Tim Xavier / VIPER FISH (CLINK) 2LP

Tim Xavier / VIPER FISH (CLINK)
http://www.clinkrecordings.com/

シカゴ出身で現在ベルリン在住の Tim Xavier のファースト・アルバム。
この人の盤を紹介するの久し振りなので書いておきますと、今作がアルバムとしては初となるものの、キャリア自体は10年以上ある人で、 Tony Rohr と組んでいる AFTERNOON COFFEE BOYS や、自身の顔のアップ写真をプリントした LTD.400 のシリーズで知られる人ですね。

その他にも彼はカッティング・エンジニアとしての顔もあって Wagon Repair の盤なんかも担当していたりするんですが、 Clink や Ltd.400 の初期に躊躇だったように、彼のカッティングした曲はものすごい音圧をほこっていて、それだけで曲の記名性として特徴付けていたんですね。

しかし作品数を重ねる毎にその凄まじい音圧というのは感じられなくなっていて、それは今作でも同様(いや、他の人の曲と比べれば十分なんですけどね)。
しかもトラック自体に関しても、狭いコンクリ部屋で硬く反響するような音響空間の中、妖しくアシッド音が揺らめく “Sonic Duality” を筆頭に、新しいどころか古典的にさえ思えるようなミニマル・テクノがずらりと並んでいる。

では今作が古臭いだけの退屈な作品なのかというとそんな事はなく、鍛え抜かれた音の数々は全てが確信を持って鳴らされているかのような力強さを感じさせるし、それらが無駄なく配置されているのにも彼の職人的なこだわりを感じる。
中でもダビーな音響の中、あくまで硬質な音で押し切るタイトル・トラックは圧巻の一言。

正直ここに以前の音圧が加わったら、と思わなくはないんだけど、それでも傑作と呼ぶには十分過ぎる出来だ。

Viperfish

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tony rohr / greetings from brooklyn (kiddaz.fm)CD

tony rohr / greetings from brooklyn
http://www.kiddazfm.de/

このブログでも何度か名前の出てきている tony rohr のミックスCD。とはいってもほとんど曲が自身の12インチかリミックスした曲なので、実質シングルの編集盤といって差し支えないかと。因みに先月の warszawa のセールで500円でゲット。

tony rohr って以前はもう少しニュー・ウェイヴ色の濃いトラック作る人だったと思うんだけど、 afternoon cofee boys 以降、すっかりハードなイメージの人になった気がします。そしてこのミックスCDも頭からケツまで、硬いキックの音で押しまくるハードな曲の連続で、とにかくアガる。特に地鳴りのような爆音ベースが鳴る “Lofi Shizzy” を頂点とする、序盤から中盤への流れは圧巻。それ以降も、ハードながらもすっきりとした流れでテンションは落とさない。
BPM もこの手のミニマルにしては早いほうだし、音の強度もハード・ミニマルと比べてもなんら遜色のないものなので、普段ミニマルは地味で敬遠している人にこそ聴いてほしい感じです。

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TIM XAVIER / DECEPTION DE REAL REMIXES (CLINK)2LP

TIM XAVIER / DECEPTION DE REAL REMIXES
http://www.clinkrecordings.com/

私が彼の名前を知ったのは Afternoon Coffee Boys でのデビューのときだったんだけど、そのときはまだ Tony Rohr の相棒的印象が強かったのが、その後自身のレーベル Ltd-400 からの数枚のシングルで見事にその立場を逆転させ、現在はミニマルの中でもかなりの人気をほこるのがこの Tim Xavier です。その人気のひとつに他を圧倒するような音圧にありまして、どうやらこの人自分でマスタリングするらしく、とにかく低音の鳴りがすさまじい。
それはこのリミックス盤でも同様で、オリジナルは自身の Ltd-400 からの第一弾の頭をかざった曲。
ミニマルの人ってどちらかというとベースを強調した音作りをする人が多いけど、この曲の場合地鳴りのようなベースに加え、さらに大地を割るようなキックが鳴るのでさぁ大変。しかし音作りがとても硬質で、両方ともきっちり聴こえるのでとにかく気持ちいい。
リミックスの方も、キックをさらに強調した Tony Rohr や、バウンシーな Par Grindvik 、かなりドラッギーな Pan-Pot と優れたものが多いけど、 Tim Xavier のマスタリングによってさらに良くなっているのは間違いない。
この人のトラック制作とマスタリングの相乗効果が続くかぎり、注視すべき人物です。

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TONY ROHR/Loves you all(WEAVE)3LP

WEAVE-13LP.jpg
http://www.weavemusic.net/

Tony Rohr って全然知らないと思ってたんだけど、何気に以前取り上げたことあるんですね(過去記事)

多分この人って一貫してハードなミニマルを追及してるんだろうけど、それはここでも変わらず。でもこの人は流石というか、よくある音圧頼みのものではなく細部まで良く作りこまれていて、鑑賞にも耐えられる出来になってます。しかも全体的に過去のテクノを現代的にアップ・デートしたような感じの曲も多く、多分最近のベイヤーにはガッカリ、ってな人にも聴きやすいのではないでしょうか。
まぁ贅沢をいえば、ちょっと作りが手堅すぎる感じはするんだけど、その分聴き込むうちに良くなってくるところもあって、いいアルバムだと思います。
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AFTERNOON COFFEE BOYS/GLITCHES BREW(COCOON)12″

cor12_022.jpg 
http://www.cocoon.net/

なんか最近やる気が出なかったんで更新さぼってたんですが、ぼちぼちまたちゃんとやろうかと。
そういえば LOOPA のも宙ぶらりんなまんまだった。ん~、まぁいいや。
とりあえず手始めにあんまりお勧めじゃないのを(笑)。

Tony Rohr と Tim Xavier の二人が一体どういうタイミングで評価が上がりだしたのかっていうのは、この二人の事をよく知らない私には分からないんでけど、やっぱり決定的だったのって二人のユニットのデビュー作である『Dark Blend』だったと思うんですよね。
で、その後も Tim Xavier の方は Ltd400 というレーベルを始め、Tony Rohr も最近アルバムを出したりとさらに評価を上げた中でのセカンド・シングル。

っつうんで当然こちらの期待も大きくなるわけなんですが、これはちょっと外れかなぁ。
前作の何が良かったって、とんでもない出音の低音と、細かく刻まれるリズムが生み出すドロドロとしたグルーヴだったんだけれども、今回はそこら辺がどうも弱いんですよね。
それに COCOON だからなのかそうじゃないのか、今作は全体的に妙にブリーピーで、そのおかげで余計ドロドロしたっちゃぁしたんだけど、ここまでトビトビだと私には好きになれないです。
[Tracklist]