山下智久 / SUPERGOOD, SUPERBAD (Johnny’s Entertainment) 2CD

山下智久
http://www.jehp.jp/

せっかくなんで紹介しそびれていた、山下くんが2011年に発表した初のソロ・アルバムを。

そもそもの話として、山下くんのもっさりとした声ってあまり歌には向いていないと思っている人間なので、彼の歌だけでCD2枚分というのは半ば拷問に近い、とかひどいことを聴く前は思っていたんですが、これがなかなかどうして、予想以上に楽しめる珍品になっております。

山下くんのソロの路線って、大別すると初期の歌謡路線と、最近の打ち込みダンス路線があるわけですが、歌謡路線の曲を集めたのが1枚目の「SUPERGOOD」。
こちらには “はだかんぼー” なんていうライト・ファンクのかっこいい曲が入ってたりもするんですが、基本的には古き良きジャニーズ歌謡、といった趣の曲がほとんど。
なので時代性には乏しい、っていうかぶっちゃけ古臭いんですが、最近のある程度歌える人が増えてきたジャニーズの歌手に比べると、明らかに歌唱力という点では劣る山下くんの歌がのると、さらに回顧的な色合いが強くなっていて、ここまで徹底していると逆に面白い。
特に「ザ・ベストテン」で歌っている姿が容易に想像できる “口づけでアディオス” とか最高です。

一方のダンス路線を集めた「SUPERBAD」は、洋楽感覚で聴ける、とまではいかないものの、こちらは逆に時代に目配せした内容になっていて、どのトラックもなかなかに完成度が高い。
中でもオープニングらしい荘厳なシンセが鳴る “Tokyo Sinfonietta” や、力の抜けたヴォーカルがいい味を出しているディスコ・ファンクな “Yours Baby” (山下くんは意外にファンク合うのかもしれないねぇ)、トランスっぽいアレンジで思いっきりポップなメロディを聴かせる “Touch You” など、聴き応えのある曲も多い。

まぁそれでも歌手としての山下くんが好きになったかというと、お世辞にもそんなことは書けないのだが(すいません)、ある意味ジャニーズの過去と未来を内包した興味深い作品ではないかと。

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山下智久 / 愛、テキサス (Warner) CD

山下智久 / 愛、テキサス (Warner)
http://wmg.jp/artist/yamashitatomohisa/

2月に発売した、 NEWS 脱退以降は初となるシングル(通算5枚目)。

彼の脱退理由って「自分の好きなことがやりたい」という、基本的には赤西くんの KAT-TUN 脱退理由と同じものみたいだけど、なかなか KAT-TUN では難しいような本格的なアメリカ志向の曲で、その言葉をある程度実証してみせた赤西くんに比べると、良くも悪くも色々なスタイルに合わせられる器用さを持っていた NEWS というグループにいた山下くんは、脱退というもを音楽的に証明するのは難しいのではないかと思っていました。

しかし、事前に今作の表題曲が相対性理論によるもの、というのを知って、これは面白い方向に行くのかな、と思ったんだけど、蓋を開けてみれば、歌謡曲の要素が強い曲といい、男の友情を扱った歌詞といい、見事なまでに “青春アミーゴ” の路線を踏襲していて、ある意味これぞ山下智久、っていう作品になっていて、かなり肩透かし。

まぁそれは私が彼のソロに変化を求めていたからなんだけど、そもそもグループ脱退したからといって今までの路線を変更する必要なんかないわけで、そう考えれば納得できなくはないんだけど、この歌謡路線って山下くんの音楽的趣向というよりは、事務所主動のものだと思っていたので、どうももやもやするものが残るし、第一これが NEWS を脱退しないと出来ないことか、といわれるとかなり疑問で、要はこんなことをグダグダ書きたくなるくらい曲がつまらないからで、むしろこんな凡庸な曲を提供した相対性理論の職業作家的な手腕に恐れ入る。

一方カップリングの方は、扇情的なシンセが乗るダンス・ナンバーで、こういう今っぽい打ち込みの曲が山下くんのやりたいことだと思っていたし、ちゃらい感じも彼に合っていていいと思うんだけど、この方向性だと NEWS のが上手いじゃん、というのもあって、まぁ痛し痒し・・・。

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JIN AKANISHI / TEST DRIVE (WARNER) CD

JIN AKANISHI / TEST DRIVE (WARNER)JIN AKANISHI / TEST DRIVE (WARNER)
http://jinakanishiusa.com/

2011年の KAT-TUN 脱退以降、やれ全米デビューだハリウッド・デビューだと、出てくる話がいちいち大きくて、その広げた風呂敷に果たして中身が入っているのか心配でならなかった赤西くんなのですが、予定よりは遅れたものの、とりあえず無事全米デビューシングルが発売されたということでまず目出度い。

しかし肝心の中身の方は、ラジオとかで聴いてるときには良いと思えたものの、ちゃんと聴いてみるとけっこう微妙・・・。

まず発売前から話題になった Jason Derulo 参加の表題曲だけど、ブラスっぽい音を使った勇壮なイントロが印象的な疾走感のあるダンス・ナンバーで、最近四つ打ちづいているアメリカのことを考えたならば、方向性としては妥当なところなのだろう。
しかしこうやってアメリカ基準のトラックに赤西くんの声が乗っているのを聴くと、正直迫力の面でも伸びの面でもヴォーカルが弱く、曲の勢いをそいでしまっている感が否めない。

以前 KAT-TUN にいるときは彼のヴォーカルを力強いものだと思っていたし、実際このブログでもそう書いてたと思うんだけど、例えはアレなのだが恋は盲目に近いものだったのが、いきなり現実を突きつけられたようで、これはなかなかに衝撃だった。

まぁ上の印象は、変にコーラス重ねたヴォーカル処理に起因する部分も大きいのだけれど、この曲が赤西くんの歌手としての魅力を伝えているとはいえず、これなら、こんな素人臭いヴォーカルの奴がよく全米一位とか取れたな、って感じの Jason Derulo の方が曲に合っているだけいくらかマシに思える。

一方カップリングには先のツアーで披露された曲から3曲収録されていて、変にアメリカの影響を受けすぎた地味な曲ではなく、ある程度聴きやすいキャッチーさを持った曲を選んだのは良かったと思うんだけど、こちらは逆にバックのトラックが変に引っ込んだ、やたらとヴォーカルが前に出たミックスになっていて、これはこれでバランス悪く不完全燃焼。

結局ヴォーカルが前面に出過ぎていても不自然じゃないミドル・バラードの “TIPSY LOVE” が、ほんわかした雰囲気が今の季節に合っているのもあり一番いいですかね。

まぁ彼の全米デビューに関しては期待していた部分も大きかったので、ハードルが自然と上がっていたのはあるんだけど、それでも啖呵きって KAT-TUN を飛び出したからにはきちんと結果を出してほしいので、もっと頑張ってほしいところなのですが、どうなんでしょう。ちょっと心配になってきた・・・。

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Kis-My-Ft2 / Everybody Go (avex) CD

Kis-My-Ft2 / Everybody Go (avex)
http://avexnet.or.jp/kismyft2/

世間様が Sexy Zone で盛り上がっている中時機を逸しているにもほどがあるのだが、ジャニーズのデビュー・シングルとしては歴代3位の売り上げを記録したことで話題になった Kis-My-Ft2 のシングル。

私はジャニーズJr. までチェックするようなディープなジャニーズ・ファンではないのだけれど、この Kis-My-Ft2 に関しては KAT-TUN のライブで何度か曲を聴いておりまして。まぁ曲を聴いたといっても正直 “FIRE BEAT” しか印象に残っていないのだが、その曲に関しては、 KAT-TUN を野暮ったくしたような印象で、まぁ KAT-TUN のコンサートによく参加していることもあり、 KAT-TUN に近いハードロックを基盤にした音楽性でいくのだろう、となんとなく思っていました。

しかし正式なデビュー曲となるこの “Everybody Go” は、 KAT-TUN というよりは、むしろ NEWS に近い、トランス風のシンセが派手に鳴るダンス・ナンバーになっていて、以前のイメージに引っ張られている私などは少々面を食らってしまった。

曲自体は、何故この曲がバレーボール・ワールドカップのタイアップ曲になっていないのか不思議になるほどの王道ジャニーズ、といった感じで全然悪くないし(っていうか好きだけど)、神経症的に鳴るシンセとハットがリズムを引っ張るバラード “S.O.KISS” 、表題曲と同路線の “KISS FOR U” 、ブラスを入れてより歌謡曲的な “若者たち” と、どの曲も器用にこなしていているんだけど、こうなってくるとグループの方向性として、他のデビューが近いグループとどう差別化を図っていくのか少々疑問に感じる。

上で KAT-TUN に近い、って書いている時点で独自性もへったくれもないんだけど、それでも Hey! Say! Jump や NYC にはない男臭さは個性だと思うので、そこを伸ばした方が面白いと思うのだが。
それとも私が “FIRE BEAT” の印象に引っ張られすぎなだけであって、それ以外の曲に関しては昔からこんな感じだったのかしら?

まぁ今作の方向性が、 NEWS の脱退劇を見越してのことなら、事務所の戦略眼には色んな意味でびっくりなのだが、それはさすがに邪推しすぎか・・・。

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NEWS のアルバム『LIVE』とコンサート「LIVE!LIVE!LIVE!NEWS DOMEPARTY」について

NEWS / LIVENEWS / LIVE
http://www.johnnys-entertainment.co.jp/

先週今週と忙しかったのと、どうもやる気が出なかったのとで後回しにしていたら、いつの間にか2週間近く経っちゃったんですね。

ということで、さる9月28日、 NEWS のコンサートに行ってきたので、先日出たアルバムと一緒に簡単に感想など書きたいと思います。

今回のコンサートが一体どういったものだったのか、それは一言で表せば「良いコンサート」だった、という事になるんだと思います。
それはそのまま額面通りの意味ももちろんあるんだけど、言い換えるとそれは良いコンサート以上でも以下でもないというか、極端に酷い赤点を取ることもないけれど、代わりに突き抜けた満点を取ることもない、万年80点とでもいう、 NEWS の優等生的な部分がよく出たコンサートだったかなと。

そもそも今回のツアーは開催2ヶ月前近くになって発表されるという、急遽決まったものだったわけですが、さらにその後にアルバムの発表があったことは、このアルバムはツアーのためのアルバムであるという事を強く印象付けるものでした。

実際『LIVE』と題された今作は、昨年のシングル『恋の ABO』(過去記事)の流れを汲むようなダンス・ナンバーが多くしめ、なるほどコンサートで盛り上がりそうな内容になってはいたものの、反面今までの NEWS にあった多面性が影を潜める形になり、やや単調な印象を受ける。

とはいっても、メンバー全員でコヤシゲやっているようなはっちゃけた勢いが魅力的な表題曲をはじめ、切なさを湛えた歌唱がメンバーの成長を感じさせるバラード “秋の空” 、今作を端的に表す「勢い」と「切なさ」という部分を上手く融合させた “2人/130000000の奇跡” 、前作収録の “FLY AGAIN” に通ずる真っ直ぐな力強さが印象的な、夢を追い続ける日々を「終わらない夏」として讃えた “エンドレス・サマー” など、個々の曲は良いだけに聴き所も多く、良いアルバムだとは思う。

なので今回のコンサートは、アップテンポの曲でどんどん盛り上げていくようなものになるのかと期待していたのだが、実際のコンサートはそうでもなかった。

いや、まぁ “恋の ABO” に始まり、シングルを立て続けにやった前半や、アルバム曲を中心にダンサブルな曲を並べたところなどの盛り上がりはすごいものがあったんだけど、その後にくる曲の選択がイマイチで、出来かかっていた良い流れをいちいち切っている感じだったし、今回のアルバム曲以外はシングルしかやらなかったのも、意外性がなく物足りない感じがした。

つまり個々の楽曲でのパフォーマンスは悪くなかったものの、コンサートを通して一つの大きなうねりを作り出すことが出来なかったために、「良いコンサート」以上の感想がもてなかったように思う。

あと観客の盛り上がりに関しても、好きな曲がはっきりしてるからなのか好きなメンバーがはっきりしているからなのか、曲ごとに変に差があるのも気になった。メンバーのMCに対して何も反応しない場面も目立ったし。
今までのジャニーズのコンサートというと、良くも悪くもメンバーの一挙手一投足にわーきゃー騒ぐという印象だったので、この日来たファンの人たちが一体何を求めていたのかよく分からなかったし、かと思えばアンコールで手越くんが女装して出てきたときがこの日一番の盛り上がりだったというのもよく分からなかった。

ということで、 NEWS の側にも観客の側にも何か問題があるように思えて、なんともモヤモヤするライブでもありました。

あと蛇足的に、アルバムでの錦戸くんの歌唱について書きたいんですが、元々錦戸くんは技術よりも感情優先の歌い手だと思うんだけど、今作では歌い方を変えたのか以前よりも丁寧にメロディラインを追っている印象で、まぁそれ自体はけっこうな事なんだけど、そのせいで歌に込められた感情的な部分が以前よりも引っ込んでしまっていて、結果あまり引っかかりのない歌になってしまっている。

これが過渡期的なもので、技術的な面と感情的な面の両立が出来れば良いんだけど、このまま中途半端な状態が続くとつらいなぁ。

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Hey! Say! JUMP / JUMP NO.1 (J Storm) CD

Hey!Say!JUMP / JUMP NO.1 (J Storm)
http://www.j-storm.co.jp/hsj/

デビューから約2年8ヶ月たってようやく発表された Hey! Say! JUMP のファースト・アルバム。

シングルでデビューしてからそれほど間をおかずアルバムを出す事が多いように思えるジャニーズのグループにあって、2年8ヶ月というのはずいぶん時間をかけたなという感じなのだが、それが大事に育てられたというよりは、事務所に放置されていたという方がしっくりくる状況だったのは、このグループの未来に不安を感じずに入られないが、この作品に関してもちょっと心配になる出来だ。

SMAP 以降のジャニーズ、特に KinKi Kids 以降のグループに関しては、常に時代に合わせて音楽を洗練させる(洗練という言葉が適当かちょっと分からないけど)形で、自分たちの音楽的特徴を磨いてきたわけですが、その中にあって、正統派アイドル的な要素が強かった NEWS をさらにレイドバックさせたのが Hey! Say! JUMP という印象で、それこそ曲によっては光GENJI の時代に逆戻りしたのではないか、と錯覚させられるほど。

じゃぁ今作はただ古臭いだけの作品なのか、といえば、まぁ基本的な部分においては王道的なジャニーズ歌謡が基本になっているのは間違いないのだが、ヒップホップを取り入れた “Your Seed” などに顕著なように、それなりに時代性に対する目配せもされている。

しかしそれらを含めても今作は今までのジャニーズの遺産だけで出来上がっていて、つまりは Hey! Say! JUMP らしさが全くといっていいほど感じられない。
まぁまだファースト・アルバムという事と、全員平成生まれであるという若さを考えれば仕方のない部分もあるかと思うが、だったらその若さをもっと前面に出して弾けた内容にしても良かったのではないかと思うし、「僕らは平成Only! 昭和でShowは無理!」というとんでもないパンチラインを引っさげてデビューしたグループが前身になっているわりに、この小ぢんまりとした内容はいかにももったいない。

あと今作のレイドバックした内容は、あまりにも音楽的になり過ぎたジャニーズの音楽性を、いったんアイドルらしいものに戻すためなのかと思ったんだけど、今作には作詞はもとより、作曲や編曲にまでメンバーが関わっているらしくて、ということは今作の方向性はメンバー主導によるものなのだろうか。だとしたらますますよく分からないグループだ。

ちなみにこの盤を貸してくれたもりたさん激推しの “Time” はねぇ、ごめんなさい、よく分かんなかったです。

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ユカイツーカイ怪物くん / 怪物くん(怪物太郎) (J Storm) CD

ユカイツーカイ怪物くん / 怪物くん(怪物太郎) (J Storm)
http://www.j-storm.co.jp/arashi/

そしてこれは嵐の大野くんが主演した「怪物くん」の挿入歌で、タイトルから分かるとおり同名アニメの主題歌のカバー。

まぁこれに関しては大野くんが「怪物くん」の歌を歌っている、という以上の感想は出てこないんだけど、この曲でのいい感じで吹っ切れた、ちゃんと子供向けになっている歌唱を聴くと、大野くんは色んな意味で歌がうまいな、と改めて感じる。

ここら辺、木村カエラさんにはぜひ参考にしてほしいなぁ、なんていうのは余計な一言か。

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ARASHI / To be free (J Storm) CD+DVD

ARASHI / To be free (J Storm)
http://www.j-storm.co.jp/arashi/

今年の7月に出た嵐31枚目のシングル。

最初 CM で聴いた時は嵐らしい爽やかな曲という印象しかなかったんだけど、実際 CD で聴いてみるとディストーション・ギターとストリングスが前面に出た、あえて例えれば90年代後半の商業オルタナのバラードみたいな曲になっていて、まぁ新鮮っちゃぁ新鮮なんだけど、だからどうなの、っていのが正直な感想で、やはり最近の嵐の場当たり過ぎるリリースはちょっと自分には合わん。

ちなみに彼らは先ごろアルバムを出したばかりですが、それにはこのシングルは収録されないそうで、つまりは嵐のアルバム以降のモードが感じられる曲、といえなくもないんだけど、そんな深読みは多分意味のないことだろう。

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KAT-TUN LIVE TOUR 2010 PART2:WORLD BIG TOUR

さて、前回(過去記事)書いたとおり、 KAT-TUN のドーム公演3日目となるコンサートを先日24日見てきたわけですが、とにかく実感したのは気分の問題というのはここまで大きいのかという事で、6人に戻るかもしれないという気分で見る5人と、もう6人が並ぶところは見られないという気分で見る5人ではまるで違っていて、内容的には初日であった前回よりもはるかにこなれたものになっていたものの、どうにも寂しい気分を感じずにはいられないコンサートだった。

その寂しさの原因は赤西くんの不在に他ならないわけだが、それでも先日のアルバムは5人としての KAT-TUN の現時点の回答としては非常によく出来ていて、赤西くんの不在を歌唱の面では中丸くんが、力強さの面では田中くんが前に出ることによって赤西くんの不在を感じさせないものになっていて、非常に聴き応えのある作品になっていた。

しかしコンサートとなると話は別で、まだまだ5人での形が出来上がっていなくて手探り状態という印象が非常に強かった。
そう感じさせた一番の要因は前回書いたとおりやはり選曲や曲順で、新作からの曲はソロを除いて全てやったにもかかわらず(もっといえば今回5人体制で作った曲全部)、それを変にバラけさせたせいで印象が薄くなってしまったし、むしろ以前の曲との盛り上がりの差の大きさを印象付けてしまった感さえある。中でも “Lips” ~ “愛のコマンド” ~ “GOLD” の流れや、 “WILDS OF MY HEART” と “Peacefuldays” はこの日最大級の盛り上がりを見せていて、やはり KAT-TUN の本流はハード・ロックなのだと思わされる。
またこれら以前の曲に関しては亀梨くん以外のメンバーがそれぞれパートを分け合う事で対処していたのだが、それでもメンバーの中でも一際強い声の持ち主であった赤西くんの不在はいかんともしがたく、この辺り声質的にも歌のスタイルとしても田中くんがカバーするのが最も違和感がないのだが、音源ではともかく、ライブとなるとまだまだ彼の歌は稚拙で、少々、といういか正直書けばかなり辛いし、それは他のメンバーでもそれほど変わらない。その中でも中丸くんは唯一歌唱が安定して入るものの、彼の柔らかな声を、ハードロック調の曲で前面に出すのは辛かろう。

まぁその辺りはメンバー自体5人でうまくいく曲が少ないのが分かっているのか、だからこそ “N.M.P.” と “Going!” を2回やったり、いつも以上にMCに長い時間を割いたりしたのだろうと思うけど、だったら思い切って定番曲を削って、新作に合わせてダンサブルな曲でまとめるなどした方が面白かったし、もっと5人体制の KAT-TUN らしさに焦点を当てた選曲の方が良かったのではなかろうか。

あと他にも気になる点は多々あるものの、今書いても後ろ向きな事しか書けないのでまぁいいです。
でもどうしても気になるのが1点だけ。

それはこれから KAT-TUN はどういうアイドルを形作るのかという事で、今までがアイドルらしからぬアイドルなら、今は変にソフティケイトされたアイドルを目指しているように思える点で、セックスを直接的に歌った田中くんのソロ曲などは、初日見たときは田中くんがチャックを下ろす仕草や女性ダンサーとの際どい絡みがあったものの、それがこの日には一切なくなっていたし、メンバーがMC中変に下ネタを意識していたのも気になった。以前なら KAT-TUN はエロくてなんぼ、みたいなところがあったのに(そう思ってるのオレだけ?)、どんな心境の変化かと勘繰ってしまうし、もっと酷いと思ったのが田中くんがコンサート中によく言う「盛り上がらないとおまえら、命はねぇからなぁ」という言葉について、「あれはリップサービスですから」と言った事で、いやまぁ、そりゃ実際そうなんだろし、MCの流れの中で冗談っぽく言っていたのも分かるんだけど、それでもそれを言っちゃあお終いでしょ、と思わざるを得ないし、そんなところでも変に勘ぐってしまうほどもう私は後ろ向きなわけですよ。

ということで結局愚痴になってしまったのここらでやめますが、これから KAT-TUN は一体どうなってしまうんでしょうね。この期に及んで6人に戻ってほしいと思うのは後ろ向きなのかなぁ。

あと最後に蛇足ながら書くと、亀梨くんはとりあえずソロでオペラでもやって毒気を抜いて、その後上田くんに自分のキャラクターをふまえた上での世界観の作り方でも学んだ方が良いんじゃないかしら。

KAT-TUN / 『Love yourself ~君が嫌いな君が好き~』『Going!』『NO MORE PAIИ』について書こうと思ったけど、結局赤西くんに対する戯言

KAT-TUN / Love yourself ~君が嫌いな君が好き~KAT-TUN / Love yourself ~君が嫌いな君が好き~KAT-TUN / Love yourself ~君が嫌いな君が好き~KAT-TUN / Going!KAT-TUN / Going!KAT-TUN / Going!KAT-TUN / NO MORE PAIИKAT-TUN / NO MORE PAIИ
http://www.j-storm.co.jp/kattun/

さてさて、今年に入ってからの KAT-TUN に関しては、あまりにも状況の変化が激しくて、またその都度書きたいことが上手くまとまらなかったので記事書くの後回しにしていたのですが、そうこうしているうちに、赤西くんの脱退は決定的なようですね。
最初ジャニー社長の談話として発表されたときは、少々唐突なタイミングに、所詮ワンマン社長の気まぐれだろう、くらいにしか思わなかったのだが(同時にワンマン社長だからこそ、気まぐれでも通ってしまうのだろうとも思ったけど)、赤西くんが会員向けの日記で、これからソロ活動をしていく旨を書いたようで、もうこの流れは変わりようがなさそうだし、私としては最悪に近い結果に落ち着いたとの思いが強い。

それは私の中での赤西くんの評価の高さに起因するのはもちろんなのだが、それと共に今年の頭に出たシングル『Love yourself ~君が嫌いな君が好き~』の素晴らしさによる部分も大きい。

私が『Love yourself ~君が嫌いな君が好き~』の発売を知ったのは HMV のサイトだったと思うのだが、それを伝えるニュース・ページ(探したけどもう削除されちゃったみたい)にあったある言葉が非常に印象に残っていて、それは記憶によれば「破壊の次は再生」、というようなものだったと思う。はたしてこの言葉が事務所の資料から持ってきたオフィシャルなものなのか、それとも HMV の担当者が考えて書いたものなのかは分からないが、確かに『Love yourself ~君が嫌いな君が好き~』は「再生」という言葉がしっくりとくる作品だったからだ。

ではそもそもその「再生」という言葉は何を指しているのだろうか。それは思うにアイドルとしての再生だろう(ちなみに「破壊」の方は昨年の東京ドーム連続公演記録を破った事)。

今までの KAT-TUN といえばクールな印象であったり、またどこか陰のあるものであったりと、アイドルらしさとそれ以外の要素がせめぎあっているような曲が多かったが、それに比べ、”Love yourself ~君が嫌いな君が好き~” と “THE D-MOTION” は今までにないほどの華やかさをもった、素直にアイドルらしいといえる曲で、また6人中最も端正な歌声を聴かせる亀梨くんが基本的なメインパートを担当している事もその印象を強くする。

しかし今作はアイドルらしからぬアイドルである KAT-TUN が単なるアイドルになった曲、とはならずに、きちんと KAT-TUN としての個性を感じさせるものになっていて、要は KAT-TUN は6人全員が口を揃えるほど各人指向性がバラバラなグループなわけだが、そこを無理にまとめようとせず、曲のケツもちは亀梨くんにやらせるから、あとはみんな好きにしていいよ、ってな感じの良い意味でのいい加減さがあるからで、赤西くんにいたっては、極端に書けば終始オートチューン使って遊んでいるだけである。
それでも結果、両曲とも赤西くんの歌った部分は強烈なフックとして機能していて、本作のサウンド・プロデューサーが誰なのか知らないが、これぞプロデュースの妙、といったものを感じる。
それに “THE D-MOTION” の最初、中丸くん、上田くんに続いて赤西くんのパートに入ったときにハッとするのだが、ほぼ感情過多と同義になっていた彼のヴォーカルが今までにない軽やかさを持って鳴っていて、この時のグループの風通しのよさを表しているようで、このままいけば KAT-TUN は、とんでもない傑作をものにするのではないか、そんな予感さえ抱かせてくれた。

しかし結局私の期待は赤西くんの海外ツアーによって叶わぬものになった。
この辺りについても色々と思う事はあるのだが、今書いても恨み節にしかならなそうなので省く。

そして5人体制で発表されたシングル『Going!』は爽やかさが前面に出た、さらにアイドルらしいものになっていたが、普通の J-POP ではなかなか聴けないような変則的なキックを鳴らすアレンジと、躍動感溢れる田中くんのラップによって、ギリギリのところで「せめぎあい」を演出していた。

さらに6月に発表されたアルバム『NO MORE PAIИ』も同様に爽やかさが前面に出た作品ながら、随所に KAT-TUN らしい適度な異物感を感じさせることで作品が引き締まったものになっているし、また以前赤西くん抜きで作られた『catoon KAT-TUN Ⅱ You』のように変に幅を出すのではなく、方向性を絞ったのも功を奏して、作品としては非常に充実したものになっていて、おかげで赤西くんの不在をそれほど意識することなく、7月16日のコンサートに臨むことが出来た。

しかしコンサートともなると話は別で、やはり赤西くんの不在を強烈に感じざるを得なかった。

まぁコンサートに関しては24日にもう一度行ける事になっているので、細かい部分について書くのは控えるが、大雑把に見たとしても、正直よく分からない部分の多いコンサートだった。

演出面で無駄や意味の分からないものが多いのはいつもの事なのだが、一番意図が分からなかったのが選曲で、前半シングルや代表曲を中心にやっていたのは、5人でも KAT-TUN らしさを出せるとアピールしたかったのか、それとも代表曲を並べる事でファンを安心させたかったのか分からないが、 “僕らの街で” が終わって後半、 “FARAWAY” と “RIGHT NOW” という新作からの曲が並んだ事で、 KAT-TUN の新機軸を鮮烈に打ち出すのかと思いきや、ここでもよく分からない演出をはさむ事で流れがブツ切れになっていたし、全体でみれば尻すぼみな印象さえ与えていたのは非常に勿体無いと感じた。

あと面白いと思ったのはメンバーの個性の部分で、性格的な面では赤西くんの我が儘な部分ばかりが注目されるが、音楽的な面を見れば、本物志向の赤西くんよりも、自己陶酔型の亀梨くんの方が、 KAT-TUN の音楽性からすれば異質なんだよね。
それでも赤西くんがグループを離れ亀梨くんが残ったというのは、やはり性格的な部分が大きいのかなと思うが、前回、そして今回のコンサートを見るに、亀梨くんの世界観はよくいえば孤高に、悪くいえば誰もついいけないようなものになってきていて、結局ジュニアが世界観を構成する部品として出てくるだけで、メンバーの誰も絡めない状況を見ると、こちらはこちらで危ういものを感じてしまう。
あと今までは一歩引く形でグループの中心になっていた中丸くんが、赤西くんの不在にともなって矢面に立つ部分が増えたのもちょっと心配。

とまぁ結局何が書きたかったのかよく分からなくなっているが、とりあえず私はコンサートの最後に、いつもの「We are KAT-TUN」を5人でやったときにはちょっと泣きそうになったし、ここ数年最も情熱を注いだグループはもうないのだなぁ、と虚無感に包まれている・・・。