luke abbott / tuesday ep (border community) 12″

tuesday ep
http://www.bordercommunity.com/

一時期の注目度の高さからいうと、すっかり影の薄くなった印象の border community ですが、その原因の一つがタレント不足にあるのではないかという気がします。一応定期的に新人を発掘してリリースはしているものの、そのどれもが単発、もしくは他のレーベルからのリリースで成長も見られないし、かといって、それ一発でものすごいインパクトを残すものもないし。

そしてこの luke abbott も、以前 Output 等からリリースはあるものの、作品数はまだそれ程ない御方。しかしこの作品は、いかにも border community といった感じのシューゲイザーっぽいプログレッシブ・ミニマルで、正直インパクトは薄い。しかし、同時に牧歌的な雰囲気が強く、それはこのレーベルでは珍しい個性だけに、成長次第で面白い存在になる気はするんですが、果たしてborder community がちゃんと面倒見てくれるのかどうか・・・。

Luke Abbott - Tuesday EP
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fairmont / flight of the albatross (border community)12″

flight of the albatross
http://www.bordercommunity.com/

また border community で、最近出たアルバムからのシングルカット。
いかにもこのレーベルらしい覚醒的なミニマルなんだけど、うるさくなりそうなぎりぎりまで、たくさんの音色を使った上モノは普段のこのレーベルのものと比べてもよりサイケデリック。一方でどっしりとしながらも淡々と刻むリズムも新鮮で、このレーベルの中でもかなり好きな曲かも。残りのリミックスも三者三様ながらもいい仕事していて、総体的な作品として、バランスのいい良作ではないかと。

試聴
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ricardo tobar / el sunset (border community)12″

el sunset
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border community から、 james holden が南米ツアーのときに見つけてきたというチリの新人さん。チリ出身で名前が ricardo というと、思わず Ricardo Villalobos が浮かんでしまいますが、音の方は特にパーカッシブということもなく、まぁ border community 。でも他の人よりもシューゲイザーっぽいくらいで、どうも個性がイマイチ足らないかしら。それにここまでノイズ成分強くしちゃうと、個人的な好みからも外れちゃうのよね。
まぁまだ1枚目なんで、これから化けるの期待しておきます。

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nathan fake / you are here (border community)12″

you are here
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田中フミヤのDVD、珍しく amazon で注文したんだけど、入荷が遅れているとかで下手したら10月中旬になるんだって。がっくり。っていうかなんで日本のレーベルから出てるのが、そんなに入荷に時間かかるんだよ。しかもこっちは9月頭には予約してたっていうのに。ぷんぷん。

結局 nathan fake のアルバム『drowning in a sea of love』は買い逃したまんまなんですが、なぜか今頃そのアルバムからのシングル・カット。
表題曲は3拍子のリズムが印象的なダウンテンポのエレクトロニカでなかなかに美しい。しかし気になってしまうのは同曲の “live remix” で、どうしても『Dinamo』みたいなのを期待してしまうわけですが、やっぱりそんな事はいですね。でも原曲のメランコリックなメロディを生かしつつ、エレクトロ・ハウスにしたようなこのリミックスもいい出来。っていうかダンサブルなのに、原曲よりもさらに物憂げな雰囲気を強めているのが流石です。
残りの four tet のりミックスと “stops (live remix” はほっこりエレクトロニカで、可愛いながらもうっすらと漂うグルーヴが心地よい。

Nathan Fake - You Are Here - EP

avus / furry hat (border community)12″

avus / furry hat
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どうも最近の border community は以前ほどの求心力が感じられなかったんだけど、これは久しぶりの会心作。
“furry hat” の方は一聴するといかにもなプログレッシブ・ミニマルなんだけど、上モノに頼りすぎることなく、リズムと一丸になって徐々に空間を歪めていく感じがまさにサイケデリック。
“spnkr” は少し Plastikman を思わせるへヴィーなディープ・ミニマルで、そこにブリブリなアシッド音を加えたリミックス共に、意外ながらも非常にかっこいい。
やっぱりこういう素晴らしいシングルを聴かされると、まだまだ border community に追いつけてるものはいないと感じてしまいますね。

視聴

misstress barbara/barcelona(border community)12″

misstress barbara/barcelona
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リリース前から話題になっていた Misstress Barbaraborder community からのシングル。私はこの Misstress Barbara という人は名前くらいしか知らなかったんだけど、調べてみたらけっこう活動歴長いのね。比較的 border community って新しいアーティストの作品を出している印象があるのでちょっと意外。
しかし音の方はびっくりするくらい正調 border community といった感じ。重たいリズムと覚醒的な浮遊感のあるシンセの音、そして少しアシッドっぽい中音と、まぁものすごくいいのは良いんだけど、ちょっと意外性がないせいか面白みに欠けるかなぁ。
それとですねぇ、この盤の良いところでもあり悪いところでもあるんだけど、 Misstress Barbara のオリジナルの物足りなさに比べると、 holden のリミックスが凄すぎる。原曲が妖しく溶解していく “holden bell dub” もかなりいいんだけど、さらにブーストしたベースとノイズが蠢く “holden bass tool” がもう最高。 James Holden の成功以来、同系統の音って今じゃ随分増えてきたけど、この狂気さえ感じさせる独特な音響処理は未だ個性的であり圧倒的。やはりこの人の才能は一ケタ違いますね。まぁ両方とも4分ちょっとなのが物足りないんだけど。
あとこの写真だと暗くてよく分からないんだけど、いつもの風車がさびしげに写ったジャケットも、郷愁を感じさせて秀逸です。

試聴
[Tracklist]

DOMINIK EULBERG/KREUCHT & FLEUCHT(Mischwald)2CD

DOMINIK EULBERG/KREUCHT & FLEUCHT
http://www.mischwald.net/

iTunes が7にアップデートされてからというものギャップレス再生がうれしくて、今まで手が伸びずにいたミックスCDをよく聴いているのだけれど、これもそんな1枚。

2004年の『Flora & Fauna』(過去記事)で一気に知名度を上げてからもコンスタントにシングルは発表していながら、噂のCoccon からのアルバム(来年2月?)がなかなか出ない Dominik Eulberg の初ミックスCD。

彼は自身のオリジナルではダブテック中心ながらも、このミックスCDでは予想通りクリック/ミニマルが中心。しかしさすが人気アーティストというべきか、収録曲は2005年のヒット曲総ざらいといった趣さえある豪華なものです。
しかし実際に聴いてみると、その豪華さが信じられないほど地味。
とりあえずこのミックスを聴く限り、彼のミックスというのはそんなにテクニカルなものではなくて、曲のアタマとケツをちょっと繋ぐくらいなんですよね。だから展開していく感じが全然なくて、曲自体は悪くないから退屈とはいかないまでも、びっくりするくらい何も起きません。

というのがディスク1の感想。ずっとこのままだったっらどうしようかと思いながらディスク2の方を聴いてみると、こちらはシンセが扇情的な曲が多く、特に “Dinamo (Dominik Eulberg Remix)” から “Pele Bloss” への流れはかなり盛り上がる。まぁミックスのスタイル自体はディスク1同様特に個性は感じないんだけど、この Border Community 系を多く配した選曲は自然と体が動いてしまいます。

まぁなんのかんのと書きましたが、2005年の記録として持っておくと便利な1枚な気はする。

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Petter/Robotfood(MANUAL)12″

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border community 周辺の人って意識的なのかそうじゃないのか分からないけれど、わりと似通った音の傾向の人が多いと思うんですよね。まぁ簡単にいうと浮遊感のあるサイケデリックな上モノとソリッドなリズム、みたいな感じで。でもそんな border community の中にあって異彩を放っているのが、多分レーベル最年少の Petter ではないでしょうか。

そんな彼の今のとこの最新作。とはいっても去年の作品なんだけど、わりと好きで今でも聴いてます。ちょっと音の特徴がどうとかいえるほど彼の作品を聴いてはいないんだけど、 border community からの作品同様音が軽めで、物凄くヌケがいいんですよね。基本的に重心低めの音が好きな私なんですが、彼の作品には何故か引き込まれてしまいます。で、一つ思ったのは彼は音選びのセンスに非常に優れていると思うんですよね。表題曲なんか前半ほとんど展開もないのに、グネングネンしたグルーヴと音の快感だけで引っ張ってっちゃうし、後半に入ってくる扇情的なシンセも、何に近いかといわれればやはりトランスだと思うんだけど、安いトランスにありがちな下品さが全くなくてひたすら気持ちいい。トライバルなほかの2曲も全くもって素晴らしくって、個人的に今一番アルバム聴きたい人です。
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holden + thompson/come to me(loaded)2LP

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http://www.loadedrecords.com/

border communityに興味が出てきてからというものプログレッシブ・ハウスやトランスなんかにも手を出してみたいとは思うのだけれど、耳にするものの殆どが安っぽいものばかりで未だに手が出せないでいる私であります。
そんなこんなでそこら辺は相変わらずJames Holdenに頼りっきりという感じなのですが、彼と女性ヴォーカリストのJulie Thompsonによるコンビの、これは多分2作目。
とはいってもこれは正規盤ではなく先行プロモなんだそうで、正規盤より曲が多いそうです。普通プロモのほうがダイジェスト的に曲数少なくない?まぁ、いいけど。
オリジナルは今更エレクトロクラッシュ?、なんて言葉が浮かんでしまうようなロック色の濃い曲なんだけど、ヴォーカルの幽玄さが不思議な雰囲気を醸し出している曲です。
しかしJames Holdenの場合、どちらかというとメインになるのはリミックスの方で、今作には長尺物のリミックスが3ヴァージョン、おそらく本人の手によるものが収められています。その中でも一番印象的なのは”holden amateur guitar mix”でしょうか。オリジナルのギターを活かしたトビトビサイケデリアなリミックスで、後半の徐々に沈みこんでいくような展開もかなり効果的。残りの2曲もサイケデリックな感じながらも割といつものborder communityスタイルといった感じ。でもこの浮遊感のあるリミックスが幽玄なヴォーカルには一番合っている感じも。
他にもアカペラ2曲とよく分かんない謎のトラック1曲と盛りだくさんなので、正規盤待つよりはこちらを買ったほうが良いかと。まぁでも正規盤にはまた違うヴァージョンとかが普通に入ってそうだけど。

holden/a break in the clouds(border community)12″

HJ3747.jpg
http://www.bordercommunity.com/

何度か書いてるようにネタがないんでたまには12インチでも。とは言っても変な12インチ紹介してもすぐ売り切れちゃうとあれなんで、割りとベタな感じのを・・・・でもないかな。まぁ、最近このレーベルの新作が発売されたからということで。
私の印象からすると、昨年クラブ・ミュージック界隈で一番話題を集めたのではないかと思うborder community。このレーベルの主催者のJames Holdenって唐突に名前の挙がってきた人物に思えるんだけど、それもその筈というか、私にはナジミのうすいプログレッシブ・ハウス周辺の人みたいですね。そんな人が何でこんな越境レーベルを始めるに至ったのか知らないのですが、私も遅ればせながらちょこちょこ聴くようにしてます。
これはそのborder communityの記念すべき第一弾。私は基本的にプログレッシブ・ハウスとかトランスって聴かないんだけど、この曲は普段聴いてるテクノやハウスに比べると音の輪郭が妙にハッキリしてるんですよね。その分リズムも太くてちょっときつすぎるような気がしないでもないけど、それよりなにより、デトロイト系とも似てるようで違う浮遊感のある幻想的な上ものがとても気持ちいい。こんなの爆音で聴いたら頭どこか飛んでっちゃいそうです。その上もののツカミがかなり強いんだけど、その分展開が派手になりすぎないのも私好みです。これ聴いたせいで私はこのレーベルの音源全部集めたくなりました。はぁ・・・。
ちなみに私の買ったのは再発のなのでジャケが白黒です。