DJ NOBU a.k.a. BOMBRUSH! / BLACK FILE THE BOMBRUSH! SHOW 2 (PONYCANYON) CD

DJ NOBU a.k.a. BOMBRUSH! / BLACK FILE THE BOMBRUSH! SHOW 2
http://www.spaceshowertv.com/blackfile/

DJ NOBU が日本のヒップホップのみを使ったミックスCDの2枚目。

前作(過去記事)に続いて話題曲や注目曲の多くが並んでいて便利な1枚だとは思うんだけど、どうもDJミックスというとテクノやダブステップのものを聴く事が多いせいか(まぁ最近ミックス自体聴く事少ないんだけど)、トラックで繋ぐのではなくラップで繋いでいる印象の強いこの手のミックスは、あまりDJミックスを聴いている気がしない。

まぁそれでもあえてミックスCDとしての感想を書くと、冒頭の “STAY STRONG” ~ “人間交差点” ~ “I REP” 、またその少し後にくる “World’s End” ~ “ONCE AGAIN” という涙腺を刺激する感じの曲の並びの印象が強すぎて、どうもその他のハーコー路線の曲が埋没しているように思えるし、それゆえに大した山場もないまま終わっちゃうのがもったいないかなと。

あと日本のヒップホップはトラックが良いのが少ないなぁというのも改めて思うことで、音そのものの力が弱かったり、グルーブがなくのっぺりとした多いんですね。

なので逆に、単独で聴くとフロアヒット云々と書かれている事がピンとこなかった “デッパツ進行” の機能性の高さに気づかされたり、 DJ MITSU THE BEATS のトラック作りの妙には自然と耳がいったし、初めて聞く名前ながらトリッキーな印象のラップとトラックを上手くまとめ上げている KGE THE SHADOWMEN & HIMUKI はアルバム単位で聴いてみたいと思った。

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DABO / HI-FIVE (EMI) CD

DABO / HI-FIVE (EMI)
http://ameblo.jp/dabo-blog/

DABO が11月に発表した4年ぶり5枚目のアルバム(『Baby Mario World』はカウントされないのね)。

派手なトラックの上でオレ自慢と女の事を中心にラップしていく内容は、久し振りに DABO の作品を聴いたという感じがして、雰囲気自体は悪くはないんだけど、どんどんでかくなっていく一方の口と、それに反して落ちていく曲の完成度のギャップに悲しくなる場面も少なくなく、歌詞は全くひっかりがなく右から左だし(”ケツにマシンガン” みたいに不快な言葉ばかりが並んで引っかかる曲なあるけど)、トラックはどれもよく出来ているけど無個性だったりと、まぁぶっちゃけ彼のキャリアの中でもかなりの駄作。

メジャーからのリリースであるにもかかわらず2000円未満の価格設定など応援したくなる部分もあるんだけど、この内容じゃとても応援する気にはなれん。

Hi-Five - Dabo

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DABO, ANARCHY, KREVA / I REP (LEXINGTON) CD

DABO, ANARCHY, KREVA / I REP (LEXINGTON)

DJ HAZIME によるミックスCD『JAPANESE HIP HOP HITS』からのシングルカットで、トラックが Bach Logic 、そしてそこにラップを乗せるのが DABO, ANARCHY, KREVA という、ハーコー、メイン、ポップと全方位に向けたようなコラボ曲。

Bach Logic というと、NORIKIYO のアルバム『OUTLET BLUES』(過去記事)でのトランス風味のトラックを、RHYMESTER 『ONCE AGAIN』(過去記事)でうまく泣きの要素に転化させていましたが、今作のトラックもその延長線。
私の中での Bach Logic の評価は世間のものに比べて決して高いとはいえないんだけど、ほとんど演歌と同じではないかと思えるくらい溢れる泣きの要素を、この曲では寸でのところで高揚感につなげていて、この辺りのセンスはさすがだと思うが、やはりヒップホップとしては躍動感が足りないか。

一方ラップの方はというと、各人がラップへの思いを吐露したものになっていて(最近この手の歌詞多いけど、みんなテーマが「ラップへの愛」であって「ヒップホップへの愛」じゃねぇんだよな)、どれもトラックには合っているものの、豪華な面子を揃えました、という以上のものはない。
強いて書けば前のめりのラップでトラックを転がす ANARCHY がベストかしら。

I

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DJ WATARAI / つつみ込むように・・・feat. COMA-CHI & DABO (Pony Canyon) mp3

DJ WATARAI / つつみ込むように・・・feat. COMA-CHI & DABO (Pony Canyon)
http://kinginc.co.jp/blog/watarai/

民主党政権、ものすごく展開早いですね。酒井法子のこといつまでも引っ張ってる場合じゃないと思うんだけど・・・・・。

先ごろ出た DJ WATARAI のミックスCDから、配信限定でカットされたシングル。タイトル見て分かるかと思いますが、 MISIA のデビュー曲のカバーですね。

この曲、世間ではけっこう受けが良いようですが、結論から書けば私はもう全然駄目でしたね。

まぁそもそもの問題として、この曲見つけたときに勢いでダウンロード・ボタンをポチッとしてしまったんだけど、私よく考えれば原曲、っていうか MISIA 自体が嫌いなのよね。これはこのブログでも何度か書いているような気がするんだけど、私は所謂ディーバ系の歌手が全般的に嫌いで、というのも愛だの恋だの歌うのに、なんであんなにも馬鹿でかい声出さなきゃいかんのだというのがあって、まぁそれは大きな声のほうが相手に伝わるから、っていうことなんだろうけど、それはあまりに安易じゃなかろうか。
さらに MISIA という歌い手が、ものすごく歌が上手いということはもちろん私も認めるところではありますが、それがイコール歌手としての魅力につながっているかというと私にはそうは思えなくて、意地悪な書き方をすればただ上手いだけ、という印象がどうしても強い。

ではこのカバーはどうかというと、兎にも角にも COMA-CHI の歌が酷過ぎる。『RED NAKED』(過去記事)での歌はけっこう良かったんだけど、この曲では高音が全然出ていないし、全編通してとにかく前のめりの、感情過多なベタベタとした歌を聞かせていて、こうやって聴き比べてみると、 MISIA の方がまだ押し引きを心得た抑揚があったし、歌唱力については比べるべくもないわけで、逆説的に MISIA の歌手としての魅力に気付かされる。

思いっきり甘いトラックは悪くないし、 DABO の色男ラップも相変わらず調子良いだけに、その分がっかり感の強いシングル。 COMA-CHI もこんな歌聞かせているようじゃ、どんどん埋没していくだけなのではなかろうか。

DJ WATARAI - つつみ込むように・・・feat. COMA-CHI & DABO - Single

DABO / I’M THE BEST (EMI) 3CD

DABO / I'M THE BEST (EMI)
http://ameblo.jp/dabo-blog/

デビュー10周年を記念して3枚組みのベスト盤。

今まで発表した5枚のアルバムから、発表順を考えずにランダムに曲が並べられた本作を聴いて思うのは、デビュー時から現在まで変わらない、ラッパーとしての圧倒的な技術力と完成度の高さ。トラックの出来不出来にかかわらず、自身のラップを乗せることによって、曲をある程度の水準までは必ず引き上げるその力は、改めてすごいと思った次第。

でもその代わりというわけでもないけれど、この人はスタイルにあまり変化がないというか(まぁ元が幅広いからいいんだけど)、最初ッから完成され過ぎているが故の物足りなさが、やっぱりちょっとあるんだよね。

でも聴く前は明らかに多いと思えた3枚組みというボリュームも、実際聴いてみればそれほど気にならないので、このベストに関しては物足りなさはほとんどないかな。3枚目の外仕事を DJ HAZIME がミックスした盤も、実にスムーズに繋がっていて子気味良い。

そういえば “BROTHERHOOD” のアナログかったはずなんだけど、あれは今どこにあるんだろう・・・。

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ZEEBRA / World Of Music

Top Of The World
http://www.zeebra.jp/

DABO の『BMW』(過去記事)ってアルバム単体では好きなんだけど、 DABO のいう「パイをでかくする」という意味では何も意味をなしていないとも思っていて、簡単にいえばヒップ・ホップの凄い人集めたところで、普段ヒップ・ホップ聴かない人にはアピールするものがないのではないかと。しかしそのなかでも ZEEBRA との “World Is Yours” での若者に語りかけるようなラップには、前の曲の ZEEBRA と DABO でラップを始めたという晋平太からの流れもあって、ただのオレ自慢にはない説得力を感じました。
そして以前の晋平太がそうであったように、これからラップを始めようという若者が憧れを抱くなら、例えば MSC のような荒廃した世界観のグループよりは、 ZEEBRA のようなゴージャスな世界観にあこがれる方が健全なのかなとも思えて、ならば彼には期待したいところがまだまだあるし、前作にギラツキを足したような本作は、シーンの流れにも対応したいいアルバムなのかなと思う。
しかし個人的には、ここまで水っぽいと積極的に聴く気になれないというのが正直なところ。だったら ZEEBRA だっていい加減いい年なんだし、父親でもあるわけだから、赤ちゃんポストを題材にした “Everybody Needs Love” や、博愛主義ぽっい “My People” みたいな曲だけで1枚作るのも良いと思うんですけどね。いつまでもオレ自慢してるのもどうかと思うし。まぁ “Everybody Needs Love” が良いかっていうと微妙なんだけど(特に赤ちゃんポストを「不法投棄」というのにはかなり抵抗感がある)、それでも彼の方向性としては突拍子のないものではないと思うし、彼が年齢を重ねることとラップの折り合いをどう付けるのか、そこら辺の答えを是非見せてもらいたい。

ZEEBRA - World of Music
amazon.co.jp

SUITE CHIC/WHEN POP HITS THE FAN(avex)CCCD

SUITE CHIC/WHEN POP HITS THE FAN
http://www.suitechic.com/

昨日CD整理していたら出てきたんで久しぶりに聴いてみたんだけど、そういえば FirstKlas ってどうなったんですかね。
この Suite Chic ヒップ・ホップ/R&Bのアーティストと安室奈美恵が組んだプロジェクトで、その中でも中核的な役割を担っていたのが Zeebra今井了介にによるプロデュース・ユニットの Firstklas だったわけですよ。このアルバムが出た2003年当時は、けっこうポップ・フィールドのアーティストもプロデュースしていてある程度の成果も収めていたと思うんだけど、尻すぼみ的に活動しなくなってしまったのは、やはりポップ路線の Zeebra のアルバム『TOKYO’S FINEST』が思ったほどの支持を集めることができなかったからなのでしょうか。まぁいいや。
このアルバム自体も現在の安室奈美恵の本格US路線のきっかけになったアルバムとして重要なわけですが、最近の安室奈美恵はやりすぎに思える私としては、適度な軽さと華やかさをもったこちらの方が好きですね。多分未だにこのプロジェクトの次を期待している人は多いと思うんだけど、日本にヒップ・ホップやR&Bをもっと浸透させたいなら、こういう動きはもっと必要だと思うのですが。

視聴
@TOWER JP で見る

[Tracklist]

DABO / Baby Mario World

DABO/Baby Mario World
http://www.toshiba-emi.co.jp/capitol/dabo/

日本のヒップ・ホップって人並みには聴いてるつもりだったんだけど、恥ずかしながら Tokyo Shit については全くといっていいほど知らなかったんですが、その日本でヒップ・ホップを盛り上げていこうという動きの結実の一つが、この総勢32名が参加したアルバム。なんか色んなサイト見ているとけっこう微妙な評価みたいだけど、個人的には『PLATINUM TONGUE』以来好きなアルバムかも。
このアルバムはシーンを盛り上げていこうという性格から多数のゲストが迎えられているわけで、その為に統一感にかけるという意見もあるようだけど、私は逆にこれだけの幅のある楽曲にも、器用貧乏にならずに柔軟なスタイルで自分の色を出しつつラップをのせる Dabo を素直に、素直にすげぇなぁと思います。トラックも特に個性的といえるものは見当たらないんだけど、ここまで機能的なトラックを揃えたアルバムというのもココ日本ではあまりないものでしょう。
まぁゲストに関しては予想の範囲を超えるものだとか、 “Shall We Rock?” はブラックジョークとしても性質の悪いものだと思うとか(さらにロックの象徴ともいえるギターを壊しまくる PV に至っては・・・・)不満がないわけでもないんだけど、このアルバムのそもそもの性格を考えれば、それもあまり気にならない。
あとはこれを次にどう繋げるかですかね。

DABO - B.M.W. Vol. 1
@TOWER.JP で見る

[Tracklist]

V.A./く Label 【其の二】 100%RAP(く Label)CD

く-002.jpg
http://www.kreva.biz/k_label/

前からNITRO MICROPHONE UNDERGROUND とか妄走族が新星堂限定でCD出してるけど、なんでなんでしょうか。特にヒップ・ホップに強い店というイメージもないんだけどなぁ。

で、Kreva が立ち上げた「く Label」のコンピも新星堂限定。現在3まで出てるようだけど、他の2枚はライヴ会場限定なので未聴です。

このコンピの一番の売りといえばやはり参加メンバーの豪華さだと思うんだけど、お馴染みのFGクルー以外にも韻踏合組合DABO餓鬼レンジャーのポチョムキンという、一見脈略の無い面子が参加しているのが特徴でしょうか。

Kreva って Kick The Can Crew の頃からキャッチーな歌モノ路線を追求していたせいか、わりとコアなヒップ・ホップ好きからはあまりよく言われないように思うけど、B BOY PARK のフリー・スタイル・バトル3連覇という側面も持ってるんですよね。そこでソロになったからといってフリー・スタイルにみられる攻撃性を追及するのは一番退屈だと思うので、今の彼の路線というのは支持したいのだけれど、どんどんヒップ・ホップ・シーンとのつながりが希薄になってる気はするんですよね。

でもこのアルバムの参加メンバーを見ると、未だ Kreva とヒップ・ホップ・シーンとのつながりというのは保てれているのだな、というのが分かるというか、むしろ最近の彼の活動も含めてその為だけにあるんじゃないかと思えるんですよね。

というのは、作りがあまりにもいい加減、というとちょっと言い過ぎだけど、とりあえず出来たトラックにラップを乗せてみました、みたいな感じがどうしてもしちゃうんですよね。
まぁ、それこそがヒップ・ホップの根源的な魅力ではないか、といわれればそうなのかもしれないけど、ノリのいいループ一発、みたいなトラックならまだしも、Kreva のみたいに打ち込みでベースの主張があまり無いドラム中心のトラックだと、きちんとラップとトラックが噛み合ってないとグルーヴが出にくい気がするんですよね。

そういった意味で、ここに収められた楽曲群というものはグルーヴに欠けていて、かといって Kreva のソロのような強烈なフックがあるわけでもなく、ひたすら平熱で進んでいくもんだから、全然盛り上がりません。

ということで結局参加メンバーの豪華さしか印象に残らず、っていうかやっぱり DABO は上手いなぁ、って感じです。
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