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ついでなんで Robag Wruhme が2011年に発表したセカンド・アルバム。
シングルはもちろんの事、ミックスCDやコンピなどがあったのでご無沙汰感は全くないが、オリジナル・アルバムとしては『WUZZELBUD”KK”』(過去記事)以来7年ぶり。
ある家族の休日の一こまを切り取ったようなジャケットが郷愁を誘うが、柔らかな電子音に導かれ、徐々にビートが入ってくる “Wupp Dek” で始まる本作は、ピアノやストリングスなどのメロディを用いながらゆったりとした時間を作り出していて、こちらも回顧的な色合いが強い。
しかしいくつかのインタールードをはさみながら赤ん坊をあやすかのような声で終わる、ある家族の物語を紡いでいるかのような作りは、 Robag Wruhme の作家性が際立つ非常に美しいもので、それでいて以前からのジャズの影響を思わせる細やかなビート・メイクはテクノとしても聴き応えのあるものになっている。
また以前のようなポップさは影を潜めながらも、メロディを多用する事で以前とは違った聴きやすさも獲得していて、改めて彼の音楽的な奥深さを感じさせてくれる本作は、非常に魅力的な傑作だ。

“ROBAG WRUHME / THORA VUKK (Pampa) 2LP+7″” の続きを読む

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Robag Wruhme こと Gabor Schablitzki が2012年6月に発表したシングル。
Wighnomy Brothers での活動を休止させてからというもの、 Kompakt や Pampa からのリリースが目立っていたので、すっかり Musik Krause からは離れたのかと思っていたが、今回は久しぶりに古巣から。
Wighnomy Brothers の活動休止以降の Robag Wruhme は、どうも以前の分かりやすさが失われているようであまり積極的に聴く気になれなかったのだけれど、様々なサンプルやエフェクト、パーカッションによるリズムの緩急などをつけながらも、全体としては終始淡々と進むテック・ミニマルの “Brumby Kapell” 、太いキックとベース、甲高いパーカッションで巧みにグルーヴを練り上げる “Wolluwe” 共に、今作もその点は変わらない。
しかし以前よりも硬質な音作りと、以前からの冷たい音響空間との相性が良く、また時折挿入されるエフェクトなどからじんわりと染み出す軽妙さは、やはり Robag Wruhme らしさを感じさせ、またクラブ・トラックとしての高い機能性も相まって十分に魅力的。
まぁ以前のようなポップな曲をまた聴きたいなぁ、というのも一方で感じるのも事実だけど。

“ROBAG WRUHME / Leistenhans Zwo EP (Musik Krause) mp3” の続きを読む

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先頃 MONKEY MAFFIA とのユニット WIGHNOMY BROTHERS の活動を停止させた Robag Wruhme の、停止後多分2枚目となるシングル。
とはいってもこの人はユニットやっている時からソロでもバンバン出していたし、 WIGHNOMY BROTHERS にしても MONKEY MAFFIA からのインプットがどれだけあったのかイマイチ不明なので、それほど影響はないように思える。
しかし1曲目の “DAKKTYLAFF” からして、狭いコンクリ部屋を思わせる固い音響空間が非常に Robag Wruhme らしいのだが、同時に以前のポップさが影を潜めた暗い曲で、それは残りの2曲も同様。
他にもひねた音使いなどもあって総体としては非常に彼らしいトラックながらも、やはりその暗さはちょっと気になるもので、これが MONKEY MAFFIA との離別の影響なのかは分からないが、これからどう変化していくのかは注視したいところ。
まぁ今作に限っていえばその暗さが全体を引き締めていて、クラブ・トラックとしては機能性が上がって良いんだけどね。


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ちょっと前のリリースなんですが、昨日紹介した Robag さんのミックスCD『Metawuffmischfelge』(過去記事)の最後を飾っていた、 Robag Wruhme の新名義のシングル。
とはいっても、ミックスCDに収録された “Mosca Via” という曲は、 Robag Wruhme が Machiste という名義で2002年に発表したもの。それを何で今頃わざわざ出しなおすのかよく分からないんだけど、彼の今までの活動を見ると、仕事量多い割りに、自分の昔の仕事も大事にしてる感があるので、多分思い入れのある曲だったのでしょう。
なので、現在の Robag Wruhme のテック・ミニマルからするとちょっと毛色の違う曲で、2002年という時代性を考慮したとしても、ずいぶん簡素な印象を受けるローファイなエレ・ポップ。しかしシンプルなリズムの上に乗る、これまたシンプルなメロディが実にいい塩梅で哀愁を感じさせて、これがなかなかの佳曲。
そして1分にも満たないインタールード的な “Delmac” をはさんでの表題曲 “Dash Shopper” は、少しデトロイトっぽいテック・ミニマルで、久々に Robag Wruhme らしい音響感覚が味わえて、こちらも良い。
どうせなら、こちらの曲の方も、ミックスCDで使ってほしかったところです。
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Robag Wruhme という人は、デビュー以来様々なタイプの曲をリリースしてきているわけですが、その中でも一貫しているのは、常にポップさを置き去りにしないということで、それはこの、 Monkey Mafia とのユニットである Wighnomy Brothers での、初のミックスCDでも変わらない。
1曲目からいきなり、 Matthew Dear が False 名義で出した “Fed On Youth” という、かなりディープなミニマル・トラックなんだけど、そこに元 Dead Can Dance の Lisa Gerrard が幽玄な歌声を聴かせる “Come Tenderness” という曲を乗せることで、あれだけ無機質に思えたトラックから、悲しみにも近い情感を引き出していて、まず驚く。
そしてその美しい余韻を残したまま、いくつかのトラックを経た後の、 Agoria による “Les Violons Ivres” の、あまりにも優美なストリングスが鳴り響いて以降、ほとんどの曲に明確なメロディが存在していて、それらがたゆたうようにゆるやかに、しかし確実に紡がれていく美しさを追いかけているだけで、気がつけば1時間強が終わっている。
中でも、個人的には昨年のベスト・リミックスだった、 Stewart Walker の “Fernbank 91” (過去記事)の Robag Wruhme によるリミックスをクライマックスとした、後半の美しさは筆舌に尽くしがたい。
はっきりいってノリのいい物を求めている人には不向きだと思うし、何か画期的な手法がとられているわけでもない。でもそんな不満などものともしないような美しさがあるのも間違いない。久々に Robag Wruhme の作家性に感服した大傑作。
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ちょっと前にリリースされたやつなんですが、フランスの3人組 dOP のシングル。
この dOP というグループは、プログラミングとキーボードとヴォーカルによる3人組のバンドらしく、さらにフランス出身というと Noze の名前を思い出さずにはいられないんだけど、この二組は実際共演なんかもしていて、さらにジャズやファンクを基調としている点でも似てはいるんだけど、今作においてはそんな事は重要じゃない。
というのも、表面に収められた “Foly” と、その曲の Robag Wruhme によるリミックスが素晴らしいからで、アフロトライバルなトラックの上に、タブラやアフロ・チャントといったいかにもな素材を使いながらも、パロディにならずにきちんとしたクオリティを持ったオリジナルが、まずかなり独特な雰囲気を発している。そして、そこにさらに様々な要素を加えつつも、すっきりと聴かせる Robag Wruhme のリミックスは、正に彼の面目躍如といった感じで、さすがに外さない。
他の曲も、捻くれたポップ感覚を宿しながらも、すっきりと聴けるファンク・ミニマルで、作品トータルでもよく出来ている。
この作品のヒットによって、名前もずいぶんと広まったようだし、今後の成長が楽しみでなりません。


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以前紹介した Robag Wruhme の未発表曲集(過去記事)のCD版。
そもそも Robag Wruhme という人は、 Volker Kahl とのユニットである BEEFCAKE として1997年ごろから活動していた人らしくて、今作のタイトルから察するに、その当時から現在までの未発表曲を集めたのが本作ということでしょうか。でもクレジット見ると、半分くらいは既発曲で、しかもわりと最近の曲ばっかな感じなんだけど、まぁいいや。
内容の方は先行のEP同様、ブレイク・ビーツやブレイク・コアが中心で、印象はそのEPと変わらないかな。全然悪くないんだけど、やっぱり3曲入っている四つ打ちの方が断然良い。あとはラストの14分にもわたるアンビエントが良かったかな。でもやっぱりマニア向けの感は否めない作品です。
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なんかまたサーバの方の調子が悪かったみたいで、このブログ少しの間見れませんでしたね。これで今年入って3、4回目なんだけど、この不安定さはどうにかならんもんかしら。
わりとミニマル回すDJから支持のある vakant の、昨年出たミックス・コンピ。
vakant というレーベルは私の中で、良くいえば流行を敏感に察知している、悪くいうと二番煎じ的なイメージがあるんだけど、ここに収録されている曲も最近のミニマルのトレンドを取り入れたものがほとんどで、正直新鮮な驚きというのは感じないんだけど、その分DJツールとしての完成度が高く、ミックスされて聴くと非常にかっこよい。それに二番煎じとは書いたけど、安易にメロディに頼ることもなく、自然な流れで盛り上げていくのも好感が持てる。
ミックスとしてもコンピとしてもなかなかの佳作ではないかと。

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