BLAHRMY / A REPORT OF THE BIRDSTRIKE (D.L.I.P.) 2LP

BLAHRMY / A REPORT OF THE BIRDSTRIKE (D.L.I.P.)
http://www.myspace.com/blahrmy

sheef the third と Miles word による藤沢の二人組、 Blahmy が2012年の3月に出したファースト・アルバム。

2010年に出したミニ・アルバム「Duck’s Moss Village」(過去記事)がかなりの傑作だったので、今作にも当然期待していたんだけど、これはちょっと期待はずれでしたかねぇ。

とはいっても曲の完成度が低いとかいうことは全くなく、良い書き方をすれば「黒光りしたリアル・ヒップホップがずらりと並ぶ」作品になっていて、実際曲単位で聴けば太いグルーヴに貫かれたトラックの上で、技巧的で淀みのないラップを聴かせる二人の掛け合いは最高。
しかしアルバム全体としては、似たような曲ばかりが並ぶメリハリのない作品になってしまっていて、その為15曲という曲数の多さも悪いほうに作用してしまっている。またこれは Blahrmy の音楽性を考えればある程度しょうがないんだろうけれど、強烈なひっかっかりになるようなメロディや、派手なトラックなどもないため、どうしても地味な印象になってしまう。

なのでそこら辺の構成力をどうにかすれば、ずっと良くなったアルバムのように思うし、他のグループに比べれば十分傑作と呼べる位の作品なんだけど、さすがに期待しすぎましたかね。
ただこのグループにとってまだ初のフル・アルバムなので、まだ期待値は高いままにしておきたい。

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AKB48 / 1830m (KING) 2CD

AKB48 / 1830m (KING)
http://www.akb48.co.jp/

みんな大好き AKB48 が2012年の8月に出したオリジナルとしては2枚目となるアルバム。

ファースト・アルバム(過去記事)からして1曲目の “少女たちよ” とシングル曲以外はグループ名義の曲がないという、グループ内コンピの性格の強いものでしたが、今作は2枚組みということで、さらにその性格が強くなるのかと思いきや、1枚目に収録されている曲はほとんど AKB48 名義、2枚目がグループ内コンピになっていて、ある意味すごく2枚組みらしい構成になっている。

んで、シングル曲が好きな人間としては当然1枚目の方に期待したいんですが、シングル曲と劇場盤のカップリングを集めたこの1枚目が実に退屈。やはり劇場盤という性質上なのか、 “黄金センター” とか “アンチ” のようなグループ自体の環境や状況をモチーフにした曲が目立つんだけど、総選挙に代表されるような彼女たちの競争力学みたいなのに全くといっていいほど興味がない人間からすると、ただただ寒々しく聴こえるだけだし、 “ファースト・ラビット” や “走れ! ペンギン” も、「ラビット」や「ペンギン」が何の比喩なのかよく分からないし(まぁこれは聴き込み不足のせいかもしれないけど)。
また肝心のメロディの方も印象に残るものが少なく、ベタな歌謡曲アレンジのせいもあって、ひたすら古臭い曲が並んでいる、という以上の感想を持ちにくい。

一方の、新曲や CD 初収録曲中心だという2枚目は、前述したようにグループ内コンピ的な作品になっているのだけれど、こちらは意外なほど楽しめる。
彼女たちの曲としてはあまり聴いたことのない淡々としたエレポップの “Hate” からしてちょっと新鮮なのだが、高橋みなみと前田敦子がしっとりと歌うピアノ・バラードの “思い出のほとんど” (高橋みなみのヴォーカルはけっこう好きなのですよ)、勢いのあるロック・アレンジが楽しい “スキャンダラスに行こう!” (小嶋陽菜, 大島優子)、にゃんにゃんヴォイスが躁的なアイドル・ポップに合っている “アボガドじゃね~し…” (渡辺麻友, 指原莉乃)、ゆったりとしたメロディと童謡的なアレンジが心地よい “ぐ~ぐ~おなか” (歌ってる人前田敦子以外初めて見る名前・・・)と、それなりに曲調に幅を持たせながらも、印象的な曲が多い。
また最後に配置された “桜の花びらたち ~前田敦子 solo ver.~” も、私は前田敦子の歌ってこの曲で初めて意識したんだけど、歌唱力に関してはお世辞にも上手いとはいえないものの、低めの少しくぐもった感じの歌声は情感があり悪くないし、今作のようなベタなバラードにはすごく合っている。

ただこれを「オリジナル・アルバム」でやる必然というのを考えた場合、疑問しか出てこないのも事実で、これだったら以前のようにオリジナル・アルバムは出さずに、アルバムは全部コンピ、っていうスタンスの方がよかったと思うんだけど、やっぱりそれなりに大きな存在になると、慣習的なフォーマットにはのらざるを得ないんでしょうか。

1830m - AKB48

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Hauschka / Salon Des Amateurs Remix EP1 (Fatcat) mp3

Hauschka / Salon Des Amateurs Remix EP1 (Fatcat)
http://www.fat-cat.co.uk/

Hauschka こと Volker Bertelmann. が2012年に出したリミックス・シングル。

エレクトロニカやポップスの要素を感じさせながらも、あくまでプリペイド・ピアノを軸とした音楽をやっている Hauschka が、リミックス・シングルを出すというだけでも意外なんですが、そのリミックスを担当したのが Max Loderbauer & Ricardo Villalobos に Michael Mayer という、モロにクラブ畑のアーティストなのはさらに意外。
ただ Michael Mayer はともかく、 Max Loderbauer & Ricardo Villalobos に関しては ECM のリミックスなんかもやってるわけで、音楽性に関しては違和感はない。

その Max Loderbauer & Ricardo Villalobos によるリミックス、どうもこの二人が組むと小難しい方向にいきがちな印象だったのでちょっと不安だったんですが、今作に関しては当たり半分外れ半分という感じ。
透明の膜を一枚隔てているかのような、小さな音で鳴る変則的なキックと、原曲のものと思われるピアノやエレクトロニクスは、一聴すると難解な印象を受けるものの、細やかな音作りながらも確かに伝わる多幸感は意外にポップで、以前 Villalobos が手がけた mirko loko のリミックス(過去記事)に通ずる心地よさがある。

一方の Michael Mayer は、かっつりとリズムを足してクラブ・トラックにした、比較的素直なリミックス。ただこちらも原曲の柔らかさというものは、そのまま残してあり、結果リスニングにも耐えうる心地よいテック・ミニマルになっていて、こちらも好リミックス。

ちなみに今だとシングル買うより、リミックス・アルバム買った方がお得です。

Salon des amateurs (Remix) - Single - HAUSCHKA

UNKNOWN / KNOWONE LP 02 (Knowone) 3LP

UNKNOWN / KNOWONE LP 02 (Knowone)

2010年ごろから活動しているらしいドイツのレーベル Knowone から2012年に発表されたアルバム。
ここ数年流通形態がデジタル中心になったことで、逆にアンダーグラウンドなレコード作品が増えてきましたが、この Knowone もそんなレーベルで、アーティスト名などの情報はほとんどなく、またプレス数の絞られたレコードは、レーベル名と型番がスタンプされただけの簡素なもの。
しかしただ謎に包まれているだけでもなく、日本限定でシングルをリプレスするなどもしていて、愛想がいいのか悪いのか、ますますよく分からないレーベルです。

そんなレーベルからの作品というと、非常にアンダーグラウンド色濃いものを想像してしまいますが、今作はほんのりとミニマル・ダブ的な意匠をまといつつも、むしろデトロイト・テクノに近い感情に訴えかけるようなメロディをもったテック・ミニマルが多く、思いのほか聴きやすい。

しかし3枚のアナログの片面それぞれに収録された長尺曲は、派手な展開などを排した地味なもので、しかし全く弛緩することなく聴かせる手腕には、作者の地力の高さを感じさせる。

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Black Sheep Wall / No Matter Where It Ends (Season of Mist) CD

Black Sheep Wall / No Matter Where It Ends (Season of Mist)
http://www.season-of-mist.com/

カリフォルニア出身のメタル・バンドが2012年に発表した(多分)セカンド・アルバム。

彼らのスタイルは所謂スラッジと呼ばれるドゥーム・メタルの一種みたいだけど(実はここら辺よく分かってない)、地を這うようなギター・リフと、ハードコアっぽい咆哮のようなヴォーカルは、非常に重苦しい。
しかし長尺の曲中心に、後半にいくにしたがってノイズ成分が増えていくのが、まるで混沌に沈殿していくような深みがあり、メタル的な展開とは一線を画した面白さがある。

まぁ逆にいうとメタルのキメキメな感じを期待すると肩透かしなのだが、メタルだけにとどまらない、越境的な魅力を持った作品だ。

No Matter Where It Ends (feat. Jay Howard) - Black Sheep Wall

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ryouta pinky a.k.a 桃色技術音楽堂 / Cuite Magic (OSFC) mp3

ryouta pinky a.k.a 桃色技術音楽堂 / Cuite Magic (OSFC)
http://ordinarysfc.main.jp/

OrdinarySuperFamilyComputer (オーディナリー スーパーファミリーコンピューター)というチームの一員である ryouta pinky さんが2011年に出した EP 。

ジャケットの感じから最初ヴォーカロイドものなのかと思って聴いてみると、実際タイトル曲など最初の方の無機質なヴォーカルは生身の人間なのかヴォーカロイドなのか、この辺に疎い私には判別がつかないほどなのだが、次第に熱を帯びてきて感情がにじみ出てくるヴォーカルはやはり生身のもので(多分・・・)、またそれに伴ってバックのトラックも色彩豊かになってゆくのが非常良い。
音楽的には四つ打ちの女性ヴォーカルもの、というか普通に J-POP と呼んで差し支えないほどポップながら、何気にミニマルな部分も持ち合わせているのも魅力的。

まぁ音そのものの完成度は普段聴いているテクノなんかに比べると一段も二段も下がるんだけど、お世辞にも上手いとはいえない女性ヴォーカルと共に、今作ではいい味になっている。

リミックスもこの手のものにありがちな必要以上に解体した感じがなくて好感持てます。

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BES from Swanky Swipe / BES ILL LOUNGE (P-VINE) CD

BES from Swanky Swipe / BES ILL LOUNGE (P-VINE)
http://p-vine.jp/

んで、こちらは Bes の既発曲や未発表曲、新曲を ONE-LAW! がミックスした作品。

既発曲はもちろんの事、新曲でも他のラッパーが招かれているものが多く、また共演者がいるのに自分だけうらぶれているわけにはいかなかったのか、比較的以前に近い、毒とユーモアにあふれた曲が多いのだが、トラック自体はシンプルでゆったりとしているため、『Rebuild』の曲とミックスされていても違和感はない。

ただ新曲に関しては、期待していたわりには共演しているラッパーの方が目立っている曲も少なくなく、若干肩透かしの感は否めないし、全体的にも Bes の曲を並べました、という以上の流れや軸がイマイチ見えなくて、ちょっと作品としては散漫な印象を受ける。

そういった意味では、逆にちゃんとした復活作が聴きたくはなるのだが、果たして次はあるのだろうか・・・。

BES ILL LOUNGE - EP - BES from SWANKY SWIPE

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BES from SWANKY SWIPE / BLACK SWAN 3 (BLACK SWAN INC) CD

BES from SWANKY SWIPE / BLACK SWAN 3 (BLACK SWAN INC)
http://www.blackswan-inc.com/

今年は後半ちょっと頑張ったとはいえ、紹介できてない盤がまだかなりあるので駆け足で。

っつうことで、やっとこさお勤めから戻ってきた、と思ったら引退だなんだと言い出して話題になった(結局アレはどうなったんだろう)ラッパー Bes の EP 。

時折ユーモアを交えながらも、攻撃的に毒を撒き散らしていた SWANKY SWIPE (過去記事)に比べると、2008年に出されたソロ・アルバム『REBUILD』(過去記事)は随分うらぶれた感じの強い作品でしたが、今作はヒップホップ的な躍動感がいくらか戻ってきていて、そういった意味では『Bunks Marmalade』と『REBUILD』の中間にあるような作品になっている。

しかし『REBUILD』にあった哀愁はさらに色濃いものになり、歌詞もまた過去に対する後悔の念がこめられたものが多く、そこに以前のような攻撃性を感じることは難しい。
ただゆったりとしたビートに乗る感情的な彼のラップは、彼の今までの人生を反映させたブルースと呼びたくなるほどの味わい深さがあり、これはこれで非常に魅力的だ。

Black Swan 3 - BES from SWANKY SWIPE

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inc. / 5 Days (4AD) mp3

inc. / 5 Days (4AD)
http://www.4ad.com/

LA 出身の兄弟デュオ inc. が 4AD から2012年に出したシングル。
彼らは元々スタジオ・ミュージシャンとして活動していた人たちみたいなんですが、そんな彼らが2013年に発売するデビュー・アルバムからの先行シングル(EP は去年出してるみたい)。

この人たちって Weeknd 以降のアンビエント R&B の流れで語られる事が多いように思うんですが、実際今作の冒頭から入ってくる柔らかいシンセはそれっぽいし、随所に入るバック・コーラスも曲に更なる浮遊感を与えていて、そういった意味ではそれもうなずけるし、この浮遊感はかなり心地が良い。

しかし私としては走り出しそうで走らない、甲高いドラムのブレイクビーツや、甘美に鳴るギターやピアノにジャズの影響が感じられるのが面白く、むしろそういった影響がアルバムの方でどのように広げられているのかの方に期待させられる。

まぁ難点を書けば、この曲を聴く限り、実はたいして歌上手くないんじゃないの、って感じがしてしまうのと、この細い声質でどれだけ曲調に幅が持たせられるのか不安、っていうのがあるんだけど、そんなのはアルバム聴いてから判断すればいいだけの話なので、とりあえず2月のアルバム発売を楽しみに待ちたい。

5 Days - Single - Inc.

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ROBAG WRUHME / THORA VUKK (Pampa) 2LP+7″

ROBAG WRUHME / THORA VUKK (Pampa)
http://pamparecords.com/

ついでなんで Robag Wruhme が2011年に発表したセカンド・アルバム。
シングルはもちろんの事、ミックスCDやコンピなどがあったのでご無沙汰感は全くないが、オリジナル・アルバムとしては『WUZZELBUD”KK”』(過去記事)以来7年ぶり。

ある家族の休日の一こまを切り取ったようなジャケットが郷愁を誘うが、柔らかな電子音に導かれ、徐々にビートが入ってくる “Wupp Dek” で始まる本作は、ピアノやストリングスなどのメロディを用いながらゆったりとした時間を作り出していて、こちらも回顧的な色合いが強い。

しかしいくつかのインタールードをはさみながら赤ん坊をあやすかのような声で終わる、ある家族の物語を紡いでいるかのような作りは、 Robag Wruhme の作家性が際立つ非常に美しいもので、それでいて以前からのジャズの影響を思わせる細やかなビート・メイクはテクノとしても聴き応えのあるものになっている。

また以前のようなポップさは影を潜めながらも、メロディを多用する事で以前とは違った聴きやすさも獲得していて、改めて彼の音楽的な奥深さを感じさせてくれる本作は、非常に魅力的な傑作だ。

Thora Vukk - Robag Wruhme

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