KEN THE 390 / ONE (rhythm zone) CD

KEN THE 390 / ONE (rhythm zone)
http://www.kenthe390.com/

KEN THE 390 が2011年の2月に出したメジャー・セカンドアルバム。

私はこの人の音源ってまともに聴いたことがほとんどないんだけど(りんごのアルバム持ってるけどこの人もメンバーなのさっき知った)、アルバムに先んじて発表された “AFRAとサ上鎮座390 ~RUN BEAR RUN~” と “What’s Generation” が、両曲ともシーンからの支持の厚い人たちが参加していたので、てっきりストリート回帰的な作品になるのかと思っていたんだけど、実際に聴いてみた今作はそれとは真逆のかなりポップなアルバム。

でまぁその方向性自体は別にいいんだけど、そこで軸になるべき彼のラップが、BBOY PARK のフリースタイルで力強いラップを聴かせてくれていたのと同じ人なのかと疑いたくなるほど弱々しく、またそのせいでポップであるにもかかわらず全体の印象がかなりぼやけてしまっている。

また曲に関しても、ほとんどが自身や参加シンガーがサビで歌いだすという、よくあるパターンのものが多く、決して悪くはないものの、かといって際立ったものもない中途半端なものになっているのもつらい。

これ聴くと安易に歌モノにはしらずポップさを演出していた RIP SLYME や SOUL’d OUT ってすごいグループだったんだなぁ、とか思います。

彼の声質を考えればポップな方向性というのは間違ってはないと思うだけに残念。

ONE - KEN THE 390

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サイプレス上野とロベルト吉野 / ドリーム (ZZ PRODUCTION) CD

JPLS / The Depths (m_nus)
http://www.sauetoroyoshi.com/

これまた今更だけど、横浜の2人組、サイプレス上野とロベルト吉野の2007年発表のファースト・アルバム。

今作の傑作たる所以はもう色んなところで語りつくされているだろうから、私が付け足したいと思うことはそれほどないんだけど、それでもやはり思うのは、今作の素晴らしさはバラエティ豊かなトラック郡でもなく、またそれでも失われないユーモアやポップさでもなく、またはそれでも薄まらないヒップホップイズムでもなく、パーティーに近い刹那さが全編から感じられるところで、つまりこの刹那の先のことは分からないという不安と、だからこそ今を遊びつくそうという力強さであり、その感覚が一番感じられる “Bay Dream ~フロム課外授業~” の「汚れる事だけが自慢の仲間でも大丈夫すぐ側は墓場」というラインは、今作で最も感動的な部分だろう。

あと今作の冒頭(に限らないけど)で伊藤政則の声がサンプリングされているけれど、彼は自分の声が日本のヒップホップでサンプリングされているなんて知っているのかなぁ・・・。

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Legend オブ 伝説 a.k.a サイプレス上野 / Dear Customer 2

Legend オブ 伝説 a.k.a サイプレス上野 / Dear Customer 2
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ここ何ヶ月か仕事の忙しさにかまけて更新頻度ががた落ちだった当ブログですが、やっと落ち着きそうな雰囲気になってきたので、軽めな感じで更新していきたいと思います。

ということでここ何ヶ月で聴いていた盤をぼちぼちと。

『Dear Customer』といいますと、サイプレス上野が変名で出しているミックス・シリーズですが、現在『Dear Customer 4』まで出ていて、これは数年前に出した2作目。

このシリーズは彼の趣向からか比較的ヒップホップと J-POP を混ぜることが多いんだけど、今作はヒップホップのみを使ったミックスになっていて、そういった意味ではシリーズの中でも異色。しかしポップさは抑え目でも、聴きやすさという点では他のシリーズと変わりなく、メロディアスなヒップホップがスムーズにミックスされていて心地よい。また日本のヒップホップもアメリカのものと同列にミックスされているのも彼らしい。

BBOY PARK 2009

BBOY PARK 2009
http://www.bboypark.com/

どうもこんばんは、昨日、一昨日と参加した BBOY PARK の疲れで体がボロボロの shooter です。
別に朝から晩までいたわけでもないのにこの有様、いやはや歳はとりたくないものです(単なる運動不足もある)。

ということで、今日は正直さっさと寝たいのですが、イベント事については時間が経てば経つほど書くのが面倒になるので(実際それでカミセンとかブロックパーティーとか書いてないし)、とりあえずだらりとしたテンションで簡単に書きたいと思います。

[何だかんだで長いよ!!]

LEGEND オブ伝説 a.k.a. サイプレス上野 / PHY KICK’N NOW DEEJAY! ~最近のディージェイ~ (ドリーム開発) CDR

LEGEND オブ伝説 a.k.a. サイプレス上野 / PHY KICK'N NOW DEEJAY! ~最近のディージェイ~
http://www.sauetoroyoshi.com/

色んなところで話題になっていますけれども、シスコ倒産ですってね。まぁ昨年で実店舗がなくなって以降、買い物してなかったんで特に個人的には影響ないんだけど、レコード業界的にこれでさらに縮小傾向が強くなるのは嫌だなぁ。あとびびんばさんが書いてるの見て気がついたんだけど、このブログもシスコに視聴リンク一杯張ってあるのどうしましょうかねぇ。まぁこのブログの過去記事あさると、実はサイト内リンクでリンク切れ腐るほどあるんだけどね。

ということで、約1週間ぶりの音盤紹介。身体的にもやる気的にもまだまだなので、割とゆるくいきます。

サイプレス上野が DJ するときに使用する別名義、LEGEND オブ伝説 の作品というと『Dear Customer』というシリーズがありますが、今作はそれとはまた別に、タイトル通り最近のプレイを反映させたという J-POP のみを使ったミックスCD。

一応それなりに名前が売れてきて気をつかったのか、トラック・リストのアーティスト名にいくつか伏字を使用しているので、こちらも合わせて固有名詞を出すことは避けますが、やっぱりというか予想通りというか、大人気のテクノ・ポップ3人組の曲が20曲中4曲と多く使われていて、さらに最近結婚した黒船のリミックスも収録されていたりで、全編ダンス指数は高め。さらに曲の繋ぎも以前より達者になっていて、なかなか楽しめる内容ではあるんだけど、ちょっと選曲が面白くないんだよね。伏せて書くのが面倒くさくなったので曲名はあげないけど、何で今更、見たいな曲も多いしさ。それにアーティストも、ここら辺の人が使ってる定番って感じがするし。どうせなら羞恥心くらい使いこなしてほしかったものだが(そりゃ無理か)。

『Dear Customer』のごった煮感覚は非常に好きなので、今度はあちらで面白いの期待してます。

[Tlack list]

TKC / 百姓一揆 (YUKICHI)CD

百姓一揆
http://www.sdp-228.com/

SEEDA のブログによると、なんと相模原市長と対談したという TKC のアルバム。
SD JUNKSTA って苛立ちと内輪ネタ、そしてクサについてのラップが多いと思うんだけど、その中でもクサとユーモアを担うのが TKC という印象があります。
だからこのジャケットを見たときは単なるネタなんだと思ったし、1曲目で「一揆」の音楽にのせてラップするのを聴いて、さらにその思いを強くした。しかしその歌詞に耳を傾けてみれば、このアルバムの発売日である8月15日、つまり終戦記念日にかけたものだったりして(そういえな TKC も NORIKIYO も1曲目でお婆ちゃんの言葉を引用してるんだけど、コレは何か申し合わせたのかしら)、予想以上にメッセージ色が濃い。しかしその反戦や環境問題などのメッセージも、かしこまったり大上段に構えることなく、普段と同じ目線で語っているから、他のユーモアやクサの話と全く並列で聴くことができる。そしてだからこそタイトル曲や “ANOTHER TENSION 完成” の切迫感がいいアクセントになってるし、終盤のメロウな流れもじんわりと染みて、アルバムとして実にまとまったものになっている。
グループで見せている面と、それとはまた違った面を実に自然な形で提示してみせた、正に見事なソロアルバム。

試聴
amazon.co.jp
@TOWER.JP

サイプレス上野とロベルト吉野/ゲットマネイ(Kakubarhythm)7′

サイプレス上野とロベルト吉野/ゲットマネイ
http://www.kakubarhythm.com/

もう一つサ上とロ吉。今年の1月に出た『ドリーム』の直前に出た限定7インチ。
まぁやはり最初に触れなければならないのは “GET MONE\(借)” でのネタ使いでありまして、なんとあの名曲 “およげたいやきくん” を使ってるんですね。
あの曲はサラリーマンの悲哀を代弁しているとよく言われていますが、そんな曲をネタに使ったトラックの上でラップされるのは借金まみれの貧乏話。しかしそこは当然のようにサイプレス上野ならではのユーモアが加えられ、しかもほとんど元ネタまんまながら見事にファンキーなトラックもかっこいい。一方ロベルト吉野のターンテーブル捌きとネタ選びのセンスが堪能できる “契り~外伝~” も秀逸。
このシングルは両曲ともネタ使いがやばすぎて当然のようにアルバムには収録されていないんだけど、それでも彼らの魅力を堪能できる1枚かと。

視聴
[Tracklist]

サイプレス上野とロベルト吉野/LIVE@o-nest(lockstock)CDR

サイプレス上野とロベルト吉野/LIVE@o-nest
http://www.lockstock.jp/

私も微力ながらお手伝いさせていただいた日本語ラップのWEBマガジン、COMPASS が公開になりました。

http://compass-magazine.com/index.html

基本的な話し合いのほとんどが mixi を中心に行われたので、mixi やってない私はイマイチここまでの流れがわかってないんだけど、若いスタッフが中心で勢いがあるので、これからも色々と面白いことになるのではないかと思います。因みに私は TBH のクロス・レヴュー書いてます。

ということで紹介するのも日本のヒップ・ホップがいいかなと思い、紹介しそびれていたサ上とロ吉こと、サイプレス上野とロベルト吉野のライヴ盤。一応ライヴ会場限定の盤みたいなんだけど、私は某店で見つけて買いました。
この二人組みのライヴの評判と、『ヨコハマジョーカーEP』(過去記事)でのユーモア・センスを考えれば期待値も高まるというものですが、期待通り最高。
まずオープニングが伊藤政則のMCというところでメタラーの私はやられてしまうわけですが、その後も独自のユーモア・センスをエンターテイメントに仕立てたヒップ・ホップが続いて文句なしに楽しい。そして散々笑わせておいて、ヒップ・ホップへの愛をラップする Steruss との “マイク中毒Pt2” から “ヨコハマジョーカー” への流れで少しホロリとさせる構成もにくい。
コレを聴いてしまうと俄然彼らのライヴを生で見たくなるのですが、タイミング合わなくてまだ見たことないのよね。先日のリリパも凄かったらしいし、いつか見てみたいものです。

[Tracklist]

Legend オブ 伝説/Dear Customer 1.5

Legend オブ 伝説/Dear Customer 1.5
http://members.goo.ne.jp/home/cypress-ueno

とうとう『ヨコハマジョーカー EP』(過去記事)に続く音源が完成したというサイプレス上野とロベルト吉野のMC、サイプレス上野の変名によるDJミックス。

とにかくね、このミックスCDの特徴はなんといってもJ-ポップの使用率の高さ。最初はかなり甘い感じで始まるんだけど、Tahiti80 からレゲトンに流れて、それがいつの間にか宇多田ヒカルになっているなんていうのはこのミックスCDならではではないでしょうか。
その後のダンスナンバー連発もカッコいいんだけど、やはり個人的には後半のJ-ポップのオンパレードにでしょうか。特に DUB MASTER X による “白いカイト” のリミックス(?)にはちょっと泣きそうになりました。

まぁテクニック的には稚拙に感じられる部分もあるんだけど、こういった感性はとても貴重。ホント、このスタイルのまま突き進んでいってほしいものです。
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サイプレス上野とロベルト吉野 / ヨコハマジョーカーEP (ZZ PRODUCTION) CD

サイプレス上野とロベルト吉野/ヨコハマジョーカーEP
http://www.sauetoroyoshi.com/

日本語ラップって昔(今も?)笑いの対象になりやすかったからか、いまだにハードコアが主流だけど、別段メイク・マネーにもビィャッチにも興味のない私としては、こういう人たちに肩入れしたくなってしまう。
まずネタ感を前面にだしたメロウなトラック、そしてラップ共々とてもユーモラス。はっきりいってラップなんて女の事か、あとはくだらない事しか言ってないんだけど、そこから漂うダメ人間感が猛烈に好み。でも音楽的にはしっかりしてるし、そのダメさが暗さにならずにむしろ前向きにさえ感じられる。単純にとても面白い人たちなので、普段この手のを聴かない人たちにはかえって引っかかりが多いと思うけど。
韻踏、降神、MSCなどを輩出した『ホーム・ブリューワーズ』にも参加していた二人組のデビュー作。

@TOWER JP