Headless Horseman / Headless Horseman 006 (Headless Horseman) flac

Headless Horseman 006
http://www.headless-horseman.net/

ここ数年アナログ需要が増えた影響なのか、ホワイト盤にロゴなどをスタンプしただけみたいなシングルが増えましたが、その反面、アルバム出す人が少なくなった気がするんですが、どうなんでしょう。そんな中で、今アルバムが非常に楽しみなアーティストである Headless Horseman が今年2月に発表したシングル。

ちなみにこの人も盤面に情報がなく、匿名性が高いアーティストで(Facebook 見る限り一人でやってるユニットみたい)、いかにもアナログしか出してなさそうなんですが、普通にデータでも買えます。

1曲目が “Sanctuary” で、アーティスト名が「Headless Horseman」となりますと神話っぽさがプンプンですが、曲の方は特にそんな雰囲気もなく、徹頭徹尾ハードなミニマル・テクノ。ハンマーのように打ち鳴らされるキックと、サブ・ベースのようになっているノイズが非常に重たい曲ながら、ひんやりとしたシンセが全体を包み込む事によって、重鈍な印象を回避している。

他の2曲も変則的なキックがダブステップ以降を感じさせるものの、重くなりすぎることなく、四つ打ちのグルーヴを作り出していてかっこいい。中でも細かい音の連なりで、より複雑なリズムの “Bridge of Dismay” は特に秀逸。

あとどうでもいいですが、この記事タイトルに「Headless Horseman」の文字が並びすぎてて五月蠅いですね・・・。

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Bongripper/Hate / Bongripper // Hate Split (Great Barrier) mp3

Bongripper/Hate / Bongripper // Hate Split
http://www.bongripper.com/

シカゴの4人組 Bongripper が、同じくシカゴの Hate と2013年2月に出したスプリット盤。
6曲中5曲が Hate の曲という変則的な構成ながら、 Bongripper の曲が10分越えなのに対して、 Hate は1分未満の曲がほとんどなので、収録時間としては Bongripper の方が長い。

その Bongripper は、そもそもバンドの成り立ちからしてジャムセッションから始まったようなので、今作に収録された曲も分かりやすいメロディや構成のないインスト。時折思い出したように走り出す部分があるものの、基本的にはドゥーム・メタルと呼ばれるスタイルの音で、ダウンチューニングされたギターとベースの出す歪んだ音色は非常に重い。ただドゥームのオカルトっぽさや、ストーナー系の葉っぱくさい極端に弛緩した感じは薄く、上述したようなジャム的なラフな空気が強いので、その分聴きやすい反面、掴みどころがなくてイマイチ印象に残りにくい。

一方の Hate はブラック・メタルっぽい喚き散らす感じのヴォーカルのハードコア(ブラッケンドってほどでもない)。ものすごい勢いで突っ走る曲が、まず痛快で非常にかっこいいのだが、唯一4分と長い “Invisible Man” のような、リフで聴かせるスローテンポの曲でもきちんとうねりのある演奏を聴かせいていて、ただ早いだけではないのが好印象。
Hate はもっと他の音源も聴いてみたい(けどこのバンド名じゃ検索で見つけられない・・・)。

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Howl Ensemble / Hysterical Naked Ep (All Inn) mp3

Howl Ensemble / Hysterical Naked Ep (All Inn)
http://www.allinnrecords.com/

今日は疲れたので軽めに。

Howl Ensemble ことGiovanni Verrina が2013年1月に、ルーマニアのレーベル All Inn から出したシングル。
All Inn っていうと、リリース感覚にばらつきのあることが多いルーマニア勢の中にあって、定期的に作品を発表している数少ないレーベルですが、ルーマニア系のレーベルの多くがそうであるように、アナログでしか作品を出してなかったりします。
そんな All Inn が Soundcloud で突然フリーで発表したのが本作で、これからファイルでもリリースするのかと思いきや、いつの間にか削除されちゃって落とせなくなっているという、一体何がしたかったのかよく分からない作品なんですが、そんな事とは関係なく曲は非常に良い。

デジタル、っていうことが関係しているのかどうなのか、とりあえずいつもの All Inn の作品に比べると若干音が硬い気はするんだけど、中盤から入ってくるピアノが美しい “Hysterical Naked” 、同じピアノのフレーズを用いながらも変則的で重たいリズムで印象を変えている “Heavenly Connect” 、パーカッシブなリズムとうなるベースラインの絡みが気持ちいい “Starry Dynamo” と、どの曲も完成度高く、それゆえに短期間で削除してしまったのはもったいなく思える。

果たしてこのシリーズに続きがあるのか分からないが、次があるなら楽しみにしたい。

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蛇 (近江音盤) / 悶談蛇頭 (近江音盤) mp3

蛇 (近江音盤) / 悶談蛇頭 (近江音盤)
http://oumirecords.jimdo.com/

滋賀県出身のラッパー蛇が2012年の12月に発表したフリーのアルバム。

この人に関しては日本産ジュークのコンピ『Japanese Juke&Footworks Compilation』に収録されていた神賀アフ朗の “shogen juke” (タイトル通り “証言” ネタのジューク)にラップを乗せた “証言19番” で知ったので、アルバムの方も様々なビートを集めたものなのかと思っていたんだけど、ちょっと違いましたかね。

三味線を軸とした “蛇ノメノ陰” で始まる本作は、ロック的な “蛇の道は蛇” や “時代錯誤” に、ヒット曲をラップカバーした歌謡曲的な “ルビーの指環” やタイトル通りワルツの “うぬぼれワルツ” など、様々な音楽要素をごった煮的に盛り込みながらも、ヒップホップど真ん中なトラックがない、っていう意味で昔の日本のヒップホップを思い起こさせるものになっている。
しかし昔の日本のヒップホップと違うのは、アンダーグラウンド的なにおいがほとんどないことで、そこに乗る蛇のラップも、非常に力の抜けた歌ともラップともつかないもの。ただ一聴するととりとめなく感じる彼のラップも、何度も聴くうちにどのトラックも自然と乗りこなしているのが分かるし、大仰ではない平熱感覚の感情もきちんと込められていて、ある意味現代的な歌心を感じる。
またに失踪した父親を歌った “おまじない” と、愛する人にささげた “夢のあと” という、重めの曲でしめるのも、ベタながら良い。

正直強烈な個性をもった人ではないと思うんだけど、意外に今まで聴いた事のないタイプのラッパーで、これからが楽しみな人だ。

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Hauschka / Salon Des Amateurs Remix EP1 (Fatcat) mp3

Hauschka / Salon Des Amateurs Remix EP1 (Fatcat)
http://www.fat-cat.co.uk/

Hauschka こと Volker Bertelmann. が2012年に出したリミックス・シングル。

エレクトロニカやポップスの要素を感じさせながらも、あくまでプリペイド・ピアノを軸とした音楽をやっている Hauschka が、リミックス・シングルを出すというだけでも意外なんですが、そのリミックスを担当したのが Max Loderbauer & Ricardo Villalobos に Michael Mayer という、モロにクラブ畑のアーティストなのはさらに意外。
ただ Michael Mayer はともかく、 Max Loderbauer & Ricardo Villalobos に関しては ECM のリミックスなんかもやってるわけで、音楽性に関しては違和感はない。

その Max Loderbauer & Ricardo Villalobos によるリミックス、どうもこの二人が組むと小難しい方向にいきがちな印象だったのでちょっと不安だったんですが、今作に関しては当たり半分外れ半分という感じ。
透明の膜を一枚隔てているかのような、小さな音で鳴る変則的なキックと、原曲のものと思われるピアノやエレクトロニクスは、一聴すると難解な印象を受けるものの、細やかな音作りながらも確かに伝わる多幸感は意外にポップで、以前 Villalobos が手がけた mirko loko のリミックス(過去記事)に通ずる心地よさがある。

一方の Michael Mayer は、かっつりとリズムを足してクラブ・トラックにした、比較的素直なリミックス。ただこちらも原曲の柔らかさというものは、そのまま残してあり、結果リスニングにも耐えうる心地よいテック・ミニマルになっていて、こちらも好リミックス。

ちなみに今だとシングル買うより、リミックス・アルバム買った方がお得です。

Salon des amateurs (Remix) - Single - HAUSCHKA

氷室京介 / WARRIORS (Warner) CD

氷室京介 / WARRIORS (Warner)
http://www.himuro.com/

フィジカル・リリースとしては2年ぶりとなる氷室さんのシングル。

一時期ラップ取り入れたりやたらデジタルな音作りにしたりと、ミクスチャーへ接近していた氷室さんなんですが、今作は前面に出たギターが気持ちよくうなるロッケンロール。ここら辺自分の好きなことをのびのびやっているようで好感持てるし、歌謡曲的な甘さが控えめなのも、単なる過去の焼き直しになっていなくて良い。

ただ本来主役であるはずの氷室京介の声があまり出ていなくて、曲の勢いに負けてしまっているのが非常に残念。まぁ元々声量で勝負するタイプの歌手ではないとはいえ、この人だったらもっとかっこよく出来たと思うんだけどねぇ。ただ結果、いつの間にかこんなにすごいことになってたの、って感じの巻き舌唱法のおかげで、この手の曲にしては珍しくねっとり感が印象的という、ある意味個性的な曲にはなってる。

2曲目は彼の新ユニット GOSPELS OF JUDAS のもので、彼のファルセット使った歌と妖艶な雰囲気が印象的なハード・ロック。まだ1曲なのでなんともいえないけど、ある程度ソロ名義との差別化は図れてるかなと(曲は可もなく不可もなく)。

WARRIORS - Single - 氷室京介

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Herodias / Dance of the Seven Veils (Self Released) mp3

Herodias / Dance of the Seven Veils
http://www.cultofherodias.com/

ニューヨークのバンド Herodias が今年の5月に出したミニ・アルバム。
なんか夫婦でやっているバンドみたいで、奥さんがヴォーカルとピアノ、その他の楽器を旦那さんが担当している模様。

音の方はダウンチューニングで奏でられる遅い曲が延々と続く、所謂ドゥーム・メタル、その中でもフューネラル・ドゥームと呼ばれるものだと思うんだけど、音の重量感そのものはそれほどなく、その暗さはクラシックやオペラに近い歌唱を聴かせる女性ヴォーカルによるところが大きいので、良くも悪くもメタル的なものはそれほど意識せずに聴ける。

まぁ個人的にはちょっと間延びしすぎな感じもなくはないんだけど、雰囲気自体は悪くない。

あと私が落としたときにはフリーだったんだけど、今は有料みたい・・・。

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Helios / Moiety (Unseen) mp3

Helios / Moiety (Unseen)

Helios こと Keith Kenniff さんが先月自身のレーベルから発表したフリーのアルバム。

ビートのない音楽って基本的に苦手なんで、今作のようなリズムのないアンビエントはほとんど聴かないんだけど、そんな私からしてもエレクトロニクスと生楽器をバランスよく配し、淡い心象風景を描き出すこの作品の美しさには抗えない。

中でもピアノを使った曲の美しさは素晴らしく、明確なメロディがあるわけでもないのに、きちんと印象に残るようなものになっていて、こういうアンビエントだったらまた聴いてみたい。

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Ham Den Lange / Fucking Smukt (Self Released) mp3

Ham Den Lange / Fucking Smukt

デンマークのラッパーさん Ham Den Lange が今年発表したミックステープ。

ヨーロッパのヒップホップというとドイツのものを聴く事が多いので、なんとなく暗い印象が強いんですが、今作はゆるゆると脱力しながらも明るいもの。
それでいて低音の効いたトラックはしっかりしているし、ラップの方もどこか飄々としながらも抑揚があってなかなか楽しめる。

あとデンマーク語のラップってはじめて聴いたんだけど、普段英語のラップ聴いてれば特に違和感はないかな。

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Hidaddy / 火種 (IFK) CD

Hidaddy / 火種 (IFK)
http://www.infumiaikumiai.com/

私は韻踏合組合の歴代メンバーで一番好きなのはだるまさん、現在のメンバーだと Erone という人間で、特別 Hidaddy が好きというわけではないんだけど、なぜかソロ・アルバム持っているのって(現在のメンバーの中だと) Hidaddy だけなんだよね。なんでだろ(そういえば Hida はミックスCDも持ってるんだよな)。

ということで Hidaddy が2008年に発表した初のソロ・アルバム。

彼に関してはまだ韻踏合組合の各メンバーの名前も分からない頃に聴いた Head Bangerz の初アルバム『Head Bang』の “薔薇か?” での意味性を放棄したユーモアの印象が強すぎて、それ以降の絡みつくようなフロウはあまり好きになれなかったのだが、本作での彼のラップは以前のユーモアがかなり復活していて予想以上に良い。

中でも跳ねたビートに言葉遊びを絡める “マザファキライフ” や、 EVISBEATS とのさすがのコンビネーションを聴かせる “GOGYOU” などはかなり好き。

反面ありがちにラップへのこだわりや前向きさをラップにした曲に関してはあまり好きになれないのだが、それでも総体では十分魅力的なアルバムだ。

またソロ・アルバムが出たら聴いてみたい(その前に韻踏合組合聴けって話だろうけど)。

火種 - HIDADDY
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