Tunnidge / Twenty12 (Deep Medi) mp3

Tunnidge / Twenty12 (Deep Medi)
http://deepmedi.com/

ロンドンのプロデューサー Tunnidge が2013年1月に出したシングル。

彼のサイトを見ると Metalheadz から出す、みたいな事が書いてあるのだが、今作は Metalheadz の硬質なイメージとも違う、かといって Deep Medi ともちょっと違うアッパーなダブステップ。
ならよくあるレイブノリのものなのかという、それとも違っていて、扇情的なシンセと、グルーヴを加速させるようなパーカッションによってどんどん盛り上げていはいくものの、ドラムの生っぽい質感と、あまり歪んだ音がないおかげで、変な過剰さがなく、思いのほかすっきりと聴ける。

ただすっきりしてる分印象にも残りにくく、細かくビートを刻むドラムが中心になった “Orion” と、ゆったりとしたビートと怪しいヴォイス・サンプルや上モノで重厚さを演出する “Take Flight” もそれは同様。
なので全体としてはイマイチ地味かしら。悪い作品じゃないんだけど。

Twenty 12 - EP - Tunnidge

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Sax G / Gotta Get Down ft. Choklate (Self Released) mp3

Sax G / Gotta Get Down ft. Choklate (Self Released)
http://saxg.cloudnice.com/

やっとこそさ年間ベストの記事を書き上げたと気を抜いていたら、今日記事書いていないことに気がついて、毎日更新が途切れる、と若干焦り気味な shooter です。

っつうことで今回は簡単に。
シアトルのプロデューサー Sax G が2013年1月に出したシングル(3月に出るアルバムからのカットみたい)。

ジャケットが若干気持ち悪いので気後れする感じはあるんですが、音の方はゆったりとした四つ打ちのエレクトリック・ソウル。
控えめながら曲に過不足ない情感を与えている Choklate のヴォーカル、淡々と雨音を思わせるフレーズを刻むギター(多分)、温かみのあるシンセ、絶妙なタメを聴かせるハンドクラップと、構成する要素は別段新しいものではないものの、それらが溶け合った曲は実に美しく、弥が上にもアルバムへの期待が高まる。

ちなみに「Album Version」と「Radio Edit」の2バージョン収録されているんだけど、私にはどこが違うのかよく分かりません。

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年間ベスト of 2012

以前雑誌が情報の中心だった頃って、年間ベストが出るのって1月中旬とかが多かったと思うんだけど、いつから12月中にはだいたい出揃うようになったんですかね。やはりネットが中心になって情報のスピード感が増したせいでしょうか。なので私が記事書くのこの時期になったのは、筆が遅いからではなく、基本に立ち返ったからなのですよ、という言い訳から始まる2012年の年間ベストです。
年間ベスト自体は ecrn award に昨年投稿済みなんだけど、これはその拡充版という感じ。例によってアルバム、シングルごっちゃです。
あと宇多田ヒカルの『桜流し』も入れようかと思ったんだけど、1曲しか収録されてないのでさすがにやめた。だったらこの前のベスト・ソングの方に入れればよかったんだろうけど後の祭り。

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CD1枚、LP1枚、12インチ3枚、ファイル7

Toro Y Moi / Anything In ReturnNosaj Thing / HomeDXA / DXA EPCOS/MES / SNAKER 001PEPE BRADOCK / IMBROGLIOS PART 3ARAPU / 113 EPMonday Night ‎/ Monday Night #1Albert van Abbe / No Comment_0007PICNIC WOMEN / Ⅱ WOMEN EPpoivre / subspeciesUncle Texx / THE GREATEST COCKSXXXXR EVER EPSatanicpornocultshop / AtoZ!!!!!AlphabetBusterS!!!!!

Toro Y Moi / Anything In Return
Nosaj Thing / Home
DXA / DXA EP
COS/MES / SNAKER 001
PEPE BRADOCK / IMBROGLIOS PART 3
ARAPU / 113 EP
Monday Night ‎/ Monday Night #1
Albert van Abbe / No Comment_0007
PICNIC WOMEN / Ⅱ WOMEN EP
poivre / subspecies
Uncle Texx / THE GREATEST COCKSXXXXR EVER EP
Satanicpornocultshop / AtoZ!!!!!AlphabetBusterS!!!!!

ここ1週間位で買った音盤。ファイルは手軽でいいんだけど、その分買い過ぎちゃうのでよく考えねばな。
Toro Y Moi は人気者なんでとりあえず。 Nosaj Thing も人気のビートメイカーらしいけどよく知らん。DXA は勢いで買っちゃったラップグループの EP 。 COS/MES は私にしては珍しいディスコ系。 PEPE BRADOCK はまぁ買うさ。 ARAPU はルーマニア系、 Monday Night はハウス、 Albert van Abbe はミニマルです。残りの4つはジューク。自分がこんなにジューク聴くようになるとは思わなかったよ。

Pom Pom / Pom Pom CD 001 (Pom Pom) CD

Pom Pom / Pom Pom CD 001 (Pom Pom)

テクノっていうのは元々匿名性の高い音楽だから、作品はよく聴くけど名前しか知らない、みたいな人がわりといたりします。でもそういった人でも、大抵名前が浸透するにしたがって色々な情報が出てくるものだし、逆にリリース自体が止まってしまう、っていうことが多いように思います。
そんな中 Pom Pom は2001年から約10年間、ほとんど素性を知られる事なくリリースを重ねた稀有なアーティストの一人ではないかと思うんだけど、そんな Pom Pom さんが2008年にだした、今のところ唯一の CD 作品。

今作に収められた曲は新曲ではなく、これ以前に発表されたアナログに収録されていたものらしいのだが、クレジットなどは一切ないので確認のしようがなく、またジャケットから CD まで全てが真っ黒という徹底ぶり。
そして音の方も当然のようにアンダーグラウンド色の濃いもので、低音蠢く1曲目にはじまり、それ以降も歪んだ低音と荒い音像による個性的なトラックがずらりと並んでいる。しかしそれらはただ実験的なだけではなく、テクノの根源的なグルーヴをしっかりと保持したものだし、独特の音の位相のミニマル・ダブの13曲目の次に、スカスカのリズムの上で、今作で唯一といっていいほど透明感のあるシンセが鳴る14曲目で閉めるという流れも、不思議な味わいがあり面白い。

この人はこれ以降、アナログを2枚出したきり名前を見なくなってしまったけど、もうリリースはないのだろうか。

CLAUDIO PRC / INNER STATE (Prologue Music) 2LP

CLAUDIO PRC / INNER STATE (Prologue Music)
http://www.prologue-music.com/

イタリアのプロデューサー Claudio PRC がドイツのレーベル Prologue Music から2012年に出したファースト・アルバム。
Prologue Music っていいますと、 Voices From The Lake のアルバムの高評価もあり、2012年話題になることの多かったレーベルですが、今作もそんな話題の一端は担ってあろう事は間違いない傑作です。

ノイズをまとったゆったりとしたリズムがシューゲイザー的ながら、徐々に輪郭がはっきりとしてグルーヴの逞しさが現れる “Black Hole” 、変則的なリズムの上で鳴る細やかなノイズで緊張感を演出する “Echoes” 、細かく切られたドローンのようなベースが印象的な “Transparent” など、どの曲も地味ながら音楽的個性とクラブ・トラック的なグルーヴを両方備えていて、完成度が高い。

まぁその分アルバム全体としては盛り上がりに欠けるところがなくもないんだけど、それもこの硬派な作風からすれば瑣末な事か。

Inner State - Claudio PRC

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Deepchord Presents Echospace / Silent World (ECHOSPACE) mp3

DEEPCHORD PRESENTS ECHOSPACE / Silent World
http://www.echospacedetroit.com/

Rod Modell と Stephen Hitchell による二人組、Echospace が2012年に出したアルバム。

この人たちって限定な上にお値段割高な作品が多くて、途中から全然追いかけてなかったんだけど、久しぶりに聴いた今作は、以前のいかにもなベーチャン的ダブダブ路線とはちょっと違いますかね。

とはいってもダブ的な奥行きのある音空間というのはそのままながら、ノイズ・ドローン的な “In Echospace (Original Mix)” にはじまり、細かい音の粒子がシューゲイザーっぽくもある “Lisbon” 、霧のような音像の中でゆったりとなる上モノが雄大な川の流れを思わせる “Theme From Silent World” など、予想以上に様々な音要素が取り込まれていて面白い。

また一方で、徐々に弱まっていくビートは反比例して、シンセが折り重なり美しさを増していく “Orbiting” や、深い音響の中で鳴る太いリズムがじっくりとグルーヴを組み立てる “Hydrodynamics” などミニマル・ダブ路線の曲も充実していて、完成度が高い。

久しく Echospace を聴いていなかった私も、彼らを再評価するには十分の傑作です。

ちなみに3枚組みのアナログセットと、それらの曲をライブミックした CD 盤が出てるんですが、デジタルはその両方とボーナストラックまでついているので一番お得。

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SoulPhiction / Drama Queen (Philpot) mp3

SOULPHICTION / DRAMA QUEEN (Philpot)
http://philpot-records.blogspot.jp/

Soulphiction こと Michel Baumann が2012年12月に発表したシングル。

Michel Baumann というとシカゴ路線の Jackmate 、デトロイト路線の Soulphiction の二つの名義を使い、ミニマルが所謂クリック・ハウスと日本で呼ばれていた時代から活動しており、また今でも以前と変わらぬペースでリリースを続けている人物なわけですが、その才能は枯渇とは程遠い事を実感させてくれるのが本作。

ハイハットに導かれるようにパーカッションとキックがゆったりと入ってくる序盤がまずいいのだが、その後ジャジーでいながらも荒々しく力強く鳴るピアノがグルーヴを加速させる中盤、長いブレイクの後中盤とはうって変わって優雅に鳴るピアノをバックに女性ヴォーカルが歌う後半と、4分半強の曲で様々な面を見せながら、それでいてきちんとまとまりのあるハウスに仕上げていて、この人の音楽的センスには改めて恐れいる。

もう1曲の “Soul Brother No.2” は、低めのアシッドっぽい音を基調とした彼にしては珍しい感じの曲ながら、そこにピアノとストリングスを絡める事により、 SoulPhiction らしいブラック・ミュージックの色が濃いハウスになっていて、こちらも良い。

こうなってくると、以前製作中との話だった3枚目のアルバムをいいかげん聴きたいのだが、一体いつになるのだろう。

Drama Queen - Single - Soulphiction

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Roses Gabor / Stars (Girls Music) mp3

Roses Gabor / Stars (Girls Music)
http://www.facebook.com/IamRosesGabor

ロンドンの女性シンガー Roses Gabor が2012年末に発表したデビューシングル。

彼女以前紹介したミックステープ(過去記事)では、ベース系のトラックにブラック・ミュージック然としたヴォーカルを乗せる、っていう感じだったんですが、今作でも方向性としてはそれほど変わらない。
タメの効いたドラムとうなるベースラインは明らかにダブステップ以降のものだし、彼女のヴォーカルも相変わらずソウルフル。
ただ今までと決定的に違うのは今作は非常にポップだという事で、切なさをにじませながらも基本的に明るいメロディもそうだし、自分の声をあえて素材の一つとして、サビで細切れにしたり変調をきかせているのもそう。
しかしそれにより、きちんとベース・ミュージックの要素を持ちながらもすっきりとしたポップスとして聴かせることに成功しているし、サビで変則的なキックを入れることで曲に緩急つけているのも良い。

もう1曲の “Night Sky” も、豊かな低音と切ないメロディが絡む良曲。この人はアルバムが楽しみだ。

Stars - Single - Roses Gabor

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