nsi. / non standard institute (Sahko) CD

non standard institute
http://www.sahkorecordings.com/

こちらは nsi. が2007年に出したファースト・アルバム。アーティストが nsi. で、レーベルが Sähkö という組み合わせでは、どう考えたって実験的な作品だろうという感じですが、案の定実験的。

深~い音響世界の中で、メロディともつかないような断片的なフレーズを奏でる max loderbauer のピアノに、 tobias freund によるエレクトロニクスが絡む、ドローン/ミニマル・ミュージックといった趣の作品。

正直この手の作品はほとんど聴かないので、専門的に語る言葉は持っていないんだけど、空間と間を生かすことで、静けさを演出した音響構築は非常に秀逸。さらに高い緊張感の中にも、過度に実験性を感じさせない為、思いのほか聴きやすく、元々ピアノの音色が好きなせいもあってか、何度も聴ける作品になっている。これまた傑作です。

試聴

Mika Vainio / IKUINEN (SAHKO)12″

Mika Vainio / IKUINEN
http://www.sahkorecordings.com/

加藤和樹」って知ってますか?
最近街中でこう書いてあるトラックをよく見かけるんだけど、今日川崎行ったらその加藤和樹さんのミニ・ライヴがラゾーナでやってまして。
それがねぇ、なんかもうすごかった。彼が世間で一体どれほど認知されているのかは知らないけど、結構な大きさの広場を埋め尽くす婦女子が一糸乱れぬ感じで手を振っててさ。よくロック系の人が、ああやってみんなで同じ動きするのが気持ち悪い、みたいな事を言ったりしますが、実際見ると圧巻ですね。それをステージの上から見ているミュージシャンはさぞかし気持ちよかろう。
まぁその代わり歌は全く印象に残ってないんですけどね。

そんな加藤和樹さんとは欠片も接点がないと思われる Mika Vainio の新作。彼は先頃 Ilpo Vaisanen とのユニット Pan Sonic でもアルバムを出したばかりだけど、今作はソロでは2年ぶり。

まず音が鳴った瞬間に圧倒的な音響構築にハッとさせられるんだけど、そんな鋭い音響空間の中をなぜかベースだけがぬめり気をもって蠢いていて、それは Mika Vainio 流のダブ・ステップとも思えなくもないサウンドではあるのだけれど、でもやはりこれはかなり異形なミニマル・トラック。でも B サイドにいくにしたがって、徐々にノイズまみれになったかと思うと、終盤でノイズともメロディともつかない美しいアンビエンスに包み込まれて終わるので、それほど難解な感じはしない。
結構クセになるサウンドです。

視聴

RICHIE HAWTIN / DE9|TRANSITIONS (M_NUS) DVD+CD

DE9: Transitions
DE9: Transitions
 
http://www.m-nus.com/

これもミックスCDです。っていうか今更書いてもって感じもしなくはないんですが。
前作の『DE9: Closer to the Edit』 では FinalScratchを駆使して独自のミニマル感を出したミックスを披露していたわけだけれども、今作はさらに ABLETON LIVE も追加してトラックを加工しまくってます。
で、話はちょっと変わるんだけど、この前 Madonna のアルバム聴いた時に思ったんだけど、使われてる音が当たり前の場所で当たり前のように鳴っているのってツマラナイなということなんですよね。クリック系ってエレクトロニカからの流れもあるんだろうけど、音の響きであったり位相なんかがより考えられていると思うんですよね。だから不意打ちのように気持ちいい音が鳴ったりして、そこが好きだったりします。
で、このアルバムはDVDがメインということなのだけれど、買って1ヶ月くらい経つのにほとんどそちらは手付かず。まぁ、うちサラウンド・スピーカーないしね。でもCD音源でも充分そこら辺の「音の鳴り」に対する快楽性は高く、さすが作りこんであるなという感じです。
でもその割りにグルーヴ自体は淡々としていて、普通のDJにあるような、どこか思いもよらない場所に連れて行ってくれるような感覚は希薄で、期待が大きかった分、この人だったらもっととんでもない物が出来たのではないか、なんて思ったり思わなかったり。
っていうのも、トラック・リストを見るとほとんどこちらの予想の範囲内というか(っていうか7,8割方の曲が分かる自分もどうかと思うが)、意外性に欠けるのよね。少し意外だったのは N.S.I くらい。だからそれをいくら加工しても驚きがないんですよね。とはいっても “ORANGE MISTAKE” のリズムが入ってくるところとか超アガルけど。
なんか取り止めのない文章になってきちゃったけど、DVDのサラウンドで聴けば印象も変わるんだと思います。でも基本的には好きな作品です。
あと蛇足ながら、これ聴いて思うのは和尚って色気とかポップに全然興味ないのね。そこら辺盟友の Villalobos にでも学ぶとまた変わると思うんだけど。でも色気づいた和尚ってそうとう気持ち悪いですね(失礼)。