Ext / One of the Moments LP (STYLSS) File

Ext / One of the Moments LP (STYLSS)
http://www.stylss.com/

ウクライナのプロデューサー Ext こと Sergey Mogilevsky が2015年1月に発表した、多分初のアルバム。

STYLSS は様々なエレクトリック・ミュージックをリリースしているレーベルなんですが、今作は Burial 以降よく聴くようになった、2ステップっぽいダブステップ。それ以外にも声ネタの使い方含め、かなり Burial っぽいんだけど、ただ本家のように悲しみ渦巻くような感じはないので、すっきりとしており聴きやすく、またヴォイス・サンプルが発する悲哀に共振するかのように振動するベースが印象的な “Causing Passion” 、軽快なリズムが良いアクセントになっている “Dark Moon” 、ストリングスやノイズに溶け込むようなベースと悲しげな上モノの対比が鮮やかな “Metro” など印象的な曲も多く、完成度も高い。

なのでbandcamp のページに「これは私が聴きたかった Burial のレコードだ」という声が載っているのも納得というか、実験を繰り返し良くも悪くも唯一無二の存在になった今の Burial よりも、『UNTRUE』(関連記事)の頃の方が好きという人には、かなり満足度の高い作品ではないかと。

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E-girls / COLORFUL POP (rhythm zone) CD

E-girls / COLORFUL POP (rhythm zone)
http://e-girls-ldh.jp/

2014年に聴いた盤を雑に紹介していく5。

2014年3月に発表された E-girls の2枚目のアルバム。

彼女たちの兄貴分とされている EXILE に関しては何だかんだで好きだし、一時期 CM 等でよく流れていた “ごめんなさいのKissing You” が聴き馴染みがよかったり、さらにはたまたま乗ったタクシーの運転手さんに熱く語られたりしたので(深夜の2時に・・・)、いい機会だったので聴いてみたんですが、これはイマイチでしたね。

そもそも期待してた “ごめんなさいのKissing You” がヴァースからサビへの展開が強引過ぎて興ざめなんですが、他の曲に関しても、 EXILE のように海外のトレンドも多少意識してるとかもなく、ありきたりな avex 流ポップが並ぶだけなので、街中で耳にするとかならともかく、わざわざ能動的に聴くものではないかな。

とりあえず彼女たちに関しては、私は今作でおなか一杯。

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DROPXLIFE, deeB, SolomonDaGod, Endlichkeit, M


DROPXLIFE / PROLOGUE
The Weeknd 周辺のプロデューサー、 Dropxlife が12月に発表したミックステープ。ビートがいつもより重めながら、全体としては地味め。
ダウンロード


deeB / WNDW
オランダのプロデューサーがロンドンのレーベル Martian Bass Records から出したビートテープ。この手のジャジーなインスト・ヒップホップって好きでよく落とすんだけど、心地いい反面、特徴ないことが多いのよね。これもそんな感じ。


SolomonDaGod / but ur not god
フロリダのラッパーのミックステープ。悪くはないんだが、もうちょいっとグルーヴが欲しい。
ダウンロード先は消されちゃったみたい。


Endlichkeit / Endlichkeit VI–VIII
アメリカのブラック・メタル・バンドのデモ音源。トレモロ弾くノイズギターとドラム以外ほとんど聴こえない感じなんだけど、まぁ好きなので。

M / twilight EP
M / twilight EP
山口の女性ラッパーの EP 。声質含め、わりとよくある感じのメロディアスなラップながら、変な力みがなくて心地よい。
ダウンロード(なんか危険サイト報告されたみたいで見られないね・・・)

EXILE / EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~ (rhythm zone) CD

EXILE / EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~ (rhythm zone)
http://exile.jp/

リーダーの HIRO が年内でパフォーマーを引退する事で話題になった EXILE が2013年4月に発表した41枚目のシングル。
なんでももうすぐ始まる5大ドームツアーのテーマソングなんだそうですが、そのツアーチケットにこの CD が付いているおかげで、自身のシングルの初動売上の最高記録更新になる56万枚以上を売ったんだそうで。別にチケットに CD を付けるという商法自体を批判する気は全然ないんだけど、オリコン・チャートの形骸化を端的に表した話題のひとつだとは思うんですが、どうなんですかね。

んで、じゃぁ楽曲の方も EXILE の最高傑作を更新するような内容なのかというと、まぁそんな事はなく、いかにも EXILE といった感じのダンス・ナンバー。
ただ今作は冒頭の軽快なシンセを筆頭に、全体の音作りが若干薄め。それが新鮮さをもたらしている部分があるものの、一方でいつもは重厚なトラックの影に隠れてそれほど気にならなかった ATSUSHI と TAKAHIRO のヴォーカルの線の細さが露になっているので、高揚感よりも寂しさの方を強く感じてしまうという、なんとも微妙な出来。

せっかくでかい話題をぶち上げたんだから、曲の方もそれに見合った力作を期待したいんだけどねぇ・・・。

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Elijah Blake / Bijoux 22 (Self Released) mp3

Elijah Blake / Bijoux 22
http://www.elijahblake.com/

ドミニカ出身のシンガー Elijah Blake が2012年12月に発表したミックステープ。
私はこの人の名前を今作ではじめて知ったんだけど、以前は Redd Stylez という名義で活動していて、なんと Usher “Climax” のソングライターなんだそう。

っつうことで今作も当然のように甘々な R&B 。メロディはよく書けてるし、ファルセットを多用したヴォーカルも伸びやかで気持ちよく聴ける。ただトラックの方が今どきのアンビエントっぽい感じとも、オーソドックスな R&B ともつかない感じで、よく云えば聴きやすいんだけど、ちょっと中途半端で没個性な感が否めない。
結局生の質感の強いトラックの上でスッキリとしたメロディを歌い上げる “X.O.X.” (Common が参加してる)が一番よかった。

Ekoplekz / Westerleigh Works EP (Perc Trax) mp3

Ekoplekz / Westerleigh Works EP (Perc Trax)
http://perctrax.bandcamp.com/

続いて実験的な感じのを。

ブリストルのアーティスト Ekoplekz が Perc のレーベルから2011年に出したシングル。

この人は様々なレーベルからけっこうな数の実験的な作品を出している人で、なんでそんな人がハード・ミニマルの Perc Trax から、っていう気がしなくもないんだけど、 Perc Trax もノイズ成分の強い実験的なものも出しているので、そう考えると違和感はない。

しかし今作がハード・ミニマルなのかというとそんな事はもちろんなく、性急な変則キックが入る “Ekoplatz” が若干それっぽいが、上に乗るノイズは明らかにダンス・トラックのものとしては異質だし、それはノイジーなエレクトロである “Narco Samba” と “Xylem Teardrops” も同様。

なので普通のダンス・ミュージックの感覚で聴くとけっこうつらいものがあるんだけど、私みたいな人間には低音が入っているだけで聴きやすいのも事実で、これはこれで悪くない。

Westerleigh Works EP - Ekoplekz

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Edit-Select / Surface To Air (Edit Select) mp3

Edit-Select / Surface To Air (Edit Select)
http://www.myspace.com/editselectrecords

Edit Select こと Tony Scott が今年の春に出したシングル。
私はこの人は Edit Select の名前を最近見るようになって知ったんですが、90年代初頭から様々な名義で作品出しているベテランさんだそう。

今作は表題曲を Edit Select と Lucy がリミックスしたものがそれぞれ収録されていて、私は原曲を知らないので比較は出来ないものの、両者とも方向性としては今風のダークなミニマル・テクノ。

しかし Edit Select は地鳴りのようなベースラインの上で、ディレイの効いた甲高いスネアが鳴る、少しミニマル・ダブっぽいリミックスながら、ハイハットの緩急とエフェクトで曲の展開作っていたり、 Lucy はミニマル・ダブ的なベースラインを使っていながらも、こちらも神経症的に鳴るハイハットとエフェクトが印象的だったりと、ミニマル・ダブのパーツを用いながらも、曲総体としては硬派なミニマル・テクノになっているのが面白い(ハイハットの使い方も)。

Surface to Air - Single - Edit Select

Eliot Lipp / Shark Wolf Rabbit Snake (pretty lights music) mp3

Eliot Lipp / Shark Wolf Rabbit Snake (pretty lights music)

ニューヨークのプロデューサー Eliot Lipp のフリーの作品。

私はこの人については名前しか知らなかったのでちょっと調べてみると、Prefuse 73 とか引き合いに出されていた人みたいですね。
んで、今作のヒップホップとダブステップとエレクトロニカが緩やかに溶け合ったような音は、それっぽいっちゃぁそれっぽいというか、まぁ所謂 Low End Theory 系といえそうな感じなんだけど、私にはそれ以上感じ入るものがなく、凡庸でしたかね。

まぁジャケットのポップさと歪んだ感じの同居は音にも現れているので、聴きやすい作品だとは思う。

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eqd / equalized#111 (equalized) CD

eqd / equalized#111 (equalized)

shed って名義が色々ある上に、なかなかの多作家なようなのですが、ここ数年 shed 以外でリリースが目立つ名義が WAX と eqd 。
WAX に関しては以前紹介したことがあるんですが(この当時は shed の変名って知らなかったけど)、 WAX も eqd も shed に比べて四つ打ちに焦点を当てているのが特徴で、また音自体もよりシンプルになっている。

んで、今作は eqd 名義で出したシングルをまとめたもの。 eqd も WAX もアナログは白い盤面にスタンプ押しただけの、いかにもアンダーグラウンドといった体裁で出されるので意外に知らない人が多いみたいだけど、実は普通にデジタルでも買えたりするので、こうやって CD でまとめられてもありがたみは薄いんですが、まぁこれを機会に彼の音楽を知る人も多かろうということで。

彼のメインの名義である shed もどんどん音がそぎ落とされていっているので、 eqd 名義との差異というのはどんどん小さくはなっているのだけれど、今作での派手な上モノもたいした展開もない曲郡を聴いていると、やはりその無骨さは際立っている。
しかし少ない音数で強烈なダンス・グルーヴが生み出されているのは正にミニマル・テクノといった感じで、軽やかな上モノとリズムの絡みで聴かせる “03” と “06” 、逆にリズムのみで押し切る “04” や “07” など、どの曲も機能性の高さと彼のリズム・メイクの巧みさが感じられて完成度が高い。

まぁあえて難癖付けるなら WAX 名義のもまとめてほしかったなぁ、という感じなんですが、それは後のお楽しみということで。
あと今作は収録時間の関係から、普通の CD としては9曲収録で、残りの1曲はデータとして収録という変則的な形になっています。

Equalized #111 (Compilation) - EQD

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ELEMENTAL / MESSAGES FROM THE VOID (runtime) 2CD

ELEMENTAL / MESSAGES FROM THE VOID(runtime)
http://runtime-records.com/

Elemental こと Adam Wilson が2009年に発表したファースト・アルバム。

この人はダブステップの黎明期からテクノ的な音作りで注目されていた人みたいなんですが、今作もテクノ的な洗練や音響と、ダブステップ的なための効いたリズムを無理なく融合させた曲が数多く収められており、今聴いてもそれほど古臭さを感じない。

またボーナスディスクとして2002年から2009年までのシングル曲を収めた盤が同梱されているんだけど、こちらはドラムンベースの影響が未だ色濃いながらも、非常に荒々しく、こちらもまた秀逸。

でもこの人ってこのアルバム出してから、リリースがぱったりと止まっちゃってるのよね。もう音楽活動止めちゃったのかしら。

Messages from the Void - Elemental

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