JK FLESH/PRURIENT / WORSHIP IS THE CLEANSING OF THE IMAGINATION (HYDRA HEAD) 12″

JK FLESH/PRURIENT / WORSHIP IS THE CLEANSING OF THE IMAGINATION
http://www.hydrahead.com/

JK Flesh と Prurient が2013年1月に発表したスプリット盤。

JK Flesh こと Justin Broadrick は2012年に発表したアルバム『Posthuman』でダブステップの要素を取り込んでいたらしいんだけど(未聴)、今作ではメタル・リフとジャングル的な性急なブレイクビーツを組み合わせていて、リズムとノイズの有機的な絡みは非常にかっこいいのだが、今聴くと Demdike Stare のジャングル回帰と共振する感じもあって面白い。

音圧で圧倒するノイズ/ドローンの PRURIENT も良い。

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Jamie Isaac / I Will Be Cold Soon (HOUSE ANXIETY) mp3

Jamie Isaac / I Will Be Cold Soon (HOUSE ANXIETY)
http://houseanxietyrecords.com/site/

全然更新していなかったので、リハビリがてらぽつぽつ書いてみる。

ロンドン出身の18歳、 Jamie Isaac が2013年の7月に発表したデビューシングル。以前 King Krule とコラボなどもしていたようだが、私は今作で始めて聞いた。

この人の音楽は色々なところで書かれているように James Blake に非常に近い。ピアノの弾き語りに近いスタイルで、深いベース音が絡むところなんか確かにそのまんま。
ただ James Blake の音を特徴づけているノイズがかった音響構築などはないため、音数も少ない事から静謐な印象が強く、その音世界を崩すことない透明感のある歌声は非常に魅力的。要は歌ものとしても聴きやすいく James Blake の歌が未だに好きになれない私からするとうれしいところ。

また彼の Bandcamp に上がっている音源を聴くと、以前はインストのアンビエントを作っていたようだが、今作でも緩やかにひろがるアンビエンスは非常に心地よく、今作を一層魅力的なものにしている。

まぁ今作は曲のタイプが全部ピアノ・バラードなので、アルバムでも全部これだとさすがにきついとか、逆にバラード以外はどうなのかとか、不安がないわけではないんですが、とりあえず今後が楽しみな新人さんかと。

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JAMES BLAKE / OVERGROWN (republic) CD

JAMES BLAKE / OVERGROWN (republic)

JAMES BLAKE / OVERGROWN (republic)
http://jamesblakemusic.com/

ロンドンのアーティスト James Blake が2013年4月に発表したセカンド・アルバム。

2011年に発表されたデビューアルバム(関連記事)はダブステップの要素を期待しすぎたせいなのか、世間での評価をは裏腹に、自分にはよく分からない作品でした。ただそれ以降も James Blake は話題に上る事が多く、それに比例して耳にする機械も多かったし、昨年オフィシャル・ブートのような形で発表されたライブ盤(もうファイル削除されちゃってるのね)をけっこう聴いたせいか、 James Blake に対する苦手意識がなくなったというか、要は慣れた。

ということで、今作はわりとフラットな気持ちで聴けたんですが、前作よりもずっと好きな作品ですかね。

柔らかな低音の上で James Blake が切々と歌うタイトル・トラックの “Overgrown” に始まり、語りかけるような RZA のラップがかっこいい “Take A Fall For Me” 、振動するようなベースと、その上で跳ねるようなスネアの絡みが刺激的な “Digital Lion” 、最終曲らしくじょじょに沈み込んでいくような感覚が心地よい “Our Love Comes Back” と、相変わらず地味ながらも良曲ぞろい。
また以前は消え入りそうだった James Blake の歌唱も堂々としたものに変化していて、その分歌ものとしての魅力も増した。

ただ全てが良い方向に変化したわけでもなく、 James Blake の大きな特徴の一つだと思っていた、霞みがかった音響構築がなくなっていて、そうなってくると最近のエレクトリックな R&B とあんまり変わらない気がするし、 “Voyeur” での安易な四つ打ちとか聴いてると、ちょっと今後が心配にならなくもない。

まぁそうはいっても先日行われた来日公演は大絶賛の嵐だったので、今後もアーティストとして健やかに成長してくれる事を願いたい。

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James T. Cotton / Like No One (Spectral) 2LP

James T. Cotton / Like No One (Spectral)
http://ghostly.com/releases#Spectral

Dabrye の名義で知られる Tadd Mullinix の別名義、 James T. Cotton が2008年にアナログとデジタルのみで発表したセカンド・アルバム。

James T. Cotton というのは彼がアシッド・ハウスをやるときの名義なので、今作も当然のようにアシッド・ハウス。しかも1曲目の “The Second Night Cycle (Featuring Ellis Monk)” のうにょうにょする 303 の音とか、けっこうモロな感じではあるんだけど、音の質感的にはミニマル以降の感覚があるので、単なる懐古的な作品にはなっておらず、温故知新的な面白さがある。

Like No One - James T. Cotton

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JMSN / Knocksteady Live (Knocksteady) mp3

JMSN / Knocksteady Live (Knocksteady)
http://www.knocksteady.com/

昨年発表したアルバムが傑作で年間ベストにも入れた(関連記事)、現在 LA を中心に活動している JMSN が Knocksteady からポッドキャストで配信したスタジオ・ライブ音源(Knocksteady はアパレル・ブランドなのかな)。

彼は Weeknd 以降といった感じのアンビエント R&B をやる人で、アルバム以降も Ab-Soul や Kendrick Lamar の作品に参加してる注目の存在ですが(Ab-Soul とのコラボ作が今月出るとかいう話)、歌い手としては気持ちよく喉を鳴らすというよりは、どちらかというと繊細な歌声を聴かせるタイプの人なので、ライブはどうだろうと思ってたんだけど、案の定ヴォーカルに関してはちょっと頼りない感じ(思ったより悪くないけど)。

ただバックが生演奏になったことで曲の躍動感が増し、輪郭がはっきりした事でアルバムの印象からは若干変わってはいるんだけど、それでもメロディの美しさは堪能できるので、なかなか聴き応えがある。
ちなみに披露している曲は “Jameson” 、 “Alone” 、 “Do U Remember The Time” という、アルバムの冒頭に配された3曲(もう少しひねろうよ)。

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Jack Dixon / 1 (Self Released) mp3

Jack Dixon / 1
http://www.facebook.com/jackdixonmusic

ロンドンのアーティスト Jack Dixon が2012年12月にフリーで公開した3曲入りシングル。

この人の名前は今作で初めて知ったんだけど、 Discogs 見ると Hotflush なんかからもシングルを出しているみたい。

なら今作はダブステップなのかというとそんな事もなく、変則的な四つ打ちのテック・ハウス。
なのでそれほどダブステップとの折衷的な要素は感じられないものの、どの曲に関しても、きちんと躍動感を持ったリズムと落ち着いた感じの上モノを無理なく融合させていて、実力の高さが伺える。また繊細な音作りも魅力的。

ちょっと名前を覚えておきたいプロデューサーです。

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JoJo / Agapé (Self Released) mp3

JoJo / Agapé
http://www.jojoonline.com

2005年に若干13歳でデビューした(過去記事) JoJo が2012年12月に発表したミックステープ。

2010年のミックステープ(過去記事)聴いたときには特に感じなかったんだけど、今作では以前よりも若干声が低くなっていて、全体的に大人びた雰囲気になっている。またその声にあわせたのか曲自体も落ち着いたものが多く、心地よく聴ける。

ただ難をいえば、普通の R&B という感じでイマイチ個性がみえないところなんですが、まぁそれはデビュー時の溌剌としたところが好きだった人間だからですかねぇ。
作品としては全然悪くないんだけど。

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Joy Orbison, Pearson Sound & Boddika / SUNKLOFREE (Sunklow) 12″

Joy Orbison, Pearson Sound & Boddika / SUNKLOFREE (Sunklow)

Joy Orbison が Instra:Mental のメンバーでもある Boddika と立ち上げたレーベルの3枚目は、その二人に Ramadanman の別名義 Pearson Sound が加わったシングル。

流麗さの目立つ Joy Orbison の単独作に比べると、女性のヴォイス・サンプルを印象的に使っているところなんか「らしい」ものの、タメの効いた力強いベースが前面に出ていて、そこがこの3人ならではという感じ。しかもドラムの音が非常に軽く、ダブステップとも明らかに違っていて、ベースラインで曲を引っ張る、正にベース・ミュージックというものになっている。

そしてそのベースラインを無理やり四つ打ちに落とし込んだような “Nil (Reece)” 、 “Moist” も非常に面白く、実験的ながら個性の光るシングルだ。

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Joy Orbison / Ellipsis (Hinge Finger) 12″

Joy Orbison / Ellipsis (Hinge Finger)
https://twitter.com/HingeFinger

Joy Orbison のレーベル Hinge Finger の2枚目は、何気に単独作としては久しぶりな Joy Orbison 自身のシングル。

Joy Orbison っていうと自身の名を知らしめた2009年の『Hyph Mngo』(過去記事)の時点で、テクノ感の強いダブステップを作る人ではありましたが、今作は完全に四つ打ちのハウス。
振動するようなベースラインはさすがベース・シーン出身という感じだけど、淡い音色が徐々に広がっていくようなシンセや Source Direct のインタビューから引用されているというヴォイス・サンプルの流麗さは、タメのあるダブステップとは明らかに一線を画していて、それでいて後半の鼓舞するようなピアノ含め、全ての要素が溶け合うように調和した実に美しい曲。
私が聴いたことのあるこの人の曲の中では一番好き。

一方の Shed の Head High 名義でのリミックスは、狂ったように鳴らされるドラムのブレイクビーツと、原曲のベースラインとピアノによって縦に横にと振らされるすごいリミックスで、非常にアッパーでありながらも単純なクラブ・トラックにはなっていない流石の出来。

素晴らしいシングルです。

試聴

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JAY BLISS / The Art Of Doing Nothing EP (Initials) mp3

JAY BLISS / The Art Of Doing Nothing EP (Initials)
http://www.facebook.com/jay.bliss.music

一応前回、前々回とデジタルで買えるルーマニアン・ミニマルを紹介したんですが、今回ので最後です(本当はシリーズ化してみたかったんだけど数が足らなかった)。

っつうことで、2003年ごろから活動しているらしい Jay Bliss さんがイギリスの新興レーベル Initials から出したシングル。

この人は色々なレーベルから作品を出していて良い作品も多いのですが、今作はあまり特徴のないミニマル・ハウスで、まぁ良くもないけど悪くもないという感じ。
なので作品としてはかなり微妙なんですが、例外なのが14分にも及ぶ Petre Inspirescu のリミックス。
Petre Inspirescu は細かい部分まで作りこんだ印象のトラックが多い人ですが、今回のリミックスも細かい音の抜き差しでじっくりと展開し、何か起こりそうな予感を引っ張りつつも、結局何も起こらないという素晴らしいもの(褒めてます)。

ということで、 Petre Inspirescu のリミックスのためだけに買っても十分元取れるシングルかと(デジタルで1曲ずつ買ってもいいんだけど)。
ちなみにデジタルの方がアナログより1曲多いです。

The Art of Doing Nothing - EP - Jay Bliss

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