PLASTIKMAN / EX (Performed live at the Guggenheim, NYC) (Mute) File

PLASTIKMAN / EX (Performed live at the Guggenheim, NYC)
http://mute.com/

Richie Hawtin が Plastikman 名義で2014年7月に発表したアルバム。

前作『Closer』から11年、その間も DJ としては精力的に活動していたものの、シングルなどのリリースもほとんどなかったので、かなり待たされた感があったのだが、そんなことを知ってか知らずか、2013年11月に行われたイベントでのライブを収めたライブ盤という肩透かし。

しかもそのイベントを主催していたのが Dior のディレクターというのだから、私なんぞはそれだけでぐへぇ、となってしまうし、内容としても実験的なノンビートのものを想像していたのだが、実際には全編ほぼ四つ打ちのキックが鳴るミニマル・テクノ。

基調となるのはこのプロジェクトらしいアシッド・ミニマルなんだけど、『Closer』のように沈み込むよう感覚はなく、かといって当然のようにガンガンに上げていくなんてこともなく、つまりは淡々としているのだけれど、特に展開のないミニマル(最小)な音でもないので、すごく聴きやすくはあるんだけど、反面中庸な印象も強い。

音そのものは如何にも Plastikman らしいものだし、ハッとさせられる場面がないわけではないんだけど、今までの作品の衝撃度に比べて、普通に心地よく聴けてしまうという時点で、Plastikman の作品としては失敗作なんではないだろうか。

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DAN ANDREI / PARCUL COSMOS LP ([a:rpia:r]) 2LP

DAN ANDREI / PARCUL COSMOS LP ([a:rpia:r])
http://www.arpiar.ro/

あけましておめでとうございます。昨年はもっぱら年間ベストを掲載するくらいしか更新していなかったのですが、今年はどうでしょう。とりあえず昨年は音楽をちゃんと聴く時間は減る一方なのに、買う量は増加傾向なせいで、聴けてない盤がまだかなりあるので、今年はもうちょっと聴く枚数を絞りたいんですが、まぁ毎年同じ事思っているので、多分変わらんのでしょう。

ということで、昨年を振り返りがてら手短に。

昨年のテクノに関してはルーマニア系とうるさい系二本柱を中心に、というのは変わらなかったんですが、ルーマニア系は前半は良作が多かったものの、後半はあまり目立つものがなかった印象です。まぁそれは私がアルバム中心に追っかけているからというのもあるんでしょうが。とりあえず今年はもうすぐ SUBLEEJay Bliss のアルバムが出るので期待したいところです。

そんなルーマニア系の中心レーベル [a:rpia:r] から2015年末に出た DAN ANDREI のファースト・アルバム。

この人は同レーベルから2014年に発売された Raresh のリミックス盤でも一人イマイチなリミックスを提供していたんですが、今作もイマイチかなぁ。上モノとかは結構きれいなんだけど、どうも全体的に線が細いのよね。まぁそれは良く捉えれば繊細ともいえて、デトロイト系との親和性も感じさせたりするんだけど(エレクトロっぽい曲もあるし)、やっぱ中途半端かな。でもレコード屋から早々に無くなった印象があるので、人気はあるっぽいけど。

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パスピエ / 娑婆ラバ (Warner) CD

パスピエ / 娑婆ラバ (Warner)
http://passepied.info/

5人組のバンド、パスピエが2015年に発表した3枚目のアルバム。

このバンドに関しては、単純にアニメ声と呼んでいいのかも分からないくらいにゃんにゃんとした、ヴォーカルの大胡田なつきの声の印象があまりにも強すぎて、さらに曲の方も情報量が多いポップスやロックだったりするものだから、私にはこの世ならざるもののようにさえ思えるというか、それこそ初音ミクなんかのヴォーカロイド(を使っている音楽)に近い仮想的なものを感じてしまうので、私にはその音世界に入っていくのが難しい。

ただそれでも何回か聴いていると、どうしても声の個性が強すぎて単色には思えるものの、その中での濃淡というのはきっちりと表現されているので、思ったほど飽きずに聴ける。

まぁ私にとっては、聴くべきシチュエーションというのが想像できない音楽という事には変わらないんだけど。

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Post Scriptum / Post Scriptum 01 (Infrastructure) Flac

Post Scriptum / Post Scriptum 01 (Infrastructure)
https://www.facebook.com/infrastructureny

Function のミックスCD で曲が使われて一部で話題になった Post Scriptum のデビュー・アルバム。発表は当然 Function のレーベルである Infrastructure から。

現在リリースされているのは本作と、上記のミックスに収録された1曲のみ。それ以外の本人に関する情報はほとんどないんですが、反面、ジャケットに使われているのはソ連の核実験場の写真と、メッセージ性が感じられるものながら、英語を解さない私は意味がよく分からず。

そして内容の方はというと、まぁ当然のように一貫して暗いミニマル・テクノなんですが、不穏な幕開けの “Decades To Millenia” 、疾走感のあるクラブ・トラックの “Even The Nearest” 等、どの曲もこれが初作品と思えないほど完成度が高い。
ただ一方ではみ出した部分が少ないので、この先の展開に不安を覚える部分も。

これがどっかのベテランの変名とかだったら腑に落ちるものがあるんだけど・・・。

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F L A C O, Chester Watson, ichiro_, Villain Park, PONY×KURABEATS, SUB SELECTOR

IKWYDLS _)F L A C O / IKWYDLS 🙂
インディアナのラッパーさんのミックステープ。最初インドの人かと思って落としたら違ったっていう。
鼻歌っぽい感じのラップが多くて、まぁ今どきな感じ。素っ頓狂な感じとかかなり好きなんだけど、もうちょい個性が欲しいか。
DownloadChester Watson / Nü
フロリダの17歳のラッパーの曲(写真見ると10代に見えないけど・・・)。どっしりとしたトラックと、テンション低めのラップがあっていてカッコいい。
NERITAKA epichiro_ / NERITAKA ep
練馬出身のトラックメイカーが今年1月に出したビートテープ。いつもよりエレクトリック成分高め。
SAME OL SHIT - COMING SOONVillain Park / We Out To Get The Money
L.A のラッパー4人組の曲。写真見る限りまだ10代っぽいんだけど、曲はオールドスクールノリ。でも微妙にテンション低目な感じが面白い。「SAME OL SHIT」っていうアルバムかミックステープがもうすぐ出るみたい。
ポニーピー'TURBOPONY×KURABEATS / ポニーピー’TURBO
山梨のラッパー PONY の作品を、東京のラックメイカー KURABEATS がリミックスした作品。湿り気のあるラップといい、ドラムが前に出たトラックといい、古き良き日本語ラップという感じ。
DownloadSUB SELECTOR / TIME TRAVELLER
そもそもどっちがアーティスト名でどっちが曲名かもよく分からないんですが、疾走感のあるエレクトロでえらいカッコいい。

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Petre Inspirescu / fabric 68 (fabric) CD

Petre Inspirescu / fabric 68 (fabric)
http://www.fabriclondon.com/

2013年に関しては、2012年に引き続きルーマニアのミニマルもよく聴いたのですが、その中でも目立っていたアーティストというと、やっぱり Petre Inspirescu ですかね。

Petre Inspirescu というと2012年12月に発表した『gradina onirica』(関連記事)が傑作でしたが、同時期に発表された本作も、「fabric」シリーズということで、ダンス的な側面が強くはなっているものの、それだけに留まらない音楽性の幅の広さを聴かせる作品になっている。

というのも今作は自身のレーベルである Yojik Concon から Petre Inspirescu の曲のみが選ばれているのだけれど、その Yojik Concon というのは彼の室内楽的な要素が強く出ているレーベルであり、今作にもストリングス等の音が聴こえる部分が多い。

ただそれによりリスニング向きの作品になっているのかというとそんなことはなく、じっくりとダンス・グルーヴを積み上げながら、景色を塗り替えていくようなミックスは非常に美しく、そういった意味では『gradina onirica』よりも彼の魅力が伝わりやすい作品になっている。

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Perfume / Magic of Love (UNIVERSAL) CD+DVD

Perfume / Magic of Love (UNIVERSAL)
http://www.perfume-web.jp/

先日子供が通っている小学校の運動会を見たんですが、その中の一つに小学1年生による踊りがありまして、その音楽が Perfume の “未来のミュージアム” (関連記事)だったんですね。子供に人気のあるアイドルというと今は AKB と嵐が圧倒的に強いという印象なんですが(AKB の方が人気だろうけど)、そんな中にあって Perfume の音楽が使われたというのは、ドラえもんとのタイアップはそれなりに効果があったんだなぁ、という事を実感した出来事でした。

ただ、前回のタイアップが成功したからといって、今回も子供向け、なんてことはもちろんなく、 Perfume 18枚目となる今作は、いつもの彼女たちらしいダンス・ポップ。
親しみやすい音色のシンセと、ダンス・ミュージックとしては控えめな出音のリズム(グルーヴが無いって意味ではない)、そして Perfume にしては隙間のある音作りというのは、『⊿』辺りの時期の作風を思い起こさせるもので、新味というのは薄いんだけど(控えめにウォブルベースっぽい音が入っているのは、作者である中田ヤスタカの意地なんだろうか)、弾むようなメロディと、少し夢見がちな恋心を歌った歌詞がよく合っていて、なかなかの良曲。

ただ気になる部分もありまして、それは Perfume の歌唱。基本的に3人の事は歌唱力も表現力もある歌い手さんだとは思っているんだけど、この曲での彼女たちの歌はイマイチ声にハリが無かったり、音程がよたってる部分があったりと、どうも曲を自分たちのものに出来ていない感じがしてしまう。

まぁこれが痩せすぎなヴィジュアルを見たことによる先入観からきたものなら別にいいんだけど、ちょっと心配になってしまうシングルです。

カップリングの “Handy Man” は、アジアの民謡みたいな旋律(すげぇ適当に書いてる)が耳をひくわりには、総体としてはいつもの Perfume って感じのエレポップ。

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petre inspirescu / gradina onirica ([a:rpia:r]) 3LP

petre inspirescu / gradina onirica ([a:rpia:r])
http://www.arpiar.ro/

気がつけば今年も6月に突入していて、そろそろ上半期ベストの話題も出てきている今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。なんか4月頭まで続いていた毎日更新が途切れて以降、めっきり更新頻度が落ちておりますが、このままいくとまたお気に入り盤を全然紹介していない、という事態になりそうなので、とりあえず何か書いてみようかと思います。

ということでルーマニア出身のプロデューサー Petre Inspirescu のこの名義では2枚目のアルバム。
発表自体は2012年末なんですが、日本国内に入ってきたのが2013年なので、私が聴いたのも今年に入ってから。

Petre Inspirescu が2009年に発表したファースト・アルバム(関連記事)はパーカッシブなミニマル・テクノ、2011年に πEnsemble 名義で発表したアルバム『Pădurea De Aur』は室内楽を再構築したモダン・クラシカル的な作品でしたが、今作はその両方の要素を纏め上げた傑作になっている。

まず1曲目の、不穏なベースラインが作り出す緊張感で延々と引っ張りながら、様々な音が立ち上っては消えていく “tulip en” が圧倒的。その他にも淡々と鳴るキックの上にうっすらと乗るストリングスが景色を塗り替えていく、17分を越す大作の “doar unul” 、躍動感のあるリズムの上で鳴る、滴り落ちるようなピアノの調べが美しい “ksses in plic” 、重心の低いベースラインが強靭なグルーヴを作り出している “pechiuli rose” 等、全曲素晴らしい傑作ぞろい。

さすがにフロアでの機能性という意味では前作よりも一歩(いや、二、三歩かな)劣るものの、音楽的な豊潤さではそれを上回る成長を聴かせる本作は、現在のルーマニア勢の素晴らしさが結実した、金字塔的な作品だ。

Perfume / 未来のミュージアム (UNIVERSAL) CD+DVD

Perfume / 未来のミュージアム (UNIVERSAL)
http://www.perfume-web.jp/

広島出身の3人組 Perfume が2013年2月に発表した17枚目のシングル。今作は映画『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』の主題歌なんだそう。

私は映画を1年に1本見るか見ないかの人間で、ドラえもんの映画に関しても、子供の頃に何本か見た事はあるものの、リニューアルして以降のものは1本も見たことがない。なので私には今作が劇中で一体どういったタイミングで流れるのかは分からないのだけれど、物語の佳境に迫ったときにその興奮を増幅させてくれるものでも、最後に流れて物語の余韻に浸らせてくれるものでもない。透明感のある音を多く使ったトラックや、一度聴いただけで覚えてしまいそうな親しみ易いメロディなど、子供を意識した作りにはなっているものの、曲自体は大した展開もなく進む盛り上がりに欠けるもので、映画の主題歌といわれて思い浮かべるような大上段に構えたものではなく、小品的なポップスになっている。そういった意味では商業音楽としてはやや疑問を感じずにはいられない曲ながら、作品自体はなかなか面白い。

この曲が子供を意識した曲、っていうのは上記した通りなんですが、その他に特色をあげるとすると、全編で鳴っているウォブルベースなんじゃないかと思うんですよね。これは小さい音や、テレビで流れ的なときなどはそれほど気にならないものなんだろうけれど、大きな音で聴くと曲にしっかりとしたうねりを与えているのが分かる。またドラムに関しては、一聴するとシンプルなエイトビートのようなんだけど、細かく刻むハイハットや、ブレイク部分などで微妙に変化するパターンなどによって、疾走感のある、それこそ手数の少ないドラムンベースのよう。つまりは前作の “Spending all my time” (関連記事)に続く、 Perfume 流 EDM といった内容になっていて興味深いし、 EDM の落とし込み方としては “Spending all my time” なんかよりはるかに面白い。
まぁこれを Perfume でやる必要があるのか、って気はしなくもないんだけど・・・。

カップリングの “だいじょばない” は、軽快なシンセと軽めの四つ打ちキックによるエレクトリックなディスコ・ポップ。ヴォーカルを素材の一部として扱っているような感じは初期を髣髴とさせるものので、悪い曲ではないもののグルーヴが平板すぎて面白みはイマイチ。

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PICNIC WOMEN / Ⅱ WOMEN EP (Self Released) mp3

PICNIC WOMEN / Ⅱ WOMEN EP
http://picnicwomen.bandcamp.com/

大阪のトラックメイカーらしい Picnic Women が2013年1月に出したシングル。

この人の音源は『stylus ep』と『WITCHCRAFT EP』という2012年の作品で聴いた事があって、その時点でネタ感がありながらも洗練されたジュークを聴かせていた。
しかし Mariah Carey と Boyz II Me nの “One Sweet Day” をネタにしたという本作の表題曲は(っていうかこの記事で指摘されているの見るまで全く気がつかなかったので、すげぇやられたって思いましたですよ)、さらにその洗練が進んでいて、冒頭のギターとピアノの美しさや、声ネタが多い事もあって、ほとんどポップな R&B といってもいいものになっている。ただゆったりしているようでも細かく動いているベースラインや、走るスネアがジュークである事を主張していて面白いし、スクリュー的な遅回しが多い中、声ネタのピッチを上げて使っているのにもにやりとさせられる。

2曲目の “Black Bave” は疾走感のある声ネタとシンセが気持ちいジュークで、これも魅力的なのだが、それよりも面白いのが3曲目の “African” 。タイトルから想像するアフリカ音楽的なものではなく(多分使ってる声ネタがタイトルの由来なのかな)、冒頭こそいかにもジュークといった感じなんだけど、途中から一転四つ打ちになる底抜けに楽しい曲。それでいてネタを含めた上モノの柔らかさはソウルやファンクのようでもあり、高速のキックとユーモラスな音色のシンセが絡んでひたすら上がる感じはハッピーハードコアみたいでもあり、でも総体としてはシャンガーン・エレクトロに近い感じもあったり(あそこまで早くないけど)、色々な要素が感じられるのも興味深い。

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