AMIT / Acid Trip (Tempa) mp3

AMIT / Acid Trip (Tempa)
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短めの記事をいくつか。

イギリスのプロデューサー AMIT が2013年3月に出したシングル。

タイトル・トラックの “Acid Trip” は、タイトルに「Acid」の文字が入っている割にはアシッドの要素は控えめ。ただ地面を這いずり回るような重たいベースラインと、それを無理やり持ち上げるかのようなアタック感の強いスネアの上で、「Acid Trip」と言うヴォイス・サンプルが繰り返されるというダンサブルな曲。なのでパーティーとかで聴いたら盛り上がることが容易に想像できる曲なんだけど、あくまで曲の印象はハードなのもかっこいい。

もう1曲の “Don’t Forget Your Roots” は、これまた重たいベースラインが前面に出たダブ色の濃い曲で、これまたっか良い。

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Skream / Skreamizm Vol. 7 (Tempa) mp3

Skream / Skreamizm Vol. 7 (Tempa)
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Skream こと Oliver Dene Jones が2013年1月に出した、毎度おなじみ「Skreamizm」シリーズの7枚目。

最近ポップな作風が目立つ Skream さん。でもこの「Skreamizm」シリーズではあくまでフロア向けのトラックをリリースする、という印象がなんとなくありました。しかし今作からのリード曲であり、1曲目に収録されている Kelis が参加した “Copy Cat” は、弾むような上モノとゆったりとしたビートのポップなもの。
また Skream 流のアシッド・ハウスともいえそうな “Sticky” なんて曲もあったりして、今までの「Skreamizm」シリーズとは少し違う印象を受ける。

ただ一方でベースがうなる “Vacillate” や “Scrooge’s Revenge” 、ディストーションかかったベースがほとんどメタルのギターのようになっている “Inhumane” 、絶妙なタイミングで入るベースの揺れ方が気持ちいい “Junkyard Dispute” と、ハードな曲も多いので、これをもってして「Skreamizm」シリーズもポップかが進む、と決めるのは時期尚早か。

まぁそれを抜きにしても『Skreamizm Vol. 5』(関連記事)や『Skreamizm Vol.6』(関連記事)に比べると、目立った曲がないので地味なんだけど。

Skreamizm, Vol. 7 - Skream

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Skream / Skreamizm Vol.6 (Tempa) 3LP

Skream / Skreamizm Vol.6 (Tempa)
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ついでなんで Skream が昨年末に出した EP シリーズの第6弾。

最近はポップな面ばかりが目立ってどうにも物足りないと思える事の多い Skream さんなんですが、今作はかなり硬質に攻めていて素晴らしい。

震えるベースラインに呼応するかのようなラップを Trim が聴かせる “Tweedle Dee, Tweedle Dumb!” 、地を這うようなベースと音響で深い音世界を作り出している “Abstruse” 、最後を軽やかなリズムと憂いをもったメロディの対比で締める “FNKONOMIKA” など聴き所が多いのだけれど、中でも扇情的なシンセと女性ヴォーカルなどの上モノやリズムの抜き差しで8分近い曲を盛り上げる “Indistinct” はある意味ミニマル・テクノのようでもあり、今まで聴いた彼の曲の中では一番好き。

作品単位での充実度に関しても、彼の作品の中でも上位に入るんじゃないかしら。

Skreamizm, Vol. 6 - ITM Edition - Skream

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SKREAM / OUTSIDE THE BOX (Tempa) 2CD, 4LP

SKREAM / OUTSIDE THE BOX (Tempa)
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昨年は何のかんのでダブステップを色々聴いたんですが、特に印象に残った事といいますと、まぁありきたりなんですがダブステップのメインストリーム化になるかと。
中でも Diplo がダブステップに飛びついたというのと、 Magnetic Man がメジャーからリリースしたというのは大きかったのかなとは思うんですが、これも基本的にはその流れに位置する作品ですかね。
っていうことで前作『Skream!』(過去記事)から4年ぶりとなる Skream のセカンド・アルバム。

まぁこれは大体どのジャンルにおいてもそうだと思うんだけど、ジャンルの知名度が上がるにつれ、そのシーンの内側からより一般的な曲の定義に近い体裁を整えた作品、彼らの言葉を借りるのであれば「音楽的」な作品が出てきますが、今作もそういった作品で、多くのヴォーカリストを招いたりメロディを際立たせたりと、端的に書けばポップな作品になっています。

しかしこの手の作品が「音楽的であること」に意識を奪われた結果、そのジャンルが持っていた魅力を見失いがちになるのと同様、今作もそれが作品の良さにつながっているとはいい難く、確かに聴き易くはなったものの、バックのトラックは「マスタリング間違えたの?」っていうくらいベースの低音もスネアのアタックも控えめな迫力のないもので、ダブステップとしては非常に物足りない。

っていうかここまで物足りない音だと、そもそもダブステップである必要性さえもよく分からなくて、これだったらむしろダブステップにこだわらない方が良かったのではなかろうか(この辺のバランス感覚については、 Skream も参加している Magnetic Man の方が上手くやってた気がする。まだあんまり聴いてないけど)。

でまぁここまでなら Skream がポップに行こうとしてこけた作品、っていうことでいいんだけど、それだけともいえないのがアナログ盤の存在で、こちらに関しては基本的な収録曲は同じながらも、クラブ用にマスタリングがしなおしてあるのか音の迫力が段違いで、中でもアナログにしか収録されていない “8 BIT BABY” のインスト版などはまるで違う曲のよう。

さらに彼は今作が発売される少し前に『Freeizm』という、これまたクラブ・トラックばかりを集めたような音源をフリーで配布していて、つまりはメイン層に向けたものとクラブ層に向けたものと、作品の色を明確に分けたわけですね。
でこれってやり方としては賢い方法なんだとは思うんだけど、ある意味両方の層に対する諦めにもなるわけで、そこに物足りなさを感じる。

SKREAM / Skream Presents Freeizm

ちなみに Skream は昨年末にも『The Freeizm Album』というフリーのアルバムを発表していて、これが『OUTSIDE THE BOX』をクラブ・トラックで構成し直したような作品になっていて、興味深いというか深読みしたくなるというか・・・。

Outside
Freeizm Volume 1
Freeizm Volume 2
Freeizm Volume 3
The Freeizm Album

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El-B / The Roots Of El-B (Tempa) mp3

The Roots of El-B
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タイトルまんまなんだけど、 EL-B さんの過去音源をまとめた編集盤。

とはいっても、そもそもその EL-B さんっていったい何者なのかという話なんだけど、正直私もよく知らなくて、90年代初頭から活動している人みたいで、 Ghost Recordings というレーベルを中心に出していたものをまとめたもののようです。

んでその音の方は、ダブステップのレーベルである Tempa が Roots という言葉を使っているとおり、一昔前の2ステップ。
元々私が2ステップに入れ込んでなかったせいか、冒頭の “The Club” を筆頭に、何曲かある軽めの曲は正直苦手なのだが、重めのビートの曲に関しては、確かに現在のダブステップに連なるものを感じる。

しかしそういった歴史的興味を抜きにして、音楽的に今聴いてどうかというと、やはり軽めに思えて、正直いって好みではないです。
でも使われている音自体はこちらの方が端正なのに、今のダブステップよりも荒削りな印象を受けるのは、それだけ失ったものも多いということなんでしょうか。

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[曲目]

V.A. / Tempa Allstars Vol:05 (TEMPA) 2LP

V.A. / Tempa Allstars Vol:05 (TEMPA)
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ちょっといっぱいというほどの数にはならないなぁ、と言い訳してみたり。

その名の通り TEMPA のコンピレーションの第5弾。

ダブステップが今すごい速さで進化、拡散しているというのは、私が今更書くことでもないんですが、今作もレーベル・コンピという枠に収まらずに、様々なタイプのダブ・ステップが納められている。

中でも一番面白かったのは、 Pinch の “Motion Sickness” で、比較的オーソドックスなダブ・トラックの上で、パルス音のような上モノが痙攣でもするかのように細かになる曲で、その上モノが生み出す浮遊感が非常に中毒度が高い。さらにその上モノがだんだんピアニカみたいに聴こえてくるのも面白い。

他にもタイトなリズムと扇情的なシンセで盛り上げる Seven 、今回も2ステップっぽいダブ・ステップながら非常にダンサブルな TRG 、最近のレイブっぽいノリとは違い、シンプルなトラックながら、ゆえに彼の音作りの上手さが感じられる Skream 、洗練された音使いでポップに仕上げた Luke.Envoy 、どんどんと沈み込んでいくようなディープなダブステップの Ramadanman と、どれも方向性はバラバラながら水準はきわめて高い。

冒頭の繰り返しになるけれど、現在のダブステップを俯瞰してみれるという意味でも、非常に秀逸なコンピです。

Skream / Skreamizm Vol. 5 (TEMPA) mp3

Skream / Skreamizm Vol. 5 (TEMPA)
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Skream のシングルというかミニ・アルバムというかアルバムというか、まぁそんな感じのシリーズの第5弾。なぜかいつものイラストジャケットじゃなくピースサイン。それだけ自信作ということでしょうか。さらにアナログでは、6曲入りなのに3枚組み。つまり片面1曲ずつ(曲長くても6分なのに)。もうこういうアホは大好きです。

そしてそんな仕様に負けず劣らず中身も充実している。2006年に出たデビューアルバムに関しては(過去記事)、ちょっとルーツ・レゲエ寄りすぎてそれほど良いとは思わなかったんだけど、今作は様々なタイプの曲が収められていながらも、どれもが素晴らしくダンサブル。中でも失踪感を持ったままドラムが跳ね回る “If You Know” と “One For The Heads Who Remember” 、まるで2ステップのような “Rimz” などは、自分の中の Skream の印象からするとかなり意外ながらも、体が動かずにはいられないカッコよさだし、残りの曲も、それほど意外性はなかったものの、完成度は文句なし。

この調子で、そろそろアルバムなんかも聴かせてほしいところです。

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BENGA / BENGA (Tempa) mp3

BENGA / BENGA (Tempa)
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今年のダブ・ステップを代表する傑作との評価を得た『DIARY OF AN AFRO WARRIOR』(過去記事)から、CDのみに収録されていた3曲と、新曲を2曲収録したダブル・パック。

既発の3曲に関しては、アルバムで散々聴いたので特に書くこともないんですが、新曲の方はなかなか面白い。
いや、面白いと書くと少し御幣があるのかもしれなくて、お得意のブリブリとしたベースの “Bengas Off His Head” も、蠢くようなベースラインと女声サンプルがキャッチーな “Better” も、それほど良いとも思わないんだけど(嫌いでもないけど。やっぱり私この人と合わないみたい)、面白いと思うのは、両曲ともすごいアシッドっぽいんだよね。そういえばアゲ系のダブ・ステップに多いブリブリしたベースの音って、あれ自体アシッドっぽいですもんね。
そう思えてくると、今まで気にしてこなかったエレクトロのアシッドな面というのも少し分かってきて、「今時代はアシッド」みたいな文章見ても、「ふ~ん」ぐらいにしか思っていなかったのが、きちんと自分の中に実感として入ってきて(今さらなんだろうけど)、なるほどなぁという感じです。

まぁ私がアシッド好きか、というと、またそれは全然違う話なんですけどね。

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BENGA / DIARY OF AN AFRO WARRIOR (TEMPA) mp3

DIARY OF AN AFRO WARRIOR
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今年の春頃に出て、早くも2008年のダブ・ステップを代表する傑作といわれたこのアルバムなんですが、気がついてみれば、ダブ・ステップの予想以上の動きの速さと、それ以降の Benga 本人の動きが鈍かったのもあって、なんか印象薄れちゃった気がするのは私だけでしょうか。

まぁでもそれもしょうがないかなというのが正直なところで、ちょっとこのアルバムっていろんなタイプのダブ・ステップを披露してはいるものの、特にこれといった新機軸が打ち出せてないように思えるんですよね。リリース当時メディアでいわれていたほど、テクノの要素が強いとも思わないし。それにダブ・ステップとしてはともかくとして、ベース・ミュージックとしての魅力に乏しいのも、個人的にピンとこない一因かも。

でもこの人 Skream と一緒で20代前半と若く、ダブ・ステップの今後を担っていく逸材なのは間違いないとは思うので、これからに期待します、と書いておこう。

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Appleblim / Dubstep Allstars Vol 6 (Tempa) mp3

Appleblim / Dubstep Allstars Vol 6
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Tempa のミックス・シリーズの第6弾は、 Shackleton と共に Skull Disco を運営する Appeleblim

まぁ私が数聴いてないのが一番の原因なのかもしれないけど、ダブステップって12インチ単位で聴いてると、こんなんでどうやって踊るんだ?、みたいなトラックが少なくないように思うんだけど、こうやってミックスで聴くと、見事にダブステップの機能性というものが浮き彫りになっていて、毎度感心してしまう。

そしてこのミックスでも、冒頭ルーツよりのトラックで始まりはするものの、徐々に熱を帯びてくる流れは、見事に踊れるものになっているんだけど、惜しむらくは、ほぼカットインに近い形で挿入されているトラックの前後の脈略というのがイマイチ感じられない場面が多くて、微妙にムードがころころ変わるんだよね。まぁそれも流し聞きとかでは全然気にならない程度なので、それほど問題ではないんだけど、ヘッドフォンで音楽聴くことが多い私にはちょっと気になります。

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