V.A. / TAGS OF THE TIMES 3 (MARY JOY) CD

V.A. / TAGS OF THE TIMES 3 (MARY JOY)
http://www.maryjoy.net/

とうとつに旧譜の紹介でもしてみようかと思います。

私がいつから本格的にヒップ・ホップを聴くようになったのかというのはイマイチはっきりした記憶がないんだけど、おそらく初めて買ったのは御犬様の『Tha Doggfather』(うわ、もう一回り以上前か)で、『Black Star』の頃には、結構普通にヒップ・ホップ聴いていたような気がします。

そんな私のヒップ・ホップ遍歴の中でも、特に影響力があったのがこの『TAGS OF THE TIMES 3』。これはアンダーグラウンドのヒップ・ホップ・アクトを集めたコンピの3枚目で、この時期に発売されたコンピとしては『Superrappin’, Vol. 2』も素晴らしいんだけど、より聴いたのはこちら。

では、本作の何がそんなに素晴らしいのかといいますと、身も蓋もないんだけどやはり参加アーティストの豪華さですね。それこそこの頃からものすごい勢いで頭角を現してきていた anticon の面々(余談ながら、これくらいの時期までアンチコンって ANTIPOP CONSORTIUM の略だと思ってた)は当然ながら、 DEFINITIVE JAX (当時はまだ Def Jax かな)や Freestyle Fellowship 周辺、また Fat Jon まで参加していて、それこそここに Madlib が加われば当時のアメリカの(メジャーじゃない)ヒップ・ホップの動きはある程度把握できたのではないか、というくらいの刺激的な面子。

さらに当時の私にありがたかったのは、これと前後するように今作に参加した Aesop RockSCARUBBuck 65Atmosphere などがアルバムを発表したことで、それを聴くことでそれぞれの音世界を掘り下げることができたし、当時アンダーグラウンドなヒップ・ホップにはまるきっかけにもなった。

ということで、もうその存在だけみても是非聴いてほしい作品ではあるのだけれど、中身のほうも一くせも二くせもあるようなアーティストばかりの面白い内容で、中でも周りがアンダーグラウンドらしい緊張感の高い曲ばかりの中、一人ゆるゆるのラップを聴かせる Atmosphere 、同様に女性ヴォーカルを招いて洗練された曲で男前なラップをする Scarub 、また逆にズブズブのアブストラクトな Buck 65 が特に良い。

しかししかし、それでも間違いなく今作のハイライトなのは “CONFESSIONS [OF THREE MEN]” で、語り部である道化師(DOSE ONE)に旅人(Shing02)、そして大工(DOC MAXWELL)と商人(KIRBY DOMINANT)という、3人と1人が紡ぐ物語は実に刺激的で、またバックの荘厳なトラックと、街の雑踏を表現したヴォイス・サンプルも素晴らしく、また何気に参加している G.RINA によるバック・コーラスもよく曲を盛り立てている。

ということで、今作に参加したアーティストのほとんどは未だに活動しているので、興味を持った方はここから色々と広げてもいいだろうし、また今作には Mr.DIBBS による『ABDUCTION OF THE TIMES 6.66』というミックス盤もあるので(っていうかこのシリーズでは全部ミックス盤が作られているんだけど)、そこで彼の変質狂的なミックスを味わうのもいいし、またそれが気に入ったのなら独自の解釈でロックを取り込んだ Mr.DIBBS のソロ作を聴いても面白いかと。

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Eccy / FLOATING LIKE INCENSE (SLYE) 2CD

Eccy / FLOATING LIKE INCENSE (SLYE)
http://eccy.blog96.fc2.com/

これは出たのは2007年だけど、聴いたのは2008年なアルバム。 shing02 が参加したミニ・アルバムが話題になった Eccy のファースト・フル。

私が日本のトラック・メイカーを気にしていた時期って、わりとアブストラクトやエレクトロニカとの交配が盛んだったので、それらと比べるとずいぶん直球のヒップ・ホップだなぁという感じ。ではそれが良くないのかというとそんなことも無く、逆に他の方向性に行きそうで、でもやっぱりヒップ・ホップなのが面白い。あとアブストラクトみたいにベース中心でグルーヴを作らずに、ドラムを中心に組み立てているので、重すぎず聴きやすいのも良い。
参加している MC も、変に有名どころを起用することなく、自分の周りの人たちをフック・アップしてるのも好感が持てるし、実際みんないい仕事してる。まぁ難をいうと、清野栄一とかいう人のしゃべりがナルシスティックで気持ち悪くて、さらにトラックがアルバムでも上位に入るカッコよさだけに、ものすごくもったいない気がする。

試聴
Eccy feat. オロカモノポテチ & サイプレス上野 - Floating LikeIncence
amazon

ILL SLANG BLOW’KER / BACK TO ILL (CAVE FUNK)CDR

BACK TO ILL

昨夜は代官山の UNIT で行われた、 THINK TANK 主宰の「EL NINO」に行ってきたんですが、結論からいえば、期待が大きかった分ちょっと不完全燃焼でしたかね。まぁ理由は色々あるんだけど、一番大きかったのは、やはり音響面のバランスの悪さですかね。2年位前に行ったイベントのときもそうだったんだけど、この箱ってライヴとかになると、高音だけやたらでかくなるんだよね。だからマイク使うとなんかグワングワン言ってるだけにしか聴こえないし、ヒップ・ホップみたいに複数人でマイク使うと、もう頭痛くてフロアにいられないのですよ。まぁそれでもフロアに人は沢山人が残ってたわけだし、単に私が慣れてないだけなのかもしれないけど、テクノのイベントのときや DJ のときにはそんな事思った事ないんだから、ちょっと何とかしてほしいなぁ。

っつうことで目立ったのだけ簡単に。

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JOE CON / AWAKE & DREAMING (Royal Ark Music) CD

JOE CON/AWAKE & DREAMING
http://www.royalarkmusic.com/

DJ KLOCK が逝去したそうですね。それほど積極的に聴いていた人ではなかったけれど、それでも多くの可能性を秘めたアーティストだったのは間違いないわけで、その若すぎる死は非常に残念です。ご冥福をお祈りいたします。

この Joe Con という人に関しては全くというほど情報がないんだけど、某ヒップ・ホップ専門店でなんとなくフリー・フォークっぽいジャケットが気になって買った1枚。
そしてその印象はあたらずとも遠からずというか、いきなり1曲目がアコギの弾き語りなのでちょっと驚く。そして続いて繰り出されるのは当然のようにヒップ・ホップのビートなわけですが、ざらついた音作りとどこかレイドバックしたサンプリング主体のトラックが、うっすらとではあるのだけれど、しかし確実にサイケデリックな空間を形作っていく。この混沌と歪が同居しながらも、決して陰気にならずどこか陽気さを感じさせる音世界は、最近の anticon と比べてもなんら遜色のないものでしょう。なかでもオリエンタルなトラックの上でゲストの Shingo02 と絶妙な掛け合いをみせる “Wat with the Senses” は出色の出来。傑作です。

Joe Con - Awake and Dreaming
[Tracklist]

Kosmic Renaissance / LIVE AT NAMBA HATCH OSAKA,JAPAN(E22)CD

live at namba hatch
www.e22.com
 
名前自体はよく聞くものの作品のリリースがないシンゴ先生の新バンドのライブ盤。サックスのデヴィッド・ボイスにドラムのサミア・グプタ、そしてシンゴ2という編成。しかしシンゴ2はラップではなく、自身の開発したフェーダー・ボードを操るのみ。実は私シンゴ2ってあんまり好きじゃないんだけどこれは中々かっちょいい。まずドラムの音が硬くってかなり気持ちイイ。しかも手数が多いもんだからどんどん引き込まれる。シンゴ2のフェーダー・ボードは、外見は知ってるもののどんな音を出すのか知らないんだけど、妙ちきりんな電子音を発して場を混沌で彩っていく。この2人に比べるとサックスの人はちょい影が薄い。でもこれでサックスがなかったらカオティック過ぎるかな。とりあえずフリー・ジャズではかなり面白い部類に入ると思います。個人的にはデートうんちゃらかんちゃらよりもよっぽど好き。