Frankie Fultz / Trinity

Frankie Fultz / Trinity
http://www.ffultz.com/

デトロイトのプロデューサー Frankie Fultz (UR のメンバーだそう)が2012年1月に発表したフリーのアルバム。

UR のメンバーっていうことでデトロイト的なメロディの作品を期待していたんだけど、今作はシンセ主体のサウンドにフィールド・レコーディングや生楽器を加えたノンビートの作品。
でもアンビエントの浮遊感もなく、どちらかといえばクラシックの小品といった趣の曲も多く、ちょっととりとめがなさ過ぎて曲が右から左に流れてしまう。

まぁメロディ自体は悪くないとおもうんだけど、それでも BGM 向けかなぁ・・・。

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Anthony Rother / “When The Sun Goes Down” Underground Resistance Remixes (DATAPUNK) mp3

Anthony Rother /
http://www.datapunk.de/

Anthony Rother といえば、最近は COCOON の首領である Sven Väth と一緒によく名前を目にするお人ですが、彼自身も10年以上エレクトロを中心に活動しているアーティストで、今作は彼の作品をデトロイトの UR がリミックスしたもの。

Anthony Rither と UR のつながりが一体どういうものなのか分からないけれど、今作は UR のテクノ路線を支持している人間ならば快哉を叫びたくなるような、王道のデトロイト・テクノ。

まず2種類収められたうちの “Ain’t No Sunshine Remix” は、浮遊感のあるシンセで焦らしておいて、中盤から柔らかなキックが入ってくる美しいトラックで、わりとヨーロッパのデトロイト・フォロワーに近い感じ。

一方”Flash Light Remix” の方は、冒頭から鳴る扇情的なシンセとストリングス、そしてファンキーなリズムと、どこからどう聴いてUR としかいえないようなコズミック・ファンク。正直伝統芸能にも近い感じがなくもないんだけど、迷いなくこの音を鳴らされたら私は逆らえません。

これは現在製作中だという噂の Galaxy 2 Galaxy のアルバムも期待できるのではなかろうか。

Anthony Rother - When the Sun Goes Down (UR Remixes) - Single

COMMIX / CALL TO MIND (Metalheadz)CD

CALL TO MIND
http://www.metalheadz.co.uk/

Metalheadz といいますと、レーベル名どおり硬質でハードコアな印象がありますが、 Commix にとって初のアルバムとなる今作は、ちょっとカラーが違いますかね。ほとんどの曲がシャープなリズムとクリアな上モノの組み合わせで出来ていて、わりと Hospital とかのお洒落系な感じ(すいません、凄く偏った知識で書いてます)。でも全編ドンガラガッシャンいってた Rufige Kru のアルバムに比べると、こちらの方が曲単位では軽すぎて物足りない感じがするものの、要所要所でハードな面も見せるせいか、アルバム全体としては過不足なく聴ける。
あと、コレはさっき気が付いたんだけど、多分 Metalheadz から Goldie 以外がアルバム出すのって何気に初めてじゃないかしらね。それでけ期待株という事なんだろうけど、まずは納得のアルバムなんじゃないでしょうか。

試聴
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[DDV-002] Pacou – UR Mix

DDV-002.gif

Pacou によるUR音源を使ったミックスです。
Detroit 2 Detroit で紹介していたのをいただきました。

最近のURについて何か書くと文句しか出てこないんだけど、昔のURは今でも好きです。とかいいつつも、セットリスト見ても知ってる曲5曲しかないんでやんの。
まぁでもこのミックスはベタに盛り上がれていいのではないかと。

しかし私の一番好きな “Firekeeper” が入ってないのがなぁ。

Tracklist

01.Red Planet/Windwalker (Red Planet)
02.UR/Living 4 The Night (UR)
03.UR/The Theory (Mind Mix) (UR)
04.UR/First Galactic Baptist Church (UR)
05.The Vision/Gyroscopic (UR)
06.Galaxy 2 Galaxy/Timeline (UR)
07.The Deacon/Soulsaver (UR)
08.Scan 7/Password Soul (UR)
09.Davina/Don’t You Want It (Club) (UR)
10.Red Planet/Sunchaser (Red Planet)
11.Red Planet/Sex In Zero Gravity (Red Planet)
12.Red Planet/Star Dancer (Red Planet)
13.UR/Fuel 4 the fire (UR)
14.Suburban Knight/Infra Red Spectrum (UR)
15.UR/Particle Shower (UR)
16.UR/Rain Dance (The Wish) (UR)
17.UR/Seawolf (UR)
18.UR/Elemination (UR)
19.UR/Transition (UR)
20.Drexciya/Bubble Metropolis (UR)
21.Electric soul/X Squared (Electrofunk)
22.Electronic warfare/Logic Bomb (UR)
23.UR/Message to the Majors (UR)
24.Remote/The Swarm (UR)
25.Electronic warfare/The Illuminator (UR)
26.The Aztec Mystic/Jaguar (Mayday mix) (430 West)

UNDERGROUND RESISTANCE/INTERSTELLAR FUGITIVRS 2(UR)2CD

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http://www.undergroundresistance.com/

結構買ってから日が経っているものの、この作品は自分の中でぜんぜん租借できないんですよね。その一番の理由はやはり34曲という曲数の多さだと思うんだけど、その壮大なコンセプトとも相まって、言語の違う我々日本人にはなかなか伝わりにくいのではないでしょうか。このアルバムについてのいろんな記事を読んだけれど、あんまり突っ込んだ内容のもの見たこと無いしね。
まぁだったら時間をかけて読み解けばいいのだろうけれど、今年に入ってもUR関連のリリースラッシュは続くようだから、多分このアルバムの存在感というのも薄れていく一方のように思えるし。

ならば自分が聴き込んで、濃い内容の文章をかければいいのだろうけれど、今の私にはそこまで彼らに対する情熱はないのであんまり聴いてないです。
ズルくてすいません。

とまぁ、どうもURについて書こうとするとつい文句をタラタラと書いてしまうのですが、このアルバム自体は案外好きです。

さすがにこれだけ曲数が多いので散漫さというものは避けられないのだけれど、最近の彼らには欠けているように思えた強靭なファンクネスがあるんですよね。だから曲調はそれなりに幅があるものの、そのファンクネスが一貫して感じられるので、曲数にめげずにその世界に入ってしまえばわりとすんなり聴き通せてしまいます。

でもこの音楽を指して、Underground な Resistance (抵抗)かといわれるとそうは思えないわけで、以前はあったはずの緊張感の感じられないこの音を聴くと、やはり複雑な思いを感じずにはいられません。
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DJ S2 aka UR-057/”The Slider’s Joint” Mix(Underground Gallery)CD

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http://www.undergroundgallery.jp/

最近のURには愛憎入り乱れた複雑な思いを抱いているのだけれど、店で見かければ何だかんだいって買ってしまいます。そんでこれはUR関連では今のところ一番新しいミックスCD。
このミックスを手がけているDJ S2という人に関しては全然知らないのだけれど、今までUR関連の作品のエディットを手掛け、自身もURから『Slide』というシングルを出してるんだそうな(知らんかった)。
で、このミックスCDの売りといえば、なんといっても未発表曲の多さ。しかも今秋リリース予定の『Interstellar Fugitives Pt.2』からの音源も含まれている点ではないでしょうか。
しかしマチュさんのようなマニアと違って、私はどれが未発表曲かよく分からないのだけれど、そんなの関係なしにこれは良いミックスCDです。
っていうかね、URにありがちなエレクトロとかが全く顔を出さない、是正にテクノといった感じ。最初はハウスっぽい柔らかな感じで始まって、序盤の”Hi-Tech Jazz”からどんどん高揚感が増していき、トライバルなものも織り交ぜつつ起伏に富んだ素晴らしい展開で聴かせてくれます。UR関連のミックスCDってローランドの3枚しか聴いたことないんだけど、これが一番好きかも。
しかしこのCDを聴く限り、『Interstellar Fugitives Pt.2』って前作のエレクトロから変わって、テクノ仕様になるのかしら。

Galaxy 2 Galaxy/a hitech jazz Compilation(Submerge)2CD

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http://www.undergroundresistance.com/

で、御代マッド・マイクのアルバムです。御代のアルバムとしてはマーティアン名義でのレッド・プラネットのコンピ以来になるのかな?今度はギャラクシー・2・ギャラクシー名義の作品を集めたコンピということで、良くも悪くもマッド・マイクのロマンの結晶みたいなアルバムですね。
 
以前このアルバムにも収録されている”リターン・オブ・ザ・ドラゴンズ”はけっこうボロクソに書かせていただいたんだけど、このアルバムも微妙かなぁ。まだ全然ちゃんと聴けてないんだけど、ここに収められている曲たちは私にはロマンティックすぎるんだよね。マッド・マイクってデトロイトの厳しい現実というものを実際目にしている人物なようだけど、その現実と相対する、そして対抗していくような力強さがどうも希薄なんだよね。よくデトロイト・テクノを語る際に「宇宙」という言葉が出てきますが、しっかりと地に足をつけ宇宙を見上げるのではなく、この人は頭が宇宙に行ったまんま帰ってきてない感じがします。現実逃避、とまでは言わないけど私はちょっと距離を感じてしまいますね。まぁ、現実逃避も反抗の一手段、とか何とか言われたら何もいえませんが。
まぁ、曲が良いのは間違いないから嫌いではないんだけど、私はマーティアンでのコズミック・ファンクの方が断然好きですね。まぁ、思い入れの差でしょうか。そんな私は一番力強さを感じる”Transition”がベストかな(でもオリジナルより微妙に曲が短いのは何故なんでしょう)。でもこの曲だけちょっと毛色が違いますよね。

あと作品自体には関係ない話なんだけどこれって日本以外でもちゃんと出るんでしょうか?昨年Catalogから出た3作も輸入盤で見かけないし、今回リリースされたサブマージ関連も同様に見かけないし。なんか最近のUR関連って「日本向け」な感じがするのも好きじゃない理由の一つです。

Los Hermanos/On another level(Submerge)CD

on another level.jpg
http://www.submerge.com/

なんか私のお気に入りのブログを見ると猫も杓子もGalaxy 2 Galaxyですね。なもんで私はLos Hermanosでも。去年からずっと紹介しそびれてたし、DJロランド抜けちゃったみたいだし丁度よいかなと。
 
私は最近のUR関連に関してはセルアウトな感じが強すぎて(あの大量リリースも込みで)あまり良い印象は抱いていないんだけど、そんな中でもこのアルバムは別格というか、昨年のベストアルバムとの呼び声も高かったのも納得な素晴らしいアルバムだと思います。
 
で、話は飛ぶんだけど私はこのアルバムを聴くと昨年の雷家族のアルバムを思い出すんですよね。この雷のアルバムが世間ではどのような評価を受けているのか知らないんだけど、私は長く聴ける良いアルバムだと思っているんですよ。確かにこのアルバムには、かつてはシーンの突端に位置していた雷というグループに我々が期待するような「やばさ」というものは殆ど見受けられないのだけれど、変わりに今のヒップ・ホップにはあまり見られなくなった楽しさやぶっといグルーヴが感じられるんですよね。このアルバムというのは雷にとって初のアルバムに当たるわけだけれども、そこで過激さを追求するのではなく、もう細分化が激しすぎて何がヒップ・ホップなのかも良く分からない今だからこそ、ベテランらしくヒップ・ホップの王道を突きつけた、って云うのは結構納得できる展開だなと私は思ったのですが。
 
そしてこのロス・ヘルマノスのアルバムにも同じことが言えるのではないかと思うのですよ。このアルバムには革新性なんてものは殆どないし、意地悪な書き方をすると全部”ジャガー”の焼き直し。それでもこのアルバムの素晴らしさは少しも揺らぐ事がないと思います。それはやっぱりこのアルバムがテクノの原始的な魅力に溢れているからなんですよね。では、テクノの原始的な魅力とは、と問われると答えに窮するところもあるんだけど、ダンス・ミュージックである前にソウル・ミュージックであり、同時にレベル・ミュージックなのではないかなと。そういった意味でこのアルバムは最高にソウルフルだし、そういったことを無しにしてもここにある曲たち良さには逆らえません。
 
ロランドが抜けちゃってこの先どうなるのか不安がなくもないけど、時間かけてもいいからこれからもこのような素晴らしい作品を出していって欲しいものです。

Perception / WINDCHIME (underground resistance)12″

wind
http://www.undergroundresistance.com/

前に書いた『RETURN OF THE DRAGONS』(過去記事)と同発のシングル。

少しオルゴールを思わせるキラキラした音色に導かれて、ストリングス、そしてリズムが入ってくるという、これもやっぱりデトロイト・テクノ。別に悪い曲ではないのだけれど、ストリングスが音色、メロディ共に安っぽい感じでどうもなぁ。
例えば私の大好きな「Firekeeper」なんかはもう少し気高さを感じさせる曲だったと思うのだけれど。個人的にはURのこの手の曲で楽しめたのは「Timeline」くらいまでだなぁ。ちなみにB面はモノクロームな感じの淡々とした曲。私としてはこちらの方がずっと好みです。
ということはA面を共作したマッド・マイクが悪いのか?

TIME LINE / RETURN OF THE DRAGONS (UNDERGROUND RESISTANCE) 12″

RETURN OF THE DRAGONS
http://www.undergroundresistance.com/

昨年「Jaguar」や「STRINGS OF LIFE」のカヴァーが出たときも、なんだかなぁとおもったものだけれど、今度は『Galaxy 2 Galaxy』に収録されてた曲のライヴバージョンなんだそうで。なんかこういう話聞くと萎えるのは私だけでしょうか。
 
最近のデトロイトってエイロやアンプ・フィドラー、それにマシュー・ディアーなんかが出てきて盛り上がっているような印象だけど、逆にベテランに関しては停滞しているような感じがするんだよね。その中でもURとジェフ・ミルズはここ数年一歩も前に進めてないように思える。ジェフ・ミルズの今年頭のDVDは素晴らしかったと思うけれど、最初は鮮烈だった『Every Dog Has Its Day』も4作出したりしてマンネリだし、『SEE THE LIGHT』も他のアルバムもそれぞれの差異が私にはあまり見えなかったし。
そしてここ最近のURも正統派デトロイト路線かすちゃぽこエレクトロ路線(私はエレクトロがあまり好きではないのでどうしてもこんな表現になる)と決まっていて変わり映えがしない。別にテクノに革新性ばかり求めるわけではないけれども、『INTERSTELLER FUGITIVES』の頃にはあった切迫感がなくなって、今では随分と能天気なものに変わってしまっている。それにアルバム1枚ならともかく、昔の名曲のライヴバージョンをシングルで小出しにするのって明らかに前向きではないと思うんだよね。まぁそれでも彼らには暖かいファンがたくさんついてるから別にいいんだろうけど。

Timeline - Return of the Dragons - EP