
http://www.tempa.co.uk/
昨年は何のかんのでダブステップを色々聴いたんですが、特に印象に残った事といいますと、まぁありきたりなんですがダブステップのメインストリーム化になるかと。
中でも Diplo がダブステップに飛びついたというのと、 Magnetic Man がメジャーからリリースしたというのは大きかったのかなとは思うんですが、これも基本的にはその流れに位置する作品ですかね。
っていうことで前作『Skream!』(過去記事)から4年ぶりとなる Skream のセカンド・アルバム。
まぁこれは大体どのジャンルにおいてもそうだと思うんだけど、ジャンルの知名度が上がるにつれ、そのシーンの内側からより一般的な曲の定義に近い体裁を整えた作品、彼らの言葉を借りるのであれば「音楽的」な作品が出てきますが、今作もそういった作品で、多くのヴォーカリストを招いたりメロディを際立たせたりと、端的に書けばポップな作品になっています。
しかしこの手の作品が「音楽的であること」に意識を奪われた結果、そのジャンルが持っていた魅力を見失いがちになるのと同様、今作もそれが作品の良さにつながっているとはいい難く、確かに聴き易くはなったものの、バックのトラックは「マスタリング間違えたの?」っていうくらいベースの低音もスネアのアタックも控えめな迫力のないもので、ダブステップとしては非常に物足りない。
っていうかここまで物足りない音だと、そもそもダブステップである必要性さえもよく分からなくて、これだったらむしろダブステップにこだわらない方が良かったのではなかろうか(この辺のバランス感覚については、 Skream も参加している Magnetic Man の方が上手くやってた気がする。まだあんまり聴いてないけど)。
でまぁここまでなら Skream がポップに行こうとしてこけた作品、っていうことでいいんだけど、それだけともいえないのがアナログ盤の存在で、こちらに関しては基本的な収録曲は同じながらも、クラブ用にマスタリングがしなおしてあるのか音の迫力が段違いで、中でもアナログにしか収録されていない “8 BIT BABY” のインスト版などはまるで違う曲のよう。
さらに彼は今作が発売される少し前に『Freeizm』という、これまたクラブ・トラックばかりを集めたような音源をフリーで配布していて、つまりはメイン層に向けたものとクラブ層に向けたものと、作品の色を明確に分けたわけですね。
でこれってやり方としては賢い方法なんだとは思うんだけど、ある意味両方の層に対する諦めにもなるわけで、そこに物足りなさを感じる。

ちなみに Skream は昨年末にも『The Freeizm Album』というフリーのアルバムを発表していて、これが『OUTSIDE THE BOX』をクラブ・トラックで構成し直したような作品になっていて、興味深いというか深読みしたくなるというか・・・。

Freeizm Volume 1
Freeizm Volume 2
Freeizm Volume 3
The Freeizm Album
“SKREAM / OUTSIDE THE BOX (Tempa) 2CD, 4LP” の続きを読む