V.A. / Cadenza CONTEMPORARY 01 & CLASSICS (CADENZA) 2CD


http://www.cadenzarecords.com/

Luciano が主催するレーベル、 Cadenza の初となるコンピレーションと、レーベル音源を使ったミックスの2枚組み。2007年リリース。

最近のパーカッシブ・ミニマル(ちょっと落ち着いてきたかな?)とは似て非なる、このレーベルの音楽的な部分と、ゆっくりと景色が流れていくような感覚というものが、こうやってレーベル・コンピとミックスCDという形になるとよく分かって、しかもそれがとんでもなく素晴らしいという、まことにもってコンピのお手本のような傑作。

なんだけれども、あえて不満を書けば選曲の部分で、コンピのほうはカタログ番号1から6まで、ミックスの方は16から22番くらいのものが使われていて、個人的に好きな8、9、11あたりがすっぽりと抜け落ちているんですよね。
まぁその辺は次のコンピに入るんだろうから、いいんだけどさ。

あとコンピの3曲目は “Extension” じゃなくて “Oregon” ですね。

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Quenum / The World Of Alma EP (TOYS FOR BOYS) mp3

Quenum / The World Of Alma EP (TOYS FOR BOYS)
http://www.toysforboysrecords.com/

Luciano との共作『Orange Mistake』で華々しくデビューしたわりには、リリースが少ないせいか最近ではすっかり地味になってしまった感じの Quenum こと Philippe Quenum さんの限定シングル。

なんでもチャイコフスキーの “くるみ割り人形” の “こんぺいとうの精の踊り” をネタにした曲なんだそうで。
しかしクラシックに疎い私には、原曲がさっぱり分からないのですが、まぁこの曲はそんなの関係なしになかなかの佳作。

Quenum らしいどっしりとしたキックを軸に、水晶を思わせる音色が奏でる物憂げなメロディ(これが “くるみ割り人形” なのかな)が乗ってきて、あとはパーカッションが加わるだけという、けっこうシンプルなトラック。しかし何度かの展開を経て、徐々に厚みを増していくリズムがカッコよくて、ネタに頼らないしっかりとした作り込みに好感が持てる。

まぁネタモノとして考えた場合、それほどのインパクトは望めないとは思うんだけど、その分飽きもこないんじゃないかしら。

試聴

Quenum / Acalanto (ORAC)12″

Acalanto
http://orac.vu/

ORAC といえば Bruno Pronsato が主宰するレーベルなわけですが、個人的にはむしろ、 Twerk がマスタリングを担当しているレーベルという印象の方が強い。しかし、しばらくこのレーベル買ってなかったら、いつのまにかマスタリング違う人になっちゃってるのね。まぁマスタリングがどうとか言えるほどいい耳持っちゃいないんだけど、 Twerk の名前を最近聞かないだけに残念です。

ということで Orac には初登場の Quenum さん。彼は比較的ハードなミニマルをリリースすることが多い人だけど、今作はたゆたうようなメロディとパーカッションが絡み合う曲。つまりはめちゃくちゃ Cadenza っぽくて、だったら素直に Cadenza からリリースした方が良かったのではなかろうか。とはいっても出来が悪いわけでは決してなく、他のミニマルに比べて、曲が進みにしたがってどんどん要素が足されていくのが逆に面白い。ここにいつも彼が作るトラックのようなハードさが加わるともっといいんだけど、それは無いものねだりというものか。

Quenum - Acalanto - EP

LEE VAN DOWSKI & QUENUM/AS TOLD ON THE EVE OF…(SOMA)2LP

LEE VAN DOWSKI & QUENUM/AS TOLD ON THE EVE OF...
http://www.somarecords.com/

Cadenza からの12インチ(過去記事)で一躍脚光を浴びたコンビによる初アルバム。とはいっても Lee Van Dowski の方は単独ですでにアルバム出してますが。
この二人はそれ以降も Num 立ち上げたり、他にもなにかと結びつきが強かったのでアルバム出すのは特に驚きはしなかったんだけど、それが Soma からのリリースというのはちょっと意外かも。しかし聴いてみれば Soma から出るのも納得という感じ。

最初このコンビのアルバムが出ると知ったとき、どちらかというと Quenum のハードでトライバルな路線を期待していたんだけど、実際は Alex Smoke なんかに近いどこかノスタルジックながらも覚醒感のあるミニマル・テクノ。しかし Luciano からの影響を感じさせながらもリズムが非常に作りこまれていて、どっしりと太いキックを軸に置きながらも細かいリズムがさらに散りばめられていて、そこに上モノが絡んだときのグルーヴの完成度はかなりのもの。

最近アルバムとなるとホーム・リスニング主体の作品を作る人が多いけど、これは完全にダンス・トラックとして作られていて実に爽快。まぁ欲をいえば曲をもっと長くしてほしかったけど。

視聴
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V.A. / TALES OF UNREST (imploz) CD


http://www.imploz.com/

スイスやジュネーブ周辺のアーティストを集めたというミニマル・ハウスのコンピ。個人的に昨年のベスト・シングルだった『EXTENSION』のQuenumとLee VAN Dowskiのコンビ以外は知らない名前ばかりなんだけど、この手のコンピとしてはかなり水準は高い。幻想的なシンセが美しい曲やベーチャン風のもの、疾走感のあるトライバル・ハウスなど音楽性にはそれなりの幅があるものの、安易な分かりやすさを排除したトラック群はかなり地味なんだけど、その分よく練りこまれていてまさにミニマルな魅力に溢れています。フロアにもリスニングでも両方いける好コンピ。

Quenum and Lee Van Dowski / EXTENSION (Cadenza) 12″


http://www.cadenzarecords.com/

ルチアーノのレーベルからの3枚目は名作『オレンジ・ミステイク』をルチアーノと共作したフィリップ・クワナム(とLee Van Dowskiって人は名前始めて聞く)。
一聴するといかにもクリック・ハウス然としたピキパキした上ものが乗っているんだけど、他の凡百のものと比べるとはるかにグルーヴィーで、リズムが上ものを追いかけてるような印象さえする。これでも十分かっこいいのに中盤のブレイクの後、ハードミニマルのようなへヴィなリズムが入ってくる。そのさまは正に圧巻。久々にサージョンとか聴きたくなった(彼もずいぶんとご無沙汰ですよね)。
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