James T. Cotton / Like No One (Spectral) 2LP

James T. Cotton / Like No One (Spectral)
http://ghostly.com/releases#Spectral

Dabrye の名義で知られる Tadd Mullinix の別名義、 James T. Cotton が2008年にアナログとデジタルのみで発表したセカンド・アルバム。

James T. Cotton というのは彼がアシッド・ハウスをやるときの名義なので、今作も当然のようにアシッド・ハウス。しかも1曲目の “The Second Night Cycle (Featuring Ellis Monk)” のうにょうにょする 303 の音とか、けっこうモロな感じではあるんだけど、音の質感的にはミニマル以降の感覚があるので、単なる懐古的な作品にはなっておらず、温故知新的な面白さがある。

Like No One - James T. Cotton

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BRUCE COCKBURN / SLICE O LIFE (ROUNDER) 2CD

BRUCE COCKBURN / SLICE O LIFE (ROUNDER)
http://brucecockburn.com/

今日はぶっちゃけやる気が全然でないので、あえて変化球でいってみる。
っつうことで、キャリア40年以上のカナダのシンガー・ソングライター Bruce Cocburn が2009年に出した2枚組みのライブ盤。

今作は2008年のライブを音源化したもので、アコギによる弾き語り。曲自体はフォークの範疇に入るものがほとんどで、奇をてらった感じは全くないんだけど、だからこそキャリアに裏打ちされた、シンプルでありながら鮮やかな歌と演奏は実に味わい深い。またこの人はギターに関しても非常に評価が高く、今作でも歌と同等か、それ以上に雄弁に情景を描くので、アコギ一本だからと物足りなさを全く感じないのもよい。
久しぶりに聴いたけどやっぱり傑作。

ちなみにこの後2011年に『Small Source of Comfort』というアルバムを出しているみたいなんだけど、全然知らなかった・・・。

Slice O' Life - Solo Live (iTunes Exclusive) - Bruce Cockburn

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Albert van Abbe / No Comment_0007 (No Comment) mp3

Albert van Abbe / No Comment_0007 (No Comment)
http://www.albertvanabbe.nl/

オランダのプロデューサー Albert van Abbe が2013年に発表したシングル。

私はこの人の名前を今作ではじめて知ったのだけれど、2011年から自身のレーベルである No Comment から作品を発表していて、2012年に Last Foundation からアルバム、そして最近 Curle Recordings からシングルを出している以外は、 No Comment からのリリースしかないみたい。
つまりまだそれほど作品の数が多い人ではないのだが、このレーベルからのシングルに参加したリミキサーの人選(Sleeparchive、Convextion、Conforce、Abdulla Rashim)を見れば大体想像がつくように、モノトーンなミニマル・テクノ。

重量感と同時に性急さも感じさせるキックの上にノイズが乗るだけの序盤から、パーカッションにハイハット、そして波紋のように連なる事なく鳴っては消える上モノと、音数は徐々に増えていくものの、それほど熱量はなく終始淡々としているので非常に地味。ただそれと同時に、鳴っている音自体は攻撃的で荒々しく、またよく練られたダンス・グルーヴを有しているので機能的という、相反するような要素をさらりと同居させていて面白い。

2曲目の Mohlao によるリミックスは激しいリズムのミニマル・ダブ。キックだけに頼らずベースを絡めながらリズムを作り出していて、こちらもかっこいい。

ちょっとこの人の動きはこれからも注視して生きた。

ちなみに3曲目は先のアルバムの再録みたい。

視聴

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ノースリーブス / キリギリス人 (Epic) CD

ノースリーブス / キリギリス人 (Epic)
http://www.no3b.net/

AKB48 の小嶋陽菜、高橋みなみ、峯岸みなみの3人によるユニット、ノースリーブスが2013年1月発表した9枚目のシングル。
AKB に関しては、最近では本体もろくに追いかけられてない状況なので、派生ユニットやソロなんてとても追いかける気にならないという感じだったんだけど、びびんばさんがブログに、初回盤に入っているソロ曲は石野卓球、小室哲哉、川本真琴がそれぞれ作曲していると書いていたので、さすがに気になって聴いてみた。
まぁレンタルで初回盤も置いているかと思ったらなかったので、結局通常盤しか聴いてないんだけど(さすがに買う気にはなれなかった)。

今回ソロ曲に豪華な作家を並べていますが、タイトル曲には旬な作曲家といっていいんでしょう、昨年末の紅白で一気に知名度を上げたゴールデンボンバーの鬼龍院翔が作曲しています。私はゴールデンボンバーをまともに聴いた事がないので、今作がいつもの作風と比べてどうなのかというのは判断できないんだけど、いつもの AKB のシングルの完成度を基準としたとしても、これはイマイチと書かざるを得ないですかね。
冒頭から鳴るブラストともに突っ走る歌謡ロックで、すごく勢いがあるのはいいんだけど、逆に書くと勢い以外に何もない曲。こういうのはロック・バンドとかがやる分にはいいのかもしれないけど、アイドルが歌うには不向きだろう。あとのっぺりとしたドラムがすさまじくダサい。

それよりは、今がよければそれでいい、という内容の歌詞を、今の AKB のメンバーが歌う事の意味とかを考えたほうが面白いかも。

カップリングは可もなく不可もなく。

キリギリス人 - EP - ノースリーブス

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AKB48 チームサプライズ / お手上げララバイ (AKS) CD

AKB48 チームサプライズ / お手上げララバイ (AKS)
http://akb48-surprise.jp/

最初は何がなんだか分からなかった AKB なんですが、気がつけばそれなりにメンバーの顔と名前が一致するようになってきていて(テレビでよく見るメンバーだけだけど)、そうなってくると好きなメンバー、所謂推しメンってやつも出来てきていて。それはちょっと前なら小嶋陽菜って答えていたんですが(そもそも聞かれた事ほとんどないけど)、最近では高橋みなみの名前を挙げるようにしています。

彼女に関しては数年前にみた AKB のドキュメンタリーでのリーダーっぷりが印象的だった、っていうのもあるんですが、それ以上にノースリーブスのアルバムを聴いたときに、その歌唱がなかなか堂に入っていて感心したというのが大きくて、さらに書けば基本的に AKB の音楽面にしか興味のない自分としては、歌唱力もあって、声もよく通る強いものを持っている彼女がセンターになってほしい、とか思ってたりします。

っつうことで前置きが長くなりましたが、パチンコと連動した AKB 内企画ユニット、AKB48 チームサプライズが2012年に出したシングル。
このチームサプライズってやつは毎回メンバーを変えて12週連続でシングルを出していたんですが、その8週目が高橋みなみのソロだったのでけっこう期待していたんですが、これはちょっときつかったですかねぇ。

曲に関しては憂いを帯びた歌謡テイストの強いダンスポップで全然悪くないんだけど、高橋みなみの歌唱が思いのほか不安定なのよね。これは元々彼女の歌唱力を私が過大評価してたからなのか、今回たまたまなのかはこのシングル聴くだけでは判断できないんだけど、中途半端に歌えている分、よれてる箇所が変に目立っているのも辛い。声を過剰に重ねたり加工したりしないで、直球の歌を聴かせているのは評価したいんだけれども・・・。

まぁ色々書きつつも、今度出るソロ・シングルの “Jane Doe” も聴くと思うけど。

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SCARS / THE EP (LEGENDARY) CD

SCARS / THE EP (LEGENDARY)

んで、 SEEDA 擁する SCARS が2010年末に出したミニアルバム。

この時期はメンバーの何人かが刑務所に入っていたり、かと思えば残りのメンバーは不仲だったりと、ほとんどグループの体をなしていなかったので、なんでそんなときに出したのかよく分からないんだけど(これも裁判費稼ぐためだったんだっけ?)、内容の方も周辺ラッパーが何人も参加した、ほぼコンピレーションに近いものになっている。

各曲の方構成的にもかなりとっちらかったものになっていて、中でも TOM HUDSON がプロデュースした2曲はアッパーな四つ打ちはかなり意外。
しかしそれに見合った面白味があるかというとそんなこともなく、今となっては SARU がフックアップされた作品、っていうくらいの聴き方しかできないかなぁ・・・。

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SEEDA/S.L.A.C.K./ZEEBRA / White Out… (CONCRETE GREEN) CD

SEEDA/S.L.A.C.K./ZEEBRA / White Out... (CONCRETE GREEN)

SEEDA が S.L.A.C.K. 、 ZEEBRA と組んで2010年末に出した限定シングル(なんだけどまだアマゾンで売ってるね・・・

タイトルや時期から分かるとおり今作はクリスマス・ソングで、 S.L.A.C.K. の手による、アンビエントっぽい上モノの、ほとんどリズムのないトラックが分かりにくいと、当時面子のわりにはあまり評判はよくなかった記憶があるんだけど、3人ともきちんとラップ自体にグルーヴがあるのでリズムに関しては特に気にならないし、普段テクノを聴くことの多い私には非常に耳なじみがよく、今聴いても好きな曲です。

まぁ今作に関しては、こんな綺麗なトラックの冒頭で「クリスマスビ~チッ」とか言ってしまう S.L.A.C.K. が最高なので、それだけで満足です。

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SEEDA / 瞬間 | IN THE MOMENT (EMI) CD

SEEDA / 瞬間 | IN THE MOMENT (EMI)
http://seeda.syncl.jp/

SEEDA が2011年9月に発表した9枚目のアルバム。

彼のアルバムに関してはタイミングが合わなくて、聴くの『街風』(過去記事)以来なんですが、今作はあの作品同様外部アピールの強い作品ですかね。

というのも女性ヴォーカルを招いた歌モノからハーコーなものまで、また海外のラッパーから若手ラッパーまで、ある意味ヒップホップの全てを放り込んだのではないかと思えるほど様々なタイプの曲が並んでいて、それを HirOshima の手によるハイファイなトラックでポップに聴かせるという、すごく野心的なつくりになっているから。

しかし HirOshima のトラックは完成度高い反面、猥雑さに欠けるので面白味が薄いし、そもそも SEEDA にあっているかというのも疑問。

ただ曲のスタイルに合わせて SEEDA のラップも様々なスタイルのものを楽しめるので、トラックに慣れてしまえばそれほど気にならないし、 “GIRLS” みたいな可愛い曲が意外に良かったりするので、なんだかんだで私は好きな作品だ。

瞬間 -IN THE MOMENT- - SEEDA

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Quali / Moonchild EP (Self Released) mp3

Quali / Moonchild EP

ウクライナのプロデューサー Quali によるビート・テープ。

どの曲も悲しい旋律を奏でるピアノが中心になっており、それをヒップホップのビートが支える、というシンプルなつくり。
しかも4曲で6分弱と非常に短い作品なので、あっという間に終わってしまうのだけれど、美しいピアノの旋律がそれぞれの曲で深い余韻を残すので、それが連なりとなり、作品全体を印象深いものにしている。

短いながらも充実した作品集。

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Flying96 & 07ch RECORDS / 07ch Mixtape Vol.01 Mixed By Carrec (07ch RECORDS) mp3

Flying96 & 07ch RECORDS / 07ch Mixtape Vol.01 Mixed By Carrec
http://07ch.jp/

東京のラッパー Flying96 の音源を中心とした 07ch RECORDS のショウケース的なミックステープ。
ミックスを担当しているのは CARREC という金沢の人で、私はほとんど聴いた事ないんだけど、けっこう注目のトラック・メイカー。そして Flying96 は以前フリーの EP を聴いた事があるんだけど、正直印象に残っていない(今作にも何曲か収録されてる)。

改めて聴いてみた Flying96 のラップは、語尾を強く吐き出す力強い語り口と抑揚の大きさが印象的で、2000年前半のアンダーグランド MC を思い起こさせる感じ。またベースよりもドラムを主体としたサンプリングによるトラックも、それは同様なんだけど、今作は多少靄がかった感じを漂わせながらも、基本的に明るい曲でまとめられているので聴きやすい。また巧みなスクラッチを交えながら、スパスパと曲が切り替わるのも子気味いい。

まぁショウケースとして考えると、参加曲の多い Flying96 が印象に残りやすいんだけど、彼の声が強い分、他に個性的な声のラッパーが参加しているのもメリハリが効いていてよかったです。

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