MALA / Changes (James Blake Harmonimix) (Deep Medi) 12″

MALA / Changes (James Blake Harmonimix) (Deep Medi)
http://deepmedi.com/

Digital Mystikz の Mala が2007年に発表した “Changes” を James Blake がリミックスした片面シングル(2013年発)。
この Harmonimix というのは基本的に James Blake がヒット曲などをリミックスするときに使う名義みたいですが(昨年オリジナルも出してるけど)、今作も発売前から話題になっていた盤。

とはいっても私は Harmonimix 名義の作品をそれほど聴いた事が無いので(以前紹介したブート盤とかそうだったみたいだけど)、 James Blake 名義との差異はよく分からないのだけれど、今作は本名名義よりもさらに実験的。

原曲で印象的だった声ネタを活かしつつ、マリンバのような音色の上モノと低音が絡み合いながら徐々に盛り上げていき、最後の方はノイズがかったストリングスのような音が盛大に鳴るという、ちょっと不思議な曲。
なので正直クラブ・トラックとはいい難いのだけれど、クラシック音楽をエレクトリックな音で表現したような作風は面白いし、後半の荘厳ささえ感じる盛り上げ方もよい。

この路線でのアルバムもちょっと聴いてみたい。

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Mala / Mala in Cuba (Brownswood) 4LP

Mala / Mala in Cuba (Brownswood)
http://malaincuba.com/

1、2年前から噂になっていた、Digital Mystikz の Mala がキューバのミュージシャンと制作したアルバム。

私はキューバの音楽ってどんなものかよく分からないんだけど、そんな人間からすると今作はパーカッションやピアノが多用されていたり、ドラムが生っぽくなっていたりとそれらしい要素は感じられるものの、期待していたような、それこそダブステップの新局面とでもいうようなものを聴かせてくれる作品にはなっていない。

しかしそれは表現を変えると、素人目には分からないほどキューバ音楽の要素がダブステップに溶け込んでいるということなのだろうし、ダブステップ的な躍動感もしっかりとあり、そこはさすが Mala という感じ。

ただ基本的に硬質なダブステップが好きな私にはあまりピンと来ない曲も多くて、むしろ “Como Como” や “Ghost” 、 “Change” みたいなゆったりした曲の方が良かったかしら。

まぁこの作品自体は十分良作だとは思うんだけど、ちょっと期待し過ぎましたかね。なので私は今作が自作以降にどう活かされるのか楽しみにしたいと思います。

ちなみに今作はアナログだと4枚組みなんだけど、シングル1枚切られてるから実質5枚組み。アホですな(それ買う私も)。

Mala in Cuba - Mala

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V.I.V.E.K / FEEL IT (DEEP MEDI) 12″

V.I.V.E.K / FEEL IT (DEEP MEDI)
http://www.deepmedi.com/

ダブステップの音盤紹介するとか書いておきながら、更新自体滞っていたので、まぁ暑さの中ぐだぐだいきます。

っつうことで Digital Mystikz の Mala が主催する Deep Medi から V.I.V.E.K さんの昨年出たダブルパック。

どことなくジャケットがデトロイト風である今作なんですが、中身のほうは硬くて重いベースとドラムで紡がれた、まさにダブステップといった感じのもの。
しかし曲によってパーカッションによって軽妙さを、また女性ヴォーカルによって艶やかさなどを加えていて、この手のものにありがちな全曲金太郎飴的な印象になるのを見事に回避している。
また “STARTEGY” のみ他とは質感の違うテクノ的なトラックながら、こちらも付け焼刃的なものを感じさせないすばらしい出来。

彼は今年に入って再び Deep Medi からダブルパックを出していますが(未聴)、どうせならアルバムで聴いてみたいと思わせるアーティストです。

試聴

DIGITAL MYSTIKZ / RETURN Ⅱ SPACE (DMZ) 3LP

DIGITAL MYSTIKZ / RETURN Ⅱ SPACE (DMZ)
http://www.dmzuk.com/

ダブステップの黎明期から活動する Mala と Coki のユニット Digital Mystikz による2010年発表のファースト・アルバム。
確か事前発表だとこの後もう1枚アナログでアルバム出して(『Urban Ethics』というアルバムが出ている)、その2枚に新曲を足してCDアルバムを出す、という話だったと思うのだが、現在のところCDアルバムは出ていないみたい。

2010年のダブステップといいますと、アルバム単位でみても色々と話題作の多かった年ですが、そんな中にあって DUBSTEPFORUM AWARDS 2011 の「BEST ALBUM / COMPILATION」部門で断トツトップを獲得したのが本作。

とはいっても今作はダブステップの未来を提示したとかいう類の作品ではなく、むしろダブステップの根源的な魅力を凝縮したような作品になっていて、跳ねたリズムと重たいベースによるトラックはとにかく硬質。さらにそれらがアナログらしい素晴らしい音圧で刻まれているもんだから、クラブ・ミュージックとしてのダブステップとしては文句なしの作品になっている。

かといって過去のダブステップの焼き直しというわけではけしてなく、変則的なビートの “MOUNTAIN DREAD MARCH” や、細かく震えるベースがまるでトライバルなハードミニマルのようなリズム感を出している “RETURN Ⅱ SPACE” など実に刺激的。

ということでダブステップフォーラムのアワードで1位になるのも納得の素晴らしい作品なんだけど、惜しむらくはやはり6曲という収録曲の少なさですかね。そういった意味では、やはり CD としてまとまった形で聴けるとまた評価も変わるのかなという気がするんだけど、やっぱり出ないんですかね・・・。

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