KAIKOO Vol.11

KAIKOO Vol11
KAIKOO Vol11

今までイベントなりライヴなりに行ったときは、いつもの記事の枕として書いていたのですが、それもちょっとあれなんで、単独でカテゴリー作ることにしました。
まぁだからといって、今までに比べ詳細を書いた記事になるかというと、そんなことはないと思いますが。

ということで、昨日は渋谷の asia で行われた KAIKOO に行ってまいりました。

今回の KAIKOO は来月大阪で行われる大阪乱遊祭の前哨戦的な位置づけのものだと思うんだけど、そうはいってもこちらはこちらで十分豪華なラインナップになっていて、中でも楽しみだったのがやはり SD JUNKSTA
しかし彼らは同じ日に自分たちのパーティーである SAG DOWN もあるので、当然出番は早いんだろうと思い、渋谷についてのが11時。そしたら asia の前にちょっとした行列が出来ていて、軽く帰りたくなる。さらにやっと入れると思ったら、今までされた事がないような入念なボディ・チェックをされて、本格的に帰りたくなる。

とはいっても無事中には入れたので、一直線でメイン・フロアに。そしたらフロアはガラガラ。最初予想以上の人が来て行列ができてんのかと思ってたんだけど、なんのことはない、ボディ・チェックのせいで入場に手間取ってただけなのね。

しかし私がフロアに入ったとき、 SD JUNKSTA の曲がかかっていたので、これは頭から SD JUNKSTA に違いないと思い、ステージまん前にかぶりつく。でもこれもよくよく音を聴いてみると、 SD JUNKSTA の曲というわけではなく、今度 DJ BAKU が出す日本のヒップ・ホップのミックスCD流してただけみたい。

んで程なくしてスモークが焚かれた後、トップ・バッターとして出てきたのは、やはり SD JUNKSTA ではなく、私の全然知らないバンド(なんでも oak というバンドだそうです。中心人物が元 walrus というのを知って、甘酸っぱい気持ちになるのは私だけでしょうか)。
1曲目がいきなりアブストラクトを通り越して、まんまドゥーム・メタルになったような曲だったので、今の日本のヒップ・ホップ・ヘッズはすごい音楽を聴くんだなぁ、と感心していたんだけど、それ以降はハードコアとダンス・ミュージックを掛け合わせたような、わりとありきたりなタイプの曲が続いて、まぁ全然悪くはないんだけど、もう少し個性がほしいかなぁ、というバンドでした。

そして次に出てきたのが、待ってましたの SD JUNKSTA 。しかし出てきたのが NORIKIYO と BRON-K の二人だけで、一瞬だまされた、という気持ちでいっぱいに。しかし曲が進むにつれ OJIBAH 、 TKC 、 WAX 、 KYN とMCが増えていって一安心。
んで肝心のライヴの内容の方は、さすが自分たちのパーティを定期的に開いているだけあってライヴ慣れしていて、やった曲はソロの曲がほとんどながら、タイプの違うそれらの曲を、ステージ上でものの見事に SD JUNKSTA 流パーティ・ミュージックに収束させていて、楽しいの一言。しかしステージにはMCが6人いるのに、マイクが5本しかないせいで、常に誰か一人所在無さげにしていたのは笑った。

最後に NORIKIYO が「次は中野の白鳥」みたいなこと言って去ったので、次は当然 BES 。去年でたアルバムは随分と暗い内容だったので、ライブでは当然 Swanky Swipe も混ぜてくるんだろうと思っていたんだけど、実際には律儀なまでにアルバムからの曲のみで構成されたライヴ。しかしこの辺になると、ヴォーカルの音量レベルが高すぎて、正直何言ってるかよく分からず、ライヴ自体もよく分からないものに。でもあれだけ暗いと思えたアルバムの曲も、ライヴでやるとけっこうヒップ・ホップの王道感を備えたものに聴こえて、その点は新鮮でした。あと曲間のしゃべりがいちいち面白い。

次に出てきたのは私の知らない人。でもバックDJが「ICHIMIYA」と書いてあるTシャツを着ていたので、stillichimiya の人なんだろうとは思っていたんだけど、あれが田我流だったのかな。とりあえずスタイルとしては比較的オーソドックスなものながら、常に全力投球なラップには好感持てました。

なんか気がつけば記事が長くなってきたので、ここからは駆け足で。

次はSHINGO☆西成。基本的に黒を基調にした格好の人が多かったこの日の出演陣の中でも、赤い革ジャンに首からスニーカーをぶら下げた格好は明らかに異色。しかしその見た目に負けないエンターテインメント性に溢れたライブで、楽しさでいえばこの日一番だったかも。あと声が太いのでラップが聞き取りやすかったです。

そして見た目が異色だったのがSHINGO☆西成なら、音的に異色だったのが太華&誰か!?。その誰かというのは RIZE の KenKen とタップダンサーで、そこに太華のビートボックスという変わった構成でのセッション。まぁその面子が出てきたときの期待感に比べると、実際に鳴らされた音に意外性はなかったものの、タップダンサーの視覚面でのダイナミックさも相まって、十分に面白い内容でした。

そのセッションの最後に RUMI が参加した曲をやったんだけど、そのまま RUMI と SKYFISH のライヴ。しかし先程書いた、私には音量がでかすぎたのと、 RUMI のキンキン声が合わさって脳みそが揺れだしたので、フロアの後方に待避。なので正直あまり楽しめませんでした。

その後 SKYFISH 、 DJ BAKU のDJが続いた後、 DJ BAKU と般若。とにかくね、般若の人気ぶりに驚いた。他の人のライヴでも終始盛り上がっていたとは思うんだけど、般若のときは盛り上がりが桁違い。しかもライヴの途中に asia のブレイカーが落ちるというアクシデントがあったんだけど、その間もアカペラでフリースタイルやったりして場を盛り上げ続けていて、あらゆる意味で圧巻のライブでした。
最後には期待通り RUMI を加えての、グループとしての般若の再結成も見られて、もう大満足。

この後の DJ BAKU のバンドをバックにした漢も負けずに盛り上がっていて、作品を出していないにもかかわらず、未だ衰えない支持の厚さをすごいとは思ったものの、バックの音があまりにもロック然としているのに急に興ざめしてしまい、この日はこれで退散。

というわけで、最後はちょっとイマイチ感のあるものではあったのだけれど、総体的には非常に満足度の高い、かなり良いイベントでした。まぁラップのイベント行くと、いつもラップの音量がでか過ぎて脳みそが揺らされるので(マジで一瞬意識が飛ぶことも何度か)、これはPAの問題なのか私の体の問題なのか、とりあえず対策を講じなければなとは思うんだけど、次回も行きたいと思わせるには十分なものでした。
やっぱりもっと現場行かなきゃだめだなぁ~。

KREVA / よろしくお願いします

よろしくお願いします
http://www.kreva.biz/

少し前におめでたが発表された篠原涼子。彼女って今でこそ仕事の出来るクールなお姉さま、って感じのイメージですが、東京パフォーマンスドールのときってすげぇパッパラパーなキャラだったよね。それがずいぶんと自然な形でイメージチェンジが出来てるように思うのは私だけでしょうか。
まぁ彼女の場合は10年以上経てば、そりゃキャラも変わるだろうというのはあるんだけど、 Kreva も一体いつの間にこんなに支持を得るアーティストになったんですかね。キックの頃からチャートでの成功というのは収めていたけど、ヒップ・ホップ・シーンからの批判というのも少なからずあったわけで、それが今では Seeda に胸を貸すみたいな事までしてるんだからね。「リアル・ハードコア」なお方に「聴くと勘狂う」とか言われてたのが、ずいぶん昔のことに感じます。

彼がここまでの支持を得る(言い換えれば信頼回復)ようになったのって、ソロ・デビュー作の『新人クレバ』の素晴らしさはもちろんのこと、楽曲的にはよりメロウになりながらも、課外活動的に韻踏合組合DABO などの、シーンからの信頼の厚いアーティストと交流したりなどの、優れたバランス感覚にあると思うんだけど、むしろそれをシーンに対する言い訳としか感じない私のような人間にとっては、彼の現在の支持というものは寧ろ滑稽に映る。

そしてこのソロ3作目(2作目は未聴)。
そもそもソロになるきっかけの一つが、「”アンバランス” のメロディを書いたのが自分だと証明したかった」というものらしいので、ほとんど R&B じゃないかと思えるほどメロウになったのは、まぁいいですよ。私も海外のメロメロな R&B 好きですし。でもそういうのって男のダメさ加減が出てるから感情移入できるんであって、基本上から目線の本作の歌詞は全然面白くないのよ。そういった意味では弱気が顔を出す “アグレッシ部” が一番好きなんだけど、それまでに似たような曲がひたすら続くので正直飽きる。
それにここまで歌モノにいくんだったら、別に SHINGO☆西成の参加とかいらなかったと思うんだけど。っていうかもうシーンとかどうでもいいんじゃないかと思うんですけどね。色々厳しいことはいいつつも、日本のヒップ・ホップの中でも矢面に立つことの多い Kreva と Zeebra って評価してるんだけど、結局二人ともシーンを意識しすぎて、ここぞというときに毒を飲めない印象があって、それは現在の日本のヒップ・ホップの中途半端さと退屈さと無関係ではないように思える(関係ないけど、ここでの D.O の発言の方がそういった意味ではよっぽどいいと思う)。実際 Kreva にとって、音楽的にここら辺のラッパーとの交流が必要とはとても思えないわけで、だったらもう回りなんか関係なしに突き抜けたものを作ってほしい。その方が絶対面白いと思うんだけど。

Shingo☆西成/WELCOME TO GHETTO(Libra)CD

Shingo☆西成/WELCOME TO GHETTO
http://www.libra-ltd.net/

ゲットーで生き抜く為においてユーモアとは知恵である、と言ったのは一体誰だったか、それとも私の妄想でそんな事は誰も言っていないのか、まぁ記憶が判然としないんだけど、とにかくユーモアというのは大事ですよね。
そして名前のとおり大阪の西成区出身の Shingo☆西成と、歌舞伎町や新大久保周辺を根城にする Libra 主催の MSC の決定的な違いというのもユーモアという気がします。

自らの裏街道でのハードコアな日常をラップすることの多い MSC と違い、Shingo☆西成のラップのテーマはパーティであったり女であったり、はたまた兄貴っぽいお説教だったりとヒップ・ホップでは一般的なもの。でもそのテーマをきちんと自分の方に引き寄せており、そこにユーモアと西成でのゲットー・ライフを織り交ぜることにより、非常に生きた言葉としてこちらに届いてきます。同じゲットーの歌でも、やはり私にはこちらの方がはるかに聴きやすい。
その中でも特に素晴らしいのが”長屋の一人っ子の独り言”。タイトルの通り、特に決まった主題もなくとりとめのない独り言が続くのだけれど、だからこそShingo☆西成の本音が一番出ているようでかなりグッとくる。これが1曲目にあるせいで、ついつい繰り返し聴いてしまいます。そして7曲とちょっと物足りないくらいなのも丁度良いのではないかと。

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餓鬼 RANGER/GO 4 BROKE(VICTOR)CD

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http://www.jvcmusic.co.jp/gakiranger/

バウンス・ビートでも畳み掛けるような勢いが印象的だった1、2作目。そこから一転ゆるゆるだった3作目(過去記事)。そしてこの4作目は冒頭のギターに象徴的なように、明確に進化を望んだような内容になってますね。
で、最初そのギター聴いたときは全編ロック仕様なのかと思ったんだけど、実際には今までの和風なフレーズをまぶしながらも、比較的どっしりとしたファンク度高めな曲が並んでます。
まぁそれは別にかまわないんだけど、どうも各曲の方向性がバラバラというか、もっというとグルーヴの種類が違う曲がランダムに並んでるもんだから流れとか勢いがイチイチ途切れるんですよね。だから各曲の出来自体は悪くないんだけど、ひどく散漫な印象を受けてしまいます。過渡期という事でしょうか。
Kreva から、Shingo☆西成擁する ULTRA NANIWATIC MC’S (いい名前!)までと、ゲスト選びのセンスは流石なのだけれど。
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