Gui Boratto / Take My Breath Away (KOMPAKT) 2LP+CD

Gui Boratto / Take My Breath Away (KOMPAKT)
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一時期に比べるとめっきり数が減った感じのするシューゲイザー系のミニマルなんですが、この頃はまだけっこう色んな人が出していましたね、っていうことで、ブラジル出身の gui boratto が2009年に出したセカンド・アルバム。

彼のファースト・アルバム(過去記事)はジャケット同様カラフルかつポップな内容でしたが、今作は基本的な部分では変わらないものの、メロディの多彩さは若干抑え目に、代わりにリズムを太く、そしてシューゲイザー的な上モノの歪みを強める事によって、よりフロアユースになった印象。

しかしだからといって作品が一本調子になっているとかいうことはなく、憂いのある雰囲気、という部分では共通しながらも、きちんと多彩なメロディを聴かせる中盤などはさすがと思わせるものだし、中でもいかにも朝焼けにピッタリといった感じの “No Turning Back” はかなり泣ける。

まぁ他の人の文章を読むと、前作からの延長線上過ぎる部分が引っかかっている人が多いようだけれど、そもそもこの手のシューゲイザー・ミニマルをあまり聴かない私はその点に関しては気になりませんでした。
よって前作よりも好きな作品です。

Take My Breath Away - Gui Boratto

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Thomas Fehlmann / Honigpumpe (KOMPAKT) 2LP

Thomas Fehlmann / Honigpumpe (KOMPAKT)
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活動歴20年を超えるベテラン、Thomas Fehlmann の KOMPAKT からは2枚目となるアルバム。

この人が KOMPAKT から出すようになってからの作風は基本ミニマル・ダブなんだけど(それ以前は知りません)、ミニマル・ダブのアーティストのほとんどが冷たい印象の音を作るのに対して、 Thomas Fehlmann の音は非常に柔らかく、温かみのあるものが多い。

そしてその音は今作でいっそうの冴えをみせていて、冒頭で雄大で広がりのある音空間を聴かせる”Strahlensatz” で、その世界にいきなり引き込まれる。それ以降も浮遊感のある音響空間で漂っているような気分にさせてくれるものばかりで、こう書くとあまり良く思われないかもしれないけど、ひたすらぬるま湯につかっているような心地よさがある。

ミニマル・ダブにしては珍しく、春とかに野外で聴いてみたい音なんじゃないでしょうか。

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Justus Köhncke / Safe and Sound (KOMPAKT) mp3

Safe and Sound
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元 Whirlpool Productions っていうグループの(すいません、よく知りません)、 Justus Köhncke が今年の頭くらいに出したアルバム。

私は正直この人の名前はほとんど意識したことないんだけど、ネットや雑誌を見るとなかなかの人気者みたいで(KOMPAKT を代表する人みたいに書いてるとこ多いですね)、聴いてみれはなるほど、かなり完成度が高い。

全体としてはいかにも KOMPAKT な柔らかなテック・ハウスが中心なんだけど、その中でも曲調に幅があって、さらに曲展開が多かったりポップであったりと、この手のミニマル・ハウスにしてはかなり聴きやすい。

でもそれ以上の何か(まぁ個性なんだけど)が感じられるかというと、ちょっと私にはそこら辺がつかめなくって、聴いてる分には気持ちよいけど、のめり込むには至らず、という感じでしょうか。

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gui boratto / chromophobia (KOMPAKT)CD

gui boratto / chromophobia
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最近ではダンス・ミュージックもすっかりデジタル配信が一般化してきていて、アナログ好きの人間は寂しい思いをしてると思うのですが、以前「remix」のインタビューで Dave Clarke が地球環境の面からデジタル配信を支持していたのが印象に残っております。確かに塩化ヴィニールや合成プラスチックって有害物質だもんね。その発言と同じくらい考えさせられたのが今月の「ミュージック・マガジン」の Moodman の連載の一文でありまして、「最近のミニマルやクリックはラップトップで制作しているのだから、データで直に触れてみるのも原音再生という視点ではアリなのではないか」、というのは、なるほど、なかなか説得力がある。こんな方向性で考えたことなかった。

でまぁ上の文章とは全然関係ないんだけど、デジタル配信には積極的な KOMPAKT から今年前半に出た、ブラジルの新人さん gui Boratto の1枚目。
このアルバムってそれなりの回数は聴いてるんだけど、イマイチ掴み所がないのよね。基本的には border community 以降のプログレッシブ・ミニマルが中心。
でも、ヨーロッパのデトロイト・フォロワーのほとんどが本家のファンクネスを見落としているのと同様に、この人(っていうか他の人も皆そうなんだけど)も border community の音響面というのは意識していないようで、そこに物足りなさを感じる。
でもでも、そこが致命的な欠点にもなっていないのも事実で、というのも彼の作り出すメロディが非常に多彩、かつ華やかで、ここまで明確にポップなのって KOMPAKT の中でもあまりないんじゃないでしょうか。
でもでもでも、実際聴き終ってみると、メロディはなんとなく頭に残ってるんだけど、肝心のサウンドの方がどうも頭に残らないのよね。だから聴いている間は心地よいんだけど、どうも再び聴く気がしないのです。

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Scsi-9 / the line of nine (KOMPAKT)CD

Scsi-9 / the line of nine
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Anton Kubikov と Maxim Milutenko の2人によるロシアのユニット、 scsi-9 のアルバム。
最近はずいぶんと音楽的の幅も広がった KOMPAKT ですが、このアルバムはいかにも KOMPAKT らしいというか、以前紹介した『On the Edge』(関連記事)の延長線上にあるような叙情性の高いミニマル・ハウスがほとんど。しかしトラックから零れ落ちるようなメロディが非常に美しい。大人の泣けるミニマル・ハウス。

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THE FiELD/FROM HERE WE GO SUBLiME(KOMPAKT)CD

THE FiELD/FROM HERE WE GO SUBLiME
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現在のテクノを代表するレーベルといって真っ先に名前が浮かぶといっても過言ではない KOMPAKT ですが、今までの KOMPAKT って時代のど真ん中にいるふりして、実は流行とは適度に距離をとっているという印象だったんだけど、最近では時代性を意識したようなリリースが続いていて、その中でも抜群の評価を得ている The Field こと Axel Willner の初アルバム。
今、テクノで時代性云々といえばその音楽性はトランシーなミニマル/エレクトロ・ハウスと大体相場は決まっているわけですが、この The Field もまぁそんな感じ。しかし彼の場合そういうトランシーな要素を上手くテック・ハウスのフォーマットに落とし込んでいて、実はそれほど KOMPAKT の本流から外れていないように思える。そして彼の作り出す幻想的なシンセの音色からは、いい意味で非常に聖的なものが感じられて、聖歌隊やゴスペルなんかに近い高揚感が味わえる。それに要所要所に配された曲が似ているので一本調子な印象を与えるけど、その他の曲を聴けば意外に幅広い音楽性が感じられるのが分かる(と思うのですがどうでしょう、びびんばさん)。中でも控えめながらも泣きのアコギのメロディが光る “A Paw In My Face” にはもう降参。個人的にはオーロラ見ながら聴いてみたいアルバムです(オーロラ見たことないけど)。

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KAITO/HUNDRED MILLION LIGHT YEARS(KOMPAKT)CD

KAITO/HUNDRED MILLION LIGHT YEARS
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もう間もなく初の本名名義でのアルバムを出す Hiroshi Watanabe の Kaito 名義での2枚目のアルバム。

私も1枚目の『Special Life』ライフの美しさにはかなりやられた口なんだけど、今作でも基本路線は大きくは変わらず、しかしダブを思わせるような音響空間が作られていて、以前よりビートが重い。それでいてメロディの方はダンス・ミュージックではあまり考えられないほどソウルフルで、その二つが合わさると自分には少々重く感じられてしまいます。
その分濃密な音空間が味わえるのは間違いなく、一度世界に入り込んでさえすれば素晴らしいの一言なんだけど、自分には聴く時の精神状態を選ぶ盤だというのが正直な感想です。

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DJ KOZE/kosi comes around – remixes part 1(KOMPAKT)12″

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KOMPAKT の若頭の昨年のアルバムからのリミックス・カット。
なんか最近こうやって、リミックス盤を何枚かに分けて出すのが妙に多いように思うのは気のせいでしょうか。

とりあえずね、この盤はなんといっても、昨年の 2 Dollar Egg のリミックスが素晴らしかった AUDION によるリミックスですね。淡々としたビートの上に乗るポコポコとしたパーカッションも不気味なんだけど、水流のような音と共に鳴る、コロコロと転がるアシッド音が病的な曲。以前のこの名義での派手さを支持していた人には物足りないのかもしれないけど、最近の静かに狂ったようなアシッド・テクノは個人的にはかなりツボです。

それに比べると、この名義では久しぶりな Farben によるリミックスは、ぼんやりとしたアブストラクト・ミニマルでイマイチかな。

あともう1曲多分新曲と思われるものが収録されてるんだけど、これ聴くと、もしかしたら Thomas Fehlmann の後継者は彼なんじゃないのかと思いました。
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SCSI-9/On the Edge(KOMPAKT)12″

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A. On the Edge
B1.Senorita Tristeza
B2.Sweets & Love

数年前日本のヒップ・ホップの盛り上がりの時にローカリティについて色々語られたりしたけど、テクノにおいてのローカリティの重要性ってあまり語られることがないですよね。まぁみんなドイツ、特にベルリンに移住しちゃうから、そんなことあんまり関係ないのかもしれないけど。
そんな事考えたのはここの Anton Kubikov と Maxim Milyutenko による SCSI-9 がロシア出身だからなんだけど、これがロシアっぽいのかはよく分かりません。
この人たちって DATA 80 と同時期に Forcetracks からアルバム出してると思うんだけど、そこではこのレーベルらしいデジタル・ディスコだったと思うんですよね(家探したけど現物が見つからない)。その後そんなに数多くの作品は出してないはずなんだけど、このシングルでは随分変わって、非常にメランコリックです。最初に入る硬いキックの音こそフロア映えしそうな感じだけど、その後に続くストリングス、シンセによる単音のメロディ、そしてギターと、どれもメランコリックで、それらが折り重なってまるで悲しみの上塗りをしてるみたいなんですよね。なんていうのは少し大袈裟かもしれないけど、これがフロアでかかってもあんまり踊る気はしないねぇ。B1も同様で、ウッド・ベースとオルゴールを思わせるメロディがこれまた物悲しげ。でもB2ha跳ねたリズムのほんのりと明るい曲で、これでハッピー・エンドって感じです。
なんか少しメランコリーを強調しすぎた気もするけど、雰囲気はけっこう牧歌的なのでそこまで悲壮感漂うものではないです。だからこのメロディアスなところは KOMPAKT らしいといえばらしいのかな?リスニング向きだと思うので、この路線でアルバム作ってほしいものです。

Superpitcher/Today(KOMPAKT)CD

Today
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今日は久しぶりに渋谷にレコード買いに行ったというのに休日用の財布(仕事用と二つ持ってるの)を家に忘れてしまうという大失態を犯してしまい、買いたい物が山ほどあったのにあんまり買えませんでした。そんな中厳選して選んだうちの1枚がこれ。
昨年『Here Comes Love』でデビューしたSUPERPITCHERの初のミックスCD。けっこう名の知れた人の曲を扱っているんだけど、あんまり上げていく感じではなく、ひたすら柔らかく緩やかに進行していきます。それでも踊れるグルーヴをキープしているのは流石。でも残念なのが、殆んどの人にとってこのミックスCDの目玉であろうNathan Fakeの”Dinamo”のミックスの仕方がイマイチなんですよね。
まぁ、それ以外にも美味しい曲が入っているので普段12インチ買わない人には便利な1枚ではないかと。

FOREVER SWEET/GEBEN & NEHMEN(ladomat 2000)2LP

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基本的に今まで歴史的な縦の繋がりとか、同時代的な横の繋がりとかを気にして音楽を聴いてこなかったので、びびんばさんがやってたケルン特集は非常に勉強になりました。

そこで紹介されていたのがこのフォーエバー・スウィート。現在入手困難みたいだけど都内某店で新品見つけました。しかもアナログ。

このアルバムが発売された98年って、私は多分まだメタルとしてテクノを聴いていた頃なので(今もあまり変わらないけど)ハード・ミニマルかドラムン・ベースばかり聴いていたので、こんなミニマル・ハウス作品はまったく知りませんでした。
びびんばさんが「ポップで艶っぽいハウス」と書いているので聴く前は耽美的な感じをなくしたルオモみたいのを想像していたんだけど、全然違いましたね。確かに1曲目の”DON’T SPEAK”なんかは随分お洒落な感じで想像したのに近かったんだけど、私が一番耳についたのは太いベース・ラインですね。2曲目の”TRUE BLUE”なんか特にそうなんだけどダブからの影響が強く感じられて、その太いベース・ラインが強烈なグルーヴを生み出してる。そして浮遊感のある洗練された上モノと合わさって、非常に空間的な広がりを感じさせてくれます。あと、確かにとっつき易いポップさも兼ね備えてますね。
しかしこれが6年以上も前の作品とはなかなか凄い。多分新譜として聴いても全然問題ないのではないかと。

MICHAEL MAYER/TOUCH(KOMPAKT)CD

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コンパクトの100番記念コンピに続くのは、レーベル・オーナーのミヒャエル・メイヤー御代の初アルバム。
私がコンパクトというレーベルを意識したのって意外と遅くて、多分カイトやトーマス・フェフルマンなんかをリリースしてた頃なんでキレイめなテクノをリリースするレーベルという印象だったんですね。

それが最近ではアシッド・ミニマルという感じの印象が強くなっていますが、このアルバムはちょうどその中間をいってるような感じでしょうか。こういうアシッドものって下世話な感じなものになりがちだけど、この作品はそこをギリギリなラインで回避しながらも、しっかりフロア・ユースなダンス・トラックに仕立ててる。そして全体を包み込むようなシンセも美しい。しかしですね、それよりなにより、とても硬いキックの音が非常に気持ちいい。こういうキックの音聴いたの久しぶりなんで、私はこれだけでやられちゃった感じです。
昔からの思い入れのある人は色々と思うところあるようですが、私はかなり好きですね。

B00065VUG2 Touch
Michael Mayer


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