BEST of 2001
- Fumiya Tanaka / Floor.People.Tension.EP
- V.A. / ONLY FOR THE MINDSTRONG
- 坂本真綾 / イージーリスニング
- 坂本真綾 / Lucy
- Dub Archanoid Trim / DUBARCHANOID
- DRAGON ASH / LILY OF DA VALLEY
- BOLA / FYUTI
- V.A. / TAGS OF THE TIMES:3
- Eivind Aarset’s Éléctronique Noire / Light Extracts
- 餓鬼RANGER / UPPER JAM
田中フミヤのはタイトル通りシングルなんだけど、ダブルパックなんで無理やり入れてます。あとのは、一見バランスがいいようでいて、微妙に偏っている変な並び。
THA BLUE HERB/TOJIN BATTLE ROYAL / “北部戦線異状なし”/”ポセイ首領” (東雲)12″
少し前から wenod の予約商品のページに TOJIN BATTLE ROYAL というグループの作品が並んでいて、どこかで聞いたことのある名前だと思っていたら、この盤に収録されていたのを思い出した。
元々は餓鬼レンジャーのポチョムキンが編纂したコンピ『RAP WARZ DONPACHI!』に収録されていたもので、このシングルはその盤からのアナログカット。私は TBH にしか興味がなかったので、アルバムの方ではなく、この12インチ買ったのではないかと記憶してます。
んで、久しぶりに聴いてみたんですが、やはり TBH の “北部戦線異状なし” が身震いするほどカッコいい。引きずるようなベースと変則的なビートを刻むトラック、そこに絡む BOSS のタイトなラップ、もう全てが素晴らしくって、やっぱり『アンダーグラウンドvsアマチュア』から『ONLY FOR THE MINDSTRONG』までの BLUE HERB は最強だったよなぁ、と思わず遠い目をしてしまいそうになります。
それに比べると、やはり TOJIN BATTLE ROYAL はちょっと見劣りしますかね。どっしりとしたトラックはカッコいいんだけど、やっぱりラップに時代を感じさせるといいますか、ぶっちゃけ古臭さい。でも流麗すぎて耳に全く残らない最近のラップよりも、この頑張ってラップしてます、みたいなフロウの方が言葉が入ってくるなぁ。
今度出るCDも安いし買ってみるかな。
THA BLUE HERB / LIFE STORY (THA BLUE HERB RECORDINGS)CD
結局 CISCO は店舗全店閉めるんですね。今アナログってそんなに売れねぇのかなぁ。レコード文化を支えていた宇田川町崩壊の第一歩とならんことを祈りますよ、ホントに。
ずっと紹介しそびれてた tbh の3枚目のアルバム。
このアルバムからの先行シングルである『PHASE 3』(過去記事)の時、 不満点としてどうも闇が足らない、というようなことを書いたんですけれども、 Boss が今作で市井の人々向けた開かれた音楽にしたい、というのをインタビューで読んだ時、正直やられた、と思ったわけですよ。それは上記のような不満に対する回答としては、今までの日本のヒップ・ホップにはあまりなかった面白いものに思えたからなんですが、結局シングルの時の不満点は、このアルバムではあまり解消されなかったかなぁ。
トラックの方は今度初のインスト盤が出るのも納得の出来で文句ないんだけど、やっぱり Boss のラップがなぁ。今作を聴けば先のインタビューで言っていたことも分からなくはないんだけど、何でこの人って攻撃な時の言葉の切れ味に比べて、愛とか優しさとか語りかけるときって、途端にベタベタとした人情ドラマ的といいますか、極端な話演歌みたいな世界ばかりになっちゃうんですかね。結局 JSS (過去記事)の時と同じなんだよなぁ。
市井の人のドラマを描きたいっていうんだったら、今作でいえば “WE MUST LEARN” みたいな物語り形式にした方が、絶対 Boss の語り部としての能力が生きるんじゃないかと思うんだけど( “未来世紀日本” 聴けばそう思うでしょ)、いつもその手の曲はアルバムに1曲しか入らないしさ。
だから結局良かったのって “WE MUST LEARN” と、今作の中ではアグレッシブな “RUN 2 YOU” と “MOTIVATION” 、それに中納良恵が参加した “SUCH A GOOD FEELING” くらい。まぁあとの曲も全然悪くはないし、アルバム自体も他のアーティストだったら十分傑作と呼べる出来だとは思うんだけど、やはり『アンダーグラウンドvsアマチュア』から『Only For The Mindstrong』までの、神懸ったまでの熱量を浴びたものとしては、コレくらいじゃ全然満足できません。
まだまだ期待してるんで、いっちょこの方向性で決定打となるようなものを、是非作ってもらいたいものです。
RUMI / Hell Me WHY?? (POPGROUP)CD
どうも昨日のは自分の書きたいことが上手くまとまらなかったので、っていうかいい加減枚数がたまってきたので、ぼちぼち日本のヒップ・ホップの盤について書いてみよう。
ということで RUMI の前作『HELL ME TIGHT』(関連記事)から3年ぶりのセカンド。この盤についても書きたいことが山のようにあるんだけど、上手くまとまんなくて放置しっぱなしだったので、けっこう端折って書く。
なのでいきなり結論から書くんだけど、やっぱり私は折衷的な音楽が好きなんですね。
なんのかんのでアブストラクトから流れてきた感じの私からすると、「日本語ラップ」のラッパー偏重の聴き方には興味がもてないし、ヒップ・ホップにこだわっている様で、その実ヒップ・ホップに囚われた音楽も面白くない。ラップなんて曲を構成する要素の一つでしかないわけだし、貪欲に時代のビートを取り入れたものの方が楽しめる。
そういった意味においてこれは個人的にど真ん中。前作の、ひたすら呪詛を撒き散らすかのような作風から一転して、ジャケットに象徴されるように随分とポップになった。しかしそれは安易な擦り寄りなどではなく、前作の暗さを払拭し風通しをよくした結果であり、ほとんど歌と同化したような RUMI のラップも実にさまになっている。
そしてダブ・ステップやグライムを取り入れたビートも非常に刺激的で、今作のポップ・サイトを代表するダンスホール・グライムの “Fever!” の狂乱から、 TBH の o.n.o によるダークな四つ打ちと MSC の O2 のラップが不気味な雰囲気を醸し出す “極楽都市” への落差などたまらない。
さらに上手い具合に RUMI の女性としての顔もそこかしこに忍ばせていて、これこそいい意味で歌謡ヒップ・ホップじゃないですかね。
THA BLUE HERB/PHASE 3(THA BLUE HERB)CD
とうとう始まる THA BLUE HERB の第3章の口火を切るシングル。
前作の『SELL OUR SOUL』からは5年ぶりとなるわけですが、その間サントラやコンピ、別ユニットでの活動があったので前作ほどの待望感というものはないものの、その分課外活動の影響が本隊にどう刻まれるのかが全く予想がつかなかったんだけど、正直『FRONT ACT CD
』のような衝撃は無い。
ちょうど活動休止の直前に出たコンピ『ONLY FOR THE MIND STONE LONG』に収録された3曲は、O.N.O のテクノ志向が端的に表れた曲だったけど、今作の2曲も同様の方向性で素直に進化させた感じ。しかしその完成度は凄まじく、コズミックな感覚を漂わせながらもどっしりとしたトラックと、スタイルとしては比較的オーソドックスな BOSS のラップとの組み合わせは最高。正直前作では O.N.O の変則ビートは BOSS とのラップがイマイチ噛合ってない感じがして不満だったんだけど、今作でのヒップホップに軸足を置きながらもデトロイト・テクノの影響色濃いトラックというのは、世界的にみても例をみないものではないでしょうか。
しかし少なからず不満が無いわけでもない。
「オレたちのうみ出す闇はそんなに暗いか」とは “時代は変わる” の一節だけど、ここでは以前のような闇、言い換えれば、抜き身の刀のような有無を言わさぬ圧倒的な凄みがイマイチ感じられないのよね。それは『SELL OUR SOUL』以降徐々に薄れてきた部分ではあるし、逆に BLUE HERB にスピリチュアルな部分を求める人達には歓迎される変化なのかもしれない。でもその部分がなくなると、 BOSS の別ユニットでの活動との違いが殆どなくなってしまうように思える。
まぁそれを気にしなければ出来自体には何の不満のないシングルだし、この2曲に彼ららしい闇が加わったらと思うとアルバムが楽しみでしょうがない。