DropxLife., Clams Casino, Omari Shakir., The Weeknd

また Weeknd 関連のものをまとめていくつか。

DropxLife. / Furthur.
『DropxLife. / Furthur.』
The Weeknd って元々 The Noise というプロデュース・ユニットで活動していたらしい、っていうのは以前書いたと思うんですが(過去記事)、なもんだから私はてっきり自身のトラックも全部自分で作っているものと思い込んでいました。
でも実際はそんなことなかったみたいで、何人かのプロデューサが参加していたみたいですね。
っつうことで『Echoes Of Silence』収録の “Initiation” のプロデューサーだという DropxLife. のミックステープ。
この DropxLife. というアーティスト、 Weeknd 周辺の人みたいなんだけど、その正体は今のところ謎みたい。
さらにこの作品のリリースの仕方もよく分からなくて、昨年末に3曲入りで出たものに曲足して6曲入りで今年出したと思ったら、次は9曲入りで出て、この度出た10曲入りのものが完全版らしい。
“Initiation” ってどんどんヴォーカルが変調していくけっこう実験的な曲だったので、今作も実験的なのかと思ったらそんなこともなく、新味というのは薄い。
でもヒップホップとダブステップとアブストラクトが溶け合ったようなビートと、徐々に沈みこむような音世界は心地よく、 Weeknd に通ずる雰囲気にはやはり抗えない。あと Weeknd のような高い緊張感がないのと、なんだかんだで1曲に1つは耳に引っかかりやすい要素が入っているので、インストでありながらも Weeknd よりある意味聴きやすいかも。
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DROPXLIFE / ALLXLEGENDS
『DROPXLIFE / ALLXLEGENDS』
んでこちらは DropxLife が昨年秋に出したミックステープ。
全体の雰囲気としては『Furthur.』とそれほどかわらないものの、ビートはこちらの方がシンプルで、こちらの方が幾分ポップ。なのでこちらから聴いた方が入りやすいかも(まぁ暗いのには変わりないんだけど)。
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Clams Casino / Instrumental Mixtape
『Clams Casino / Instrumental Mixtape』
こちらは『Echoes Of Silence』収録の “The Fall” をプロデュースした Clams Casino が、今まで他のアーティストに提供したトラックを中心にまとめたミックステープ。
今作に関しては Weeknd 関係なしに非常に評価の高い作品なんだけど、太いベースラインと重たいドラム、粒子の細かい幻想的な上モノの組み合わせは確かに気持ちがよい。あからさまにキャッチーな要素がなくてもきちんとポップなのも素晴らしい。
まぁ時折、これってポストロックに接近してたころの anticon の焼き直しじゃねぇの、って思う部分がなくもないんだけど、気持ちがいいのに変わりはないので気にするのはやめておきましょう。
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Omari Shakir. / Different.OMARI SHAKIR / NONCHALANT
『Omari Shakir. / Different.』『OMARI SHAKIR / NONCHALANT』
最近知ったんだけど Weeknd 周辺には彼を含む XO Gang というクルーが存在するらしく、そこに参加しているラッパーさんが出しているのが上2曲(もう1曲 “Like A Book” 曲もあるんだけどジャケットないので割愛)。
三味線(?)をサンプリングした “Different.” (DropxLife プロデュース)はかっこいいし、Omari Shakir の低い声でのラップも魅力的なんだけど、ちょっとこれだけだとラッパーとしての個性までは分からないですかね。
あと両曲とも iTunes に入れるとアルバム名のところに『TIL WE OVERDOSE』って出るので、もうすぐアルバムが出るのかも。
Different. ダウンロード
NONCHALANT ダウンロード

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Skream, Benga, Rusko, Funkystepz

ベースものでフリーの作品をいくつか。

Skream & Benga / Scion A/V Presents - Skream & Benga
『Skream & Benga / Scion A/V Presents – Skream & Benga』
アメリカの音楽サイト「Scion Audio Visual」で12月初旬に発表された、タイトルどおり Skream と Skream のスプリット盤(共作はなし)。
Skream って何だかんだでフリーの曲をしょっちゅうネットで見かける気がするんですが、 Benga に関してはリリース自体少なくなっているのでありがたい。
んでその Benga さん、ギターリフっぽいサブベースと、ギターソロのようにうなる “Any Steppers ” の方はロックっぽい珍妙な曲、 “Electro West ” は跳ねまくるドラムと扇情的なシンセが印象的な曲で、両方とも個性的。
一方 Skream の3曲はベースがうなるフロアトラックで、どれもかっこいいんだけど、彼のレベルからするとまぁ普通という感じかしら。
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『Skream / FREEIZM HISTORY』
んでこちらは Skream が昨年のクリスマスに発表した音源(ジャケットなし)。
タイトルから察するに昔の音源を含めた網羅的なものではないかと思うんだけど、実際以前を髣髴とさせるどっしりとしたベースラインの曲が多く、最近のベースがやたらとブリブリいうものより私はこういうものの方がやはり好き。時折入ってくるドラムンベースもいいアクセントになっている。
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Rusko / 2006 - 2010 remix collection
『Rusko / 2006 – 2010 remix collection』
Rusko が今まで手がけたリミックスをまとめた作品(発売したものとはミックスが違うみたい)。
Rusko ってダブステップ黎明期から活動しているプロデューサーの中でも露骨にポップに振れた人、ということであまり良い印象がなかったんだけど、今作は原曲のポップな要素を上手くダブステップに取り込んでいて、思ったよりもずっと楽しめた。思ったほどブロステップっぽくもなかったし。今年アルバム出るみたいなんで、今度はちゃんと聴いてみようかしら。
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Funkystepz / The ReFix EP
『Funkystepz / The ReFix EP』
ロンドンの3人組 Funkystepz が昨年末に出した EP 。
彼らについては赤西くんの盤(過去記事)にリミキサーとして参加していた以外は、 Hyperdub からリリースしていることくらいしか知らないので、てっきりダブステップなのかと思ったら、 UK Funky とか BassLine と呼ばれるタイプの曲がほとんど。なので軽快なダンスミュージックとして全然悪くないんだけど、私はこの手の曲ならもうちょっと BPM 早めの方がいいかしら。1曲だけやたらとベースがでかい “Bounce ReFix” とか好きだけど。
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The Soulstice / MF Wonders

The Weeknd / Thursday
http://thesoulstice.tumblr.com/

The Soulstice っていう4人組のプロデューサー・チームのデビュー作。最初単純にどちらかのラップをもう片方のトラックに乗せたマッシュアップかと思ったんだけど、実際はもうちょっと作りこんだ物っぽい(二人ともちゃんと聴いたことないのでよく分からないんだけど)。

音の方はサンプリング・メインのゆるめのヒップホップで、トラック、ラップともどもスムーズで心地よく、また各曲が短いので非常に聴きやすいんだけど、その分さらりと終わってしまい引っ掛かりが少ないのは痛し痒し、という感じ。

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Slim Rimografia e Thiago Beats / Mais Que Existir

Slim Rimografia e Thiago Beats / Mais Que Existir
http://www.srtb3.com/

サンパウロのコンビが自身のサイトで配布しているミックステープ。

ブラジルっていうとなんとなく音楽も賑々しいイメージがあるし、実際今作の終盤にもサンバやフラメンコっぽいトラックの曲もあるんだけど、その他の曲に関しては比較的オーソドックスなメロディアスなトラックの上に、歌が入ってくる場面も少なくない非常にポップなもので、ローカルな要素を求める向きには肩透かしな物かもしれない。

しかし仰々しくこちらに訴えかけるものはなくとも、優しく包み込んでくれるようなメロディはどれも心地よいもので、このやわらかさは確かにブラジルっぽい、と思えるもので、中でも穏やかなコーラスが印象的な “Epifania” とピアノが美しい “Te Esquecer” は名曲。

何度でも聴きたくなるような傑作です。

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The Weeknd / 『Thursday』『Echoes Of Silence』

The Weeknd / Thursday
http://the-weeknd.com/

個人的に2011年を代表するアーティストは誰か、って問われたら彼以外ありえないですね。っていうことで The Weeknd が『House of Balloons』(過去記事)以降に出した2つのミックステープをば。

まずは夏に出た『Thursday』。
こちら作品本体が出る前にリークされていた曲を聴く限りでは、『House of Balloons』より曲調に幅のある作品なのかなと思っていたし、実際レゲエを取り入れたトラックがかなり意外だった “Life Of The Party” みたいなもあったりするんだけど、他の曲に関してはゆったりとしたバラードが多く、彼の作り出すビートを楽しみにしていた向きからすると、ちょっと肩透かしな内容だろう。
しかしメロディから感情が零れ落ちるような Weeknd の歌唱と、深い余韻を残す隙間を生かしたトラックはやはり素晴らしく、3部作の中ではコレが一番好き。

The Weeknd / Echoes Of Silence

んでこちらは2011年12月21日にリリースされた、最新作にして3部作の最後を飾る作品。

まぁ今作に関しては発表されてまだそれほど日がたっていないので、まだあまり聴き込めていないのだけれど、前作がおとなしかった反動か、比較的トラックが特徴的な曲が多い印象。事前にリークされて話題になったけど、ヴォーカルがどんどん変調していく “Initiation” とか面白いです。

ちなみにこの3部作はボートラなどを足して今年パッケージ化されるそう。

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Sandwell District / Sandwell District (Sandwell District) CD

Sandwell District / Sandwell District (Sandwell District)
http://wherenext.tumblr.com/

んでこちらは Sandwell District が今年の4月に出した『FEED-FORWARD』(過去記事)の CD 版。

とはいっても収録曲のほとんどが空間的な音処理が加えられた、ようはダブ・ヴァージョンのような作品になっていて、『FEED-FORWARD』とは少し趣の異なる作品になっている。

まぁ書き方変えると、素材の味だけで極上であった『FEED-FORWARD』に余計な味付けをした作品、と思えなくもないんだけど、それはあの作品と比べればの話であって、これ単体で聴けば十分すぎるほど素晴らしい傑作かなと。

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SANDWELL DISTRICT / FEED-FORWARD (SANDWELL DISTRICT) 2LP+7″

SANDWELL DISTRICT / FEED-FORWARD (SANDWELL DISTRICT)
http://wherenext.tumblr.com/

新年明けましておめでとうございます。

去年のブログに関しては酷い有様だったので、なんとかしたいものなんですが、2011年の最初にも同じ事書いているので、多分なんともならんのでしょう・・・。

とりあえず2011年を振り返りつつ、適当にはじめていきたいと思います。

っつうことで、 Regis とFunctionによるユニッ トSANDWELL DISTRICT が2010年末に出したファースト・アルバム(今作には Silent Servant と Female もクレジットされてる)。

このユニットに関してはアンダーグラウンドで長らく活動してきた二人によるものということで、とかくハードなものを求められがちな気がするんだけど、今作はそういった音を求めるとちょっと肩透かしを食う作品だ。

不穏な SE で始まり鋭角的でノイジーな上モノが乗る “IMMOLARE” 、変則的で重いリズムと後半のひんやりとしたシンセが印象的な “GREY CUT OUT” の頭2曲こそそれっぽいものの、他の曲に関しては非常に飾り気のないミニマル・テクノが並んでいる。

しかし縦ノリのキックにクラップやシンセが重なり横ノリを加えることでどんどん躍動感が増していく “HUNTING LODGE” 、拡がりのある音響空間を作りながらも不思議と疾走感が際立つ “FALLING THE SAME WAY” 、ダビーな音響の中不規則に鳴る甲高いパーカッションが不気味な “SVAR” など、どの曲も無駄をそぎ落とした非常に説得力のある音に満ちていて、そこにアンダーグランドらしい芯の強さが感じられる。

つまり奇をてらわずとも聴かせる成熟したテクノを聴かせる作品であり、そういった意味では Josh Wink の『WHEN A BANANA WAS JUST A BANANA』と同様に、キャリアに裏打ちされたセンスを感じさせる作品。

近年のテクノの中でも突出した傑作ではないかと。

あと紹介しておいてなんですが、今作は発売直後にあっという間に売切れてしまったのですが、デジタル版の方で半分位聴けます。

試聴