2025年上半期ベスト・ソングに続いてアルバム。あんまり意識してなかったけどわりと躁鬱な感じね。疲れてるのかしら。
- Haim / I quit
カリフォルニア出身の3姉妹バンドの5年ぶり4枚目。基本的には前作のロック路線をさらに推し進めたような内容で、曲、演奏共に素晴らしい。MJ由来の跳ねた感じがほとんどなくなったことにさみしさを覚えつつも、今までの作品で一番好きかも。アナログとCD両方買ってしまったよ。- Sandwell District / End Beginnings
まさかの新作。Mønic の加入でベース・ミュージック的な要素が出てくるとのかと思ってたけど、まぁそんなことはなく、前作同様のシンプルなテクノ。しかし鍛錬の末の一筆書きのような力強さがあり今作も文句なし。- 44th Move / Anthem
J Dilla から影響を受けたピアニストの Alfa Mist と、 Photek “Hidden Camera” を人力カバーするドラマー Richard Spaven によるユニット。2020年の EP 以降あまり動きがなかったように思うけど、5年ぶりでまさかのアルバム。前作よりもヒップホップの要素が強くなった印象だけど、音の気持ちよさは変わらず。正直各人のソロに関してはピンとこないのもあるんだけど、このユニットは全曲好き。- Chihei Hatakeyama & Shun Ishiwaka / Magnificent Little Dudes
発売されたのは2024年なんだけど、アナログ待ってたのでちゃんと聴くのが今年に。とりあえず私はずっとドラムがパタパタ鳴っているような音楽が好きなのですよ。柔らかなギターと電子音も心地よい。レコ発ライブも行ったけど、そちらはよく分かりませんでした。- RIIZE / ODYSSEY
韓国 SM 所属の6人組。あんまり男性の K-POP グループって聴かないんだけど、たまたま聴いたデビュー曲の透明感のあるヴォーカルとハーモニーが好きで、以降もずっと聴いている。それは初のフル・アルバムとなる今作でも変わらず。個人的にはこの手のグループのアルバムはあまりバラードがないほうが好みなんだけど、今作は後半のバラード系連発がしびれる。- Daniel Herskedal / Movements Of Air
ノルウェーのチューバ奏者のトリオ作。当然主軸となるのはチューバながらも前に出すぎることなく描かれる静謐な音世界が本当に美しい。この人のアルバムは何枚か聴いてるけど今作が一番好き。ピアノで参加している Eyolf Dale のリーダー作も良かったです。- SouphL / Flore
絵やテキストを担当するメンバーも含めると総勢12人にもなるカナダのバンド。ジャンルとしてはグラインド・コアに大別されるのかなとは思うんだけど、フリー・ジャズの要素も強く、実際はもっと混沌としている。その分聴き手を選ぶ気もするんだけど、前作よりも激しい曲が多いのもあって私は楽しめました。この手のバンドにしては珍しくベースが目立つのも面白い。Brutal Truth とか思い出します。- 川島明 / アメノヒ
川島明というと低くて強い声という印象だったので、柔らかなシティ・ポップの “D Breeze” がまず意外で、そこで一気に引き込まれた。正直歌唱力に難がないといえ嘘になるんだけど、毎日「ラヴィット!」見てるので彼の声に心地よさを覚えているのも大きかった。曲も良曲ぞろい。- Kop-Z / A Non-Equilibrium Thermodynamic System
ケニア系イギリス人のプロデューサーによるフィジカルとしては初の作品。ドラムンベースにジューク、テクノなど様々な要素を飲み込んだビートは複雑ながら非常にダンサブルで、さらにドラム、ベース共にたっているのも良い。この人はフル・アルバム聴いてみたいですね。- Bktherula / LUCY
アトランタのラッパー。23、24年とミックステープが続いていましたがこちらは多分アルバム。大枠の方向性は以前と変わっていないものの、早口のラップだけにとどまらず、ゆったりとした歌の表現力も上がっていて、それに伴い全体の完成度も上がっている。- Offtrack / OFK 002
アイルランドのプロデューサーの、タイトル通り2枚目のアルバム。全20曲、アナログだと4枚組の大作ながら、終盤にエレクトロとアンビエントがある以外は全てフロア使用のミニマル・テクノ。ある程度スタイルの幅がありながらも基本トーンは一貫していて、かつ音が重すぎないので長尺も気にならない。けっこう唐突に終わる曲が多いのも昔を思わせてよい。- SlimeGetEm / Get Em
調べてもあまり情報が出てこないんだけど、ワシントンD.C. のラッパーさん。ドリルを基調をしながらも金属的な音が目立つトラック(こういうのを「Free Car Music」というらしい)と、甲高い声の早口ラップの混沌具合はインパクト抜群。この後に出た今年2枚目のアルバム『2923 Hours』も良かったです。- James Din A4 / Never Look Back
2024年にまさかの復活アルバムを発表したドイツのプロデューサーによるアルバム。この人らしいひねたポップさを感じられるミニマル・ハウスながら、同時に冷たさも感じられる不思議な作品。何度聴いても聞き飽きない。- NORIKIYO / Cookin’ Selfish
収監中にもかかわらずリリースが途絶えることのなかった Norikiyo の11枚目のアルバム。ここ何年も続いていたディス曲と、大上段に構えたようなお説教クサい曲があまり好きになれなかったんだけど、今作は収監も影響しているのかいつもよりも幾分ユルめの曲調が多く、また歌詞も人生に対して前向きなものが多いので楽に聴ける。- Darkness Darkness / Animation
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謎のレーベル A Visiting Link から、これまた正体不明のアーティスト Darkness Darkness によるダブ/アンビエント。まず冒頭、10分以上にわたり疾走感のあるリズムを追いかけるように低音が押し寄せる “Animation” が圧巻。それ以降もリズムを主に担うのがシンバルやノイズの類なので分かりやすさには欠けるものの、音の抜き差しによる緩急で見事に聴かせる。