの曲が多くて、ちょっと類型的に思える。

ということで、私もそろそろ韓国のポップス聴いてみようかな、くらいは思ったものの、それ以上に耳に引っかかったものはなく、ちょっとここから個別に掘っていこう、とはなりそうにない。

まぁ今の J-POP の感じをなんとなくつかむには非常に便利な盤だとは思うけど。

あとこの盤を聴いたきっかけって山下くんの曲が入ってるからなんだけど、逆に違和感があまりなくて面白くなかったです。

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RIP SLYME / JOURNEY (WARNER) CD

RIP SLYME / JOURNEY (WARNER)
http://www.ripslyme.com/

RIP SLYME のメジャーからは7枚目となるアルバム。最近の彼らの話題というとテリヤキ・ビーフとスポンジ・ボブくらいしか記憶に無く随分ご無沙汰感があるのですが、前作から1年半ぶりなんだそうで。

RIP SLYME のどこに魅力を感じるかというのは、もちろん人それぞれ色々あるんでしょうが、私にとって RIP SLYME といえばまずトラックありきなんだけど、今作はそのトラックが決定的につまらない。
インタビューとか読んでないのでそれがどこまで意識的なものなのかは分からないけれど、『MASTERPIECE』(過去記事)を超えるのではないかというくらい生音が取り込まれていて、それがどれも恐ろしくありきたり。『JOURNEY』というタイトル通り、南国風のものを中心に色々なスタイルの曲を揃えていて彩はそれなりにあるものの、ほとんどがどこかで聴いたことのあるようなトラック(演奏)ばかりで、これが遊びとひらめきに満ちていた RIP SLYME の曲なのかと思うと悲しくなるほど。

そして以前はトラックの上で心地良い「音」として機能していた4人のラップも、退屈なトラックの上ではただ平板なだけで、印象に残るのは1曲客演しているトータス松本の歌声ばかり。

前作の『FUNFAIR』(過去記事)が久しぶりの快作だっただけに期待していたんだけど、残念無念・・・・。

TERIYAKI BOYZ / SERIOUS JAPANESE (UNIVERSAL) CD

TERIYAKI BOYZ / SERIOUS JAPANESE (UNIVERSAL)
http://teriyakiboyz.com/

どうも今晩は、 3M の中ではダントツで牧瀬理穂が好きだった shooter です。
ということで、その旦那さんと愉快な仲間たちによるグループの2枚目。

m-floRIP SLYME もけっこう好きなアーティストではあるんだけど、どうも TERIYAKI BOYZ に関しては、服屋のおっさんが大金叩いて面子を集めているのが見えすぎて、あまり良い印象がない。

でも、 SEEDA からのディスで盛り上がっていることもあって聴いてみたんだけど(ディスに関しては、ヴァーバルの良くも悪くも大人な対応によって、一気に冷めちゃった感じですね)、やっぱり私は好きになれませんね。

豪華プロデューサーを揃えたトラックに関しては、確かにどれもよく出来てる。そして TERIYAKI BOYZ のラップも上手いとは思うんだけど、そのわりに特徴がない人が多いもんだから、よく云えばトラックによく溶け込んでいる、でも正直に云えばラップが全く耳に引っかからない。 RIP SLYME の二入は論外としても、 VARBAL も m-flo のときみたいな良い意味でのインチキ臭さがなくなっちゃってるし、唯一今回初めて聴いた WISE は健闘してるとは思うけど、それも今作に参加した高木完の足元にも及ばないし。

実際アルバムを聴いてみると、 OKI が言っていた「聴けるのはカニエのヴァースだけ」っていうのも、それほど的外れな物言いではない気がする。

あとこのアルバムはアメリカでも発売されるようだけど、あちらのトップ・プロデューサーを揃えた盤で海外進出って、方法論としては一番退屈なものだと思うんだけど、そこらへんはどうでもいいのかねぇ。

RIP SLYME / FUNFAIR

FUNFAIR
http://www.ripslyme.com/

マチュさんのブログで知ったんだけど、 yellow まで閉店ですってね。まぁ入ってるビルの解体に伴うものという事で、リキッドルームみたいに別の場所で復活できる可能性があるのがせめてもの救いだけど、日本のクラブ・ミュージックはどうなっちまうんだろうなぁ。
それにしてもこれで「CHAOS」はまたお引越しか。今度は unit でやってほしいなぁ。

メジャーからは6枚目となる、 Rip Slyme の2007年作。
ここ何作かはどうもイマイチな作品が多かった Rip Slyme なんですけど、これは久々の会心作じゃないですかね。『MASTERPIECE』での生音導入から、どんどん落ち着いた作風のものが目立ってきていたけど、今作では以前のようなはっちゃけた勢いと、最近の穏やかさが無理なく融合していて、いい具合の着地点に収められてる。それでいて過去最高なんじゃないかと思えるほど盛り込まれた雑多な音楽要素を、ポップにまとめ上げる手腕は衰えていないし、さらにいつになくメロディがよく書けてるのもいい(ここら辺は PES の頑張りなのかしら)。
それにやたらと情緒に流されたがる日本のチャートの中でも、必要以上に意味を押し付けない彼らの音楽性ってもっと評価されてしかるべきだと思うんだけどね。停滞感丸出しな日本のヒップ・ホップも学ぶべきところは山のようにあると思うんですが。

RIP SLYME / MASTERPIECE (Warner)CD

MASTERPIECE (初回)
http://www.ripslyme.com/

私はこのグループのインタビューというものをそれほど数多く読んだことがあるわけではないのだけれど、リップ・スライムの音楽的中心ってフミヤとぺスだと思うんだよね。わりとクラブ指向なフミヤに対して歌モノ指向のペス、この二人の間でバランス良いアルバム作りが今まではされていたと思うんだけど、フミヤが生音に目覚めたため今作では一気にレイドバックした印象ですね。で、これが最初の方は気に入らなかったんだけど、これはこれでいいかもと最近思い始めてます。
私が彼らを好きな理由は一言「心地良さ」なんですね。軸足をポップに置きながら、大股開きで変な所に平気で足を踏み入れるフミヤのトラック、そしてフロウ、デリバリー共にその滑らかさにおいてはシーン随一ではないかと思える4人のラップ。この二つが合わさったときの心地良さは他にはないものだったのだけれど、今作も種類は違っても「心地良さ]という点では変わらないんですね。でも今までの他には変えがたい心地良さに比べると、今作の「それ」はわりとありきたり。だから私は今作を楽しむ代わりにリップ・スライムに対する期待ってほとんどなくなっちゃったなぁ。前作にはわずかにあったエッジも、今作には当然のようにないし。う~ん、音楽って難しいねぇ・・・。