WAX / 50005 (Wax) mp3

WAX / 50005 (Wax)

Shed の名義で知られる René Pawlowitz が、2013年1月に Wax 名義で出したシングル。
René Pawlowitz 自身は様々な名義でそれほど間を空けずに作品を発表しているが、 Wax 名義では約2年ぶり。

Shed って『Shedding The Past』(関連記事)のときは比較的繊細な音作りをするアーティストという印象だったのが、いつの間にか非常に太いリズムを鳴らすようになっていて、それゆえにダンスを意識した名義である Wax や eqd との差異が分かりづらくなっていました。

そこを本人も意識しての事なのかは分からないが、今作はむしろ以前の Shed を思わせる繊細な音作りになっている。

特に A 面の曲は、四つ打ちのキックこそあるものの、そのキックもポツポツと鳴るような頼りないもので、そこだけを抜き出せばダンスとは結び付けづらい。しかし徐々に入ってくるシンセの、空間的な拡がりを感じさせながらも、同時に深い余韻も残す音が非常に美しく、またその間を縫うようなハイハット、そしてリズムが絡み合う事によって、緩やかながらもグルーヴを紡いでいて流石の完成度。

一方 B 面の曲は、太いリズムに、ミニマル・ダブ的な上モノが乗るいつもの Wax という感じ。しかしダブ処理による残響音を少し鳴らして、以降断ち切ることによってなんとも骨太な印象に仕上げていて面白い。

今度はこっちの名義でもアルバム出してほしいものです。

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eqd / equalized#111 (equalized) CD

eqd / equalized#111 (equalized)

shed って名義が色々ある上に、なかなかの多作家なようなのですが、ここ数年 shed 以外でリリースが目立つ名義が WAX と eqd 。
WAX に関しては以前紹介したことがあるんですが(この当時は shed の変名って知らなかったけど)、 WAX も eqd も shed に比べて四つ打ちに焦点を当てているのが特徴で、また音自体もよりシンプルになっている。

んで、今作は eqd 名義で出したシングルをまとめたもの。 eqd も WAX もアナログは白い盤面にスタンプ押しただけの、いかにもアンダーグラウンドといった体裁で出されるので意外に知らない人が多いみたいだけど、実は普通にデジタルでも買えたりするので、こうやって CD でまとめられてもありがたみは薄いんですが、まぁこれを機会に彼の音楽を知る人も多かろうということで。

彼のメインの名義である shed もどんどん音がそぎ落とされていっているので、 eqd 名義との差異というのはどんどん小さくはなっているのだけれど、今作での派手な上モノもたいした展開もない曲郡を聴いていると、やはりその無骨さは際立っている。
しかし少ない音数で強烈なダンス・グルーヴが生み出されているのは正にミニマル・テクノといった感じで、軽やかな上モノとリズムの絡みで聴かせる “03” と “06” 、逆にリズムのみで押し切る “04” や “07” など、どの曲も機能性の高さと彼のリズム・メイクの巧みさが感じられて完成度が高い。

まぁあえて難癖付けるなら WAX 名義のもまとめてほしかったなぁ、という感じなんですが、それは後のお楽しみということで。
あと今作は収録時間の関係から、普通の CD としては9曲収録で、残りの1曲はデータとして収録という変則的な形になっています。

Equalized #111 (Compilation) - EQD

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V.A. / “YUKICHI DE PYRAMID” (Yukichi) CD

V.A. /
http://www.sdp-228.com/

『CONCRETE GREEN』シリーズに続く、 DJ ISSO による新しいミックス・シリーズ、みたいな触れ込みだったわりに、1枚出ただけで一向に続きが出る気配のない、昨年発売の SDP 関連の音源を集めたミックスCD。

SD JUNKSTA ってグループはともかくとして、ソロになると各自好き放題でバラバラの方向性になることが多く(まぁそうじゃなきゃソロ出す意味ないか)、今作に納められた曲にもあまり統一感は感じられないものの、それでもバラバラな印象を与えず、きちんと流れを作ったうえで多様性を示しているところに、 DJ ISSO という人の編集者としての非凡さを感じる。

収録曲に関しては、既発曲とリミックスがほとんどなので、特に書くこともないんだけど、おそらく今作で初出と思われる WAX の “雨のち曇りのち明日” は別で、いつもは勢いで押すことの多い WAX と田我流の憂いを含んだラップと、逆に少し突き放した感じの BRON-K によるフックが素晴らしく、この曲のためだけでも今作は聴く価値がある。

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SD JUNKSTA / GO ACROSS THA GAMI RIVER (YUKICHI) CD

SD JUNKSTA / GO ACROSS THA GAMI RIVER (YUKICHI)
http://www.sdp-228.com/

ウータンだったり、モーニング娘。だったり、たいていの大所帯グループというものは、一発当ててグループの名前が知られた後に、ソロなりグループ内グループでメンバー個人の名前を浸透させる、という場合が多いように思うんだけど、この SD JUNKSTA の場合、『CONCRETE GREEN』シリーズや自身の CDR によってある程度グループの名前は知られていたものの、寧ろ NORIKIYO を筆頭に、各人のソロ活動を前面に出すことによって、メンバー個人の名前を覚えさせると同時に、 SD JUNKSTA というグループへの期待感も生み出すという、(どこまで戦略的なものだったのかは分からないけれど)非常に面白い方法でグループの存在感を高めていった。

しかしそういった売り方をするためには、当然各人にソロでも通用する技量がなければならないわけで、それだけの連中が集まり、またこれだけ期待感を高めた状態で発表される本作は、それだけ多くのものを求められる作品なわけだが、誤解を恐れずに書けば、この『GO ACROSS THA GAMI RIVER』という作品は、メンバーのソロ作品しか聴いていない人たちの期待をかわす様な、というより寧ろ落胆させるようなアルバムだ。

というのも今作には各人がソロでみせていた要素が、持ち込まれるということがほとんどされておらず、では代わりに何が歌われているのかというと、いつもどおりの金とハッパと女の事ばかり。中でも地元産のコンドームをレペゼンした “SA.GA.MI. ORIGINAL ~RE: SA.GA.MI~” (この曲に参加した OHLD というラッパーカッコいい)から、 TKC と WAX が見事な掛け合いで警察、ひいてはハスラーさえも茶化す “風雲TKC SHOW ~曲者編~” までのくだらなさは特筆もの。

だがそのくだらなさは、彼らがやさで馬鹿話している様子をそのまま反映させたようで、彼らの共同体としての強固さを感じさせるし、またその他の SD JUNKSTA の生活を描写したような曲でも、深い絶望や焦燥染み込ませながらも、ユーモアを交えて語る様は、彼らのしたたかさやたくましさを感じさせて、それはそのまま反権力のメッセージとしてこちらに響く。

自らの過去への後悔と未来への決意を封じ込めたNORIKIYO 、今までの人生を詩的に描写した BRON-K のソロのような、シリアスさを求める向きには、ゆるめのトラックの上に軽妙なラップを乗せた曲の多い今作は、上に書いたようにあまり歓迎されるような内容ではないだろう。しかしこのアルバムの発するメッセージはある意味各人のソロよりも強いものだし、また SDP というコミュニティそのものを封じ込めたような内容からは、逆説的に彼らがソロ活動を自由に出来る理由が感じられて、非常に面白い(その分内輪受け的な部分も目立つけど)

革新性はもちろんなこと、あまり生産性も感じさせない内容ではあるが、その反面もの凄い魅力を放つ作品だ。

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[曲目]

Bron-K / 奇妙頂来相模富士 (YUKICHI) CD

奇妙頂来相模富士
http://www.sdp-228.com/

またまた SDP つながりで、今年の頭の方に出た Bron-K のファースト・アルバム。

Bron-K というと、その比較的まったりした声に反してアグレッシブに攻める “コノハナシ” でのラップが一番好きなので、このアルバムでの彼はちょっとレイドバックし過ぎている気がして、最初はイマイチぴんとこなかった。
んで、その印象というのは現在でも特に変わっていないんだけど、それでも飽きずに聴けるのは、いくらレイドバックしていると入っても、決して枯れているわけではなく、ある種の平熱感に包まれているからでしょうか。なので内容的には地味なのは否めないんだけど、 SDP 関連 では一番楽に聴けるアルバムかも。

BRON-K - 奇妙頂来相模富士

? / WAX No 10001 (WAX) 12″

WAX No 10001
http://hardwax.com/

昨日の Wire のレポを、早くも書いているブログをいくつか見てみると、どうやら今年は満足度高かったみたいですね。私は最初の2年以降、一回も参加していないんだけど、来年は行ってみようかなぁ(とは毎年思うんだけどね)。

一応ブログ名がブログ名なんで、デジタルが主流になりつつある今でも、相変わらずレコードは買っているんですが、だったらこういうのも買わなければつまらない、ということで、 Hardwax 配給の謎の1枚。

最近ミニマルとダブ・ステップの交配が進んだせいなのか、変則的なキックとベースでグルーヴを作るトラックが増えてきたように思いますが、今作の A 面も、四つ打ちのキックこそ入っているものの、グルーヴを形作っているのはひんやりとしたシンセの音色と、3拍目に鳴らされる、タメの効いたキックともベースともつかない低音で、そのスカスカ具合はおよそ大衆性からは程遠いのだけれど、 Hardwax の名に恥じぬ、非常に魅力的なミニマリズムを宿している。

それに比べると B 面は、普通のミニマル・ダブに近い感じではあるんだけど、ほとんどノイズに近いくらいざらついた処理が施された上ものと、荒々しい低音の組み合わせが、最近のミニマル・ダブには珍しいくらいの獰猛さを放っていて、こちらもカッコよい。

なんか某有名アーティストの変名という噂もあるんで、果たしてこの次があるのかは分からないんだけど、個人的には激継続希望。傑作です。

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