山下智久 / SUPERGOOD, SUPERBAD (Johnny’s Entertainment) 2CD

山下智久
http://www.jehp.jp/

せっかくなんで紹介しそびれていた、山下くんが2011年に発表した初のソロ・アルバムを。

そもそもの話として、山下くんのもっさりとした声ってあまり歌には向いていないと思っている人間なので、彼の歌だけでCD2枚分というのは半ば拷問に近い、とかひどいことを聴く前は思っていたんですが、これがなかなかどうして、予想以上に楽しめる珍品になっております。

山下くんのソロの路線って、大別すると初期の歌謡路線と、最近の打ち込みダンス路線があるわけですが、歌謡路線の曲を集めたのが1枚目の「SUPERGOOD」。
こちらには “はだかんぼー” なんていうライト・ファンクのかっこいい曲が入ってたりもするんですが、基本的には古き良きジャニーズ歌謡、といった趣の曲がほとんど。
なので時代性には乏しい、っていうかぶっちゃけ古臭いんですが、最近のある程度歌える人が増えてきたジャニーズの歌手に比べると、明らかに歌唱力という点では劣る山下くんの歌がのると、さらに回顧的な色合いが強くなっていて、ここまで徹底していると逆に面白い。
特に「ザ・ベストテン」で歌っている姿が容易に想像できる “口づけでアディオス” とか最高です。

一方のダンス路線を集めた「SUPERBAD」は、洋楽感覚で聴ける、とまではいかないものの、こちらは逆に時代に目配せした内容になっていて、どのトラックもなかなかに完成度が高い。
中でもオープニングらしい荘厳なシンセが鳴る “Tokyo Sinfonietta” や、力の抜けたヴォーカルがいい味を出しているディスコ・ファンクな “Yours Baby” (山下くんは意外にファンク合うのかもしれないねぇ)、トランスっぽいアレンジで思いっきりポップなメロディを聴かせる “Touch You” など、聴き応えのある曲も多い。

まぁそれでも歌手としての山下くんが好きになったかというと、お世辞にもそんなことは書けないのだが(すいません)、ある意味ジャニーズの過去と未来を内包した興味深い作品ではないかと。

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山下智久 / 愛、テキサス (Warner) CD

山下智久 / 愛、テキサス (Warner)
http://wmg.jp/artist/yamashitatomohisa/

2月に発売した、 NEWS 脱退以降は初となるシングル(通算5枚目)。

彼の脱退理由って「自分の好きなことがやりたい」という、基本的には赤西くんの KAT-TUN 脱退理由と同じものみたいだけど、なかなか KAT-TUN では難しいような本格的なアメリカ志向の曲で、その言葉をある程度実証してみせた赤西くんに比べると、良くも悪くも色々なスタイルに合わせられる器用さを持っていた NEWS というグループにいた山下くんは、脱退というもを音楽的に証明するのは難しいのではないかと思っていました。

しかし、事前に今作の表題曲が相対性理論によるもの、というのを知って、これは面白い方向に行くのかな、と思ったんだけど、蓋を開けてみれば、歌謡曲の要素が強い曲といい、男の友情を扱った歌詞といい、見事なまでに “青春アミーゴ” の路線を踏襲していて、ある意味これぞ山下智久、っていう作品になっていて、かなり肩透かし。

まぁそれは私が彼のソロに変化を求めていたからなんだけど、そもそもグループ脱退したからといって今までの路線を変更する必要なんかないわけで、そう考えれば納得できなくはないんだけど、この歌謡路線って山下くんの音楽的趣向というよりは、事務所主動のものだと思っていたので、どうももやもやするものが残るし、第一これが NEWS を脱退しないと出来ないことか、といわれるとかなり疑問で、要はこんなことをグダグダ書きたくなるくらい曲がつまらないからで、むしろこんな凡庸な曲を提供した相対性理論の職業作家的な手腕に恐れ入る。

一方カップリングの方は、扇情的なシンセが乗るダンス・ナンバーで、こういう今っぽい打ち込みの曲が山下くんのやりたいことだと思っていたし、ちゃらい感じも彼に合っていていいと思うんだけど、この方向性だと NEWS のが上手いじゃん、というのもあって、まぁ痛し痒し・・・。

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KIT KNOWS / The Second Space: Kit in T.O. (Self Released) mp3

Jinx / Schattenkluft EP
http://www.kitknows.com/

カナダはトロントのラッパー KIT KNOWS がフリーで発表したリミックス盤。

なんかサイトのバイオを見ると俳優やったり大学で映画の脚本の勉強してるみたいなことが書いてあって、まぁどちらが本職なのかはよく分からないのだが、とりあえず本作を聴く限りラップ、トラック共にすごく手堅い。

まぁトラックに関してはリミックス音源なので、彼の音楽性が直接反映されているわけではないのだろうけれど、トラックを選んだのが彼なら逆に音楽性が反映されないはずもないわけで、そう考えると、彼はそれほど冒険を好むタイプではないのだろう。

だがその代わり本作はどの曲もすごく完成度が高く、滑らかなフローといい、サンプリング中心の躍動感あるトラックといい、全編気持ちよく聴ける。

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Jinx / Schattenkluft EP (58mizik) mp3

Jinx / Schattenkluft EP
http://www.58muzik.com/

ドイツのラッパー Jinx さんが今年の2月にフリーで出したミックステープ。

数自体それほど聴いているわけではないのであまりえらそうなことは書けないんですが、なんとなくヨーロッパのヒップホップって寂しげな雰囲気のものが多い印象がありまして。
んで、今作もジャケットはなかなかに爽やかですが、音の方は基本的に物憂げな暗さに覆われていて、明るい展開はほとんどない。

でもその暗い中でもきちんと緩急のある流れは出来ていて、柔らかなギターとメロディが印象的な “Sehnsucht” を中盤において一回緊張感をとくのもいいし、また逆に一番ハードな “Der Beste der Besten der Besten” を終盤においているので、全体が締まっている。

まぁラップ、トラック共にそれほど特徴のある人ではないので地味ではあるのだけれど、なかなかの好盤。

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CD7枚、LP4枚、CDS3枚、12インチ4枚、ファイル7つ

VLAD CAIA / PROJECTIONS EPMINT / ミンちゃんWiley / Evolve Or Be ExtinctPEPE BRADOCK / IMBROGLIOS PART 1/42562 / AIR JORDANPETRE INSPIRESCU / MARCEL SI FIIIMonolake / GhostsBlack Sheep Wall / No Matter Where It EndsARASHI / ワイルド アット ハートPerc / Wicker & Steel: The Complete RemixesTRAXMAN / DA MIND OF TRAXMANKis-My-Ft2 / Kis-My-1stLuciano / VagabundosPerfume / Spring of LifeEdit-Select / Surface Air (Lucy / Edit-Select Mixes)YøR / Modern Slaves of Contemporary Contexts EPSawlin / Techno DumpingNX1 / SR. SEMANTICA 42XKHALIVAS / XIDodecahedronFrancis Harris / LelandSendai / GeotopeCircle Of Ouroborus / Eleven FingersMr. Children / 祈り ~涙の軌道Commodo / Northern Soul EP

VLAD CAIA / PROJECTIONS EP
MINT / ミンちゃん
Wiley / Evolve Or Be Extinct
PEPE BRADOCK / IMBROGLIOS PART 1/4
2562 / AIR JORDAN
PETRE INSPIRESCU / MARCEL SI FIII
Monolake / Ghosts
Black Sheep Wall / No Matter Where It Ends
ARASHI / ワイルド アット ハート
Perc / Wicker & Steel: The Complete Remixes
TRAXMAN / DA MIND OF TRAXMAN
Kis-My-Ft2 / Kis-My-1st
Luciano / Vagabundos
Perfume / Spring of Life
Edit-Select / Surface Air (Lucy / Edit-Select Mixes)
YøR / Modern Slaves of Contemporary Contexts EP
Sawlin / Techno Dumping
NX1 / SR. SEMANTICA 42
XKHALIVAS / XI
Dodecahedron
Francis Harris / Leland
Sendai / Geotope
Circle Of Ouroborus / Eleven Fingers
Mr. Children / 祈り ~涙の軌道
Commodo / Northern Soul EP

最近ブログではフリーの音源ばかり紹介していますが、レコード等もそれなりに買っていて、これがここ1ヶ月位で買ったの。
前回はテクノをあまり買っていないと書きましたが、今回は半数以上がテクノ系。

Tidus / Mirrors EP (Self Released) mp3

Tidus / Mirrors EP
http://www.tidustv.com/

ニューヨークのトラック・メイカーが今年発表した作品。

この人はサイトを見る限りけっこうな多作家みたいなんだけど、パッと聴いた感じどの作品も暗く、今作も同様に全体の雰囲気としては暗い。
でも使っている音そのものは軽めのものが多いので、沈み込むような暗さにはなっていなくて、そこを中途半端と捉えるか聴きやすいと捉えるかは人それぞれだと思うんだけど、私は思いっきり暗い方がよかったかなぁ。
ダブステップからの影響がそこはかとなくにじみ出るヒップホップ、という音楽性は好みなので、もうちょっと作品数重ねたところでまた聴いてみたい。

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Scott Kid / White noise (Self Released) mp3

Scott Kid / White noise
http://www.scottkid.com/

ロサンゼルスのアーティスト Scott Kid が今年3月に発表した作品。

最初このジャケットの女性が Scott Kid なんだと思ったんだけど、歌を聴く限り男の人っぽくて(少し中性的でよく分かんないんだけど)、じゃぁ今作が歌ものなのかというと、確かに全編歌は入っているものの、エフェクトによりかなり輪郭がぼやかされていてあまり曲のメインという感じでもないし、かといってビートが前面に出ているわけでもなく、要はイマイチつかみどころのない作品になっている。

でも今作は KickDrums (過去記事)のと違って、各要素の押し出しを弱めることによって心地よさにつなげていて、なかなか面白い。

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The KickDrums / Follow The Leaders (Self Released) mp3

The KickDrums / Follow The Leaders
http://thekickdrums.com/

ブルックリンのプロデュース・ユニット The KickDrums が今年4月に発表したミックステープ。

私は彼らのことを今作ではじめて知ったんだけど、 Kid Cudi なんかにもトラック提供しているみたいで、結構有名な人たちみたい。

んで、じゃぁなんでそんな人たちの音源を聴く気になったのかというと、 Lana Del Rey と A$AP Rocky の共演曲が収録される、っていうのをニュースで見たからなんだけど、結局その曲はレーベルから茶々が入り急遽収録中止になるという、とほほな結果になり、それでも今作自体が良ければいいだけど、ちょっと私にはイマイチな作品ですかねぇ。

今作はヒップホップを基調にしているものの、ジャケットにも現れているロックからの影響も強かったり、かと思えばダブステップっぽい感じのトラックがあったり。一方でラップだけではなく歌が混在している曲も多く(自分で歌ってるのかな?)、色んな要素をごちゃ混ぜにした結果、全てが薄まったような音楽になっていて、とにかく印象に残らない。
あと前にも同じようなことを書いているんだけど、これは「LiveMixtapes」で落としたんで音がとにかく小さくて、それも聴く気をそいでいる。

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家入レオ / サブリナ (Victor) CD

家入レオ / サブリナ (Victor)
http://www.jvcmusic.co.jp/leo-ieiri/

現役女子高生シンガー・ソングライターの家入レオさんのデビュー・シングル。

この曲に関しては最初ラジオで聴いて、なんとなく耳に残ったのでちゃんと聴いてみようと思ったんですが、そういう時って実際ちゃんと聴いてみると最初の印象と大分違う、ということがよくありまして。
というのも、大抵ラジオやテレビで聴いているとヴォーカルが一番耳に入ってきやすいからなんだけど(そもそもそんなに大音量で聴いてないのもあるし)、この曲もヴォーカルに関してはいいんだけど、変にロックっぽさを強調したバックのドタバタとした演奏がとにかくかっこ悪くて、中でもやたらバカスカ叩くドラムはどうにかならなかったのかしら。
歌詞見ると若者らしい被害者妄想的な孤独感が爆発しているので、そういう意味では合ってるんだけど。

ということで、私はアコースティックなミドル・バラードの “ripe” の方が良かったかしら。
まぁこれだと地味すぎて売り方に困るのかな。

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The Weeknd / Balloons of Haus (Self Released) mp3

The Weeknd / Balloons of Haus (Self Released)
http://www.facebook.com/chiduly

なんか今日は自分の中であまりピンとこない盤ばかりを紹介した感じなんですが(いつもそうか・・・)、今日紹介した中で一番イマイチだったのがコレ。
タイトルから分かるように The Weeknd の曲を Chi Duly というアメリカのプロデューサーがリミックスしたもの。

今まで紹介してきたように Weeknd のリミックスってそれなりには聴いてきているんだけど(紹介してないのでも色々聴いてるし)、この人の場合全編四つ打ち、っていうのはまぁいいとしても、原曲の繊細さを無視したかのような大味さがとにかく目立っていて雰囲気台無しだし、かといって四つ打ちのリズムもダンサブル、っていうほどグルーヴがあるわけでもなく、正直今まで聴いた Weeknd のリミックスの中では一番出来が悪いかなぁ。

まぁ元が暗いの好きな性格なんで、派手なの好きな人が聴けば感じ方も変わるんだろうけど、とりあえず私はいいかな。