角田晃広 + 大竹マネージャー / 若者たちへ (Universal) CD

角田晃広 + 大竹マネージャー / 若者たちへ (Universal)
http://www.universal-music.co.jp/kakuta_akihiro/

「キング・オブ・コント」に優勝したり誰かさんに怒られたりと、最近何かと話題の東京03のメンバー、角田晃広とそのマネージャによるユニットのデビュー・シングル。

そもそもこのユニットは「ゴッドタン」という番組の「マジ歌選手権」というコーナーから派生したもので、音楽性の部分をそれほどおろそかにしていな、というのはあるにしても、まぁ基本はお笑いのための歌なわけですね。

実際今作も、1曲目の “若者たちへ” は長渕剛、2曲目の “疾走” は佐野元春を下敷きにしたような曲になっていて、冒頭こそメッセージ・ソングの振りして始まるものの、曲が進むにつれて見事なまでにメッセージが矮小化していく。 “若者たちへ” は最初、最近の荒んだ若者たちへのメッセージなのかと思わせつつ、いつの間にかそんな若者たちが怖いと言い、それが転じて挙句の果てには「もっと高齢化社会」と言い出す始末。”疾走” も結局「デートのときなんで男が金を払うんだ」という事しか言っていない。

では今作が、単なる企画もののコミック・ソングなのかというと、そんなことなく、私には非常に魅力的に映る。

以前 COPPU という女性ラッパーがデビューしたとき、その宣伝文句が「普通の女の子による等身大のラップ」みたいなのだったんだけど、実際たいした内容のラップじゃなくてがっかりだった、っていうのは以前記事に書いたんですが、じゃぁどういうのを期待していたかというと、 RUMI の “CAT Fight!!” みたいな、それこそ合コンとかのぶっちゃけた部分が聴きたかったわけですよ。

で、今作で歌われていることは、確かに矮小でみみっちい事なのかもしれないけれど、それと同時に、多くの男性が思っているであろうことでもあって、こういう歌って、たくさんありそうで意外にないんですよね。最近の J-POP とかって身近なことを歌っているようにいわれるけれど、そういうのって大抵最終的には人生とか未来とか、大きいところに話を持っていくでしょ。まぁ人生も未来も大事なのは間違いないんだけど、そういうのってもっと細かい日常の感情が積み重なってあっての事なのだから、それを日常に部分で止めた歌がもっとあってもいいのではないでしょうか。

しかし実際そういう歌を歌おうと思ったら、どうってことない事を魅力的に聴かせるセンスが必要になるし、大体そういうのがかっこいいのか、っていうのもあって、今作はお笑いだから出来たというの部分も大きいんでしょう。だから音楽性と笑いを両立させたこのシングルは、そういった意味でバランスが良いのだろうし、特に表題曲よりも笑いの要素を減らした “疾走” の、メッセージ・ソングっぽい言い回しをそこかしこに散りばめながらも、その全てが「何で男が払うんだ」という部分に帰結する歌詞はかなり秀逸。

まぁ惜しむらくは、その風貌からは想像もつかないテクニックで楽器を弾く大竹マネージャーの面白さがイマイチ生かされていないことで、これは音だけだとしょうがないんですかね。もし次回があるのなら、今度はビデオ・シングルにしてほしいところです。

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