音源を何も落とさない日はないのではないか、ってくらいお世話になっている bandcamp なんですが、比較的良いものが見つかりやすいブラックメタルやヒップホップに比べると、テクノやダブステップなどのエレクトリック・ミュージックははずれが多いなという印象がありまして。まぁこれはバキバキしたのがあまり好きではない私の好みの問題も大きいとは思うんだけど、本作に関してはかなりの当たりじゃないですかね。
ということで、ブラジルの二人組みユニット Abstract Nostalgic Fractals Systems が今年頭に発表したフリーのアルバム。
今作は有体にあらわせばベーチャン・フォロワーのダブ・テクノで、ミニマリズムをさらに推し進めるような革新性があるわけではない。
しかし幾層にも分かれた上モノが表情を変えながら描く音世界は実に情景豊かなもので、またその世界を壊すことなく、しかし太い音で鳴るリズムも素晴らしく、ものすごく完成度が高い。
中でも徐々に歪んだ世界を表出させる長尺曲の “For Epilogue Act” は圧巻。
これは傑作。