DINKY / FALLING ANGEL (Visionquest) 12″

DINKY / FALLING ANGEL (Visionquest)
http://www.yourvisionquest.com/

気がつけば活動歴が10年を超える、チリ出身の女性プロデューサー Dinky が2013年5月に発表したシングル。
今作はもう間もなく発表になるアルバム『Dimension D』からの先行カット。

なんでもそのアルバムは、Nina Kraviz に負けてられないと思ったのかどうかは知らないが、全編歌ものなんだそうで、その先行シングルである今作も当然歌もの。

ミニマル・テクノ作っていた人が歌ものにはしって成功した例ってあまり思いつかないので(Matthew Dear とか Koze とか?)、聴く前は不安の方が大きかったんですが、これが意外に悪くない。

リズムは今までの作品に比べればずっとシンプルなもので、当然のように低音もそれほど出てはいない。ただ元々この人はそれほどハードなトラックを作る人ではなかったし、それよりも自身の幾重にも重ねた声が幻惑的な雰囲気を作り出すことによって、今までの印象を損なうことなくエレポップ的な楽曲を成立させているのが面白い。

また2曲収録されたリミックスの方も秀逸で、原曲の幻惑的な雰囲気はそのままに、太いベースラインを加える事でダンサブルに仕上げた Matthew Styles 、アタック感の強いドラムやキーボード、ギターなどを使って、彼らしい躍動感のあるハウスに仕上げた Pepe Bradock と、共に素晴らしい出来。

この分ならアルバムにも期待できそうだ。

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GAGLE / THE FUNKY INSTRUMENTALS VOLUME THREE (MUKATSUKU) 7″

GAGLE / THE FUNKY INSTRUMENTALS VOLUME THREE (MUKATSUKU)
http://www.myspace.com/mukatsuku

Pepe Bradock 絡みでもう1枚。

ってなんで Pepe Bradock 絡みで、日本のヒップ・ホップのグループである Gagle になるんだ、と思う人もいるかもしれませんが、この盤に収められた “Snow Revolution” が、 Fredie Hurbert をネタに使ったトラックなんですね。そう、あの “DEEP BURNT” (過去記事)と同じネタです。
元々この “Snow Revolution” という曲は、 “雪ノ革命” というタイトルで、 Gagle のデビューアルバム『3 MEN ON WAX』に収められていたもののインスト版。

なんていうことは、この記事書くにあたって検索していてはじめて知ったんだけど、聞き比べてみると、ストリングスの美しさが堪能できる、このインストのほうが私は好きかな。素材の魅力を何倍にも増幅させていた Pepe Bradock に比べると、こちらはヒップ・ホップのビートに乗せただけの、比較的シンプルなモノながら、逆にシンプルであるが故の美しさというものが感じられて、こちらもやっぱり良い。
裏の方は Jazzy Sport らしいジャジーなものなんだけど、使われているピアノに躍動感があって、よくある雰囲気モノに終わっていないのが良いです。

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pepe bradock / LES AVENTURES DE PEPE BRADOCK (Atavisme) 12″

pepe bradock / LES AVENTURES DE PEPE BRADOCK (Atavisme)
http://www.atavisme.com/

2007年に『RHAPSODY IN PAIN』(過去記事)で復活して以降、わりと実験的なリリースの続いていた Pepe Bradock なんですが、ここにきて満を持してのダンス・トラック。

とはいっても、コレの前に International Pony のリミックス(過去記事)があったので(さらにその前には Pete Namlook のリミックスもあったし)、それほど衝撃はなかったんだけど、前作『Pistes Insolites Vol.2 : Intriguing Feathered Creature』(過去記事)では、上モノだけでダンス・グルーヴを作り出していたわけで、今作のようにしっかりとしたリズムが入るとさらに格別。寄せては返すような上モノも非常に美しい。
裏の “HINTS OF DELUSION” は、前3作を踏襲するような、リズムのない曲なんだけど、さらに楽曲性が高くなっていて、これまた素晴らしい。傑作。

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INTERNATIONAL PONY / THE SWEET MADNESS EP (COLUMBIA) 2LP

INTERNATIONAL PONY / THE SWEET MADNESS EP (COLUMBIA)
http://internationalpony.com/

DJ KOZE 、 COSMIC DJ 、 EROBIQUE の3人によるユニット International Pony のアルバム『Mit Dir Sind Wir Vier』からのリミックス・カット。

以前このユニットは『bass is boss』という素晴らしいリミックス盤を出しておりますが、今作でも JackmatePepe Bradock という、実に分かってらっしゃる人選。

Jackmate に関しては、もう何度も書いているんですが、元々 Michel Baumann がシカゴ・ハウスからの影響を反映させる名義だったのが、デトロイトからの影響も反映させるようになっていて、今回のリミックスもその流れ。流麗なストリングスと、コズミックなシンセでぐいぐいともりあげるデトロイトっぽいディープ・ハウス。
一方の Pepe Bradock の方も、以前を思わせるくぐもったキックの音と、それと相反するような抜けの良いスネアの組み合わせによるディープ・ハウスで、それほど分かりやすくデトロイトっぽい記号が使われているわけではないんだけど、それでもデトロイトを感じさせるトラックになっていて、ここ何作かのシングルでの実験が、ただの実験で終わっていないのがよく分かる。

そういえばこの二人、現在のエレクトロニック・ミュージックの中でも注目に値する人物なのはもちろんなんですが、両者ともに奇形なディープ・ハウスの作り手であり、デトロイトからの影響が強いという点で、共通項もある人たちなので、こうやって並べてみたのは面白いんじゃないですかね。

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pepe bradock / Pistes Insolites Vol.2 : Intriguing Feathered Creature (Atavisme)12″

Pistes Insolites Vol.2 : Intriguing Feathered Creature
http://www.atavisme.com/

復活後はいいペースでリリースを重ねている pepe bradock のシングル。とはいっても、復活後のシングルはどれも以前のような重厚なハウス・グルーヴを味わえるものではなく、どちらかといえば実験的な色合いの濃いものだったけど、今作も前作『sakura incident』同様、リズム音は最小限に抑えられていて、鳥の鳴き声をバックに、彼にしては陽気ともいえるメロディが飛び交う南国風味なハウス・チューン。そして前作がそうだったように、今作も上モノだけで見事にハウスのグルーヴを保持していて、そのグルーヴはさらに強くなっているんだから恐れ入る。
このフランスの鬼才が、一体どこに向かおうとしてるのかは、私にはさっぱり分からないけれど、それでも近々とんでもない傑作をモノにするのではないかという予感がする1枚です。

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pepe bradock / sakura incident (Atavisme)12″

sakura incident
http://www.atavisme.com/

pepe bradock による片面プレスのシングル。
この前の『RHAPSODY IN PAIN』(過去記事)も実験的な作品だったけど、今作もよく分からん曲だねぇ。
変則的なキックの上で、断片的なメロディが重層的に配置されていて、とても踊れるような曲ではないんだけど、しかし同時にギリギリのラインでハウスのグルーズを保持しているのも事実で、その絶妙なバランスの上で成り立つたゆたうような感覚がとても気持ちいい。
前作に続いてハウスの定型を打ち壊すような作品なのは間違いないし、この実験の果てに復活があるのだとしたら、もう楽しみでしょうがない。

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PEPE BRADOCK & the Grand brule’s choir / BURNING (Kif)12″

BURNING
http://www.myspace.com/kifrecords

あまり表立って口にしたりはしないんだけど、実は Pepe Bradock は相当に好きなアーティストだったりします。とはいっても買っていた当時よりは、最近になって聴きなおしてみたら、改めてそのすごさが分かったという感じなのですが。
その Pepe Bradock の代表作といえばやはりこのシングルに収録された “DEEP BURNT” ですね。空間的な浮遊感のあるシンセの上に、 Fredie Hurbert のストリングスのサンプルが乗るそのスタイルは、分かりやすく表現すればデトロイト・フォロワー。そしてこの曲も多くのデトロイト・フォロワー同様、リズムにブラック・ミュージック的なファンクネスが感じられるものではない。しかしこの曲には、いかにもヨーロッパとしか表現しようのない耽美な空気がいっぱいに感じられて、ただ静かに悲しみを湛えた美しさは本当に圧巻。個人的には彼の作品では “4” が一番好きなんだけど、しかしこの美しさには抗い難いものがある。
まさに名作と呼ぶにふさわしい1枚。

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PEPE BRADOCK/RHAPSODY IN PAIN(ATAVISME)12″

PEPE BRADOCK/RHAPSODY IN PAIN
http://www.atavisme.com/

最近すっかり音沙汰のなかった Pepe Bradock の前作から4年ぶりとなるシングル。でもどうやら限定盤のようなのでこれで再始動という感じではなさそうですね。
しかも曲のほうもずいぶんと実験的で、表題曲はタイトル通り人間の叫び声や呻き声をサンプリングしたもの。リズムのほうも序盤こそは弱々しい4つ打ちのキックから始まるものの、以降はあまりはっきりとしたリズムもなく、やっぱりこれはミックスして何ぼという感じですね。それは片面に収録されたアカペラ・ヴァージョンも同様で、唯一単独で聴けるとすれば重量感のあるミニマル・トラックの “Bonus Beat” だけかなぁ。
しかし Pepe Bradock の変態性がいかんなく発揮されてるのは間違いないわけで、次回はもう少し聴き易いのお願いしたいところです。

視聴
[Tracklist]