Dead Seagull Medicine / Dead Seagull Medicine (Self Released) mp3

Dead Seagull Medicine / Dead Seagull Medicine (Self Released)
http://sharkdentures.bandcamp.com/

Shark DenturesSummon という二人のラッパーによるユニットの初アルバム。

二人の Soundcloud にアップされている曲を聴くと、普段から非常にアンダーグラウンド色の濃いヒップホップをやっているようで、そんな二人が組んだ今作も当然のことながらアンダーグラウンド色が濃い。

とはいってもそれは今時のものではなく(まぁ今のアンダーグラウンド・ヒップホップってよく分かってないんだけど)、90年代終盤から00年代頭辺りの音を想起させるもの。
それはピアノなどを使った重く悲しげなトラックであったり、低めの声で芝居がかった早口で畳み掛けるラップであったりと、けっこうまんまではあるんだけど、適度にユーモラスな部分も織り交ぜており重くなりすぎるのを回避しているし、やっている本人たちが回顧的なつもりでやってないからなのか、古臭さとは無縁の躍動感があり楽しめる。

あとやはりこの辺りの音は自分の好みど真ん中だったりするので、ついつい回数聴いてしまいます。

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Sawf / Flaws (Perc Trax) CD

Sawf / Flaws (Perc Trax)
http://perctrax.bandcamp.com/

ギリシャのプロデューサー Sawf が2011年に Perc Trax から出したファースト・アルバム。
私はこの人の名前を今作で初めて知ったんですが、元々2年前に Perc Trax に送ったデモがデビューのきっかけになったみたい。

1曲目が重厚な機械音を思わせるインダストリアルっぽくて、いかにもこのレーベルらしくはあるのだけれど、それ以降に関してはむしろ m_nus に近いアシッド・ミニマルが並んでいてちょっと意外。ただ覚醒するような感覚の強い m_nus に比べると、こちらは淡々としていながらも徐々に沈みこんでいくような暗さがあり、その荒涼とした雰囲気はやはりこのレーベルらしい。

ただドローンっぽい引きずるようなリズムの上に奇妙なヴォイス・サンプルが乗る “Ninio” や、重たいリズムと機械音で緊張感を作り出している “Peplo” など、面白い曲は少なくないものの、いかんせんどれも地味なので、ちょっと聴く人は選ぶかも。

まぁその分長く聴けそうな良盤かと。

Flaws - Sawf

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Perc / Wicker & Steel: The Complete Remixes (perc trax) mp3

Perc / Wicker & Steel: The Complete Remixes (perc trax)
http://perctrax.bandcamp.com/

Perc こと Alistair Wells さんのリミックス・シングルを纏めたアルバム。最近12インチを細かく追えてないので、こういうのはありがたい。

2011年のアルバム『Wicker & Steel』は実験的な側面も強かった作品だったので、そのリミックスとなると原曲をクラブ・トラックにしたようなものが多いのかというとそんな事もなく、なかなかに個性的なリミックスが揃っている。

共に現在のインダストリアル・テクノの代表アーティストである Ancient Methods と Tommy Four Seven は、ほとんど自分の曲といった感じの重量感のあるインダストリアル・テクノながら、リズムは変則的で踊りやすいとは言い難いし(音の強弱とタメでうねりを作っている Ancient Methods のリミックスがすごい)、ベース系の作品の多い ASC は原曲のテンポを極端に遅くしたようなリミックスで、これまた意表をつく。
また原曲を活かしつつも浮遊感のあるディスコティックなテクノにした Walls の “Choice” のリミックスや、 “Pre-Steel” をさらに電子ノイズ的にした tengui も面白い。

それらに比べると素直にダンス的解釈を聴かせる The Black Dog と Chris Carter のリミックスは面白みに欠けるものの完成度は高いし、同じエレクトロ的なテクノながら、軽妙さと重厚さという違う方向性のリミックスを2曲提供している TVO もいいアクセントになっている。

唯一残念なのが Sigha & Truss によるふぬけたエレクトロの “You Saw Me” で、 Sigha ってオリジナルは好きなんだけど、リミックスだと毎回イマイチに思えるのは気のせいか。

Wicker & Steel (The Complete Remixes) - Perc

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PERC / WICKER & STEEL (Perc Trax) CD

PERC / WICKER & STEEL (Perc Trax)
http://perctrax.bandcamp.com/

ついでなんで Perc Trax を主催する Perc こと Alistair Wells さんが2011年に出したファースト・アルバム。
Perc って Berghain 以降のハード・ミニマル再燃の動きの中で浮上してきた人、という印象だったんですが、 Discogs 見ると活動歴10年になるベテランさんみたいですね。

ざらついた音質の女性の語りと不穏なアンビエンスで始まる “Choice” 、そしてその流れを一気に断ち切るかのような金属的なリズムが鳴る “My Head Is Slowly Exploding” という冒頭の構成は、いかにもインダストリアル・テクノといった赴きながら、比較的空間を塗りつぶすような太い音が多かった過去のそれに比べると、この作品はより隙間のある鋭角的な音作りがなされていて、それゆえノイズ的側面の目立つ実験的な印象を受ける。

それは揺らめくようなノイズが曲を導くドローンの “Pre-Steel” 、ミニマル・ダブとドローンを掛け合わせたような “Snow Chain” に顕著なのだけれど、かといってダンス的側面が置き去りにされている訳ではもちろんない。例えばくぐもったキックと歪んだドラムが曲を加速させる “Start Chopping” のようなフロアでの盛り上がりを容易に想像できるような曲もあれば、淡々としたキックの上で鳴る鐘を思わせる音が緊張感を高めていく “Gonkle” のように、地味ながらも機能性の高い曲もあり、つまりは両方の側面を備えながらも構成の考えられた、アルバムとして完成度の高いものになっている。

そして中でも圧巻なのが最終曲の “Jmurph” で、左右に振れる金属的なノイズがオーケストラのような躍動感を生み出していて、きんとアルバムの要素を汲みながらも、最後にちゃぶ台返しされたような痛快さがある見事な曲。

ただの過去の焼き直しにとどまらない、インダストリアル・テクノの進化を感じさせる傑作。

ちなみに今作は Fabric みたいなブリキ缶入り。

Wicker & Steel - Perc

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Ekoplekz / Westerleigh Works EP (Perc Trax) mp3

Ekoplekz / Westerleigh Works EP (Perc Trax)
http://perctrax.bandcamp.com/

続いて実験的な感じのを。

ブリストルのアーティスト Ekoplekz が Perc のレーベルから2011年に出したシングル。

この人は様々なレーベルからけっこうな数の実験的な作品を出している人で、なんでそんな人がハード・ミニマルの Perc Trax から、っていう気がしなくもないんだけど、 Perc Trax もノイズ成分の強い実験的なものも出しているので、そう考えると違和感はない。

しかし今作がハード・ミニマルなのかというとそんな事はもちろんなく、性急な変則キックが入る “Ekoplatz” が若干それっぽいが、上に乗るノイズは明らかにダンス・トラックのものとしては異質だし、それはノイジーなエレクトロである “Narco Samba” と “Xylem Teardrops” も同様。

なので普通のダンス・ミュージックの感覚で聴くとけっこうつらいものがあるんだけど、私みたいな人間には低音が入っているだけで聴きやすいのも事実で、これはこれで悪くない。

Westerleigh Works EP - Ekoplekz

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Our Love Will Destroy The World / Thousands Raised To The Sixth (Handmade Birds) 2CD

Our Love Will Destroy The World / Thousands Raised To The Sixth (Handmade Birds)
http://handmadebirds.com/

今度こそ本当に気分を変えて、ニュージーランドの Campbell Kneale さんのノイズ/音響ユニット Our Love Will Destroy The World (こういってはなんだが中二臭いユニット名だね)が2012年に出したアルバム。

この手の作品って暴力的なノイズの洪水で圧倒するみたいなものを想像してしまうのですが、ギターノイズとパーカッションがゆらゆらと絡み合う “Calculate Unknown Angels” 、ノイズの向こうで鳴るシンセが不思議な軽妙さを与えている “Zine Boredom” 、四つ打ちのキックの入ってくる “Ships Of China” 、ノイズとピアノで荒廃した世界観を描く “Cloud Water Assembly” など、意外に曲のスタイルは幅広い。

またレーベルが変てこなメタルをリリースする事の多い Handmade Birds だからなのか、それとも元々この人のもっている世界観なのかは分からないけれど、ブラック・メタルにも通ずる荒涼とした雰囲気も自分には好みだし、ミニマル・ダブ的な音響感覚があるのも面白い。

まぁいちいち曲が長いのもあって(2枚組みで12曲)、お世辞にも聴きやすいとはいえない盤ですが、最近の Modern Love とか好きなら意外にいけるかも。

SKE48 / アイシテラブル! (avex) CD

SKE48 / アイシテラブル! (avex)
http://www.ske48.co.jp/

AKB 続きでいいかげん疲れてきたので、気分を変えて SKE48 が2012年の5月に出した9枚目のシングル。

私は SKE ってちゃんと聴いた事のある曲がほとんどないんだけど、これは AKB と大差ないノリのいいアップ・テンポのアイドル歌謡。ただ本家よりもさらに勢い任せの歌唱がなされていて、そのせいか開き直りとも思えるような勢いがあって、思ったよりも面白い。まぁそれでも1回聴けば十分って感じではあるけど。

それよりは力の抜いたバースから、はじけたサビへの展開が可愛らしい “あうんのキス” の方が好きかしら。地味に感想のエレピもかっこいいし。

研究生による “目が痛いくらい晴れた空” は子供の合唱。

アイシテラブル! - Single - SKE48

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AKB48 / 真夏のSounds good! (KING) CD

AKB48 / 真夏のSounds good! (KING)
http://www.akb48.co.jp/

AKB48 が2012年5月に発表した26枚目のシングル。

今回も水着ジャケ、っていうことで総選挙用のシングルなわけですが、イマイチだった『Everyday、カチューシャ』よりもイマイチな、まぁ端的に書いて今まで私が聴いてきた彼女たちのシングルの中では一番酷い出来なんじゃないですかね。

曲の方は夏らしいアイドルポップにはなっているものの、手癖で作ったのではないかと思えるほど何の特徴のない平板なものだし、それは歌詞も同様。あと AKB って大人数で歌っている分、それほど歌唱力のなさってそれほど気になったことないんだけど、今回は全体でよれまくるので聞くに堪えないし。
まぁローテーションを崩すわけにはいかず時間がない中、無理して作ったのだろう、と思うことにしておきます。

カップリングはメインがイマイチだから、っていう訳ではないんだろうけど、メイン曲と同路線のスペシャルガールズによる “3つの涙” 、軽めのアイドルポップの “ちょうだい、ダーリン!” 共に良曲。

真夏のSounds good ! () - EP - AKB48

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AKB48 / GIVE ME FIVE! (KING) CD

AKB48 / GIVE ME FIVE! (KING)
http://www.akb48.co.jp/

AKB48 が2012年2月に出した25枚目のシングル(やっと今年か・・・)。

その年に出す最初のシングルという事で、今回も卒業ソング。ただよくあるしんみりとしたバラードではなく、ブラスが盛大に鳴る、切ないながらも爽快なポップ・ソングになっていて、これは久々の大当たりなんじゃないですかね。別れの曲だからといってありがちな曲調にしなかったのもいいし、基本的に彼女たちの存在を、あるはずのない青春の追体験だと捉えている私からすると、こういう回顧的なメロディを賑々しいアレンジでやるのが AKB には一番合っていると感じる。

カップリングはセレクション6による可愛らしい “スイート & ビター” も悪くなかったんですが、スペシャルガールズBによる壮大さを感じさせるバラードの “羊飼いの旅” が、ちょっと新味があって良かったです。

GIVE ME FIVE! (Type-B) - EP - AKB48

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AKB48 / 上からマリコ (KING) CD

AKB48 / 上からマリコ (KING)
http://www.akb48.co.jp/

一年ちょっと紹介してなかっただけなのに、この人たちずいぶんシングル出してるんだねぇ、ってことで、 AKB48 が2011年12月に発表した24枚目のシングル。

私は AKB がやるあれやこれやに対して、基本的にはそれほど嫌悪感がない人間なんだけど、唯一ゲスいなぁとおもったのが、このシングルでの制作側の浮かれっぷりでして。
基本じゃんけん選抜って、なかなかチャンスの回ってこない若手なんかの為にやってるはずなのに、今作は前回よりも明らかにセンターが目立つか形で、しかもタイトルにまで名前入れるってどうなんですかね。まぁ一般的な人気が高い篠田麻里子がセンターになって、色々うれしいのは分からなくもないんですが・・・。

でも曲の方はいかにも AKB って感じの勢いのあるアイドル・ポップで、けっこう好きだったりするので困り物。まぁそれ以上の感想が出てこないという意味では地味ではあるんだけど。

カップリングは2曲とも可もなく不可もなく。

上からマリコ () - EP - AKB48

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AKB48 / 風は吹いている (KING) CD

AKB48 / 風は吹いている (KING)
http://www.akb48.co.jp/

AKB48 が2011年10月に発表した23枚目のシングル。

なんか AKB って毎年春に卒業ソング、総選挙用曲、総選挙1位の人がセンターつとめる曲、シリアスな感じの曲、じゃんけん大会の曲、という順番でシングル出してますが、今回はシリアスなミドル・バラード。
しかも「震災復興応援ソング」ということで、歌詞含めけっこう暗い曲ではあるんだけど、ブリッジからサビにかけて光が射し込んでくるメロディ・ラインであったりとか、淡々としながらも力強いアコギのカッティングであるとか、なかなか良くできた曲。2011年の彼女たちのシングルの中では一番好き。
それになんだかんだで切なげな応援歌ってアイドルの王道だしね。

カップリングはアンダーガールズによる、ぶりぶりのアイドルポップ。私アンダーガールズ意外に好きかもしれん。

風は吹いている () - EP - AKB48

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AKB48 / フライングゲット (KING) CD

AKB48 / フライングゲット (KING)
http://www.akb48.co.jp/

2011年8月発表の22枚目のシングル。

CD を発売日前に買うときなんかに使われる「フライングゲット」という言葉と恋心を結び付けて、さらに AKB の若い子の青田買い的側面もちらつかせていて、なかなかに上手いタイトルだなぁと思うんだけど、曲の方は似非ラテン歌謡という感じで、特に新味もなく、かといって曲自体もそれほどいいと思わないので、これ以上特に書く事ないです。
でも子供の行事なんかで小学校行くと、この曲以外に人気あるのを感じるんだよね。しかも幼稚園関係の仕事をしてる方も、この曲人気あるみたいな事いっていたので、案外子供には好かれてるのかしら。まぁだからどうだって話なんだけど・・・。

あと今回のカップリング、アンダーガールズによるぶりっ子歌謡の “抱きしめちゃいけない” 、しっとりとしたバラードの “青春と気づかないまま” 共になかなか良かったです。

フライングゲット () - EP - AKB48

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AKB48 / Everyday、カチューシャ (KING) CD

AKB48 / Everyday、カチューシャ (KING)
http://www.akb48.co.jp/

なんかはるか昔の曲に思えなくもない、 AKB が2011年に出した21枚目のシングル。

たまに私が「AKB の歌詞は良い」っていうと、大抵言われた人はキョトンとした顔をするんですが、私は前からけっこう思っていて。

例えば “ポニーテールとシュシュ” (過去記事)なんかでも、1番の歌詞では比喩を多用しながらも書かれていることは夏への期待感が中心で、2番で「君」との共有空間である「教室に陽が射して 夢の気温が上がった」と、夏への期待感を君への思いに転化させて、以降思いを畳み掛けるところとか良くできてると思うんだけどね。

んで、2011年の選抜総選挙投票券のが同封されていた今作は、曲調、歌詞共に前年の “ポニーテールとシュシュ” を踏襲していたものになっている。ということは、 “ポニーテールとシュシュ” を評価している私は今作も好きなのかというと、そんなこともなく微妙。

“ポニーテールとシュシュ” ってバースは抑え目ながらサビで盛り上がるという構成になっている分、サビでのカタルシスもでかかったんですが、今作は最初からテンション高くはじまるので、曲全体ではそれ以上の盛り上がりがないまま終わっちゃうのよね。まぁ前作からテンションがマックスなまま、主人公の恋心は続いている、っていうことならよくできてるんだろうけど。

あと歌詞の方にしても、以前として「君」に少女性を求めている部分と、大人になっていく「君」に引かれている部分が混在していて、どうにもすっきりせず。

まぁ “ポニーテールとシュシュ” と比べなければそんなに悪い曲でもないんだけど・・・。

相変わらずカップリングは聴くべきものがない。

Everyday、カチューシャ () - EP - AKB48

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AKB48 / ここにいたこと (KING) CD

AKB48 / ここにいたこと (KING)
http://www.akb48.co.jp/

旬が大事なアイドルの、しかもセカンド・アルバムが出てからもけっこう時間経ってる今頃、昨年のアルバムについて書いてどうするの、って感じなんで毎度の事ながら端折らせてもらうんですが。

つうことで、2011年に AKB48 が出したオリジナルとしては初となるアルバム。

この人たちって2010年に爆発的に売れて以降、多少の売り上げの浮き沈みや様々な話題があったものの、大きく見れば基本的には現状維持というか、すごく高いレベルでの停滞期がずっと続いてると思うんですよね(特に音楽的には)。

そんな中発表された今作は、彼女たちを鼓舞するような “少女たちよ” ではじまり、タイトルまんまの卒業ソングの “ここにいたこと” で終わる構成になっている。それはよく書けば物語性あふれる、という事になるんだけど、本音で書けば色々なものがこの作品の中で物語が完結しすぎていて、ファースト・アルバムなのに彼女たちのこの先が全く見えない、つまりは今後の期待感というものが湧かなくて、そこに寂しさと退屈さを感じてしまう。

曲単位でいえば、シングルを好きな人なら十分楽しめる出来になっているし、力抜いた曲調の “風の行方” と “人魚のバカンス” みたいな曲が意外によかったりと、けっこう好きなだけにもったいない。

ここにいたこと - AKB48

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氷室京介 / WARRIORS (Warner) CD

氷室京介 / WARRIORS (Warner)
http://www.himuro.com/

フィジカル・リリースとしては2年ぶりとなる氷室さんのシングル。

一時期ラップ取り入れたりやたらデジタルな音作りにしたりと、ミクスチャーへ接近していた氷室さんなんですが、今作は前面に出たギターが気持ちよくうなるロッケンロール。ここら辺自分の好きなことをのびのびやっているようで好感持てるし、歌謡曲的な甘さが控えめなのも、単なる過去の焼き直しになっていなくて良い。

ただ本来主役であるはずの氷室京介の声があまり出ていなくて、曲の勢いに負けてしまっているのが非常に残念。まぁ元々声量で勝負するタイプの歌手ではないとはいえ、この人だったらもっとかっこよく出来たと思うんだけどねぇ。ただ結果、いつの間にかこんなにすごいことになってたの、って感じの巻き舌唱法のおかげで、この手の曲にしては珍しくねっとり感が印象的という、ある意味個性的な曲にはなってる。

2曲目は彼の新ユニット GOSPELS OF JUDAS のもので、彼のファルセット使った歌と妖艶な雰囲気が印象的なハード・ロック。まだ1曲なのでなんともいえないけど、ある程度ソロ名義との差別化は図れてるかなと(曲は可もなく不可もなく)。

WARRIORS - Single - 氷室京介

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AK-69 / SWAG WALK (MS Entertainment) CD

AK-69 / SWAG WALK (MS Entertainment)
http://www.ak-69.com/

テクノ系の記事が続きましたがちょっと息切れしてきたので(いや、紹介してない盤はまだまだあるんだけど)、愛知県出身のラッパー AK-69 さんが9月に出したシングル。

なんでもこの人ニューヨークに行っているらしく、表題曲のプロデューサーはあちらの King David という人。しかし基本的な方向性が変わったわけではもちろんなく、どっしりとしたリズムと派手な上モノのトラックに、滑らかな AK-69 のラップが乗るというもの。ただこの曲、さすがは本場のプロデューサーというべきなのか、低音と上モノとの音の分離が非常によく、結果低音の伸びが楽しめるという、日本のものではありそうでなかなか聴けないものになっていて、トラック重視派の私としては今までの AK-69 の曲では一番好き。まぁラッパーのわりに歌いすぎというのはあるけど、今はみんなそうだからねぇ。

同じような方向性ながら表題曲よりラップ多目で若干硬派な、 DOPEMAN プロデュースによる “NEW DAY” もなかなか良い。

あと関係ないけどこの人 M.O.S.A.D. のアルバムに参加してるんだね。まぁ愛知なら全然不思議ではないんだけど・・・。

Swag Walk - Single - AK-69

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Joy Orbison, Pearson Sound & Boddika / SUNKLOFREE (Sunklow) 12″

Joy Orbison, Pearson Sound & Boddika / SUNKLOFREE (Sunklow)

Joy Orbison が Instra:Mental のメンバーでもある Boddika と立ち上げたレーベルの3枚目は、その二人に Ramadanman の別名義 Pearson Sound が加わったシングル。

流麗さの目立つ Joy Orbison の単独作に比べると、女性のヴォイス・サンプルを印象的に使っているところなんか「らしい」ものの、タメの効いた力強いベースが前面に出ていて、そこがこの3人ならではという感じ。しかもドラムの音が非常に軽く、ダブステップとも明らかに違っていて、ベースラインで曲を引っ張る、正にベース・ミュージックというものになっている。

そしてそのベースラインを無理やり四つ打ちに落とし込んだような “Nil (Reece)” 、 “Moist” も非常に面白く、実験的ながら個性の光るシングルだ。

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Joy Orbison / Ellipsis (Hinge Finger) 12″

Joy Orbison / Ellipsis (Hinge Finger)
https://twitter.com/HingeFinger

Joy Orbison のレーベル Hinge Finger の2枚目は、何気に単独作としては久しぶりな Joy Orbison 自身のシングル。

Joy Orbison っていうと自身の名を知らしめた2009年の『Hyph Mngo』(過去記事)の時点で、テクノ感の強いダブステップを作る人ではありましたが、今作は完全に四つ打ちのハウス。
振動するようなベースラインはさすがベース・シーン出身という感じだけど、淡い音色が徐々に広がっていくようなシンセや Source Direct のインタビューから引用されているというヴォイス・サンプルの流麗さは、タメのあるダブステップとは明らかに一線を画していて、それでいて後半の鼓舞するようなピアノ含め、全ての要素が溶け合うように調和した実に美しい曲。
私が聴いたことのあるこの人の曲の中では一番好き。

一方の Shed の Head High 名義でのリミックスは、狂ったように鳴らされるドラムのブレイクビーツと、原曲のベースラインとピアノによって縦に横にと振らされるすごいリミックスで、非常にアッパーでありながらも単純なクラブ・トラックにはなっていない流石の出来。

素晴らしいシングルです。

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Madteo / Sinister Ministers (Meakusma) 10″

Madteo / Sinister Ministers (Meakusma)
http://www.meakusma.org/

ついでなんで紹介してなかった Madteo の2010年のシングル。

この頃はまだアルバム『MEMORIA』(過去記事)と同路線の、分かりやすく頭のおかしい曲が並んでいて、非常にアンダーグラウンド色が濃い。

くぐもった音をエフェクトで無理やり捻じ曲げたような “Deliverance” 、不気味なピアノと強く打ち付けられたドラムが不安を煽る “Delphic Sophistic” 、モコモコト低音が鳴るヒップホップ・トラックの上で Sensational が念仏のようなラップを聴かせる “Do What U Do” 、曲をひたすら圧迫感で埋め尽くすようなノイズが印象的な “Made Off” 、微妙に跳ねたベースと、それを押さえつけるようなキックが重苦しい空気を作っていく “Sheep dipping” と、インパクトの強い曲がずらりと揃っている。

まぁその分聴き手を選ぶのは間違いないんだけど、唯一無二の個性なのは間違いない。

あと私は知らなかったんですが、この人来月 Sähkö からアルバム出すんですね。これはかなり期待できそう。

Sinister Ministers - EP - madteo

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MADTEO / BUGLER GOLD PT.1 (Hinge Finger) 12″

MADTEO / BUGLER GOLD PT.1 (Hinge Finger)
https://twitter.com/HingeFinger

ニューヨークのプロデューサー Madeteo が Joy Orbison のレーベルから今年の頭に出したシングル。
イギリスのダブステップ畑出身の Joy Orbison が、自身のレーベルの1枚目に何故 Madeteo を選んだのか全くの謎なんですが、ここら辺語ったインタビューとかあるのかしら。

まぁそんな事はおいておいて、 Madteo というと極端にくぐもった音作りのデトロイト・ビートダウンなハウスを作っていて、非常にアンダーグラウンドの空気を色濃くまとっている人でしたが、今作はいつもより幾分すっきりとした音作りがなされて、そのせいか曲の放つ哀愁がより分かりやすい形で表れていて、良質なディープ・ハウスとして聴きやすい。

それでいて引きずるようなベースラインは健在で、9分半ひたすら暗闇を行くような “Xtra Loose Change” は流石の出来。

今作が「PT.1」となっているので続編があるのかもしれないけど、その流れでいくつか作ってアルバムにしてほしいなぁ。

あとクレジットはないけど、 “Xtra Loose Change” に毎度の Sensational が参加してるっぽい。

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Soul Juice / Ode To The OX (Mixtape​)​.​.​. (Self Released) mp3

Soul Juice / Ode To The OX (Mixtape​)​.​.​.
http://www.mixcrate.com/jsand/dj_mixes

最近音楽聴く時間が少なくて、聴いていない音盤がたまる一方なんですが、その中でもフリーの音源がなかなか消化できずにいるんだけど、どうしたらいいんですかねぇ。
っていうかフリーの含めてすごい数の音盤を紹介している人ってどんな生活送ってるんだろう・・・。

などという愚痴はおいといて、おそらくニューヨークのプロデューサーと思われる Jsand の Soul Juice 名義でのビートテープ。
私は Lone Catalysts の J.Sands かと思って聴いてみたんだけど、微妙に名前違ってたっていう・・・。

音の方はサンプリング主体のヒップホップがほとんどで、1~2分台の短い曲が多い事もあって曲単位での印象は残りにくいんだけど、どの曲も適度な湿り気をもちながらもファンキーなグルーヴがあって完成度は高い。また適度にラップ入りの曲も入ってくるので聴きやすい。

まぁそれを含めても、44曲一時間半はさすがに長いけど・・・。

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Akira Kiteshi / Industrial Avenue (Afterglo) 2LP+CD

Akira Kiteshi / Industrial Avenue (Afterglo)
https://soundcloud.com/afterglo

スコットランド出身のプロデューサー、 Akira Kiteshi が今年の頭に出したファースト・アルバム(名前から分かるように日系の方みたい)。

私が彼の名前を初めて見たのは「北斗の拳」をサンプリングした “MING THE MERCILESS” で、その曲はベースがよく動くフロア対応のダブステップという感じだったんだけど、今作も基本的な路線としては変わらず。

ただ今作は冒頭の “Body Hammer” と “Iron Man” が四つ打ちだったり、疾走感のある分厚いシンセを筆頭にテクノな感触の “Transmission” という曲や、哀愁漂う歌モノの “Silent Screams” があったりと、アルバムということを意識してか曲調は幅広い。

しかしそれでも聴いた後に印象に残るのは縦横無尽に動き回るベースで、それでいて最近の EDM と呼ばれる音楽のような、派手なだけのパーティー・ミュージックになっていないところに彼のセンスが感じられるし、もろにレゲエ系のダブを聴かせる “Version” (タイトルまんまですね)にドラムンベースな “Sheila” と渋いところでアルバムを締めているのも好感が持てる。

Industrial Avenue - Akira Kiteshi

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Edit-Select / Surface To Air (Edit Select) mp3

Edit-Select / Surface To Air (Edit Select)
http://www.myspace.com/editselectrecords

Edit Select こと Tony Scott が今年の春に出したシングル。
私はこの人は Edit Select の名前を最近見るようになって知ったんですが、90年代初頭から様々な名義で作品出しているベテランさんだそう。

今作は表題曲を Edit Select と Lucy がリミックスしたものがそれぞれ収録されていて、私は原曲を知らないので比較は出来ないものの、両者とも方向性としては今風のダークなミニマル・テクノ。

しかし Edit Select は地鳴りのようなベースラインの上で、ディレイの効いた甲高いスネアが鳴る、少しミニマル・ダブっぽいリミックスながら、ハイハットの緩急とエフェクトで曲の展開作っていたり、 Lucy はミニマル・ダブ的なベースラインを使っていながらも、こちらも神経症的に鳴るハイハットとエフェクトが印象的だったりと、ミニマル・ダブのパーツを用いながらも、曲総体としては硬派なミニマル・テクノになっているのが面白い(ハイハットの使い方も)。

Surface to Air - Single - Edit Select

RAMPA / So Many Everything (Keinemusik) mp3

RAMPA / So Many Everything (Keinemusik)
http://keinemusik.com/

これは今年の春にルーマニアのミニマルに熱を上げていたときに(今も継続中だけど)、ルーマニア産だと思って買ったやつ。まぁちゃんと見たらレーベルもアーティストもベルリンだったんだけど、結果的には買って大正解のシングルでした。

まず1曲目の “So Many” は、パーカッションというよりは太鼓という感じの雄々しさがあるドラム、時折入るホーンの音、変調された野太い男声のヴォイス・サンプルなど、男性的に思える要素が強い曲なんだけど、それが総体としては非常に柔らかな曲としてまとめられていて、気持ちのいいミニマル・ハウスになっているし、要所要所で入ってくるダブ処理も良い。

2曲目の “Everything” はパーカッシブなリズムももちろん気持ちが良いのだけれど、こちらはちょっと鼻歌っぽい歌を聴かせる Meggy という人の歌が最高。変に魂込めすぎて押し付けがましくなることもなく、さらりと歌いながら印象的で素敵です。

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