降谷建志 / EVERYTHING BECOMES THE MUSIC (Victor) CD

降谷建志 / EVERYTHING BECOMES THE MUSIC (Victor)

降谷建志 / EVERYTHING BECOMES THE MUSIC (Victor)
http://www.dragonash.co.jp/kenji/

Dragon Ash の降谷建志が2015年6月に発表したソロ・アルバム。

Dragon Ash も気がつけば活動歴20年近くになっているわけで、その中で中心として内でも外でも目立つ事の多かった降谷建志がソロ活動する、っていうので期待してたんですが、思いのほか Dragon Ash との差異を見出しにくい。

リラックスした雰囲気は確かにソロっぽいし、柔らかなメロディや歌声に関しても、バンドではここまで前面に出てくる事はないだろう。ただどれも Dragon Ash にない要素ではないわけで、売りが全楽器を自身で演奏しました、だけだと辛いかなぁ。

Dragon Ash の現時点での最新作『THE FACES』が良かっただけに期待してたんだけど、ちょっと期待し過ぎましたかね。悪い作品ではないんだけど。

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Dragon Ash / MIXTURE (Victor) CD

Dragon Ash / MIXTURE (Victor)
http://www.dragonash.co.jp/

すっかり忘れていたのですが、このブログもいつの間にか8年目に入っております。まぁこれからもぼちぼちいきます。

ということで Dragon Ash が昨年末に発表した9枚目のアルバム。

ここ何作かラテン要素の強い作品の続いていた Dragon Ash なんですが、今作は原点回帰という事でミクスチャー路線の作品になっています。

とはいっても以前のような激しさを持った作品なのかというとそんなこともなく、またラテン要素も依然としてかなり強いので特に方向性の変化に違和感はない。
そしてヘヴィロック的な部分に関しても、以前ようにむやみに音を歪ませたり勢いに任せたりしなくても、引き締まった演奏により見事に太いグルーヴが鳴っていて、ただの原点回帰ではないバンドの成長を感じ取る事ができるものになっている。

しかしそれでも私には今作が傑作だとはとても思えなくて、それは今作にはこの手のロックに必要な熱量があまりにも足りないんですよね。つまり端的に書くと聴いていて燃えない。

一方でますます柔らかさをました降谷くんの歌声を生かした曲は魅力的で、中でも愁いを帯びたメロディと演奏が印象的な “FIRE SONG” は今作の中でも一番好きだ。

まぁ今作の原点回帰というのは彼らが変化を求めての事だろうから、この次にどんな音を鳴らしてくれるのか楽しみにしたい。

MIXTURE - Dragon Ash

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Dragon Ash / Freedom (Victor) CD

Dragon Ash / Freedom (Victor)
http://dragonash.co.jp/

これはもしかしたら音楽に限らないのかもしれないけれど、大抵の場合音楽ジャンルであったり形態というのは、マイノリティ(少数派)が作り出したものを、マジョリティ(多数派)が搾取して、それを水で薄めて世界に広げる、という形で伝播していく事がほとんどです。
まぁ搾取という言葉が強すぎるというのなら言い換えると、要は普段音楽をそれほど聴かない層には、今まで聴いたことのないような音楽に接しても、どう対応していいか分からないわけですね。時折オリジナルそのままでもヒットを飛ばす幸運なアーティストもいますが、そういうのは大抵単曲かそのアーティストだけで終わってしまうので、それを広げるためには、出来るだけ多くの人に理解してもらえるように翻訳をしなくてはいけないわけですね。

ではこれを日本のヒップ・ホップに当てはめますと、 “DA.YO.NE” や “今夜はブギー・バック” は単発なので置いておくと、まず KICK THE CAN CREW や RIP SLYME のヒットがあるわけですが、彼らなどは現場からのたたき上げなので、本質をそれほど歪めることなく翻訳してみせたわけです。で、ヒップ・ホップ好きな人たちからするとこの時期に日本でヒップ・ホップが一般化したのではないか、と考えていると思うし、私も最近までそう思っていたんだけど、現在ラップを用いたグループが、ありきたりな恋愛話や人生の応援歌を歌って支持を得ているのをみると、多くの人が彼らをヒップ・ホップのグループとは意識せずに、他の J-POP と区別なく聴いているという現在こそが、ヒップ・ホップが日本において一般化したときなのかなと。

っていうのがこの前 LOOZ の記事で書いたことをふくらました事なんですが、さらに続くと、今チャートの上位に入るようなヒップ・ホップを指して、ハーコーでオリジナルな方々はなんやかんやと文句をつけるわけですが、上の考えに沿って書けば、米国の黒人が産んだヒップ・ホップを、日本人が日本人に合うように翻訳して所謂「日本語ラップ」というやつを作って、さらに今の若い子なんて「日本語ラップ」しか聴かないでラップを始めるわけですよ。そんな子がポップなラップを目指せば「日本語ラップ」を薄めた、元のヒップ・ホップからはかけ離れたものになるのは当然なわけです。

ではどうすればいいのかというと、オリジナル(原文)の本質を壊さずに、分かりやすいものにして提示できる優れた翻訳家の育成というのがあると思います。上に挙げた KICK THE CAN CREW や RIP SLYME は確かに現場感覚を生かした優れた翻訳家では合ったけれど、シーンから出てきた彼らはどうしてもヒップ・ホップ然としすぎてしまうし、色々しがらみも多そうなので、さらに広がりを作るためには、違う畑からヒップ・ホップに理解のある人を連れてきて、翻訳家と共に宣伝大使にでもなってもらえば良い、となるし、さらにその人が男前だったら言う事ない、ってなるわけです。

ではそれは誰なのかというと、ここまであえて無視していた Dragon Ash 、ということで、やっと Dragon Ash が出てくるわけですが、まぁ彼らはヒップ・ホップのシーンから望まれたというよりは、彼らが望んでヒップ・ホップを盛り上げ、また広げようとしたわけですが、その功績は “Grateful Days” の大ヒットに留まらず、 TMC や Steady & Co. など非常に大きなものでした。しかしにもかかわらず、彼らは “公開処刑” によってヒップ・ホップのシーンとの関わりを絶たれてしまいます。

その「公開処刑」に関しては、このブログでも何度も書いているように ZEEBRA が悪いと思っていて、要はシーンと関係ないところから現れ、トラックもリリックもありものを使いながらも、あっけらかんと「I Love Hip Hop」と言ってしまうところに新しさがあったわけで、それをシーンにこだわるあまり理解できなかった ZEEBRA の頭が固すぎるし、またシーンの広がりというものを考えるのであれば、あえて毒を飲んで彼らを味方にする、という事も必要だったのではなかろうか。

しかし結局 Dragon Ash はキングギドラにより「公開処刑」され、以降もヒップ・ホップ・シーンは積極的に翻訳者を育てることはせず、むしろ逆にくだらねぇいちゃもんつけて足を引っ張る、ということの積み重ねが今の現状だろう。

それは言い換えれば「分かるやつだけ分かれば良い」ということに他ならないわけで(実際そういうこと言うやつ多いしね)、だったらアンダーグラウンド気取ってチャートの連中なんか無視していればいいものを、「奴らはワックだフェイクだ」と文句付けたがるわけですよ。自分達が大衆に受け入れられるような努力もしないくせして、それを棚上げして罵詈雑言吐くなどおかしいし、そもそもおまえが「原点回帰」という名でシーンに媚びずにもっとしっかりしていれば、ヒップ・ホップを取り巻く現状はもっと違ったものになっていたではないか、っていうのが、この前の Zeebra のヒルクライム批判をみて思ったことなんですが、ちょっと長くなりすぎましたね。

ということで、前置きがあまりにも長くなりすぎましたが、今年の3月に出た Dragon Ash の8枚目のアルバム。

私は「公開処刑」以降の彼らの音楽は、負け犬が傷舐めあうようなものだと思っていて、まぁこの表現が嫌なら、傷ついた心と体を柔らかく包んでくれる毛布のような音楽でもいいんだけど(日本語って便利ですね)、要は以前のように聴き手を鼓舞するような部分があまりにも希薄になってしまったんですね。

しかし今作を聴いて思うのは、昔の彼らを未だに求めるのは私の我侭でしかないんだろうなぁ、ということで、現在の音楽性になるきっかけが「公開処刑」と “Life goes on” の盗作騒動という衝撃的なものだったせいで、彼らが屈してしまった印象がどうしても強いのだが、今作に至って彼らはラテンを消化した独自性のある音楽を鳴らしていて、素直に評価できるだけの素晴らしさを持っている。
彼らがここ数作でこだわってきたラテン音楽へのこだわりが見事に結実した傑作だ。

Dragon Ash - FREEDOM

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BEST of 2001

Floor.People.Tension.EPONLY FOR THE MINDSTRONGイージーリスニングLucyDUBARCHANOIDLILY OF DA VALLEYFYUTITAGS OF THE TIMES:3Light ExtractsUPPER JAM

  1. Fumiya Tanaka / Floor.People.Tension.EP
  2. V.A. / ONLY FOR THE MINDSTRONG
  3. 坂本真綾 / イージーリスニング
  4. 坂本真綾 / Lucy
  5. Dub Archanoid Trim / DUBARCHANOID
  6. DRAGON ASH / LILY OF DA VALLEY
  7. BOLA / FYUTI
  8. V.A. / TAGS OF THE TIMES:3
  9. Eivind Aarset’s Éléctronique Noire / Light Extracts
  10. 餓鬼RANGER / UPPER JAM

田中フミヤのはタイトル通りシングルなんだけど、ダブルパックなんで無理やり入れてます。あとのは、一見バランスがいいようでいて、微妙に偏っている変な並び。

Dragon Ash/INDEPENDIENTE

Dragon Ash/INDEPENDIENTE
http://dragonash.co.jp/

Dragon Ash というグループが以前鳴らしていたのは、『Viva La Revolution』のタイトルよろしく革命の音楽だったのかもしれないし、降谷くんがよく「共闘」といっていたように闘争の音楽だったのかもしれない。しかし『Harvest』以降の彼らの音は敗北の音楽というか、今までの自分たちと敗北との折り合いをつける試行錯誤だったように思う。
そして本作。まず目立つのはラテンの導入で、それは前作から見られたものではあるけれども、今作では傾倒具合が段違い。しかし最近の彼らの音から感じられる哀愁と、ラテンが本来持つ郷愁との相性が良かったのか、今作はここ何年かの彼らのアルバムの中でもダントツにイイ。
しかしラテンのサンバのリズムに乗って、以前の彼らの勢いが戻ってきたのかというとそんなことはなく、この盤に閉じ込められた空気感というものは相変わらず悲哀に満ちたものだ。しかし強がるのをやめた結果なのかそれとも開き直りなのか、とにかくここには敗北を知った者のみが鳴らせる優しさというものに溢れていて、とにかく心地良い。彼らの音楽性が丸々とラテンに飲み込まれてしまったせいで、あまりにもラテンまんまというか、演奏もメロディもパターンが随分狭まってしまった感は否めないんだけど、それでも以前よりもはるかに降谷くんらしいメロディが零れ落ちてくる部分があって、そこに私はグッときてしまうのですよ。それに後半何曲かで見られるラテンとドラムン・ベースの融合も、以前よりはるかにこなれたものになっていて、次作以降に期待をもたせる。
冒頭の表現に沿っていえばこのアルバムはやはり敗北の音楽なのかもしれないし、ただ敗者同士で傷を舐めあっているだけの音楽なのかもしれない。しかし私は本作の魅力に抗えないのです。

Dragon Ash - INDEPENDIENTE
@TOWER.JP

[Tracklist]

Dragon Ash/Ivory(VICTOR)CD

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なんかこの人たちについて書くときは毎回書いてる気がするんだけど、やっぱり思うのは「公開処刑」のあの時期の事なんですよね。もう随分時間の経ったことなんで特に言及はしないけど、やっぱりあんな事やるべきじゃなかったと思うんだけどなぁ。それにパクリ云々という連中も、個人的には、あんなのは音楽の話をする振りしてお金の話をしたい人たちだと思っているので、そんなものはどうでもいいと思うんだけどなぁ。
でもあの時期を境に降谷くんの少年性というのは死んでしまった気がするし、端的にいって調子ぶっこくと回りから叩かれるのが分かっちゃったんじゃないかと思います。

でもって今回のシングルは前のアルバム(過去記事)に引き続き哀愁ラテン路線。3曲ともアコースティック主体にしたせいか、以前よりも随分と軽やかになっていて悪くはないんだけど、それだけに色々と複雑です。
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Dragon Ash/Rio de Emocion(VICTOR)CD

vicl-61724.jpg 
http://dragonash.co.jp/

以前に書いたようにどうもここ数作の、古谷君のメランコリーって好きになれないんだけど、ここでもそれは続行中。
そういった印象を抱かせるのは彼の心情によるところが大きいんだけど、それとは別に音楽性の問題もあると思うんですよね。

以前より彼らはブレイクビーツ~ドラムン・ベースに深い傾倒を示していたけれども、それはあくまでロック的なタテのりな使い方だったんですよね。それが前作でダブを取り入れたことにより(どちらが先なのかは分からないけれど)ヨコゆれに変化していていました。分かりやすく言うと参照点がアタリからADFになったといいますか。
まぁ、そん変化自体はしようがないとしても、それによって以前の彼らが持っていた勢いというものが色んな意味で減少してしまった気がするんですよね。

この新作では今までのロック、パンク、ヒップ・ホップ、ダブという音楽性に加えて、何故か新機軸としてラテンの要素が大幅に加えられていて、なかなか類を見ない珍妙な音楽に仕上がっていて、でもそれに相反する完成度も持ち合わせていて、まぁ面白いっちゃぁ面白いんだけど、でも私にはやっぱりしっくりこない。
だって「木枯らしがくれた flow」だよ?それよりは青臭く「共闘共闘」言ってる古谷君のほうが私は好きだなぁ。
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Dragon Ash/Shade(VICTOR ENTERTAINMENT)CDS

shade
 
どうも例のパクリ問題とか「公開処刑」されてからの降谷君(ドラゴン・アッシュとはいわない)っていじけてるみたいでいらいらするんだけど、なんだかそのモードは継続中のようですね。バックの演奏は緩急織り交ぜててかっこいいんだけれど、肝心の降谷君のヴォーカルがかなりメランコリックで以前のような勢いが感じられないなぁ。カップリングの”The Lilly”(ホント百合が好きですね)なんて箸にも棒にも引っかからないアコースティック・ナンバーだし。個人的にはくるりとかスーパーカーなどの同世代バンドの中でも一番評価しているのでがんばって欲しいのだけれど。
ブン・ブン・サテライツのリミックスは、相変わらずシンバルがやかましい。

[Tracklist]