Mirko Loko / Comet Plan (Cadenza) Flac

Mirko Loko / Comet Plan (Cadenza)

Mirko Loko / Comet Plan (Cadenza)
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元 Lazy Fat People 、なんて書くと、逆に分からない人が多そうな Mirki Loko の6年ぶり2枚目のアルバム。

声ネタなんかも使ってシカゴっぽい “U Special feat. JAW” や、ビートも上モノも扇情的な “Kolor” など、それなりに色んなタイプの曲が収録されているとはいうものの、やはり印象に残るのは透明感がありつつも陶酔的な上モノで、非常に Mirko Loko らしいと思う一方で、同時にこれを Cadenza っぽいとも思ってしまう自分に時の流れを感じる。

とはいえ作品全体としてはよくできているんだけど、結局一番目立っているのが2012年に Visionquest から発表した “Timeline feat. Francesco Tristano” (関連記事)というところにモヤモヤしたものが残る。

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Luciano / Cachai (Cadenza) mp3

Luciano / Cachai (Cadenza)
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今年中にはこの名義では2枚目となるアルバムが出るという Luciano が2013年3月に発表したシングル(アルバムからの先行なんですかね)。

昨年発表された『Rise Of Angel』(関連記事)はキックの入る事がない、およそクラブ・トラックとは言いがたい作品でしたが、今作は2曲とも四つ打ちのキックの入ったミニマル・ハウス。

お化けが出るときの BGM に使うような楽器(あの「ヒュードロドロ」ってやつ。名前知らない)をメインに、そこにオルガンが絡む “Cachai” 、パーカッシブなリズムの上で、これまたオリエンタルな上モノが印象的な “Dance Unity” と、両曲共に悪くはないものの、ちょっと今までの Luciano の作品と比べるとひねりがなさ過ぎて物足りない出来。

この分かりやすさがイビザでパーティーをやるようになった影響なのかは分からないが、アルバムもこの路線だときついなぁ・・・。

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Luciano / Rise Of Angel (Cadenza) mp3

Luciano / Rise Of Angel (Cadenza)
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Cadenza を主催する Luciano が、自身のレーベルから2012年11月に発表したシングル。
Cadenza のリリースが活発であったり、彼自身も他アーティストへのリミックス提供や DJ ミックス等を発表していたのでご無沙汰感はあまりないが、自信の名義での作品は2009年の『TRIBUTE TO THE SUN』以来初。

その『TRIBUTE TO THE SUN』はタイトル通り、淡い陽光が降り注ぐような清らかな祝祭ムードの作品だったが、今作はそこから一歩踏み出して、という表現が適切なのかどうかは分からないが、キックの入らない簡素なリズムの上に、弾むようなシンセと、これまたシンプルながらも印象的なピアノが乗る、陽性の美しさを持ったものになっている。

つまりはダンストラックといえるような屈強なリズムがあるわけでもなく、かといってアンビエント的とはいい難い、はっきりとした輪郭をもっていて、 Luciano にダンス・トラックを期待する向きには戸惑いさえ感じてしまうほどポップな曲になっている。

しかし16分かけて徐々に音を重ねながら多幸感を増していく構成は今までと変わらぬものであり、また Cadenza より以前の彼がそれほどダンスに重きを置いた作品を作っていなかった事を考えると、アルバムの延長線上での原点回帰にも思えて、なかなかに面白い。

表題曲以外では、 Cadenza からリリース経験のあるアーティストによるリミックスが3曲収録されていて(アナログは1曲)、全てが四つ打ちのキックを足したダンス・トラックになっている。
Mirko Loko によるリミックスは、最近の彼が使うひしゃげたような音のリズムが足されていて、この音があまり好きではない私にはイマイチ。
一方 Andrea Oliva と Uner は、このレーベルらしいパーカッシブなリズムのリミックスをしていて良いのだが、比較的淡々とした感じの Andrea Oliva よりは、スネアなども交えより有機的なグルーヴを作り出している Uner の方が好きかしら。

Rise of Angel (Remixes) - Luciano

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Luciano / Vagabundos 2011 (Cadenza) mp3

Luciano / Vagabundos 2011 (Cadenza)
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Luciano がイビザでやっているパーティー「Vagabundos」をテーマにしたミックス。最近2012年版が出ましたが、これは2011年版(出たのは今年だけど)。

この人の DJ って生では聴いた事ないんだけど、いつの間にやら PC でやるようになっていたようで、ご多分に漏れず今作も数曲を同時に重ねたようなミックス。なので最初は音数が多すぎな気がするんだけど、いったん体になじんでしまえば、派手さはないものの、緩やかに盛り上がる柔らかなグルーヴに身をゆだねられる。

ただ以前よりもヴォーカル・トラックなども増えてより分かりやすくなった分、展開や抜き差しで耳をひくような場面が減って、ただの気持ちがいいハウス・ミックスにとどまってしまっている感も否めず。まぁ好きだけど。

ちなみに今作はなぜかファイルでしか出てないみたい。

Petre Inspirescu / Intr-o seara organica… ([a:rpia:r]) 3LP

Petre Inspirescu / Intr-o seara organica... ([a:rpia:r])

iPod の容量がいっぱいになりそうなのでてきとうに。

Cadenza から『Tips』というダブルパックをリリースしているルーマニア出身のプロデューサー Petre Inspirescu が、同じくルーマニアの Rhadoo と主催するレーベル [a:rpia:r] 2009年末に発表したファースト・アルバム。

Cadenza 関連のアーティストというとパーカッションを多用したミニマル・テクノと相場が決まっていますが、今作もご多分に漏れずパーカッション使ったミニマル・テクノ。

しかし陽性な雰囲気の作品の多い Cadenza に比べると、今作のトーンは終始抑え目で、なおかつあまり展開もなく非常にそっけない。
だがほとんどの曲が10分超という長尺の中で(アルバムは6曲で80分!)、じっくりとじっくりとグルーヴを体へと浸透させていくトラックは、これぞ正にテクノといったもので、一旦はまると何度でも聴きたくなる魅力をもっている。

またどの曲にも 4/4 からは外れるようなリズム感の音を忍び込ませる事によってグルーヴにふくらみを持たせているのも面白い。

ecrn award にも書いたんだけど、 Cadenza 系のアルバムでは決定打ともいえる素晴らしい作品ではないかと。

試聴

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Dinky / May Be Later (VAKANT) 2LP

Dinky / May Be Later (VAKANT)
http://vakant.net/

チリ出身の女性プロデューサー Dinky が2008年に Vakant から発表した3枚目のアルバム。

彼女は初期はともかくとして “Acid In My Fridge” で注目されて以降は Luciano に近い軽快なパーカッシブ・ミニマルを作る事が多く、そんな彼女が、シングルはともかくなぜかアルバムになると妙に Cadenza っぽい作品を出す Vakant からアルバムを出したとなれば、内容は当然のように Cadenza っぽい。

しかしジャケットにも現れているように全体的にどこか靄がかったような暗さがある作品にもなっていて、これはこれで悪くはないものの、しかし彼女らしい軽快さをつぶしている場面も少なくなく、聴いていてなんだかモヤモヤしてしまう。

まぁ代わりにヨーロッパ的な耽美さが感じられるので、面白い作品なのは間違いないんだけど、それでもやっぱり私はいつものすっきり明るい彼女の方が好きかなぁ。

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mirko loko / SEVENTYNINE remixes (Cadenza) 12″

mirko loko / SEVENTYNINE remixes (Cadenza)
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元 Lazy Fat People の片割れ Mirko Loko が今年の頭の方に出したシングルで、タイトル通り昨年出したアルバム『SEVENTYNINE』のリミックス盤。
そしてリミキサーが Carl Craig と Villalobos というかなり豪華な組み合わせなんですが、今作は両者とも期待を裏切らない素晴らしい出来でして、 Carl Craig の “Love Harmonic” のリミックスは軽快なパーカッションと扇情的なシンセでグイグイ盛り上げるテック・ミニマル、 Villalobos の “tahktok” のリミックスは原曲の子供の声のサンプルを軸にした、まるで鼻先をくすぐられているかのような心地よさのある柔らかなアンビエントで、双方とも Cadenza らしさから大きく外れることなく、それでもきちんと独自性を出している。

これは Cadenza レーベルの作品の中でも会心の出来なのではなかろうか。

あとデジタルだと Luciano のリミックスもあるんだけど、これはそのためにわざわざ買うようなもんじゃないです。

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V.A. / Cadenza CONTEMPORARY 01 & CLASSICS (CADENZA) 2CD


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Luciano が主催するレーベル、 Cadenza の初となるコンピレーションと、レーベル音源を使ったミックスの2枚組み。2007年リリース。

最近のパーカッシブ・ミニマル(ちょっと落ち着いてきたかな?)とは似て非なる、このレーベルの音楽的な部分と、ゆっくりと景色が流れていくような感覚というものが、こうやってレーベル・コンピとミックスCDという形になるとよく分かって、しかもそれがとんでもなく素晴らしいという、まことにもってコンピのお手本のような傑作。

なんだけれども、あえて不満を書けば選曲の部分で、コンピのほうはカタログ番号1から6まで、ミックスの方は16から22番くらいのものが使われていて、個人的に好きな8、9、11あたりがすっぽりと抜け落ちているんですよね。
まぁその辺は次のコンピに入るんだろうから、いいんだけどさ。

あとコンピの3曲目は “Extension” じゃなくて “Oregon” ですね。

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MELCHIOR PRODUCTIONS ltd. / Who Can Find Me EP (Cadenza) 12″

MELCHIOR PRODUCTIONS ltd. / Who Can Find Me EP (Cadenza)
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少し前から植物ジャケから生き物ジャケに変わった Cadenza の29番。

Thomas Melchior といいますと、2006年に Luciano と共作で出した『Solomon’s Prayer』が Cadenza の中でも屈指の傑作だったのですが、今作もそれに負けず劣らずの傑作。

とはいっても、今作においてなにか大袈裟なことがなされているかというとそんなことは全くなく、タイトルの曲の “Who Can Find Me (I can’t)” は逆に淡々としたビートの上に、淡い色調のシンセの上モノが乗るミニマル・テクノ。しかしその削ぎ落とされた音の隙間から、非常に豊かな情感が流れ出していて、それにより大きなうねりを生み出している。久しぶりに Cadenza の真骨頂をみた感じがします。

裏の “Choir” もシンプルなパーカッシブ・ミニマルながら、ふくらみのあるグルーヴがあって、地味ながらも中々の逸品。

あと細かいところではあるんだけど、確か Melchior Productions って、 Thomas Melchior 以外に誰か製作に加わると「ltd.」が付く、ってこと記憶してるんだけど、今作のクレジット見ると、 Thomas Melchior の名前しかないんだよね。なんでなんでしょうか。それとも私の記憶違い?

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RHADOO / DOR MIT ORU (Cadenza) 2LP

DOR MT ORU
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先日びびんばさんに、「最近ミニマルの記事を書いていない」と怒られたので、じゃぁ紹介しそびれているミニマルをどかっと紹介しようかと思ったのですが、普通に紹介するとびびんばさんとかぶりまくりでつまらないので、捻くれてる私はシングルを紹介したいと思います。ってこれじゃいつもと一緒か。まぁいいや。

Luciano が2003年から始めた Cadenza は、 Luciano 周辺の才能を総動員していた感じの初期に比べると、最近では圧倒的に新人を送り出すことが多く、しかしそのどれもが、レーベルの色を保ったまま高い完成度を有しているという、なかなかありえないことを淡々と更新していっている稀有なレーベルです。しかしそれはともすると、どの作品を聴いても一緒、という事にもなりかねない。しかし Cadenza に関していえば、一聴した印象はいかにもこのレーベルらしいものと思うものの、その作品を何度も聴けば、アーティストごとの差異が刻まれているのがよく分かる。

それは今までほとんどリリースのない新人であるこの Rhadoo でも変わりはなく、お家芸的にパーカッションは多用しているものの、軸となるリズムを単純な四つ打ちで終わらせておらず、それによって曲ごとの表情を変え、さらには音楽的な豊かさも生み出している。さらに最近(このレーベルにしては)ハードな作品が続いていた中、この『DOR MIT ORU』のゆったりとした空気は、いいアクセントになっている。
まぁあえて難をいうならば、『Cadenza Contemporary 01』に収録されていた “Woa Ovuls” が収録されていないのが非常に残念なんだけど、それでもこの作品が傑作なのには変わりはない。

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