soulphiction / do you overstand?! (SONAR KOLLEKTIV) CD

soulphiction / do you overstand?! (SONAR KOLLEKTIV)
http://www.sonarkollektiv.com/

Jackmate の名義でも知られる Michel Baumann の soulphiction 名義では2枚目となるアルバム。

前作の『state of euphoria』(過去記事)は全てのブラック・ミュージックの要素を溶け込ませたようなダウンビート・ハウスだったけど、そこにあったざらついた空気と、沈み込むような感覚というのは今作ではだいぶ後退し、非常に洗練されたディープ・ハウスになっている。

おそらくコレは、今作でリスニング向けというのを追求した結果ではあるんだろうけれど、 soulphiction が元来持っていた個性を損なっている面があるのが否めない。
とはいえアルバムの完成度自体は非常に高く、くぐもったビートと美しい上モノが絡み合う “Touch From The Past” や “Dark Berry” のようなトラックには、抗いがたい魅力を感じる。

それに逆に考えれば、非常に聴きやすいので、 soulphiction の入り口としては中々適した作品のようにも思える。まぁコレではまったら、次に色々なシングルを聴いてほしいとは思うけど。

Soulphiction - Do You Overstand?!
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Jazzanova / Of All The Things (Verve) mp3

Jazzanova / Of All The Things (Verve)
http://www.myspace.com/jazzanovask

Jazzanova の前作『in between』から6年ぶりとなるアルバム。普通6年というと、ずいぶん久しぶりな感じがしますが、個人的には彼らのアルバムが出たのってもっと昔なような気がするのは、彼らがその間も積極的に動いていたからなのか、彼らに対する興味が急速に薄れていったからなのか。

とはいっても、彼らに対する興味が薄れていったことに、何か特定的な原因があったわけでもないのだけれど、このアルバムによって、 Jazzanova への興味自体なくなっちゃう気がするなぁ。

というのも、ブロークン・ビーツ的なトラックの多かった前作以降、映画のサントラやらミックス盤を出していたので、もしかしたらそういった萌芽はあったのかもしれないし、 Jazzanova の趣味と、現在の音楽的な流れを考えれば、全くもって自然な変化だとは思うんだけど、今作はほぼ全編、ゲスト・シンガーを招いたソウルなんですね。

別にそのソウル路線自体が悪いとは思わないし、リード・トラックの “Let Me Show Ya” を筆頭に、良曲も少なくない。
でもこんなモロに70年代ソウルな音を、わざわざ Jazzanova が出さなくっても、っていうのは、どうしても思っちゃうんですよね。それに細かい差異が分かるマニアならいざ知らず、普段ソウルとは縁遠い私にも分かるような、現代的な意匠がほどこされている訳でもないし。

まぁ今回はメジャー流通らしいので、分かりやすくしたって事なのかな。コレを入り口にして、もっと奥まで踏み込んでくれるリスナーが増えてくれればいいですけど。

Jazzanova - オブ・オール・ザ・シングス

LAURENT GARNIER / BACK TO MY ROOTS EP (Innervisions) 12″

BACK TO MY ROOTS EP

DJ はともかくとして、トラックに関しては最近フロアから遠ざかっていた印象の Laurent Garnier の新作は、なんと Âme の INNERVISIONS から。

よくベテランが唐突に、路線変更して人気レーベルから出す事がありますが、この作品に関していえば、 INNERVISIONS というレーベルが元々デトロイトっぽさを持っていたので、 Garnier との相性は良かったみたいですね。
最近のミニマルとは違う、生っぽい質感のアフロ・トライバルなトラックは、一聴して耳を引き付けられるような即効性はないものの、しかし全体を通して静かな熱気をはらんでいて、12分という長尺ながら全く飽きさせない。
もう一曲の “PANORAMIX” も、不穏な空気を引き裂くように鳴るシンセがカッコいいデトロイティッシュなテクノで、個人的には表題曲より好きかも。

まぁどちらにしても両曲とも素晴らしいのには変わりなく、これはベテランの底力を見せつける傑作ではないかしら。

Laurent Garnier - Back to My Roots

Sonar Kollektiv Orchester / Guaranteed Niceness

Sonar Kollektiv Orchester
http://www.sonarkollektiv.com/

Sonar Kollektiv のレーベル設立10周年を記念して、プロデューサーの Volker Meitz を中心に結成されたプロジェクトのアルバム。
このグループ名から大体想像できるとは思うんだけど、 Sonar Kollektiv のヒット曲をオーケストラ形式で演奏するというもので、最近 Francesco TristanoMaxence Cyrin などが、クラブ・ミュージックのクラシック・カヴァーをやっているけれど、今こういうのが流行りなんでしょうか。
私は Sonar Kollektiv ってそれほど馴染みのあるレーベルではないので、この中で知ってる曲って2曲しかなくて、原曲と比べてどうこうという事は出来ないのだけれど、それにしてもこういったプロジェクトにありがちな、流麗さにばかりとらわれた、ダイナミズムや躍動感が感じられない演奏は、はっきりいって退屈。
しかしなんでクラブ系の人って、こうやってクラシックとかジャズやりたがるのかなぁ。やっぱりコンプレックスなのかしら。

Sonar Kollektiv Orchester - Guaranteed Niceness
amazon.co.jp

Mark Pritchard & Steve Spacek / Turn It On (Sonar Kollektiv)mp3

Mark Pritchard & Steve Spacek / Turn It On
http://www.sonarkollektiv.com/

Global Communication の Mark Pritchard と Spacek の Steve Spacek が組んでの初シングル。 Global Communication は全然聴いたことがないし、 Spacek に関してもそれほど評価している方ではないので、なぜこの二人が組むことになったのかは知らないんだけど、たまたまレコ屋で視聴したらよくて、さらに iTunes Store で買えたので購入。
Global Communication のときはアンビエントやってたみたいなんだけど、ここでは時流に反応したのかダブ・ステップ。しかしコレがかなりかっこいい。ドラムはブロークン・ビーツに近いモノなんだけど、スネアにダブ・ステップらしい独特のタメがあって、さらにそこに絡むブリブリしたベースも気持ちよく、なるほど、これは今までありそうでなかった新鮮さがある。まぁ個人的には Steve Spacek の歌は別にいらなかったんだけど、それでもこの音楽性のまま進むなら、是非是非アルバムを聴いてみたい。

Mark Pritchard & Steve Spacek - Turn It On - EP

eva be / no memory of time (BEST SEVEN)12″

eva be / no memory of time
http://www.bestseven.de/

Sonar Kollektiv のダブ系のサブ・レーベルになるのかな? Best Seven というレーベルの新作。

まずオリジナルがゆったりとしたダビーなエレクトロニクスをバックにした歌もので、これが非常に心地よかったりするんだけど、やはり素晴らしいのは Soulphiction こと Michel Baumann のリミックス。
彼は昨年この名義で『state of euphoria』、そして今年に入っても3人組のユニット Manmade Science や Jackmate 名義でと次々と傑作をものにしているけれど、このリミックスもコズミックなシンセを鳴らしながらも、リズムのほうはどっしりとしたトライバルなダウン・ビート・ハウスでめちゃくちゃかっこいい。この人らしいもっさりとした音作りも良い。
それに比べるとエレクトロ・ディスコな tolcha のリミックスは凡庸かしら。
でも soulphiction のリミックスだけでもぜひ聴いてもらいたいシングルです。

Eva Be featuring Joe Dukie - No Memory of Time (Featuring Joe Dukie) - EP
[Tracklist]

Soulphiction / state of euphoria (Sonar Kollektiv) 2LP

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http://www.sonarkollektiv.com/

Soulphiction こと Michel Baumann が主催するレーベル、 Philpotアーティスト・ページを見ると、「Jackmate はシカゴに影響されていて、Soulphiction の背景はヒップ・ホップ」みたいな事が書いてあります(超適当)。実際彼の Jackmate 名義でのアルバム『Prodigal Son』は、クリック・ハウスとシカゴ・ハウスの橋渡しをするかのような内容だったのだけれど、そこから3年、この名義では初となるアルバムです。

最初リリース元が Sonar Kollektiv というのは意外に思えたんだけど、元々この名義にはジャズ的な感覚がうかがえるのと、このレーベルが Ame『Rej』の大ヒットにより、最近のミニマルともリンクし始めてる事を思えば納得という感じでしょうか。

で、以前この名義での『soulphiction EP』(過去記事)を紹介したときは、そのデトロイト・ハウスとの類似性にばかり気がいってしまったのだけれど、今作では前述の通りヒップ・ホップ、そしてさらにブラック・ミュージック全般からの影響を全面に出していて、これがもうとんでもなくカッコいい。

基本はこの名義らしいダウン・ビート・ハウスなんだけど、全編昔のレコードを思わせるチリチリとした質感で統一されているのがまず素晴らしい。そして先にシングルで出ていた “used” を筆頭にソウル色が強めなんだけど、他にもヒップ・ホップやジャズ、ファンクなどの影響も滲み出ていて、安易な借り物じみた感じがないんですよね。
そして、このアルバムを決して回顧主義的なものにしていないのがビートで、上モノは声ネタとかを使ったファンキーなものなんだけど、その上モノを跳ねさせないかのように重くくぐもったビートが鳴っていて、そこで生まれる独特な倦怠感がものすごく今っぽい、っていうかブルースにも近いものを感じます。

さらに、敢えて MoodymannTheo Parrish なんかと比べるのならば、この2人のような、ある種のゲットー・ミュージックの持つ魂の根源的な美しさみたいなものはないんだけど、様々な音楽からの影響が融合した芳醇さみたいなものはこちらの方が上ではないでしょうか。

このアルバム以降発表された2曲を聴く限り、また違った方向性を探っているようだけど、今後がますます楽しみな人ではないでしょうか。

視聴→Soulphiction - State Of Euphoria

購入→amazon
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