一時期はマメにチェックしていた m_nus の音源をほとんど買わなくなってから久しいのですが、2007年に発表されたこのコンピを久し振りに聴いてみても、やっぱり惹かれるものが少ないかなぁ。
その理由に関しては以前よく書いていた通り、和尚の曲の代替品みたいな機能的なアシッド・ミニマルがあまりにも増えすぎたというのが理由なんだけど、それは今聴いても変わらなくて、確かに上手いなぁとは思うものの、それ以上に感じ入るものが少ない。
私と m_nus との縁はまた更に遠くなりそうだ。
懐かしく新しい光、そう・・・・・・僕達は無邪気にそれを「朝」と名付ける
一時期はマメにチェックしていた m_nus の音源をほとんど買わなくなってから久しいのですが、2007年に発表されたこのコンピを久し振りに聴いてみても、やっぱり惹かれるものが少ないかなぁ。
その理由に関しては以前よく書いていた通り、和尚の曲の代替品みたいな機能的なアシッド・ミニマルがあまりにも増えすぎたというのが理由なんだけど、それは今聴いても変わらなくて、確かに上手いなぁとは思うものの、それ以上に感じ入るものが少ない。
私と m_nus との縁はまた更に遠くなりそうだ。
2009年末に発表された JPLS の約2年ぶりのセカンド・アルバム(CDは限定みたいだけどファイルは普通に買える)。
この人のファースト・アルバムに関しては、試聴してみたら期待に反して普通のアシッド・ミニマルだったので買わなかった記憶があるんだけど、今作は彼なりのミニマリズムというものが感じられて、非常に面白い作品になっている。
中でも面白いのが3曲の長尺曲で、ゆったりとしたリズムが溶け出すように変容していき最後はノイズに飲み込まれる “Collapse” 、グルーヴ自体は四つ打ちのものながら、音の揺れと変則的なキックでそのグルーヴをどんどん捻じ曲げていく “Convolution” 、様々な音が強迫観念的に激しく鳴る “Reset” など、どれも甲乙付け難い。
また日本太鼓を思わせる力強いドラムが印象的な “Fold” や、玉がゆったり転がるようになるパーカションが心地よい “State” など、四つ打ちの曲もよく出来ている。
最近 m_nus って全然聴いてなかったんだけど、これはちょっと久々に追いかけてみようかなという気にさせられた。
和尚率いる m_nus の中でも随一の実験君、 JPLS こと Jeremy Jacob のシングル。
基本的に和尚からの影響が強いアシッド・ミニマルを作る人が多い m_nus にあって、ミニマルはミニマルでも、この人は Pan Sonic とかに近い、極端に要素が削ぎ落とされたミニマルを時折出してくるんだけど、今作では1曲目の “Combination 01” が正にそれ。ドンッというキックの音と、ポンッというパーカッションの音だけで、後は奥でうっすらと鳴るパルス音みたいなのと、たまに変調された声が入ってくるくらい。 BPM も極端に遅い。正直ここまでハードコアだと、ちょっと好きとは云いづらいんだけど、ミニマルがゆえに時空の感覚がよく分からなくなる感じは、なかなか面白い。
残りの5曲(私が聴いた mp3 は6曲入り。アナログは3曲)に関しては、このレーベルらしいディープ・ミニマルで、確かによく出来ているんだけど、1曲目のインパクトがでか過ぎて、どれも普通に聴こえるのがちょっと難でしょうか。
でもこの人の個性は m_nus の中でもかなり貴重なんじゃないでしょうか。
Matthew Dear が別名義の False で2007年に発表したアルバム。以前Plus 8 からリリースしたアルバム(過去記事)はシングルの編集盤だったので、今作がファースト・アルバムということになるかしら。
元々False という名義は、 Matthew Dear が AKUFEN などからの影響を吐き出す為のものとして始めたと、以前インタビューで言っていたけれど(それは先の編集盤を聴くとよく分かる)、今作はジャケット同様味も素っ気もないディープ・ミニマル。
多分普段この手のミニマルに接していない人からすると、まるで何か苦行の類なのかと思えるほど、これといった展開もなく、何も起こらないまま淡々と進んでいく。しかしその最初から中盤辺りまでのゆったりとした流れを経て、それが後半大きなうねりへと変化するさまは、これぞテクノの真骨頂とでもいいたくなるほど素晴らしいもので、またその熱をゆっくり冷ますかのようにゆったりとした流れに引き戻す最終曲 “FORGETTING” も実に秀逸。
また何回も聴いてみれば、後半のグルーヴも、それまでのトラックも非常に丹念に作られていて、ただ機能的なだけではない、作品性の高いアルバムだというのがよく分かる。
流行り物のミニマルとは一線を画す、時代を問わず聴ける傑作です。
そういえばここ何週間くらい、 DrecomRSS に RSS が送信できていないみたいなんだけど、他の RSS リーダーはどうなんでしょうか。多分プラグインいじったのが原因だと思うんだけど、直し方がさっぱり分かりません。
今年はずいぶん積極的にアルバムを発表してきた m_nus ですが、 Jon Gaiser こと Gaiser の初アルバム。
m_nus のアーティストというと、 Richie Hawtin 直径のアシッド・ミニマルを作る人が多い印象があるんですが、この作品に関しては比較的アシッド成分は薄め。その代わり漆黒の闇に沈み込むようなディープ・ミニマルが多く、全体を通して相当地味ではあるんだけど、グルーヴにきちんと躍動感があるので機能性は高い。
まぁ言い換えると、家で聴くよりはクラブで爆音で聴いた方がいい作品ということになるんだけど、非常に高い完成度を有した作品です。
Magda と Troy Pierce (秋に Louderbach アルバムだって!キャー!!)の3人で Run Stop Restore として活動する、という説明があまり意味を成さないくらい単体での活動が目立っている、 Marc Houle の連作シングル。
m_nus というと、どうしても沈み込むようなアシッド・ミニマルという印象が強いんだけど、今作はジャケットからして今までとずいぶん雰囲気が違いますね。
そして内容の方も、従来の m_nus の緻密な印象を与えるトラック郡に比べると、あまり作りこみを感じさせない大雑把な作りになっていて、これが予想以上に良い。ほとんどの曲がスカスカなリズムと、アシッドともブリープとも似て非なる電子音で組み立てられていて、展開もエフェクトで音を歪ませる程度という、非常にシンプルなモノながら、上モノであったりベースラインなどに、こちらの耳を一瞬でつかんで離さない強烈なつかみがどの曲にもあって、聴いていてとにかくアガる。
思えばハードミニマル全盛の時って、アイデア一発勝負みたいなシングルが結構あったような気がするんだけど(user とか)、今作にはそういったものに近いざっくりとしたノリが感じられて、懐かしさとともに、非常に新鮮に聴けました。必要以上にベースを強調しなかったのも良かったように思います。
因みにヴァイナル派の方には、4枚全12曲の中から7曲抜粋したダブルパックがもうすぐ出ます(私の好きな曲がことごとく入ってないので買わんけど)。
なんだかんだで Adam Beyer が2005年に plus 8 から出した『a walking contradiction』(過去記事)って、それ以降の Plus 8 の方向性を決定付けたのかな、と思うんですが、この Skoozbot による EP も、今では Plus 8 の主流のスタイルになった感のあるグルーヴィーなテック・ミニマル。
サブ・レーベルである m_nus が引き算の美学を追及しているのに比べ、 Plus 8 の方がはるかに動きのあるものが多いわけですが、共通してるのはどちらもすごく機能的なんですね。そして機能的っていうことは、ある種型にはまりやすいともいえるわけで、その方に収まらずに非常に刺激的なときもあれば、そうじゃない時もある。
んで、この作品に関しては、機能的で終わっちゃってますかねぇ。ここに収められたトラック自体には特に不満はないながらも、別にこの人じゃなくても、っていう感じがしてしまうのですよ。
まぁ私が以前ほどミニマル聴かなくなったので、トラック毎の微妙な差異を見つけづらい、というのは否めないんだけど、ミニマルでそれをいっちゃぁ身も蓋もないしなぁ。
最近シスコの閉店に伴う文章をよく目にするけど、生活備忘録経由で知った仲真史さんの『仲真史、レコード屋の閉店に思う』という記事を読んで、どうにもモヤモヤするんですよね。細かい部分での違和感がありすぎて上手く言葉にならないんだけど、とりあえずここに書かれているのは店側の意見であって(彼の書いている「客」としての視点は正直感じられない)、コレを鵜呑みにするのはちょっとリスナーとしてのプライドがないんじゃねぇのかなと。別に手段が試聴だろうが情報だろうが勘だろうがなんでもいいんだけど、店のお勧めをホイホイ買ってるだけだったら、別に買うの自分じゃなくてもいいわけだしさ。ちょっと極論でモノをいいすぎ?でもここで例に出されているお客さんみたいに、「この前のロックみたいなのが良かったから、あーいうの教えて」、なんて言うやつが、プライド持って音楽聴いてると思えないんだよなぁ。
2003年の『CLOSER』以降、音源を小出しにちょこちょこリリースする Plastikman の、『NOSTALGIK』の第3弾。第1弾は Villalobos のエディットと未発表曲、2弾は3曲とも未発表曲という構成だったけど、今作は2曲ともエディット。そしてついにきました “Spastik” です。しかもエディットしたのは Dubfire 。正直ついに Deep Dish までミニマルかよ、っていうのはなくもないんだけど、この曲はかなり最高。とはいいつつも、私原曲の方はあまりちゃんと聴いたことないんだけど、このエディットって多分低音太くして、ビュンビュンいうエフェクト足しただけだよね。でも実際、この地鳴りのような低音と、スココココンと鳴り続けるスネアの組み合わせは気持ちよすぎる。これは必要以上に原曲に手を加えなかった、 Dubfire のナイスワークではないでしょうか。そして裏の Guido Schneider のリミックスも、 Plastikman らしいミニマル感は残しつつ、それでいて Guido Schneider らしさも前面に出たテック・ミニマルに仕上げていて素晴らしい。こちらもスコンと鳴るパーカッションが気持ちよい。
最近若干の手詰まり感を感じなくもない m_nus の中では、非常に新鮮に聴けた1枚です。
なんとなく目に入ったので久しぶりに聴いてみたんだけど、これって出たの10年近く前になるんですね。この時期って私は多分テクノ聴き始めたあたりだと思うんで、あまり詳しくはないんだけど、 Plastikman での実験的な作品が続いた後に、シングルの『Minus Orange』と共に、 Richie Hawtin がフロアに帰ってきたと大歓迎されたミックスCD。そしてこの後続くことになる『DE9』シリーズの原点でもありますね。
今だと Richie Hawtin のDJってラップトップで加工しまくってるイメージが強いけど、今作ではタイトルどおりターンテーブルにエフェクター、そして TR-909 を使ったもの。勿論今のような作りこんだ感じはそれほどしないけど、当時としては十分衝撃的なものだったし、逆に今のテクノにはあまり感じられない原始的なエネルギーが強く感じられる。それは時期的にハード・ミニマル中心だからとか、(当時)若手による荒削りなトラックを多く使っているなどの理由も挙げられるけど、ミニマルなグルーヴを徐々にビルド・アップしていく和尚のミックスによるところが大きい。
やっぱりこのCDはいつ聴いても最高です。
あとこのアルバム聴くといつも思い出すのが Future Music Festival 1999 というイベントで、ソニテクのショウケースみたいなもんだったのかな?個人的には同じ年に始まった Wire よりも好きだったんだけど、ソニテクが終了してしまったためなのか、それ一回だけで終わってしまったという幻の(?)イベント。
そこで Richie Hawtin がこのCDと同じスタイルのミックスを披露して絶賛されたんだよね。私は当時和尚の事を名前くらいしか知らなかったので、終盤少し聴いただけなんだけど、とんでもなくかっこよかったのは覚えています。
そんでこのフェスティバルの直前に、どっかのFMでミックス形式のスペシャル番組をやったんだけど、それを録音していたのを思い出して聴いてみたら、以外に面白かったので、しばらくの間アップしとくので、興味のある方は聴いてみてください。
Future Music Festival 1999.zip
100M近くあるんで激重なんですが、出演者を全部盛り込もうとしたためか時々ありえない繋ぎがあったりして、でもこの今のテクノにはない雑多な感じがとても面白いのではないかと(音は当然悪いです)。
微妙に古い話になるのですが、一昨日の『リンカーン』は見ましたでしょうか。私が見たのは途中からでほとんどライヴのとこしか見てないんだけど、テレビ番組としては非常に面白かったと思うと同時に、世間一般でのヒップ・ホップに対するイメージというものが、ますます画一的なものになったんじゃないかなぁと。最初から見てればまた印象違ったのかな?まぁどうせなら今年の流行語大賞が「メ~ン」になるくらい露出してくれたら面白いけど。
毎度の事ながら上の文章と全く関係なく Troy Pierce です。
ここ最近の M_nus ってアーテイスト・アルバムは Marc Houle くらいしか出してなかったんだけど、今年はどうしたのか jpls 、 False ときてこれで3枚目。そして Troy Pierce としては louderbach 名義でのアルバムに続いて2枚目。
以前書いたように M_nus って毎度クオリティは高いものの、どれも似たようなものばかりで以前ほどの関心はもてないんですよね。そして今作も M_nus らしいディープなアシッド・ミニマルながらも、大半のて曲でのパルス音によるメロディがとも印象的で、全体の陰鬱な印象と反してけっこうキャッチー。そしてリズムの方もキックを軸に作られているため、他の M_nus のアーティストの作品よりもはるかに「テクノ」な印象で、それゆえにとても機能的。 louderbach と konrad black によるリミックスもいいアクセントになってる。
パッケージの方も M_nus らしいこだわりが感じられて良い作品です。