INTERNATIONAL PONY / THE SWEET MADNESS EP (COLUMBIA) 2LP

INTERNATIONAL PONY / THE SWEET MADNESS EP (COLUMBIA)
http://internationalpony.com/

DJ KOZE 、 COSMIC DJ 、 EROBIQUE の3人によるユニット International Pony のアルバム『Mit Dir Sind Wir Vier』からのリミックス・カット。

以前このユニットは『bass is boss』という素晴らしいリミックス盤を出しておりますが、今作でも JackmatePepe Bradock という、実に分かってらっしゃる人選。

Jackmate に関しては、もう何度も書いているんですが、元々 Michel Baumann がシカゴ・ハウスからの影響を反映させる名義だったのが、デトロイトからの影響も反映させるようになっていて、今回のリミックスもその流れ。流麗なストリングスと、コズミックなシンセでぐいぐいともりあげるデトロイトっぽいディープ・ハウス。
一方の Pepe Bradock の方も、以前を思わせるくぐもったキックの音と、それと相反するような抜けの良いスネアの組み合わせによるディープ・ハウスで、それほど分かりやすくデトロイトっぽい記号が使われているわけではないんだけど、それでもデトロイトを感じさせるトラックになっていて、ここ何作かのシングルでの実験が、ただの実験で終わっていないのがよく分かる。

そういえばこの二人、現在のエレクトロニック・ミュージックの中でも注目に値する人物なのはもちろんなんですが、両者ともに奇形なディープ・ハウスの作り手であり、デトロイトからの影響が強いという点で、共通項もある人たちなので、こうやって並べてみたのは面白いんじゃないですかね。

試聴

soulphiction / the chocolettes one (musik krause) 12″

the chocolettes one
http://musikkrause.de/

Michel Baumann の二つの名義である Jackmate と Soulphiction 。この名義はそれぞれシカゴとデトロイトの影響を反映したものだったのが、以前も書いたように、その境はずいぶん曖昧なものになっています。

しかし今作の “Maoamba” はそのどちらとも違って、アフロ・トライバルなディープ・ハウス。なんでも GINGER BAKER の “Blood Brothers 69” という曲がネタらしいんだけど、ここまでドラムが乱れ打たれるとかえって踊りにくいのではないか、と思ってしまうほどドラムの連打が凄まじい。でもその分トラックのインパクトも強く、最近多いパーカッシブなものの中でも男気を感じます。

残りの2曲も、変拍子を刻むパーカッションと、他の音との絡みがスリリングな “Rise” 、お得意のソウルフルなヴォイス・サンプルを使ったハードなハウス・トラック “Jungle AD” といずれも高品質。
もしかしたら今のミニマルだとこの人が一番好きかもしんない。

Soulphiction - Soulphiction Presents the Chocolette, Pt. 1 - EP

JACKMATE / MALE KICKS (PHILPOT)12″

MALE KICKS
http://www.philpot-records.net/

最近色々あって、どうも気分が落ち気味なので、テンション低めな文章がしばらく続くかと思います。すんまそ。

とか書いてみたんだけれど、じゃぁいつものお前の文章はテンション高いのかと聞かれると、首を90度位に傾げてしまうわけで、だったらいつもと変わらないのかなぁと思いつつ、あんまり気にせずいきましょう。

このブログでは何度か紹介している、 Michel Baumann さんの Jackmate 名義での新作。この人はシカゴな Jackmate と、デトロイトな Soulphiction という二つの名義を使い分けているのですが、近年その二つの名義の境というのがずいぶんと曖昧になってきていて、このシングルなんか結構デトロイト寄りなんじゃないですかねぇ。まぁ私はシカゴ・ハウスなんか全然分かってない人間なんで、聴く人が聴けばシカゴっぽさも感じるのかもしれないけど、私なんかが聴くと、温かみのあるシンセとくぐもったキックの音が鳴る “GOTHAN” なんか、普通にデトロイト・ハウス。とはいっても曲はいいので全然文句はないのですが、さらに良いのが裏の表題曲。アフリカン・パーカッションを使ったトライバルなミニマルで、最近多いこの手の曲に比べても、はるかにダイナミズムがあって小気味良い。後半のリズムの展開もカッコいいし、曲全体にわずかにジャズの香りが漂っているのも良い。やはりこの人才能あります。

試聴

JACKMATE / BLACKBOX (phil e)2LP

BLACKBOX
http://www.myspace.com/phile2000

何気に blog や SNS ってそれなりに手出してるんだけど、イマイチ面白くなくてどれも長続きしません。やはり目的がないとダメということでしょうか。それなのに、遅ればせながら Twitter ってやつを始めてみた(右上のやつがそうです)。でも特に面白い事もなく、なんだか早々とやめてしまいそうな予感・・・。

昨年の soulphiction 名義でのアルバム『state of euphoria』が素晴らしかった Michel Baumann の、 Jackmate 名義では多分3枚目となるアルバム。彼はこの前も Manmade Science という3人組のユニットでアルバム出したばかりなので、ずいぶん働くなと思ったんだけど、制作時期が1997年から2007年までと書いてあるので、おそらく未発表曲集に近いものなんだと思います。リリースは philpot のサブ・レーベルから。
以前も書いたんだけど、 Michel Baumann にとって soulphiction がデトロイトからの影響を色濃く映したものだとすれば、この Jakcmate という名義はシカゴ・ハウスからの影響を打ち出していて、冒頭の短いイントロに続いて鳴らされる、スカスカの音作りと跳ねるビート、そして声ネタなんかは確かにシカゴっぽい。
しかしシカゴ・ハウスに殊更詳しくもなければ思い入れもない私からすると、シカゴ・ハウス云々というのは正直どうでもよくて、それを下敷きにしながらも、見事にミニマル以降の感性で仕上げているところで、単なる解雇主義的なものになっていない。さらに最近のミニマルには欠けがちな、聴き手を強引にでも踊らせようとする粗野なグルーヴがあって、もうめちゃくちゃかっこいい。
個人的にはこれでもっと曲が長ければいう事ないんだけど、逆にいえばトータルで40分ほどしかないこのアルバムは、あまりダンス・ミュージックに親しんでない人でも聴きやすいのではないでしょうか(まぁアナログでしか出てない時点で敷居が高いんだけどiTunes Store でも売ってた)。

視聴
Jackmate - Blackbox

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Soulphiction / state of euphoria (Sonar Kollektiv) 2LP

SK080LP.jpg
http://www.sonarkollektiv.com/

Soulphiction こと Michel Baumann が主催するレーベル、 Philpotアーティスト・ページを見ると、「Jackmate はシカゴに影響されていて、Soulphiction の背景はヒップ・ホップ」みたいな事が書いてあります(超適当)。実際彼の Jackmate 名義でのアルバム『Prodigal Son』は、クリック・ハウスとシカゴ・ハウスの橋渡しをするかのような内容だったのだけれど、そこから3年、この名義では初となるアルバムです。

最初リリース元が Sonar Kollektiv というのは意外に思えたんだけど、元々この名義にはジャズ的な感覚がうかがえるのと、このレーベルが Ame『Rej』の大ヒットにより、最近のミニマルともリンクし始めてる事を思えば納得という感じでしょうか。

で、以前この名義での『soulphiction EP』(過去記事)を紹介したときは、そのデトロイト・ハウスとの類似性にばかり気がいってしまったのだけれど、今作では前述の通りヒップ・ホップ、そしてさらにブラック・ミュージック全般からの影響を全面に出していて、これがもうとんでもなくカッコいい。

基本はこの名義らしいダウン・ビート・ハウスなんだけど、全編昔のレコードを思わせるチリチリとした質感で統一されているのがまず素晴らしい。そして先にシングルで出ていた “used” を筆頭にソウル色が強めなんだけど、他にもヒップ・ホップやジャズ、ファンクなどの影響も滲み出ていて、安易な借り物じみた感じがないんですよね。
そして、このアルバムを決して回顧主義的なものにしていないのがビートで、上モノは声ネタとかを使ったファンキーなものなんだけど、その上モノを跳ねさせないかのように重くくぐもったビートが鳴っていて、そこで生まれる独特な倦怠感がものすごく今っぽい、っていうかブルースにも近いものを感じます。

さらに、敢えて MoodymannTheo Parrish なんかと比べるのならば、この2人のような、ある種のゲットー・ミュージックの持つ魂の根源的な美しさみたいなものはないんだけど、様々な音楽からの影響が融合した芳醇さみたいなものはこちらの方が上ではないでしょうか。

このアルバム以降発表された2曲を聴く限り、また違った方向性を探っているようだけど、今後がますます楽しみな人ではないでしょうか。

視聴→Soulphiction - State Of Euphoria

購入→amazon
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soulphiction / soulphiction EP 01 (Freude-am-Tanzen) 12″

HJ2163.jpg
http://www.freude-am-tanzen.de/

Jackmate 名義で知られる人(本名忘れた)の新譜。
多分これを聴いた誰もが思うんだろうけど、まるでムーディマンやセオ・パリシュのようなディープ・ハウス。くぐもったキックの音にヘヴィなベースライン。少しこちらのほうが音が立ってるけど正にどす黒いハウス。特に鼻歌のような女性の歌声と男声のヴォイス・サンプルが絡むB2、極上のソウルを思わす色気たっぷりなB3なんか本当に最高。まぁ、欲を言えば上記の二人にないような個性が欲しいところでしょうか。個人的にはジャックメイト名義でやってる事と混ぜちゃえばいいと思うんだけど。まぁ、そんな単純な話じゃないか。ちなみにジャックメイト名義でも同時期に新作が出てます(私はお金がなくて買えません)。
[Tracklist]