全部を聴いているわけではないので具体的には分からないんだけど、一時期に比べるとミックステープを出す間隔が長くなっている印象の Lil B さん。2015年だと Chance The Rapper との共作が話題になったものの、それを除くとわりとご無沙汰感があったんですが、今作は63曲とかなりのボリューム。
Love At First Sound / Nothings Changed
bandcamp、soundcloud、twitter それぞれで出身地が異なっているので、何処の人だかよく分からないシンガー/ラッパーさん。前半は沈み込むような重いビートに囁くようなヴォーカルが乗り、女性のナレーションを挟んでの後半は情緒的な R&B と2部構成になっている不思議な曲。他に上がっている曲と纏めて『A U D R A 』というアルバムになるもよう。
LUUUL / Listen To The Sea
いつも参考にさせてもらっているブログ「Nobody Loves Me」で紹介されていたんで聴いてみた、ベルギーのプロデューサー Romain Bauthier さんのプロジェクト LUUUL の3曲入り EP。ゆったりとした4つ打ちのビートに柔らかなギターが乗る、という構成は3曲とも同じなんだけど、ギターの音色の心地よさと、メロディの素晴らしさだけで全然 OK な感じ。
Living In Frames / Outer
ブラジルの二人組みユニットの、おそらくデビュー作となる EP 。基本的にはエレクトリックなインスト・ヒップホップなんだけど、大仰な上モノが多く、その分リズムも EDM っぽかったりと逞しく、悪くない。ただまだ個性不足かしら。ほぼノンビートの “Can’t Dream” がいい感じ。
7 Days Of Funk / N My System
Snoop Dogg と DaM-FunK によるユニットのフリーのシングル。どうもこの手の水っぽいというか、音がビヨンビヨンしたファンクって苦手なんだけど、この曲はかなりポップで聴きやすい。でももうちょっと Snoop のヴォーカルを聴きたかった。
Franjazzco / Chemtrails EP
オーストリアのプロデューサーの4曲入り EP 。基本どの曲も滑らかなグルーヴの洗練されたジュークなんだけど、それに太いリズムと猥雑なヴォイス・サンプルが無理なく同居していてカッコいい。あと “Make U Wanna” って Theo Parrish の曲(曲名忘れた)をサンプリングしてる気がするんだけど、どうだろう。
Cadenza を主催する Luciano が、自身のレーベルから2012年11月に発表したシングル。
Cadenza のリリースが活発であったり、彼自身も他アーティストへのリミックス提供や DJ ミックス等を発表していたのでご無沙汰感はあまりないが、自信の名義での作品は2009年の『TRIBUTE TO THE SUN』以来初。
その『TRIBUTE TO THE SUN』はタイトル通り、淡い陽光が降り注ぐような清らかな祝祭ムードの作品だったが、今作はそこから一歩踏み出して、という表現が適切なのかどうかは分からないが、キックの入らない簡素なリズムの上に、弾むようなシンセと、これまたシンプルながらも印象的なピアノが乗る、陽性の美しさを持ったものになっている。
この人の DJ って生では聴いた事ないんだけど、いつの間にやら PC でやるようになっていたようで、ご多分に漏れず今作も数曲を同時に重ねたようなミックス。なので最初は音数が多すぎな気がするんだけど、いったん体になじんでしまえば、派手さはないものの、緩やかに盛り上がる柔らかなグルーヴに身をゆだねられる。
まぁフリースタイルなんで基本どの曲もゆるいんですが、トラックはヒップホップ以外にもエレクトロやロック、ハウスなど幅広いし、 Michael Jackson や Linkin Park 、 Cyndi Lauper など大ネタもいくつかあって楽しい。
さらに個人的にでかかったのは Juke を使った曲がいくつか入っている事で、今まであまり名の知れたラッパーが Juke に接近したのを聴いたことがなかったので興味深いし、いくらリズムが早かろうが、自分のペースを崩さずゆったりとラップしているのも面白い。
the Pack というグループで活動する傍ら、ソロ名義ですごい数の音源をネットにアップしているラッパー、 Lil B さんの多分現時点では最新と思われるミックステープ。
この人のミックステープって目に付いてものはとりあえず落とすようにしているんだけど、そのまま解凍もしていないのがほとんどだったりするので、実はちゃんと聴くの始めてだったりします(我ながら酷いと思う)。
Lil B の音源に関しては、適当に作ったものとちゃんと作ったものの差がすごい、というような文章をよく目にしていたんだけど、今作はおそらく適当なほうに入るであろう、かなりグダグダなつくり。
まず曲ごとの音量がバラバラだったり(ここまでならミックステープではよくあるけど)、ヴォーカルだけ前に出てトラックの音量が妙に小さかったり、かと思えばベースだけでかくて音割れてたり。
また曲自体もほとんど抑揚のない、ただフリースタイルを乗せただけと思われるものがほとんどで、およそひっかかりというものは無いに等しいんだけど、それでも Lil B の揺らめくようなラップだけで気持ちよく聴けてしまうから非常に不思議。
MY MY のメンバー、もしくは HEFNER の名義で知られる Lee Jones が2008年に発表したソロ・アルバム。
My My が2006年に playhouse から発表したアルバム『SONGS FOR THE GENTLE』はその音楽性の高さが非常に評価された作品でしたけれども、この作品ではさらに踏み込んで、大幅に生楽器が導入されている。さらに大半の曲で明確なメロディが鳴っていて、それが柔らかなリズムと合わさると、まるで木漏れ日のような心地良さが感じられ、非常に聴きやすい。
それでいて甘くなりすぎることもなく、きちんと全体で一つの流れがあって、いやいや、これは素晴らしいんじゃないかしら。