Skream, Benga, Rusko, Funkystepz

ベースものでフリーの作品をいくつか。

Skream & Benga / Scion A/V Presents - Skream & Benga
『Skream & Benga / Scion A/V Presents – Skream & Benga』
アメリカの音楽サイト「Scion Audio Visual」で12月初旬に発表された、タイトルどおり Skream と Skream のスプリット盤(共作はなし)。
Skream って何だかんだでフリーの曲をしょっちゅうネットで見かける気がするんですが、 Benga に関してはリリース自体少なくなっているのでありがたい。
んでその Benga さん、ギターリフっぽいサブベースと、ギターソロのようにうなる “Any Steppers ” の方はロックっぽい珍妙な曲、 “Electro West ” は跳ねまくるドラムと扇情的なシンセが印象的な曲で、両方とも個性的。
一方 Skream の3曲はベースがうなるフロアトラックで、どれもかっこいいんだけど、彼のレベルからするとまぁ普通という感じかしら。
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『Skream / FREEIZM HISTORY』
んでこちらは Skream が昨年のクリスマスに発表した音源(ジャケットなし)。
タイトルから察するに昔の音源を含めた網羅的なものではないかと思うんだけど、実際以前を髣髴とさせるどっしりとしたベースラインの曲が多く、最近のベースがやたらとブリブリいうものより私はこういうものの方がやはり好き。時折入ってくるドラムンベースもいいアクセントになっている。
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Rusko / 2006 - 2010 remix collection
『Rusko / 2006 – 2010 remix collection』
Rusko が今まで手がけたリミックスをまとめた作品(発売したものとはミックスが違うみたい)。
Rusko ってダブステップ黎明期から活動しているプロデューサーの中でも露骨にポップに振れた人、ということであまり良い印象がなかったんだけど、今作は原曲のポップな要素を上手くダブステップに取り込んでいて、思ったよりもずっと楽しめた。思ったほどブロステップっぽくもなかったし。今年アルバム出るみたいなんで、今度はちゃんと聴いてみようかしら。
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Funkystepz / The ReFix EP
『Funkystepz / The ReFix EP』
ロンドンの3人組 Funkystepz が昨年末に出した EP 。
彼らについては赤西くんの盤(過去記事)にリミキサーとして参加していた以外は、 Hyperdub からリリースしていることくらいしか知らないので、てっきりダブステップなのかと思ったら、 UK Funky とか BassLine と呼ばれるタイプの曲がほとんど。なので軽快なダンスミュージックとして全然悪くないんだけど、私はこの手の曲ならもうちょっと BPM 早めの方がいいかしら。1曲だけやたらとベースがでかい “Bounce ReFix” とか好きだけど。
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KATY B / ON A MISSION (COLUMBIA) CD

KATY B / ON A MISSION (COLUMBIA)
http://katyonamission.com/

イギリスはペッカム出身のシンガー・ソングライター KATY B さんのデビュー・アルバム。

私が彼女の名前を知ったのは昨年 のデビュー曲、”Katy On A Mission” でなんですが、そのトラック作っていたのが Benga だったので、所謂ダブステップの歌姫的なものを想像していたんだけど、アルバム通して聴いてみるとちょっと違う印象ですかね。

まずアルバムの1曲目の “Power On Me” がいきなり四つ打ちなので、ダブステップの印象が強いと、あれ、ってなってしまうのですが、それ以降もドラムンベースだったりハウスだったりファンキーっぽかったりと、様々なクラブ・ミュージックのスタイルのトラックの上で歌っていて、何か一つのシーンを代表する、っていう感じではない。

またそのトラックにしても、上に挙げた Benga 以外にも、 Skream や Zinc など知っている人が製作しているのだけれど、彼らがソロで作っているようなクラブ・トラックというわけではなく、あくまで KATY B のヴォーカルが中心になるように作られていて、ようは今作って使っているビートが多少新しいだけで、本質的には普通のポップ・アルバムなんですよね。

そうなってくると KATY B の歌にしろ曲にしろ、別段悪いものではないものの、かといって特筆すべき点があるわけでもなくて、これだったらクラブ・ミュージック的に振り切れた方が面白かったんじゃないのかなぁ、と思ってしまう。

まぁそれでも聴きやすい作品なのは間違いないので、ダブステップなんかの入り口としてはいいのかなと。

On a Mission - Katy B

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DIGITAL MYSTIKZ / Urban Ethics (DMZ) 3LP

DIGITAL MYSTIKZ / Urban Ethics (DMZ)
http://www.dmzuk.com/

Mala と Coki のユニット Digital Mystikz が2010年の冬に発表したセカンド・アルバム。
『RETURN Ⅱ SPACE』(過去記事)はどうやら Mala を中心に作られた作品みたいなんだけど、こちらは Coki が中心になって作った作品になっていて、この二人が同じユニットで活動してるのが不思議になるくらい趣を異にするものになっている。

そもそも Coki っていうと Digital Mystikz の一員というよりも、 Benga のヒット曲 “Night” の共作者と書いた方が分かる人が多い気がするんだけど、あの曲に分かりやすい上モノが乗っていたのと同様、今作も派手な上モノにうなるサブベースという、最近のダブステップに多いスタイルの曲が多く、その手の曲には食傷気味の私には少々辛い。

まぁこけおどし的にサブベースを必要以上に暴れさせる曲に比べれば、さすがに完成度は高いし、ダブ要素が強いところとかもいい感じなんだけど、それでも総体としては私の好みとはちょっと違うかな。
ここに Mala のトラックが混じってくるとまた印象も変わるのかもしれないけど。

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MAGNETIC MAN / MAGNETIC MAN (COLUMBIA) CD

MAGNETIC MAN / MAGNETIC MAN (COLUMBIA)
http://www.magneticman.net/

Skream と Benga 、そして Artwork の3人によるユニット Magnetic Man が昨年10月に発表したデビュー・アルバム。

ダブステップ・シーンの古参3人が集まったユニットという事で、一体どんな音になるのかと思ったが、メジャーであるコロンビアからのリリースという時点である程度方向性は決まっていたのだろう。今作は Skream のアルバム『OUTSIDE THE BOX』(過去記事)よりも明確にダブステップのポップ化が志向された作品になっている。

ではどういった方法でポップ化がなされているのかというと、それはほとんどの曲でヴォーカリストを招くことであり、曲のリードとなる明確なメロディを乗せることであり、上モノを中心とした音を聴きやすい華やかな音にする事であり、つまりは手垢にまみれた手法である。

しかしダブステップのフォーマットそのものを崩してポップに取り込もうとした印象さえあった『OUTSIDE THE BOX』に比べ、あまりリズムに手の入れなかった今作は、どうしても予定調和な印象はするものの、それでもダブステップのポップ化という事では成功しているし、実際よく出来たアルバムだと思う。

それでも今作を私が持て囃す気にならないのは、結局ダブステップも他の様々なスタイルが通った道と同じ道を行くのかとうんざりさせられるからで、少なくとも今作から私はダブステップの未来を感じ取る事は出来ない。

Magnetic Man - Magnetic Man

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Spooky Bizzle / House Of Grime – The Mixes 006

Kontext / Acid Pasta EP
http://spookybizzle.wordpress.com/

最近はグライムのフリー音源を聴くことが増えてきたんですが、色々聴いてみて分かったのは、私が思っているよりもグライムとダブステップって近くないんですね。昔はインストのグライムをダブステップと呼ぶようなノリもあったと思うんだけど、今ではストリート・ミュージックとクラブ・ミュージックという部分で完全に分かれてしまっている印象すらあります。まぁここら辺はまだまだ聴きはじめなので、識者の方からすると全然違う意見なのかもしれないけど。

そんな中、いくつか聴いた DJ Spooky (イルビエントの人とは別人)のミックスは、ダブステップとグライムを並列に扱っていて好きなのですが、 Music Forest warp50cd さんのつぶやきで知ったこのミックスも、グライムの性急なビートもダブステップのどっしりとしたビートも滑らかにつないで非常に気持ちがいい。
多分ラップが苦手だという人も、ビートを聴いているだけでも十分楽しめるミックスなんじゃないかしら。
ちなみに16分弱と短いです。

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[Tracklisting]

Skream / Watch The Ride (Harmless) mp3

Skream / Watch The Ride (Harmless)
http://www.harmlessrecordings.co.uk/

この Harmless というレーベルははじめて聴くんですけれども、そこのミックス・シリーズである『Watch The Ride』を Skream が担当した盤。

ダブ・ステップのミックスの流儀って、どんなものが主流なのかまだよく分からないんだけど、今作でもカットイン、もしくは曲のケツと頭を少し繋ぐだけみたいなミックスが多いので、ミニマルのロング・ミックスに慣れている身としては、多少物足りなさを感じるのも事実。しかし今作での、固いドラムを中心にグイグイと引っ張っていく構成は非常に力強く、弥が上にもこちらの体が動いてしまう。中でも光っているのが自身の『Skreamizm Vol. 5』(過去記事)からの曲で、また、単体ではそれほど良いと思わなかった Benga の『BENGA』(過去記事)からの曲も、ここでは見事に違った魅力を放っていて、DJミックスの魅力を改めて感じる。

今まで聴いたことのあるダブ・ステップのミックスでは、一番肌に合う盤ですね。

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BENGA / BENGA (Tempa) mp3

BENGA / BENGA (Tempa)
http://www.tempa.co.uk/

今年のダブ・ステップを代表する傑作との評価を得た『DIARY OF AN AFRO WARRIOR』(過去記事)から、CDのみに収録されていた3曲と、新曲を2曲収録したダブル・パック。

既発の3曲に関しては、アルバムで散々聴いたので特に書くこともないんですが、新曲の方はなかなか面白い。
いや、面白いと書くと少し御幣があるのかもしれなくて、お得意のブリブリとしたベースの “Bengas Off His Head” も、蠢くようなベースラインと女声サンプルがキャッチーな “Better” も、それほど良いとも思わないんだけど(嫌いでもないけど。やっぱり私この人と合わないみたい)、面白いと思うのは、両曲ともすごいアシッドっぽいんだよね。そういえばアゲ系のダブ・ステップに多いブリブリしたベースの音って、あれ自体アシッドっぽいですもんね。
そう思えてくると、今まで気にしてこなかったエレクトロのアシッドな面というのも少し分かってきて、「今時代はアシッド」みたいな文章見ても、「ふ~ん」ぐらいにしか思っていなかったのが、きちんと自分の中に実感として入ってきて(今さらなんだろうけど)、なるほどなぁという感じです。

まぁ私がアシッド好きか、というと、またそれは全然違う話なんですけどね。

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BENGA / DIARY OF AN AFRO WARRIOR (TEMPA) mp3

DIARY OF AN AFRO WARRIOR
http://www.tempa.co.uk/

今年の春頃に出て、早くも2008年のダブ・ステップを代表する傑作といわれたこのアルバムなんですが、気がついてみれば、ダブ・ステップの予想以上の動きの速さと、それ以降の Benga 本人の動きが鈍かったのもあって、なんか印象薄れちゃった気がするのは私だけでしょうか。

まぁでもそれもしょうがないかなというのが正直なところで、ちょっとこのアルバムっていろんなタイプのダブ・ステップを披露してはいるものの、特にこれといった新機軸が打ち出せてないように思えるんですよね。リリース当時メディアでいわれていたほど、テクノの要素が強いとも思わないし。それにダブ・ステップとしてはともかくとして、ベース・ミュージックとしての魅力に乏しいのも、個人的にピンとこない一因かも。

でもこの人 Skream と一緒で20代前半と若く、ダブ・ステップの今後を担っていく逸材なのは間違いないとは思うので、これからに期待します、と書いておこう。

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