なので逆に、単独で聴くとフロアヒット云々と書かれている事がピンとこなかった “デッパツ進行” の機能性の高さに気づかされたり、 DJ MITSU THE BEATS のトラック作りの妙には自然と耳がいったし、初めて聞く名前ながらトリッキーな印象のラップとトラックを上手くまとめ上げている KGE THE SHADOWMEN & HIMUKI はアルバム単位で聴いてみたいと思った。
『CONCRETE GREEN』シリーズに続く、 DJ ISSO による新しいミックス・シリーズ、みたいな触れ込みだったわりに、1枚出ただけで一向に続きが出る気配のない、昨年発売の SDP 関連の音源を集めたミックスCD。
SD JUNKSTA ってグループはともかくとして、ソロになると各自好き放題でバラバラの方向性になることが多く(まぁそうじゃなきゃソロ出す意味ないか)、今作に納められた曲にもあまり統一感は感じられないものの、それでもバラバラな印象を与えず、きちんと流れを作ったうえで多様性を示しているところに、 DJ ISSO という人の編集者としての非凡さを感じる。
しかしそういった売り方をするためには、当然各人にソロでも通用する技量がなければならないわけで、それだけの連中が集まり、またこれだけ期待感を高めた状態で発表される本作は、それだけ多くのものを求められる作品なわけだが、誤解を恐れずに書けば、この『GO ACROSS THA GAMI RIVER』という作品は、メンバーのソロ作品しか聴いていない人たちの期待をかわす様な、というより寧ろ落胆させるようなアルバムだ。
というのも今作には各人がソロでみせていた要素が、持ち込まれるということがほとんどされておらず、では代わりに何が歌われているのかというと、いつもどおりの金とハッパと女の事ばかり。中でも地元産のコンドームをレペゼンした “SA.GA.MI. ORIGINAL ~RE: SA.GA.MI~” (この曲に参加した OHLD というラッパーカッコいい)から、 TKC と WAX が見事な掛け合いで警察、ひいてはハスラーさえも茶化す “風雲TKC SHOW ~曲者編~” までのくだらなさは特筆もの。
今回の KAIKOO は来月大阪で行われる大阪乱遊祭の前哨戦的な位置づけのものだと思うんだけど、そうはいってもこちらはこちらで十分豪華なラインナップになっていて、中でも楽しみだったのがやはり SD JUNKSTA 。
しかし彼らは同じ日に自分たちのパーティーである SAG DOWN もあるので、当然出番は早いんだろうと思い、渋谷についてのが11時。そしたら asia の前にちょっとした行列が出来ていて、軽く帰りたくなる。さらにやっと入れると思ったら、今までされた事がないような入念なボディ・チェックをされて、本格的に帰りたくなる。
そして見た目が異色だったのがSHINGO☆西成なら、音的に異色だったのが太華&誰か!?。その誰かというのは RIZE の KenKen とタップダンサーで、そこに太華のビートボックスという変わった構成でのセッション。まぁその面子が出てきたときの期待感に比べると、実際に鳴らされた音に意外性はなかったものの、タップダンサーの視覚面でのダイナミックさも相まって、十分に面白い内容でした。
その後 SKYFISH 、 DJ BAKU のDJが続いた後、 DJ BAKU と般若。とにかくね、般若の人気ぶりに驚いた。他の人のライヴでも終始盛り上がっていたとは思うんだけど、般若のときは盛り上がりが桁違い。しかもライヴの途中に asia のブレイカーが落ちるというアクシデントがあったんだけど、その間もアカペラでフリースタイルやったりして場を盛り上げ続けていて、あらゆる意味で圧巻のライブでした。
最後には期待通り RUMI を加えての、グループとしての般若の再結成も見られて、もう大満足。
この後の DJ BAKU のバンドをバックにした漢も負けずに盛り上がっていて、作品を出していないにもかかわらず、未だ衰えない支持の厚さをすごいとは思ったものの、バックの音があまりにもロック然としているのに急に興ざめしてしまい、この日はこれで退散。