The Weeknd / 『Thursday』『Echoes Of Silence』

The Weeknd / Thursday
http://the-weeknd.com/

個人的に2011年を代表するアーティストは誰か、って問われたら彼以外ありえないですね。っていうことで The Weeknd が『House of Balloons』(過去記事)以降に出した2つのミックステープをば。

まずは夏に出た『Thursday』。
こちら作品本体が出る前にリークされていた曲を聴く限りでは、『House of Balloons』より曲調に幅のある作品なのかなと思っていたし、実際レゲエを取り入れたトラックがかなり意外だった “Life Of The Party” みたいなもあったりするんだけど、他の曲に関してはゆったりとしたバラードが多く、彼の作り出すビートを楽しみにしていた向きからすると、ちょっと肩透かしな内容だろう。
しかしメロディから感情が零れ落ちるような Weeknd の歌唱と、深い余韻を残す隙間を生かしたトラックはやはり素晴らしく、3部作の中ではコレが一番好き。

The Weeknd / Echoes Of Silence

んでこちらは2011年12月21日にリリースされた、最新作にして3部作の最後を飾る作品。

まぁ今作に関しては発表されてまだそれほど日がたっていないので、まだあまり聴き込めていないのだけれど、前作がおとなしかった反動か、比較的トラックが特徴的な曲が多い印象。事前にリークされて話題になったけど、ヴォーカルがどんどん変調していく “Initiation” とか面白いです。

ちなみにこの3部作はボートラなどを足して今年パッケージ化されるそう。

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Sandwell District / Sandwell District (Sandwell District) CD

Sandwell District / Sandwell District (Sandwell District)
http://wherenext.tumblr.com/

んでこちらは Sandwell District が今年の4月に出した『FEED-FORWARD』(過去記事)の CD 版。

とはいっても収録曲のほとんどが空間的な音処理が加えられた、ようはダブ・ヴァージョンのような作品になっていて、『FEED-FORWARD』とは少し趣の異なる作品になっている。

まぁ書き方変えると、素材の味だけで極上であった『FEED-FORWARD』に余計な味付けをした作品、と思えなくもないんだけど、それはあの作品と比べればの話であって、これ単体で聴けば十分すぎるほど素晴らしい傑作かなと。

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SANDWELL DISTRICT / FEED-FORWARD (SANDWELL DISTRICT) 2LP+7″

SANDWELL DISTRICT / FEED-FORWARD (SANDWELL DISTRICT)
http://wherenext.tumblr.com/

新年明けましておめでとうございます。

去年のブログに関しては酷い有様だったので、なんとかしたいものなんですが、2011年の最初にも同じ事書いているので、多分なんともならんのでしょう・・・。

とりあえず2011年を振り返りつつ、適当にはじめていきたいと思います。

っつうことで、 Regis とFunctionによるユニッ トSANDWELL DISTRICT が2010年末に出したファースト・アルバム(今作には Silent Servant と Female もクレジットされてる)。

このユニットに関してはアンダーグラウンドで長らく活動してきた二人によるものということで、とかくハードなものを求められがちな気がするんだけど、今作はそういった音を求めるとちょっと肩透かしを食う作品だ。

不穏な SE で始まり鋭角的でノイジーな上モノが乗る “IMMOLARE” 、変則的で重いリズムと後半のひんやりとしたシンセが印象的な “GREY CUT OUT” の頭2曲こそそれっぽいものの、他の曲に関しては非常に飾り気のないミニマル・テクノが並んでいる。

しかし縦ノリのキックにクラップやシンセが重なり横ノリを加えることでどんどん躍動感が増していく “HUNTING LODGE” 、拡がりのある音響空間を作りながらも不思議と疾走感が際立つ “FALLING THE SAME WAY” 、ダビーな音響の中不規則に鳴る甲高いパーカッションが不気味な “SVAR” など、どの曲も無駄をそぎ落とした非常に説得力のある音に満ちていて、そこにアンダーグランドらしい芯の強さが感じられる。

つまり奇をてらわずとも聴かせる成熟したテクノを聴かせる作品であり、そういった意味では Josh Wink の『WHEN A BANANA WAS JUST A BANANA』と同様に、キャリアに裏打ちされたセンスを感じさせる作品。

近年のテクノの中でも突出した傑作ではないかと。

あと紹介しておいてなんですが、今作は発売直後にあっという間に売切れてしまったのですが、デジタル版の方で半分位聴けます。

試聴