COLDFISH / THE ORPHANS (All Inn) 2LP

COLDFISH / THE ORPHANS (All Inn)
http://www.allinnrecords.com/

前に書いたように、この連休中でブログ更新してある程度2013年の音源をまとめたかったんですが、結果全然だめでしたね。特に忙しくしてたわけではないんだけど、ブログに関しては、内容はともかくとして、更新する事を癖づける事の重要性を痛感しております。

私も更新頻度を上げるために、他の方の真似してお酒やラーメンでもネタにしてみたいところですが、あいにく音楽以外に興味あることってあんまりないのよねぇ。あえて書けばガンダムくらいだけど、特に書きたい事もないのよねぇ。む~ん・・・。

などという与太話はおいておいて、ルーマニア関連で、 Coldfish こと Laurine Frost が、ルーマニアン・ミニマルの中心レーベルともいえる All Inn から2013年5月に発表したファースト・アルバム(Coldfish 自身はハンガリーの出身)。

All Inn って比較的フロア・ユースな作品を出す事が多い印象なんですが、今作は変則的なリズムの曲が多く、分かりやすい四つ打ちの曲はほとんどない。では実験的なリスニング向きの作品なのかというとそんな事もなく、様々なリズムが取り込まれて入るものの、パーカッションとベースを中心に作り出すグルーヴは、むしろ力強い。

まぁ例によって地味な事この上ない内容ではあるんだけど、様々なパーカッションが重層的に鳴る “The Waxman” なんかは十分フロアでも機能すると思うし、荘厳なストリングスが響く最終曲の “Salute For The Unicorns” も美しい。

Cristian Vogel / Enter The Tub (Shitkatapult) mp3

Cristian Vogel / Enter The Tub (Shitkatapult)
http://www.shitkatapult.com/

90年代初頭から活動しているドイツのプロデューサー Cristian Vorgel が2012年に発表したシングル。

Cristian Vorgel っていいますと、90年代に実験的なテクノを精力的にリリースを重ねていた人なんですが、2000年代入るとリリースペースがとたんに落ちて、最近では Snork Enterprises なんていう意外なレーベルからシングル出した、っていうくらいしか印象に残っていません。
なので Super_Collider で共に活動していた Jamie Lidell がヴォーカリストとしてある一定の評価を得ているのに比べると、ずいぶん地味になっちまったなぁという感じなんですが、 Shitkatapult という、これまた Cristian Vogel とはあまり結びつかなそうなレーベルから本作はなかなかに面白い。

1曲目の “Enter The Tub” がいきなりダブステップなんでかなり意外なんですが、音自体はそれほど太くないものの、引きずるようなベースラインの存在感が大きく、また彼らしい鋭角的なノイズが散りばめられてはいるんだけど、全体としてはどことなくアシッドっぽいという、なんとも独特な曲。
続く “Lucky Connor” もダブステップを基調としているものの、 Cristian Vorgel らしいノイズが目立つ分、従来の印象に近くはあるんだけど、それでも彼がダブステップのリズムに手を出したというのはかなり意外。

そして残りの2曲 “Deconstructions” と “Voidster” は攻撃的なダブ・テクノでこれまた方向性としては意外。まぁ両方ともダブつながり、と考えればそれほど以外でもないのかもしれないけど、そもそも Cristian Vogel にダブのイメージがなかったので、この方向性は興味深いし、付け焼刃ではない完成度と個性を持っているのも良い。

この後に出たアルバムは買い逃したまんまなんだけど、これは聴いてみたほうが良さそうだ。

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Commodo / Northern Soul EP (Deep Medi) mp3

Commodo / Northern Soul EP (Deep Medi)
http://deepmedi.com/

DIGITAL MYSTIKZ の MALA が主宰レーベル Deep Medi から、シェーフィールドのプロデューサー Commodo が2012年に出したダブルパック(なんだけど私はデータで購入。ダブルパックだとアナログとデータの値段の差が如実に出るのでねぇ)。

Deep Medi っていうと変化の激しいダブステップの中でも硬派なレーベル、という印象ですが、今作も非常に王道感のあるフロア映えしそうなダブステップ。
ただタメの効いたベースと跳ねるスネア、っていうダブステップの基本を抑えつつも、どの曲も細かいパーカッションなどでグルーヴを変容させていて面白い。

Commodo - EP - Commodo
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COS/MES / SNAKER 001 (SNAKER) LP

COS/MES / SNAKER 001 (SNAKER)
http://snaker.elektronik.jp/

Cos/Mes の 5ive と Traks Boys の K404 が主催する不定期開催パーティの名前を冠したレーベル Snaker から2013年1月発表された、 Cos/Mes のアルバム。
この Cos/Mes というのは Flatic と 5ive による二人組みで、2010年に出したセカンド・アルバム『GOZMEZ LAND – CHAOSEXOTICA』の高評価で名前が知られるようになったユニット。ちなみに名前自体はこの頃から知ってはいたものの、作品自体を聴くのは今作が初。

今作の収録曲は11曲と通常のアルバム並みながら、1、2分台の短い曲も多く、内容的にも非常に雑多。幻惑的な上モノとゆったりとしたリズムが心地よいディスコ・ナンバーの “Red Rock” みたいな曲があったかと思うと、80年代的なドラムが印象的なエレ・ディスコ “Kannana Loop 7” やワールド・ミュージックに影響を受けたフュージョンみたいな “Mister Cosmic” 、熱くうなるギターと軽快なパーカッションが前面に出たインストのファンク “Brazilian Idol” など、一聴するとまとまりなく思えてしまうほど。ただその雑多な方向性や各曲の無国籍感、さらにサンプリングベースの音作りに80年代的なフレーズ、現代的なエディット感覚など様々な要素が合わさる事によって、地域や時間を飛び越えたような自由な空気が流れていて非常に心地よい。

今作はアナログのみの発売で、しかも限定300枚という事で現在は入手困難かと思うんだけど、そういった発売形態で聴く人を選ぶには非常にもったいない、充実した作品だ。
アナログ全部売り切ったんなら、音だけでも Bandcamp とかで売ればいいのに。

CAMEA / Clinkology (CLINK) CD

CAMEA / Clinkology (CLINK)
http://clinkrecordings.com/

2005年にブルックリンで設立され、その後ベルリンに拠点を移したレーベル Clink から、2011年に発表されたミックス CD 。
今作のミックスはレーベル・オーナーの Camea こと Camea Hoffman が担当しており、ただのミックス CD ではなく、レーベルのショーケース的なものになっている。

このレーベルの事を Afternoon Coffee Boys の “Dark Blend” で知った人間からすると、 Clink は非常に硬く重いアシッド・ミニマル、という印象が強く、同時にベルリンのものとは似て非なる機能美の追求しているとも感じていました。

しかしそこは時が経つと共に変化したという事なのか、今作はアシッドっぽさは残しながらも、テックハウス的な軽快さをもった曲が多い。なので以前の重厚さや硬質さを求めると肩透かしなんだけど、小気味よくミックスされた曲群はやはりダンサブルであり、そういった意味では機能性はやはり高く、このレーベルらしいとも思える。

まぁ私はやっぱり以前のように重たい音の方が好きだけど。

ちなみに今作で Clink のリリースは途切れてるみたいなんだけど、今作で最後って事なんでしょうか。できればまたアメリカ戻って復活してほしいんだけど。

Clinkology - VARIOUS

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Chris Dave / Chris Dave and the Drumhedz Mixtape (Self Released) mp3

Chris Dave / Chris Dave and the Drumhedz Mixtape
http://chris-dave.com/

ヒューストン出身のドラマー Chris Dave が2013年1月に発表したミックステープ。
彼は昨年アルバムが話題になった Robert Glasper Experiment のメンバーみたいで、ジャズやヒップホップの方面では名の知れた人みたい。

んで、そんなドラマーのミックステープなので、手数の多いドラム叩きまくりのものを期待していたんですが、落ち着いた感じのジャジー・ヒップホップがほとんど。
時折さすがと思わせる妙技を披露してはくれるものの、基本的には自身のドラムの技術を前面に出すというよりは、楽曲の完成度を優先させたようなつくり。なので全体の統一感はあるんだけど、ゆったりした曲が多いせいか完成度自体は高いものの、のっぺりとして印象に残りにくい。
これは聞き流し用かなぁ。

ちなみにサイトでメアドを登録すると落とせる。

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CLAUDIO PRC / INNER STATE (Prologue Music) 2LP

CLAUDIO PRC / INNER STATE (Prologue Music)
http://www.prologue-music.com/

イタリアのプロデューサー Claudio PRC がドイツのレーベル Prologue Music から2012年に出したファースト・アルバム。
Prologue Music っていいますと、 Voices From The Lake のアルバムの高評価もあり、2012年話題になることの多かったレーベルですが、今作もそんな話題の一端は担ってあろう事は間違いない傑作です。

ノイズをまとったゆったりとしたリズムがシューゲイザー的ながら、徐々に輪郭がはっきりとしてグルーヴの逞しさが現れる “Black Hole” 、変則的なリズムの上で鳴る細やかなノイズで緊張感を演出する “Echoes” 、細かく切られたドローンのようなベースが印象的な “Transparent” など、どの曲も地味ながら音楽的個性とクラブ・トラック的なグルーヴを両方備えていて、完成度が高い。

まぁその分アルバム全体としては盛り上がりに欠けるところがなくもないんだけど、それもこの硬派な作風からすれば瑣末な事か。

Inner State - Claudio PRC

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CIRCLE OF OUROBORUS / ELEVEN FINGERS (Handmade Birds) CD

CIRCLE OF OUROBORUS / ELEVEN FINGERS (Handmade Birds)
http://handmadebirds.com/

本当は今日年間ベストの記事を上げたかったんだけど、時間なくて出来なかったので、相変わらず時期外れの去年の盤をば。

フィンランドのバンド CIRCLE OF OUROBORUS が2011年にアナログで出したアルバムを、2012年に CD で出しなおした盤。

彼らの音楽性は大別するとブラック・メタルという事になるんだろうけれど、全体的にぼやけた音像の中でフワフワと鳴るギターに、妙に軽快なドラム、また他が輪郭のぼやけた音の中、唯一はっきりとした音を出すハイハット、そして脱力気味のヴォーカルが作り出す音世界は、かなり独特なもの。
シューゲイザー的な音作りのブラック・メタルに近いといえなくもないけど、あちらのように尖った音は少なく柔らかだし、フワフワした音像はアンビエント的とも思えるが、時折出てくる歪んだヴォーカルはまさにブラック・メタルのそれであり、またメロディ自体は非常に感情的で、それによりある種のポップささえも獲得していて非常に面白い。

最初メタル的なものを期待していたので肩透かしだったんだけど、この世界観はクセになる。

Cobblestone Jazz / Before That EP (Wagon Repair) mp3

Cobblestone Jazz / Before That EP (Wagon Repair)
http://www.wagonrepair.ca/

個人的に2010年の『The Modern Deep Left Quartet』(過去記事)以降追いかけてなかったのでご無沙汰感あるんですが、そのアルバム以降では4枚目となるシングル(2012年作)。
いつの間にか Wagon Repair Ltd. なんてサブレーベルが出来ていたようで、リリースはそこから。

アルバム以降のシングルを軽く聞いてみた感じだと、どれもジャジーなテック・ミニマルなようだけど、それは今作も同様。軽快なパーカッションとキックに導かれ入ってくる、弾むようなベースラインと、踊るようなフェンダー・ローズの響きが描く有機的な色合いは、まさに Cobblestone Jazz ならではのもので、流石の完成度。

ただ以前より洗練はされているものの、進化や変化というものがイマイチ感じられず、以前の彼らにあった得体の知れない期待感が希薄なのが難かしら。

ちなみに今作に収録された2曲は基本一緒で、 “Before This” よりも “Before That” の方が曲が長く、若干リズムも太いのでクラブ向き。

Before That EP - Cobblestone Jazz

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Chairlift / Something Demos (Self Released) mp3

Chairlift / Something Demos
http://www.chairlifted.com/

ニューヨークの男女二人組みユニット、 Chairlift が1月に発表したアルバム『Something』のデモ音源集。
私はこのユニットのことを、日本語で歌われて話題になった “I Belong In Your Arms (Japanese Version)” くらいしか知らなかったので、なんとなく活動歴の浅いユニットだと思ってたんだけど、2005年から活動していて、曲が iPod nano の CM に使われた事もあるそう。

デモ音源ということで、宅録っぽいエレポップが中心になっており、正規盤を聴いていない私には、それとの差異は分からないものの、柔らかなメロディと Caroline Polachek の伸びやかな声は十分楽しめるものになっている。
淡々と歌われる “Take It Out On Me” も悪くないんですが、やはり軽やかでポップなメロディの “Sidewalk Safari” や “Amanaemonesia” が魅力的。
あとはトラックで使われている音色がよく聴く感じのものが多いのが難ですが、これはデモ音源だからしょうがないところか。

これからちょっと名前を気にしておきたいユニットです。

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