RICARDO VILLALOBOS / VASCO (PERLON) CD

RICARDO VILLALOBOS / VASCO (PERLON)
http://www.perlon.net/

有機的なミニマルでは、 Bruno Pronsato と共に一歩抜きん出ている感のある Villalobos の4曲入り EP 。
先行カットされていたアナログ(過去記事)が非常に良かったので、かなり期待していたのですが、それほどでもなかったですかねぇ。

今までの Villalobos のトラックって、異物感のある音を唐突にねじ込むことによって、その音世界を捻じ曲げるようなものが多かったわけですが、今作の “MINIMOONSTAR” では、生ドラムを大胆に導入することにより、刻々と変化するような音世界を構築しております。んで、最初アナログ用に13分ほどに編集されたのを聴いたときは、非常に濃密なものに感じたんだけど、このCDでの30分強のフル・バージョンを聴くと、ちょっと間延びした感が否めないかなぁ。まぁコレ単体で聴けば、他のパーカッシブ・ミニマルよりもはるかに独創的かつ創造的なんだけど、ちょっと期待が大きすぎましたかね。

それ以外の曲に関しては、綺麗に定型に収まらない感じが逆に気持ちいい “ELECTONIC WATER” 、初期を思わせる上モノとリズムのねちっこさがある “AMAZORDUM” 、不思議な浮遊感のある幽玄ミニマルな “SKINFUMMEL” と、どれも素晴らしい出来なので、作品全体の満足度としては、個人的にここ数年の Villalobos の作品の中でも一番なんだけど、それだけに “MINIMOONSTAR” がよけいに惜しく思える。

Bruno Pronsato / Why Can’t We Be Like Us (hello?repeat) 2LP

Bruno Pronsato / Why Can't We Be Like Us
http://www.hellorepeat.com/

パーカッシブ・ミニマル全盛の今だからこそ、 oliver ho は RAUDIVE 名義ではなく、 oliver ho 名義で作品を出すべきなのではないか、なんて事を考えている今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか、 shooter です。
一応今年の Vinylism は、更新を頑張らないといいますか、特に書きたいこともないのに更新をしたいが為だけに記事を書くのはやめようと思っているんですが(昨年はそんなのばっかだったので)、そんなんでのんびりしていたら紹介記事の更新はほぼ1週間ぶりになっちゃいましたね。更新頑張らないとはいえ、さすがにここまで空くのはないようにしたいです。

新しい年が始まったとはいえ、昨年の作品でまだまだ紹介していないもの、聴いていないものも多いので、それらを紹介しながら昨年をぼちぼち振り返ってみたいと思います。

ということで、まずは個人的に昨年のベスト・アルバムだった Bruno Pronsato の『Why Can’t We Be Like Us』。

多分ミニマル好きな方には馴染みのある名前だと思うんだけど、このブログで紹介するの初めてなので、バイオ的なものを軽く書いておくと、彼はシアトル出身で、以前は Voice of Reason というスピード・メタルのバンドでドラムを叩いていたという変り種。
そんな彼がミニマル界隈で注目されたのは2003年のデビュー・シングルに続いて、翌2004年に発表されたファースト・アルバムの『Silver Cities』。個人的には少し遅れてきた Akufen のフォロワー、くらいの印象しかもてなかった作品ではあったんだけど、そのアルバムを当の Akufen が気に入り、自身のレーベル musique risquee から『Ape Masquerade』を発表。さらに広くその名前が知られるようになります。
その後は Philpot や Telegraph などのレーベルから順調にリリースを重ね、昨年1月に発表されたのが、このセカンド・アルバム。

以前も少し書いたんですが、「ミニマル」という音楽が、その名の通りミニマル、つまり最小であることに主眼を置いた音楽であるならば、極端なこといえばより要素を削ぎ落としていくか、逆に要素を足してミニマルじゃなくなるか、この二つの方向しか進化はないと思うんですよね。

そしてその後者の方向性で、現在決定打といえるような作品が本作。とはいっても、その手法自体は、ありふれた生楽器の導入というもの。しかしその手の音楽が、ダンス・ミュージックとしてのダイナミズムを失ったものがほとんどなのに対して、本作は音楽的なふくらみや情感が増しているにもかかわらず、ドラマーらしく多彩なドラム・パターンを合わせる事で、非常にダイナミズム溢れるグルーヴをものにしている。中でもスリリングなシンバル・ワークとタム使いの果てに、ブラスのような上モノが入ってきたときの高揚感が素晴らしい “At Home I’m a Tourist” は何年かに一度の名曲。他にもアコースティック・ギターとピアノの調べが美しいタイトル曲を筆頭に、音楽的な豊かさばかりでなく、音の響き自体が素晴らしいのも特筆もの。

もしかしたら一聴すると、最近のパーカッシブ・ミニマルに近いと思うかもしれないけど、聴きこめばそれとは根本から違う事と、 Bruno Pronsato の音楽的才能をはっきりと感じ取れる名盤。正に「決定打」であり「金字塔」であると、改めて感じます。

試聴
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