Soulphiction / Riot Party II (Musik Krause) Flac
Musik Krause から Soulphiction が2014年に発表した EP の続編。
今作に関しては何はなくとも1曲目の “Misty Roots” で、揺らめくようなオルガンとビートの絡みが気持ち良くて、本当に好きすぎる。この人はハウス系の人にしては珍しく短い曲の方が良いものが多い気がするんですが、今作も大当たり。残りの2曲も、ファンキーな “Bricks” と、低音の歪んだデトロイト・ハウスな “Amerika” ともに良く、3曲しか収録されていないのが非常に惜しい。
この人に関してはそろそろアルバム聴きたいところなんですが、その前に、今作の続編でパーが出る感じなんでしょうか(前作がグー、今作がチョキなので)。
SoulPhiction / Drama Queen (Philpot) mp3
http://philpot-records.blogspot.jp/
Soulphiction こと Michel Baumann が2012年12月に発表したシングル。
Michel Baumann というとシカゴ路線の Jackmate 、デトロイト路線の Soulphiction の二つの名義を使い、ミニマルが所謂クリック・ハウスと日本で呼ばれていた時代から活動しており、また今でも以前と変わらぬペースでリリースを続けている人物なわけですが、その才能は枯渇とは程遠い事を実感させてくれるのが本作。
ハイハットに導かれるようにパーカッションとキックがゆったりと入ってくる序盤がまずいいのだが、その後ジャジーでいながらも荒々しく力強く鳴るピアノがグルーヴを加速させる中盤、長いブレイクの後中盤とはうって変わって優雅に鳴るピアノをバックに女性ヴォーカルが歌う後半と、4分半強の曲で様々な面を見せながら、それでいてきちんとまとまりのあるハウスに仕上げていて、この人の音楽的センスには改めて恐れいる。
もう1曲の “Soul Brother No.2” は、低めのアシッドっぽい音を基調とした彼にしては珍しい感じの曲ながら、そこにピアノとストリングスを絡める事により、 SoulPhiction らしいブラック・ミュージックの色が濃いハウスになっていて、こちらも良い。
こうなってくると、以前製作中との話だった3枚目のアルバムをいいかげん聴きたいのだが、一体いつになるのだろう。
Radiq / MO’ ROOTS (philpot) 12″
http://www.philpot-records.net/
たまに何でこの人は今までこのレーベルからリリースしなかったんだろう、と思える絶妙なアーティストとレーベルの組み合わせというのがありますが、ジャズやソウルを消化して独自のハウスを生み出している Radiq こと半野喜弘と、様々なブラック・ミュージックの影響をにじませたビートダウン・ハウスをリリースする philpot は、なぜ今までリリースがなかったのか不思議に思えるほどの組み合わせで、やはりこのレーベルは信用できると改めて思わせてくれる。
そして素晴らしいの組み合わせに答えるようにトラックもよく出来ていて、表題曲の “Mo Roots” はねちっこいギターとオルガンが実にファンキーなミニマル・ハウスなのだが、そこにきちんと洗練が加えられ、ファンキーとは相反するような落ち着きさえ感じられるのが面白いし、構成要素はそれほど変わらないもののアッパーなハウスに仕立てた “Ride On!” と共に素晴らしい。
また原曲にどす黒いグルーブを注入した soulphiction による “Mo’ Roots” のリミックスも非常に「らしい」出来で、これは3曲とも文句なしの傑作。
soulphiction / the chocolettes two (Musik Krause) 12″
Jackmate こと Soulphiction こと Michel Baumann さんの『the chocolettes』第2弾。
前作(過去記事)はドラムが乱れ打つインパクト大なミニマルでしたが、今作も変てこですね。
1曲目の “The Royal Pennekaums (chocolettes Nervous Mix)” はキックの音がやたらとでかいむぎゅむぎゅミニマル、 “Nobody ever” はゆったりとしたディープ・ソウル、 “In Dub” はタイトル通りスカスカなミニマル・ダブ、 “Sirens” はソウルに近いといえなくもないけど、なんだかよく分からない短いインストで、方向性としてはどの曲も見事にバラバラ。
正直全体の統一感とか全然ないんだけど、 Michel Baumann がここまでバラバラな方向性を提示してくるというのは、逆にに珍しいんじゃないですかね。
ということはこの『the chocolettes』は彼にとってガス抜きの場なのか実験の場なのか。なんにしても今後も面白いのが期待できそうです。
Manmade Science / One (philpot) CD
http://www.philpot-records.net/
んで、こちらは soulphiction 、 Jackmate こと Michel Baumann が、 Benjamin Lieten 、Nik Reiff と組んでいるユニット Manmade Science の2007年に出たファースト・アルバム。
このユニットでも、大枠では soulphiction 同様、デトロイト系のディープ・ハウスではあるんだけど、決定的に違うのは、こちらの方がはるかにレイドバックしていて、ガラージなんかに近いものになっているところ。
なのでむしろ王道のハウスとか好きな人にも受け入れられる音だとは思うんだけど、個人的には、普段エレクトリックな音に慣れすぎているせいか、ここまで生音感が前面に出ていると、ちょっと好きとはいいがたいかなぁ(その辺りは非常に微妙なバランスではあるんだけど)。
まぁ色々な音楽要素も取り入れられた、非常に良く出来たアルバムだとは思うけど。
soulphiction / do you overstand?! (SONAR KOLLEKTIV) CD
http://www.sonarkollektiv.com/
Jackmate の名義でも知られる Michel Baumann の soulphiction 名義では2枚目となるアルバム。
前作の『state of euphoria』(過去記事)は全てのブラック・ミュージックの要素を溶け込ませたようなダウンビート・ハウスだったけど、そこにあったざらついた空気と、沈み込むような感覚というのは今作ではだいぶ後退し、非常に洗練されたディープ・ハウスになっている。
おそらくコレは、今作でリスニング向けというのを追求した結果ではあるんだろうけれど、 soulphiction が元来持っていた個性を損なっている面があるのが否めない。
とはいえアルバムの完成度自体は非常に高く、くぐもったビートと美しい上モノが絡み合う “Touch From The Past” や “Dark Berry” のようなトラックには、抗いがたい魅力を感じる。
それに逆に考えれば、非常に聴きやすいので、 soulphiction の入り口としては中々適した作品のようにも思える。まぁコレではまったら、次に色々なシングルを聴いてほしいとは思うけど。
soulphiction / the chocolettes one (musik krause) 12″
Michel Baumann の二つの名義である Jackmate と Soulphiction 。この名義はそれぞれシカゴとデトロイトの影響を反映したものだったのが、以前も書いたように、その境はずいぶん曖昧なものになっています。
しかし今作の “Maoamba” はそのどちらとも違って、アフロ・トライバルなディープ・ハウス。なんでも GINGER BAKER の “Blood Brothers 69” という曲がネタらしいんだけど、ここまでドラムが乱れ打たれるとかえって踊りにくいのではないか、と思ってしまうほどドラムの連打が凄まじい。でもその分トラックのインパクトも強く、最近多いパーカッシブなものの中でも男気を感じます。
残りの2曲も、変拍子を刻むパーカッションと、他の音との絡みがスリリングな “Rise” 、お得意のソウルフルなヴォイス・サンプルを使ったハードなハウス・トラック “Jungle AD” といずれも高品質。
もしかしたら今のミニマルだとこの人が一番好きかもしんない。
JACKMATE / MALE KICKS (PHILPOT)12″
http://www.philpot-records.net/
最近色々あって、どうも気分が落ち気味なので、テンション低めな文章がしばらく続くかと思います。すんまそ。
とか書いてみたんだけれど、じゃぁいつものお前の文章はテンション高いのかと聞かれると、首を90度位に傾げてしまうわけで、だったらいつもと変わらないのかなぁと思いつつ、あんまり気にせずいきましょう。
このブログでは何度か紹介している、 Michel Baumann さんの Jackmate 名義での新作。この人はシカゴな Jackmate と、デトロイトな Soulphiction という二つの名義を使い分けているのですが、近年その二つの名義の境というのがずいぶんと曖昧になってきていて、このシングルなんか結構デトロイト寄りなんじゃないですかねぇ。まぁ私はシカゴ・ハウスなんか全然分かってない人間なんで、聴く人が聴けばシカゴっぽさも感じるのかもしれないけど、私なんかが聴くと、温かみのあるシンセとくぐもったキックの音が鳴る “GOTHAN” なんか、普通にデトロイト・ハウス。とはいっても曲はいいので全然文句はないのですが、さらに良いのが裏の表題曲。アフリカン・パーカッションを使ったトライバルなミニマルで、最近多いこの手の曲に比べても、はるかにダイナミズムがあって小気味良い。後半のリズムの展開もカッコいいし、曲全体にわずかにジャズの香りが漂っているのも良い。やはりこの人才能あります。
JACKMATE / BLACKBOX (phil e)2LP
http://www.myspace.com/phile2000
何気に blog や SNS ってそれなりに手出してるんだけど、イマイチ面白くなくてどれも長続きしません。やはり目的がないとダメということでしょうか。それなのに、遅ればせながら Twitter ってやつを始めてみた(右上のやつがそうです)。でも特に面白い事もなく、なんだか早々とやめてしまいそうな予感・・・。
昨年の soulphiction 名義でのアルバム『state of euphoria』が素晴らしかった Michel Baumann の、 Jackmate 名義では多分3枚目となるアルバム。彼はこの前も Manmade Science という3人組のユニットでアルバム出したばかりなので、ずいぶん働くなと思ったんだけど、制作時期が1997年から2007年までと書いてあるので、おそらく未発表曲集に近いものなんだと思います。リリースは philpot のサブ・レーベルから。
以前も書いたんだけど、 Michel Baumann にとって soulphiction がデトロイトからの影響を色濃く映したものだとすれば、この Jakcmate という名義はシカゴ・ハウスからの影響を打ち出していて、冒頭の短いイントロに続いて鳴らされる、スカスカの音作りと跳ねるビート、そして声ネタなんかは確かにシカゴっぽい。
しかしシカゴ・ハウスに殊更詳しくもなければ思い入れもない私からすると、シカゴ・ハウス云々というのは正直どうでもよくて、それを下敷きにしながらも、見事にミニマル以降の感性で仕上げているところで、単なる解雇主義的なものになっていない。さらに最近のミニマルには欠けがちな、聴き手を強引にでも踊らせようとする粗野なグルーヴがあって、もうめちゃくちゃかっこいい。
個人的にはこれでもっと曲が長ければいう事ないんだけど、逆にいえばトータルで40分ほどしかないこのアルバムは、あまりダンス・ミュージックに親しんでない人でも聴きやすいのではないでしょうか(まぁアナログでしか出てない時点で敷居が高いんだけどiTunes Store でも売ってた)。