Mala / Mala in Cuba (Brownswood) 4LP

Mala / Mala in Cuba (Brownswood)
http://malaincuba.com/

1、2年前から噂になっていた、Digital Mystikz の Mala がキューバのミュージシャンと制作したアルバム。

私はキューバの音楽ってどんなものかよく分からないんだけど、そんな人間からすると今作はパーカッションやピアノが多用されていたり、ドラムが生っぽくなっていたりとそれらしい要素は感じられるものの、期待していたような、それこそダブステップの新局面とでもいうようなものを聴かせてくれる作品にはなっていない。

しかしそれは表現を変えると、素人目には分からないほどキューバ音楽の要素がダブステップに溶け込んでいるということなのだろうし、ダブステップ的な躍動感もしっかりとあり、そこはさすが Mala という感じ。

ただ基本的に硬質なダブステップが好きな私にはあまりピンと来ない曲も多くて、むしろ “Como Como” や “Ghost” 、 “Change” みたいなゆったりした曲の方が良かったかしら。

まぁこの作品自体は十分良作だとは思うんだけど、ちょっと期待し過ぎましたかね。なので私は今作が自作以降にどう活かされるのか楽しみにしたいと思います。

ちなみに今作はアナログだと4枚組みなんだけど、シングル1枚切られてるから実質5枚組み。アホですな(それ買う私も)。

Mala in Cuba - Mala

“Mala / Mala in Cuba (Brownswood) 4LP” の続きを読む

MORITZ VON OSWALD TRIO / Restructure 2 (Honest Jon’s) 12″

MORITZ VON OSWALD TRIO / Restructure 2 (Honest Jon's)
http://www.honestjons.com/

なんかダブステップ関連の音盤紹介が続いていますが、いい機会なんでダブステップで紹介してないの色々書いてみますかね。

ということで、元なのか現なのか、とにかく Basic Channel の Moritz Von Oswald が Max Loderbauer と Vladislav Delay と組んだグループ、 MORITZ VON OSWALD TRIO が昨年末に出したシングル。

このグループは現在2枚のアルバムと1枚のライブ盤を出していますが、私はそれらを買ったはいいものの、未だちゃんと聴いていないという情けない有様なので、細かい部分で他と比べてどうっていうのは分からないのだけれど、セッションっぽい不定形さが目立ったそれらの音源に比べると、シングルという事で少しはフロアを意識したのか一応は四つ打ち。

しかし上記3人に Tikiman のギターと Marc Muellbauer のベースを加えた演奏は、ちょっとダブ・ハウスっぽい感じはするものの、所謂ダンス・グルーヴとは違い躍動感のあまりないもので、生楽器の比重の高さもあってちょっとテクノとはいい難い。
だがそれと同時に、これといった展開はないものの、徐々に変容していって覚醒感を増していく様は正にミニマル・ミュージックといった感じで、そういった意味では昔からミニマリズムを追求している Moritz Von Oswald らしい曲だ。

んで、裏は Digital Mystikz の Mala によるリミックス。この曲のどこをどういじったらこうなるんだ、っていうくらい硬質かつ重量感のあるダブステップ。中でもベースはクラブの大音量で聴いたらどれだけ体が震えるんだろう、と思えるほどのすごい鳴りでかなり痛快。
まぁせっかく Moritz のリミックスなんだから、もうちょっとダブ感強くていい気はするんだけど、非常にダブステップらしいダブステップで、これはこれで十分かっこいい。

Restructure 2 - EP - Moritz Von Oswald Trio

DIGITAL MYSTIKZ / Urban Ethics (DMZ) 3LP

DIGITAL MYSTIKZ / Urban Ethics (DMZ)
http://www.dmzuk.com/

Mala と Coki のユニット Digital Mystikz が2010年の冬に発表したセカンド・アルバム。
『RETURN Ⅱ SPACE』(過去記事)はどうやら Mala を中心に作られた作品みたいなんだけど、こちらは Coki が中心になって作った作品になっていて、この二人が同じユニットで活動してるのが不思議になるくらい趣を異にするものになっている。

そもそも Coki っていうと Digital Mystikz の一員というよりも、 Benga のヒット曲 “Night” の共作者と書いた方が分かる人が多い気がするんだけど、あの曲に分かりやすい上モノが乗っていたのと同様、今作も派手な上モノにうなるサブベースという、最近のダブステップに多いスタイルの曲が多く、その手の曲には食傷気味の私には少々辛い。

まぁこけおどし的にサブベースを必要以上に暴れさせる曲に比べれば、さすがに完成度は高いし、ダブ要素が強いところとかもいい感じなんだけど、それでも総体としては私の好みとはちょっと違うかな。
ここに Mala のトラックが混じってくるとまた印象も変わるのかもしれないけど。

試聴

DIGITAL MYSTIKZ / RETURN Ⅱ SPACE (DMZ) 3LP

DIGITAL MYSTIKZ / RETURN Ⅱ SPACE (DMZ)
http://www.dmzuk.com/

ダブステップの黎明期から活動する Mala と Coki のユニット Digital Mystikz による2010年発表のファースト・アルバム。
確か事前発表だとこの後もう1枚アナログでアルバム出して(『Urban Ethics』というアルバムが出ている)、その2枚に新曲を足してCDアルバムを出す、という話だったと思うのだが、現在のところCDアルバムは出ていないみたい。

2010年のダブステップといいますと、アルバム単位でみても色々と話題作の多かった年ですが、そんな中にあって DUBSTEPFORUM AWARDS 2011 の「BEST ALBUM / COMPILATION」部門で断トツトップを獲得したのが本作。

とはいっても今作はダブステップの未来を提示したとかいう類の作品ではなく、むしろダブステップの根源的な魅力を凝縮したような作品になっていて、跳ねたリズムと重たいベースによるトラックはとにかく硬質。さらにそれらがアナログらしい素晴らしい音圧で刻まれているもんだから、クラブ・ミュージックとしてのダブステップとしては文句なしの作品になっている。

かといって過去のダブステップの焼き直しというわけではけしてなく、変則的なビートの “MOUNTAIN DREAD MARCH” や、細かく震えるベースがまるでトライバルなハードミニマルのようなリズム感を出している “RETURN Ⅱ SPACE” など実に刺激的。

ということでダブステップフォーラムのアワードで1位になるのも納得の素晴らしい作品なんだけど、惜しむらくはやはり6曲という収録曲の少なさですかね。そういった意味では、やはり CD としてまとまった形で聴けるとまた評価も変わるのかなという気がするんだけど、やっぱり出ないんですかね・・・。

試聴