ロンドンのアーティスト James Blake が2013年4月に発表したセカンド・アルバム。
2011年に発表されたデビューアルバム(関連記事)はダブステップの要素を期待しすぎたせいなのか、世間での評価をは裏腹に、自分にはよく分からない作品でした。ただそれ以降も James Blake は話題に上る事が多く、それに比例して耳にする機械も多かったし、昨年オフィシャル・ブートのような形で発表されたライブ盤(もうファイル削除されちゃってるのね)をけっこう聴いたせいか、 James Blake に対する苦手意識がなくなったというか、要は慣れた。
ということで、今作はわりとフラットな気持ちで聴けたんですが、前作よりもずっと好きな作品ですかね。
柔らかな低音の上で James Blake が切々と歌うタイトル・トラックの “Overgrown” に始まり、語りかけるような RZA のラップがかっこいい “Take A Fall For Me” 、振動するようなベースと、その上で跳ねるようなスネアの絡みが刺激的な “Digital Lion” 、最終曲らしくじょじょに沈み込んでいくような感覚が心地よい “Our Love Comes Back” と、相変わらず地味ながらも良曲ぞろい。
また以前は消え入りそうだった James Blake の歌唱も堂々としたものに変化していて、その分歌ものとしての魅力も増した。
ただ全てが良い方向に変化したわけでもなく、 James Blake の大きな特徴の一つだと思っていた、霞みがかった音響構築がなくなっていて、そうなってくると最近のエレクトリックな R&B とあんまり変わらない気がするし、 “Voyeur” での安易な四つ打ちとか聴いてると、ちょっと今後が心配にならなくもない。
まぁそうはいっても先日行われた来日公演は大絶賛の嵐だったので、今後もアーティストとして健やかに成長してくれる事を願いたい。

- Overgrown
- James Blake
- Republic 2013-04-04
- 曲名リスト
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- Overgrown
- I Am Sold
- Life Round Here
- Take A Fall For Me (feat. RZA)
- Retrograde
- DLM
- Digital Lion
- Voyeur
- To The Last
- Our Love Comes Back
by G-Tools , 2013/05/19