Hilcrhyme が今年の頭に出した初アルバム『リサイタル』に関しては、箸にも棒にも引っかからない退屈なアルバム、という以外表現のしようのない作品だったが、それ以降初のシングルとなる今作(通算4枚目)に関してはけっこう興味深く聴けた。
とはいっても曲に関してはメロディアスなバラード、タイトルが「大丈夫」とくれば J-POP によくある応援歌という感じで、まぁそれは実際その通りではあるのだけれど、この曲が面白いのは、「君」が一体どういった不安を抱え、またどういった方向に進みたいのかも示されないまま、つまりは何の具体性も示されないまま「俺」による「大丈夫」という全肯定がされているわけですね。
まぁこれだけなら万人に向けた応援歌として具体性をあえて出さなかった、という話になるのだけど、この曲で語られる「俺」による確信がこめられた力強い言葉は、そこから一歩進んで「君の事を全肯定する俺すげぇ」ってな印象を与えるもので、町を眼下に見ながら手を広げるジャケットのイメージと相まって、まるで「俺」が神でもあるかのうような雄大さを感じさせる。
つまりこの曲は J-POP 的な応援歌でありながら、同時にヒップホップ的なセルフ・ボースティングにもなっていて、こんな曲をしれ、っと出してくる彼らは、思ったよりもしたたかなんじゃないかしら、と期待させてくれる曲だ。
カップリングの “押韻見聞録” は、タイトルから印を踏みまくっているのかと思いきや、そんなこともなくツアーについて歌っているだけで大して面白みもない。