Petre Inspirescu / Intr-o seara organica… ([a:rpia:r]) 3LP

Petre Inspirescu / Intr-o seara organica... ([a:rpia:r])

iPod の容量がいっぱいになりそうなのでてきとうに。

Cadenza から『Tips』というダブルパックをリリースしているルーマニア出身のプロデューサー Petre Inspirescu が、同じくルーマニアの Rhadoo と主催するレーベル [a:rpia:r] 2009年末に発表したファースト・アルバム。

Cadenza 関連のアーティストというとパーカッションを多用したミニマル・テクノと相場が決まっていますが、今作もご多分に漏れずパーカッション使ったミニマル・テクノ。

しかし陽性な雰囲気の作品の多い Cadenza に比べると、今作のトーンは終始抑え目で、なおかつあまり展開もなく非常にそっけない。
だがほとんどの曲が10分超という長尺の中で(アルバムは6曲で80分!)、じっくりとじっくりとグルーヴを体へと浸透させていくトラックは、これぞ正にテクノといったもので、一旦はまると何度でも聴きたくなる魅力をもっている。

またどの曲にも 4/4 からは外れるようなリズム感の音を忍び込ませる事によってグルーヴにふくらみを持たせているのも面白い。

ecrn award にも書いたんだけど、 Cadenza 系のアルバムでは決定打ともいえる素晴らしい作品ではないかと。

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Unknown Artist / Flöte + Clarinette (RAL) 12″

Unknown Artist / Flöte + Clarinette (RAL)

この前紹介した RAL の2枚目。
例によって誰が手がけているかは分からないのだけれど、テクニークによると Rhadoo と Petre Inspirescu の仕事だそう。しかし『RAL1001』が Luciano の特徴が分かりやすく出ていたのに比べると、こちらはちょっと作者の色までは聴き取れず。

だがいかにも Cadenza っぽい作品が多いというのはこのレーベルの共通とするところで(そもそも Cadenza の周辺人脈が中心なんだから当たり前なんだけど)、今作も Dumitru Farcas の “Suita Din Tara Motilor” からサンプリングしたトラッドフォークっぽい音色が印象的な “Flöte” 、そしてこちらもオリエンタルな笛のサンプリングが印象的な “Clarinette” と両曲ともそれは変わらない。

でも一口に Cadenza っぽいといっても色々あるわけで、今作に関してはパーカッションがチャカポコと鳴る類のものではなく、以前のようなゆったりと風景が変容していくような感覚があるのがうれしいところ。
特にどんどん時間を引き延ばしていくかのような “Flöte” はかなり好きだ。

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RHADOO / DOR MIT ORU (Cadenza) 2LP

DOR MT ORU
http://www.cadenzarecords.com/

先日びびんばさんに、「最近ミニマルの記事を書いていない」と怒られたので、じゃぁ紹介しそびれているミニマルをどかっと紹介しようかと思ったのですが、普通に紹介するとびびんばさんとかぶりまくりでつまらないので、捻くれてる私はシングルを紹介したいと思います。ってこれじゃいつもと一緒か。まぁいいや。

Luciano が2003年から始めた Cadenza は、 Luciano 周辺の才能を総動員していた感じの初期に比べると、最近では圧倒的に新人を送り出すことが多く、しかしそのどれもが、レーベルの色を保ったまま高い完成度を有しているという、なかなかありえないことを淡々と更新していっている稀有なレーベルです。しかしそれはともすると、どの作品を聴いても一緒、という事にもなりかねない。しかし Cadenza に関していえば、一聴した印象はいかにもこのレーベルらしいものと思うものの、その作品を何度も聴けば、アーティストごとの差異が刻まれているのがよく分かる。

それは今までほとんどリリースのない新人であるこの Rhadoo でも変わりはなく、お家芸的にパーカッションは多用しているものの、軸となるリズムを単純な四つ打ちで終わらせておらず、それによって曲ごとの表情を変え、さらには音楽的な豊かさも生み出している。さらに最近(このレーベルにしては)ハードな作品が続いていた中、この『DOR MIT ORU』のゆったりとした空気は、いいアクセントになっている。
まぁあえて難をいうならば、『Cadenza Contemporary 01』に収録されていた “Woa Ovuls” が収録されていないのが非常に残念なんだけど、それでもこの作品が傑作なのには変わりはない。

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